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「これは古代ギリシアの僭主であったファラリスに献上された道具で、見ての通り真鍮でできた牛の姿をしています。本来は拷問器具として造られたもののですが、その機能から判断するに娯楽としても使用されるケースが多く、また歴史上でも類を見ない程の残虐性を示しておりーーーー」
おはようございます。早速ですが私は何処にいるでしょうか。
「い、嫌だ!!死にたくないっ!!!!だ、誰か助けっ!!!!」
え?ヒント?そうですね。さっきの悲鳴がそうだと思いますよ。
「仕組みとしてはフライパンと同じですね」
そうですか。そう言えば肉の焼けるいい匂いと、ジュージューと油が跳ねる音がしてきましたね。
「すみません、ちょっと吐いてきます」
「これからが本番ですよ」
「だから吐いてくるって言ってんでしょうっっ!!!?」
正解、処刑場。それも中世ぐらいの魔女裁判っぽいやつ。
「一応これも案内上で大事な場所なので、我慢していただきたいのですが」
ここから逃走を図ろうとする私に対して容赦なく妨害をしてくる。
「え、いいんですか?ここで吐きますよ?キラキラ出ますよ?」
「キラキラがなんなのかは分かりませんが、容れ物を用意しているので大丈夫ですよ」
なんで、そんな無駄に用意がいいんだよチクショウ!!
「はっきりと言いましょう。この行為は人として間違っている!!」
「そうですか....。ファラリスの雄牛はかなりの倍率を誇る催しなのですが....」
そうだね。会場満席だもんね。ちょっとしたドームぐらいあるのにね。
そして無理矢理に真鍮の牛の中に入れられた彼は、いよいよ意味をなさない絶叫をあげ始めた。よく耳を傾ければ、殺してくれと喉が裂けるのではと思うほど叫んでいるのが聞き取れる。
「この者は不当にも納税の義務を怠り、あまつさえ安息日に仕事を行った。その罪を清算させ再び神の身許へと迎え入られる魂へと還すため、この罪人をファラリスの雄牛の刑に処す」
朗々と響く裁判長らしき人の声。それを書き消す程の男の絶叫と興奮した民衆の歓声で、まるで会場が揺れているかのような錯覚を受ける。
「いつ来てもここはすごいですね」
「え、何ここ、何この人、怖い怖い怖い怖い」
ボルテージが上がりきった会場にも勿論恐怖感はあるが、淡々と話すハインリッヒにも鳥肌が立ちそうだ。
「後少しで終わるので」
「え?それってあの人の命がだよね?終わらしたらいけないよね?」
「まぁ、規則ですし」
「何このサイコパス怖い!!」
塞いだ両耳と両目をさらに固くして、それでも肉の焼ける匂いだけが塞げないなか叫ぶ。他の肉と何ら変わらない匂いがするという事実に、余計に吐き気が増してくる。
「ああ、フィナーレですね」
彼の言葉に少しだけ目を向ける。
そこには黄金色に輝く真鍮の牛の姿と、塞いだ両耳を通してもなお響き渡る牛の嘶きがあった。
「........」
「そこまで警戒なされなずともいいのですが....」
あの後ハインリッヒに連れられ、近くの広場らしきところで休憩している。
勿論彼との間には三人分ほどの間隔が存在しており、全力でのけぞった状態だが。
あの場所から離れて大分たったはずだが、それでも肉の焼ける匂いが自分にまとわりついているような気がする。
「もう焼肉食べれない....」
見ただけで吐きそう。
「おかしいですね....。陛下の采配に間違いはないと思うのですが」
こちらの態度にため息をつかれた。え?いや、待って。ここに案内しろっていったのあの王様なの?
「あの、ここに案内するよう指示した人って....」
「陛下ですよ」
「え、まじであの王様?あの人、頭大丈夫?」
異世界から来た人に初っ端から見せるのがあれ?ふざけんな、私のwktkを返せ‼
「あの罪人ですが」
「ん?あの人のことですか?」
急に話を変えたハインリッヒを不思議に思うが、とりあえず話を聞く。
「裁判長が読み上げた通り、罪状としては納税の怠慢と、安息日の勤労。これの二つです。しかし....」
あれ?てか声のトーンも何か変わってね?下がってるようなーーー
「不敬罪というのも勿論存在しているのですよ」
「すみませんっっでしたあぁぁ!!!!」
土下座した。打ち付けた頭と膝がめちゃくちゃ痛いが、気にせず石だたみに土下座した。
こちらを見るハインリッヒの眼はひどく冷たい。声のトーンも、当初の柔らかな印象とはかけ離れているほど低い。
(え?そんなにあの王様のこと馬鹿にされるの嫌なの?馬鹿にしたら焼肉にされるの?いやいやいや、異世界転生した先で焼肉にされるとか無い。絶対に無理。昨日の私、命の心配は無さそうってどんだけお気楽だったんだよ!ばっちしあるじゃんかぁ!!)
「どうか焼肉だけはーー、お許しくださいーー!!」
だらだらと冷や汗をかきながら土下座を続ける私に、冷やかな声が聞こえた。
「冗談半分ですよ」
「それ嘘ですよね?その目見れば分かりますよ?」
しかも半分は冗談じゃないのか
「元々、私はここに案内するつもりはありませんでした。王妃様にもここに案内はしていません」
「何で私だけ何ですか!?」
「それは分かりかねますが、貴方が他の人とはどこか違うところがあるのでしょう。思いあたる節はございませんか?」
「無いです!!」
知らん。少なくとも処刑場を見せられる謂われは無い。
「そうですか。まぁ、大体は逆らったらこうなりますよ。といったところだと思うのですが」
「まさかの恐怖政治」
「今度お会いした際に聞いてみては如何ですが?」
「........そうですね」
ハインリッヒを前にして、いえ、もう二度と会いたくないですとは言えず、曖昧に頷いておく。
おはようございます。早速ですが私は何処にいるでしょうか。
「い、嫌だ!!死にたくないっ!!!!だ、誰か助けっ!!!!」
え?ヒント?そうですね。さっきの悲鳴がそうだと思いますよ。
「仕組みとしてはフライパンと同じですね」
そうですか。そう言えば肉の焼けるいい匂いと、ジュージューと油が跳ねる音がしてきましたね。
「すみません、ちょっと吐いてきます」
「これからが本番ですよ」
「だから吐いてくるって言ってんでしょうっっ!!!?」
正解、処刑場。それも中世ぐらいの魔女裁判っぽいやつ。
「一応これも案内上で大事な場所なので、我慢していただきたいのですが」
ここから逃走を図ろうとする私に対して容赦なく妨害をしてくる。
「え、いいんですか?ここで吐きますよ?キラキラ出ますよ?」
「キラキラがなんなのかは分かりませんが、容れ物を用意しているので大丈夫ですよ」
なんで、そんな無駄に用意がいいんだよチクショウ!!
「はっきりと言いましょう。この行為は人として間違っている!!」
「そうですか....。ファラリスの雄牛はかなりの倍率を誇る催しなのですが....」
そうだね。会場満席だもんね。ちょっとしたドームぐらいあるのにね。
そして無理矢理に真鍮の牛の中に入れられた彼は、いよいよ意味をなさない絶叫をあげ始めた。よく耳を傾ければ、殺してくれと喉が裂けるのではと思うほど叫んでいるのが聞き取れる。
「この者は不当にも納税の義務を怠り、あまつさえ安息日に仕事を行った。その罪を清算させ再び神の身許へと迎え入られる魂へと還すため、この罪人をファラリスの雄牛の刑に処す」
朗々と響く裁判長らしき人の声。それを書き消す程の男の絶叫と興奮した民衆の歓声で、まるで会場が揺れているかのような錯覚を受ける。
「いつ来てもここはすごいですね」
「え、何ここ、何この人、怖い怖い怖い怖い」
ボルテージが上がりきった会場にも勿論恐怖感はあるが、淡々と話すハインリッヒにも鳥肌が立ちそうだ。
「後少しで終わるので」
「え?それってあの人の命がだよね?終わらしたらいけないよね?」
「まぁ、規則ですし」
「何このサイコパス怖い!!」
塞いだ両耳と両目をさらに固くして、それでも肉の焼ける匂いだけが塞げないなか叫ぶ。他の肉と何ら変わらない匂いがするという事実に、余計に吐き気が増してくる。
「ああ、フィナーレですね」
彼の言葉に少しだけ目を向ける。
そこには黄金色に輝く真鍮の牛の姿と、塞いだ両耳を通してもなお響き渡る牛の嘶きがあった。
「........」
「そこまで警戒なされなずともいいのですが....」
あの後ハインリッヒに連れられ、近くの広場らしきところで休憩している。
勿論彼との間には三人分ほどの間隔が存在しており、全力でのけぞった状態だが。
あの場所から離れて大分たったはずだが、それでも肉の焼ける匂いが自分にまとわりついているような気がする。
「もう焼肉食べれない....」
見ただけで吐きそう。
「おかしいですね....。陛下の采配に間違いはないと思うのですが」
こちらの態度にため息をつかれた。え?いや、待って。ここに案内しろっていったのあの王様なの?
「あの、ここに案内するよう指示した人って....」
「陛下ですよ」
「え、まじであの王様?あの人、頭大丈夫?」
異世界から来た人に初っ端から見せるのがあれ?ふざけんな、私のwktkを返せ‼
「あの罪人ですが」
「ん?あの人のことですか?」
急に話を変えたハインリッヒを不思議に思うが、とりあえず話を聞く。
「裁判長が読み上げた通り、罪状としては納税の怠慢と、安息日の勤労。これの二つです。しかし....」
あれ?てか声のトーンも何か変わってね?下がってるようなーーー
「不敬罪というのも勿論存在しているのですよ」
「すみませんっっでしたあぁぁ!!!!」
土下座した。打ち付けた頭と膝がめちゃくちゃ痛いが、気にせず石だたみに土下座した。
こちらを見るハインリッヒの眼はひどく冷たい。声のトーンも、当初の柔らかな印象とはかけ離れているほど低い。
(え?そんなにあの王様のこと馬鹿にされるの嫌なの?馬鹿にしたら焼肉にされるの?いやいやいや、異世界転生した先で焼肉にされるとか無い。絶対に無理。昨日の私、命の心配は無さそうってどんだけお気楽だったんだよ!ばっちしあるじゃんかぁ!!)
「どうか焼肉だけはーー、お許しくださいーー!!」
だらだらと冷や汗をかきながら土下座を続ける私に、冷やかな声が聞こえた。
「冗談半分ですよ」
「それ嘘ですよね?その目見れば分かりますよ?」
しかも半分は冗談じゃないのか
「元々、私はここに案内するつもりはありませんでした。王妃様にもここに案内はしていません」
「何で私だけ何ですか!?」
「それは分かりかねますが、貴方が他の人とはどこか違うところがあるのでしょう。思いあたる節はございませんか?」
「無いです!!」
知らん。少なくとも処刑場を見せられる謂われは無い。
「そうですか。まぁ、大体は逆らったらこうなりますよ。といったところだと思うのですが」
「まさかの恐怖政治」
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ハインリッヒを前にして、いえ、もう二度と会いたくないですとは言えず、曖昧に頷いておく。
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