異世界転生した主人公(女子高生)がまず望む状況とはなんだろうか?

川野水草

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 すでに見慣れた灰色の壁と鉄格子。違いと言えば足につけられた足枷と、寝かされていたのが地べた(より酷くなってる)ということだろうか。

「はぁ~~」

 ついたため息にどうしたのかと少女に首をかしげられる。今まではじっくりと見る機会が無かったが、少女は長い茶色の髪に同じ色の瞳をしていた。前髪の流しかたの問題で顔半分が見えないが、かなりかわいいと思う。

「いや、デシャヴを感じる状態に落ち込んでるだけだから」

「....何でろうやに感じるの?」

「....なんでだろうね....」

 少女の質問に遠い目になる。私この世界に来てからろくな目にあってないわぁ....。
 まぁ、ため息をついてても仕方がない。早く切り替えよう。そう思って鉄格子から外を覗く。
 どこの建物かは分からないが、木で作られた窓のない大きな部屋に幾つもの牢屋が並んでいる。光源が一定の間隔で並ぶ蝋燭の火しかないため、酷く薄暗い。向かいの牢屋の中身さえよく見えず、精々が同じ牢屋に閉じ込められた少女に、判別がつくぐらいの明るさだ。
 とりあえず抜け出すのは無理そうだ。足枷と牢屋が何とかなったら、この暗さを利用できそうだが、まず何とかなっていないので仕方がない。

「....どう?」

「....奴隷にでもされるのかなぁ....」

 人目を気にせず(目の前の少女しかいないが)地べたに体育座りで座り込む。
 どっかの競売にも出されるんだろうなぁ....。そんで金持ちとかが落札して?奴隷とか?下手したら趣味の悪いオヤジにあんなことやそんなことされたり?

「....こんな転生望んでない....」

「どんなのが良かったの?」

「逆ハールート」

「?よく分からないけどむりだと思うよ」

「よく分かんないのに否定しないで....」

 どうして否定した。いや、こんな状況下で何言ってんだって私も思うよ?思うけどね?やっぱり夢は持ち続けていたいです。

「そういや君名前は?」

 そう聞くと、少女は不思議そうな顔をして首をかしげた。いや、何故かしげる。わかるだろそれぐらい。

「さぁ?」

「....年は?」

「....さぁ?」

「....お家どこ?」

「........?」

 さてこれはどう反応したらいいのだろうか。からかわれているのか本当に分からないのか。表情に出ていないので全く分からない。

「....お姉ちゃんは?」

「ん?」

「名前」

「あぁ、木下凛。あ、凛の方がファーストネームだから」
 
 そう答えると、少女は何度か口の中で私の名前を呟いた。

「....それでお姉ちゃんに聞きたいことがあるんだけど」

「結局呼ばないの!?」

 何だったのさっきのくだり!?

「まぁ、君がそうしたいなら別にいいけどさぁ。で、何を聞きたいの?」

「がんばれる?」

「え?何を?」

 これまた唐突かつ主語が抜け落ちた質問だが、少女は特におかしいと思わなかったのだろうか。....思っていなさそうだ。

「....がんばれる?」

「いや、何かにもよるんだけど」

「....どうしたらがんばれるの?」

「いや、だからその頑張る内容を教えて欲しいんですけど....」

 詳しい内容を尋ねてみてもいっこうに頑張れるのかとしか聞いてこない。自分が頷かない限りこの問答はずっと繰り返されるのだろうか。しかも表情が無いのは相変わらずだが、次第に目が微妙に揺らいであるような気がする。何で誘拐されたときは平然としてるのに、こんな時だけそんな顔するの!?

「あー、もうわかったから!!頑張るから!!」

「....ありがとう」

 とうとうこっちが折れてしまった。私は何をしたらいいんだ....。
 だが少し明るくなった彼女の顔に(ほんと少しだけど)私も少しだけ気分が明るくなる。こんな牢屋の中だが、思ったよりはポジティブになれるらしい。

「ただこっから出れたらの話だからね?流石に人生が終わったら無理だからね?」

「....わかった」

 本当に理解しているのかさえ謎だが、とりあえずは納得してくれたらしいので安堵する。ただまぁ、自分の言葉通りここから抜け出すのが大前提なのだが。

「じゃあ、その約束を果たすためにも、こっから抜け出す算段でも立てよっか」
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