僕は僕と結婚する

hamiru

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僕たちの卒業式が始まった
雀小学校の卒業式は3月25日の火曜日に執り行われる

雀小学校は京成電鉄の大神宮下にほど近い場所にあった
千葉県最大規模の大型商業施設が近くにあって、放課後やとりわけ休日には子供たちも自転車で遊びに行った
其処の世界は何よりの課外授業だった

卒業式のあとは、そのららぽーとで謝恩会が開かれる

卒業式が始まる
練習した通りに整列して行進する
席に着席する
開式の言葉から始まり、君が代を皆で謳う
来賓が紹介された

卒業証書授与式が始まった

ひとりひとり
名前が呼ばれていく

はい

2組に入って担任の黒田先生が名前を呼ぶ

大熊武志
はい
影山京花
はい
住倉雄介
はい
瑠美流智哉
はい

学年主任の遠山先生が校長先生にそのペーパーを授け、校長先生の手から卒業証書が手渡されていく
校長先生とペーパーを通して繋がった時、"おめでとう"と言っていただいた
"ありがとうございます"

話が短く端的で年齢の割に美しい校長だった
凛々しく背筋の伸びたその姿は、学校の長として相応しいシルエットだった

卒業証書授与式が終わり
校長先生の式事に移る

校長先生はこんな話をした
「皆さん卒業おめでとうございます。合わせて、御父母の皆様も誠におめでとうございます。
今日という日は皆様にとって門出の一日になることでしょう。
私は3年前に雀小学校の校長に就任しました。
皆さんが4年生の4月の頃です。3年間、全然駄目です。私ではありません。皆さん、全然ダメです」
静まり返る体育館
「主に皆さんを指すのは、御父母の皆さんです。
3年間様々な問題が起こりました。子供たち同士による喧嘩や教師に対してのクレーム。授業の内容に問題があるとか、先生に怒られた?
ふざけるのも大概にしてください」
僕は呆気にとられた。
子供たちは動としてざわつき始めたのがわかったし、父母席の空気が凍りついたような冷気を発しているのでがわかった

「学校よりも長くお子様と一緒にいるのは、御父母の皆様でいらっしゃいます。怒れない親、甘やかされた子供。あなたのお子様が立派な成績を取れないのは、学校の授業の至らなさではなくてあなたの教育の拙劣さが問題な訳です。成績だけの話ではありません。生活全般に対して学校と同様に、いえ学校以上に親の影響は大きいのです。」

ざわつきと呻きの親
静寂の子供たち
続ける校長

「裁定委員会を設立します。教師と生徒の関係を
見つめ直します。子供が過剰に守られすぎるのを防ぎ、教員側も裁定委員会に子供及び親に対してのクレームを提出できるようにします。親御さんが教員に対してクレームを出されることと同じです。つまりモンスターペアレンツのようだととられる親御さんなどは、裁定委員会に報告されまして、問題の内容について精査され裁定が下されます。退学、停学、名誉毀損、学園運営の妨害による賠償など。」

父母の怒号が飛び交う
流石に卒業生や在校生も抑えきれず、ざわめきが広がった
泣いている教師がいる
毅然とした姿勢を崩さない
今まで幾リットルの涙を流してきた職員たちの仇を取った侍のようだった

教師たちが場を収めようとしない

来賓の中から二人の男女と卒業生の中から一人の男がステージに向かって場を収めようとした
卒業生は雄介だった

混乱の空気が覆う中、祝典は継続されて送辞、答辞、校歌斉唱が執り行われた
校歌の歌声はいつにも増して弱々しかった
雄介の答辞は良かった
澱んだ空気の中でも、毅然とした姿勢を崩さず雄弁に語った

僕らの小学校生活は終わった





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