僕は僕と結婚する

hamiru

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あの時空の暴虐を見たあの日から
2月半経った
小6のクリスマスだった
いや、クリスマスイヴだった

僕の家は母子家庭だ
母さんと簡単なクリスマスを祝った
それこそ普通のクリスマスだ
チキンやオードブル、最後にケーキを食べた
あとは、今日から明日の峠に最中にサンタが来る
オカアサンタの正体は既に分かっていて、昨年にもうプレゼントはいらない旨の言葉で、フックをかけてサンタの煙突を辞退したが、サンタは来た
ウチの経済事情は分かっているから、プレゼントがない方が嬉しいのに

親の責務

母の心情を慮って、黙って、少し大人を感じさせる時計を受け取った
今年までだ
中学に上がったら、もうプレゼントはいらないと、はっきりと大人の御免をするつもりだった

一応10日前あたりに、
TVでクリスマスムード満開の番組の声が湧き立っていたから、それに呼応して母の愛と責任を制御するためのフックを掛けた
「もう12歳だからサンタは来ないだろうな」
母は黙ってキッチンで、責任を熟していた

僕は紐に括られたハムを解いてあげた
クリスマス・イヴの夕食にキスして食べて
部屋に戻る

2LDKのアパートで僕の部屋も母の部屋も
4畳半
あまり大きな音を出すと、母さんにも聞こえる
僕はいつもの動画を見ようと、スマートフォンをイジった
同時に僕だけが聞こえる声に、音量を調整した

決まった音量
見慣れた音量ゲージのバーの低さに、安心を感じて

この頃には低さは安定だということを概念を覚え始めていた
高く飛べ、大空を羽ばたけなど美しき響きをハタメカセル言葉は多いが
高く飛べばいいってものでもない
低く安定的に飛んだ方が、しっかりと確実に実力は身につくし、確かな自分を形作っていく
低く低く低く低く。
上昇気流に乗ったなら、低層で身につけた辛抱は空を浮く石のように、美しい

動画の向こうには僕がいる
クリスマス・イヴにまでやっていた
今日は火曜日だから
彼は火曜日と金曜日の週2回動画を上げる

結婚否定論者
いや
結婚制度否定論者

「縛られるなよ。なあ、お前たち分かるだろ。
お前たちは束縛されているだけだ。結婚こそ、束縛の最たる制度だ。
お前たちは浮かぶ!今まで辛抱してきたんだ!
浮かべるんだ。
お前たちは石!お前たちの辛抱は石となって浮かぶことができるんだ。
お前たちが解放すれば!
結婚や婚約制度なんかを破壊して、己を解放さえすれば!
上昇気流が石となった、原石となった!お前たちを渦巻きながら空へと連れて行くんだ!
分かるか!
こんな我慢比べの世の中。
ぶっ壊してやれ!
いいか、よく聞け。
我慢した奴が偉くなってんだよ。
そうだよ。
みんな辛抱してんだよ。
当たり前?
ホントにそうなのか。
我慢に辛抱を重ねたお前たちは石!
石ああ原石よ、ああ鉱石よ
お前はなんだ
エメラルドか、ダイヤモンドか、サファイアか!

浮かべよ
その辛抱と我慢を弛めれば上昇気流が巻き起こるぞ
浮かべ浮かべ
空に浮かべ

様々な鉱石のお前達よ!
空に浮かべ!

お前たちの辛抱が達した時
石はパンクして弾けるだろう!

降らせよ
ダイヤの破片をエメラルドの破片を
サファイアの破片を!

破片の雨を降らせよ!」

うう、

僕は僕に惚れた

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