人間さんと暮らしてみましたが、ちっとも馴染めません。

白光猫(しろみつにゃん)

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扉の外(別視点)

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「……ケバル団長。なんなんすか、あの超絶美人さん。【あの女】にちっとも似てないっすね」
「聞くな。俺もいまだに混乱している」

 周囲に鋭く注意を払いながらも、俺は目を閉じて、目頭を軽く揉みほぐしていた。
 輝くばかりの美貌の残像が、いまだ瞼の裏に残っている。
 そして、ことさらゆっくりと目を開けてみる。周囲の景色は何ひとつ変わっていない。これは現実なのだ。先ほど目にしたあの麗人も、全ては現実だったのだ。

「しかしまあ……、ここは、のどかっすね」

 副団長のニールが、隣で呆れたように呟いた。
 頭上にぽっかりと現れた、数時間ぶりの青空を眺めながら、両腕を広げてスーハーと深呼吸をする。

「……空気もうまいっす」

 すると、その言葉に呼応するかのように、爽やかな風が頬を撫でていった。鎧と武器を身につけ、いかめしく突っ立っている俺たちが、非常に場違いで滑稽に思えてくる。

「さっきまでの俺たちの苦労はなんだったんすか? ここって森の中心のはずっすよね? ここに辿り着くまでに、どんだけまがまがしい植物やら凶暴な幻獣どもに襲われてきたことか。着慣れない鎧に使役獣無しで戦い続けて、俺もう身体中の神素使い果たしてカラカラっすよ。この小屋の周りだけ異空間なんすかね? なんなんすかアレ。小川のせせらぎに水車もあって一面の花畑。目の前では可愛い小動物がぴょんぴょん跳ねてるときてる。実は俺たち死んでるんじゃないっすか? ここは天国であの美人さんは女神っすか? そうだ、そうに違いない」
「少し黙れ」

 あまりにも予想外の展開に興奮しているのか、普段の饒舌ぶりに一層拍車がかかってしまっている。鬱陶しいことこの上ない。
 こいつは剣も魔術の実力も十二分だが、いかんせん口から生まれてきたような男だ。
 無口で無愛想な俺とは大違いで、足して二で割ったら丁度いいとよく周囲に言われている。

「ねぇ団長。いま使役獣呼び出して、少しだけ神素補給したらダメっすか? ここなら安全そうだし」
「油断するな。あの女魔導士が言っていただろう? この森は伝説の古代竜の呪いがかけられている。あらゆる獣を狂わせ森に入った人間を襲うようになると。おまえの使役獣も例外ではないだろう」
「うぅ~ん。使役獣が本当に飼い主を襲いますかねぇ? 俺たちクラスの魔導士なら案外イケるんじゃないっすか? 試してみないと分からないことだってあるっす。何事も検証っす」
「そうだな確かにこれはいい機会だ。ならばお前が身をもって実験してみてくれ。骨は拾ってやる」
「……団長。目が本気すぎてヤバイっす」
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