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第14話 ボクの秘密
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「あんたプレートディスクに15とか書いてあったとか言って、まじで信じてるの?
だいたい15ガキが、平然と日本酒を飯食いながら1升も飲むかしら。代謝がいいとかの以前に、それって絶対、飲み慣れているでしょ」
「1升ってなんだ?」
「その日本酒が入っている瓶の容量よ。それ1.8リットルあるのよ。ビールじゃないんだよ」
「えー、水とは言わなけど、これ15度くらいでしょ。ワインよりちょっと高めなくらいじゃない。ジョアンナもそのくらい飲んでるよ」
「飲む、飲む。わたしでも1.5リットルくらいは普通に飲むわよ」
うちは、みんな飲むからな。知能&肉体労働者をなめんなよ。
「あたし、トロイメライの本名と国籍は聞けなかったけど、年齢は聞いたのよ。あたしが当時27で、もうじき30になっちゃうって、滅入ってたら、自分なんか若く見えるけど17で、3年もすれば20で、オバンの仲間入りだって言ってたのよ。
つまり、アンタは今年で20。もう既にババアの仲間入りしてんのよ、アンタがお姉ちゃんと慕っているジョアンナより、3つも年上なのよ。分かった!」
おっと、汚バサン、勝ち誇りに来たよ。でも、何にも負けてないよ。余裕。余裕。
「汚バサン、自分がお肌の曲がり角角してるんで妬いてるんだね。ボクの美しい肌艶に。若い時からお手入れしてないからだよ。
それに、トロイメライはオバンなのにティーンエージャー並みに肌艶がいいの?」
「う、そ、それは・・・・」
「はい、汚バサンの負け。仮にボクがジョアンナより3歳年上だったとして、それが何かの障害になるとでも思ってるの?
元から血はつながってないし、姉妹と言うよりも仲のいい友達なんだよ。汚バサンの友達じゃなくて残念だったけどね。
あ、でも汚バサンってもう30なんだ。社長のザック兄貴より年上なんだね。だったらもっと落ち着かないと。
キースさんも女遊びとかやめて、汚バサンと所帯もったら? もう若ぶれる年じゃないと思うけど」
汚バサンは、キースさんと共に轟沈した。勝った。意外とあっさりだったな。この汚バサンいったい何がしたかったのだろう。
汚バサン以上にキースさんにより効いたみたいだ。もう生気を感じない。今日、ボクと会ったがために、天国から地獄に落ちてしまうとは。ボクって罪だな。でも、汚バサンは、顔を真っ赤にして、涙を流しながら、口を魚のようにパクパクして、まだ、何か言いたげだ。
「トロイメライ、・・・・・・本当にわたしのこと忘れたの?」
汚バサンの言葉がわなわなと震えている。気がどうかなった感じだ。相当にヤバイ雰囲気だ。
「3年前、日本で待ち合わせして、3か月も一緒に旅をしたのに、ひどいよ!
ほんの一か月前まで、週末の度に、あんなに話し込んでたのに。そんなに簡単に忘れられるの?
誰があんたにこんなことしたのよ。わたしの親友を返してよ!」
汚バサンは、床にペタンと尻もちをつく形で、顔をくしゃくしゃにして、鼻水まじりに泣き崩れてしまった。
なんだかとても後味が悪い感じがした。悪いのはこの汚バサン、いやエレナさんなんだけど、なんでここまで執拗にからむのか、ボクは自分のしたことに懺悔の念を覚えた。そこへ、それまで、静観していたザック兄貴が神妙な面持ちで、ボクらの間に入って来た。
「おい、トロイこれはいらなんでも不味いぞ。エレナが悪いかもしれんが、ここは堪えて、謝罪してくれないか」
流石にボクも罪悪感を感じた。「エレナさん、そのごめんなさい」と謝った。
「俺たちは決して、お前のことを放っておいた訳じゃなかったんだが、いくつか探りあてたことがあるんだ。それに、エレナが昔のお前を知ってるってのは、あながち、嘘ともいいがたいんだよ」
「お兄さん、場所をちょっと変えましょうか。もうこの時間ですから、下の応接室へ行きましょう」
ハルさんは、エレナさんを立たせて肩を抱いて、そっと裏口からエレベータで移動した。一緒に来たのは、ザック兄貴とキースさん、そして研究員のサラさんだった。ボクら応接室に入れると、ハルさんは席を外した。これからは関係者だけの会話ということなのだ。
兄貴はハルさんが席を外すときに、ジョアンナを10時までには帰宅させるよう言つけていた。でも、なんでサラさんまで、何かを調査した人ってことなのかな?
「さて、何から話そうか」
兄貴はどこから話を切り出すか模索しているようだ。ボクが記憶するのは、あのゲオルグ・パパと、レイラ・ママと対面した、動く家のコクピットからだった。その前にも何かあった気がするけど、今もはっきりしない。
「まず、トロイを発見したのは、今から四か月くらい前のことだ。連邦保安署から国籍不明機が墜落したので、その事故現場検証をするよう依頼が下りたんだ。
採掘場から10キロ離れたところだったんで、バギーで親父と俺と、レジェンドンの3人で向かったんだ。飛行機は大破していて、墜落で滑空して破損したとは思えない壊れっぷりだった。翼やエンジンの一部は見つかったので、それが飛行機であるこに違いはなかった。
生存者も居た。ざっと10人だったと思う。みな、うちの会社の防護スーツを着用していたので、見た範囲では死亡者は一人も居なかった」
「生存者は居たの? 死んだって言ってなかった?」
以前、聞かされていた話と違っていたので、ボクはそのことがすごく気になった。
「ああ、以前はそう話していたが。まあ、周囲に対するフェイクだ。うちのクルーの中に、スパイがいるとも限らないからな。生存者のことは親父と相談して、しばらく伏せることにしたんだ」
「クルーにはやばい人もいるの?」
「親父のところに来るのも高い賃金が目当てが理由の者は少なからずいる。どこかで何らかのつながりがあったりしてもおかしくないからな。おまえが遭った事故はそのくらい異質だったんだ。用心するに越したことはないって、親父は悟ったんだ」
元兵士のカンというやつなのかな。ゲオルグ・パパは慎重なんだな。
「話ができる人はいたの?」とサラさんは、兄貴の話を進めやすい調子で聞いた。
「胴体が大破するほどのすごい衝撃か、爆発だったので、ほとんどの人が気を失っていた。意識のある人も居たが、とても話ができる状況ではなかったよ。
トロイは飛行機の進行方向に対し、胴体部の箇所から5キロほど先に転がっていた脱出ポッドの中に居た。ヘルメットを被ってうずくまっていた。俺たちは、事故の詳細を連邦保安署に報告して、おまえを引き取って、ポッドも回収した。うちで解析を頼まれたからだ」
「ちゃんとした依頼だったんだ」
「ああ、でも、何か不自然だったんだ。普通、事故物件の解析依頼されることなんかないからね。うちの会社だったら、民間で故障原因調査とかもやってるから、そこに要請されることはあるんだけど。依頼が出たのは親父の会社だからな。親父の会社で俺宛だったんだ。そして、依頼書は正式なものだった」
「いちおう、親父の会社にも業務アドバイザーとして登録はしてある。アドバイサーの域を超えた仕事は家の手伝いにしてだけなんだ」
「仕掛けた側の調査不足か、手違いがあったってことですか?」
サラさんが質問した。なかなかするどい突っ込みだ。ボクもそう思えた。
「たぶんそうなんだろう。この一件に仕掛け人がいるとするなら、彼らは俺らにトロイを回収してもらいたかったんだ」
「なんかミステリーですね。そんなことして何の意味があるんでしょうか」
「で、ここからが本題だ」
兄貴の口調がちょっとだけ神妙になった。
「トロイの事件に合わせるように、バチスカン公国のクーデーター事件があり、トロイがそこの公にされていない第三王女トロイメライであるという情報が出たことだ。
この解析をやったのは、レジェンドンだった。レジェンドンは、うちの会社で雇っている人物で、現在、行方不明中のコベナント博士が5年前に勧誘した人物だ。
うちの開発スーツを親父の職場の職員にモニタさせていることもあって、親父の職場に常駐させている。あそこには彼専用のちょっとした研究したがあって、そこで開発スーツのモニタの解析、メンテの他、協業で採掘の技術アドバイザーもやっている。
コベナント博士には夫人と15の娘がいるとの話を聞かされていた。娘さんは、ネット好きだが家事全般ができて、気立てのいい自慢の娘だそうだが、彼の夫人や娘さんがどこに住んでいて、どんな容姿をしているかは誰も知らない。
コベナント博士は公国の科学者なので、そのプライベート情報の扱いは本人のみとなっているんだ。
そして、エレナのネット友達で、トロイメライと名乗る国籍不明のセレブお嬢様。3年前に、エレナと日本旅行をした人物で、3か月分のすべての旅費を彼女が持ってくれたんだそうだ」
「3か月の海外の旅行代を全部おごってくれたんですか、そこまで仲が良かったんですね!」
サラさんは、エレナさんが楽しい思い出を思い出すよう、うまく兄貴の話に相槌を打ってくれている。聞き上手でできる女性だ。このために兄貴は彼女を呼んだのかな。
「そうよ。彼女はわたしの大の親友なのよ。知り合ったのは今から10年前だったわ。妙に話の合う娘がいてね。日本のアニメにどっぷりはまっていて、とっても詳しかったのよ。作品に対する読みも深くてね。どんな人だろうって想像をかきたてられたわ。
でも、2年くらいして年齢聞いたら12歳っていうのだものびっくりしたわ。ネットだから嘘かなと思っていたけど、ついその2年前はボルダリングの地区チャンピオンだったとかも言ってたのよね。それも嘘だと当時は持ってたわ。世界も狙えるけど体力づくりにやってるし、大会は興味ないからやめちゃたって言ってたわ」
「地区大会のチャンピオンで世界狙える人って結構いますからね。どんなレベルで言っているかや、その時点で容姿が分からないと調べようがないですね。
エレナさん、日本に行くまで、彼女の顔を見たことはあったんですか?」
「バーチャルでは会ってた。暗号化されたプライベート空間では容姿をデフォルメせずに、会ってたわ」
「トロイメライさん以外に、ネットのお友達はいたんですか?」
「いたわよ、レイヤーのファン以外でもそこその仲のいい人は50人はいたわ」
「え、レイヤーって!?」
「サラくん、そこはスルーしてやってくれ、彼女の黒歴史かもしれないから」
エレナさんの現恋人にして、子供を産ませた彼氏。ナイスフォローです。
「どうして、3か月もの長期旅行をされたんですか?」
「切り出して来たのはトロイメライだったの。これからの人生を一新することを今年始める。その踏ん切り付けに海外旅行するけど、二人で日本旅行しないかって?聞いてきたのよ」
「当時は、契約社員で社長の会社に行ってたけど、たまった休みが3か月以上あったから、仕事も一段落してたから社長の許可をとって休みを取ったわ。
さらに、戻ってきたら正社員に昇格させて、今居る研究所へ転勤だと言われたの。掘っ立て小屋から大都会でしょ。胸躍ったわよ」
「トロイメライさんがつける踏ん切りが何かって聞けました?」
「そこは全然教えてくれなかったけど、今まで会社経営とかやってたけど、それを売却して、今度はもっと躍動的なことをするんだとか言ってた」
「なるほど、会社を売却したんで、相当なお金があったということなんですね。でも、凄いですね。その人、17歳で会社経営って、ザックさんも18歳で起業してますけど、叔父さんの工場を引き継いでますから、違いますものね」
「それがな、実は驚くべきことに、今のうちの合併元の会社の前の前のオーナーだったんだよ。売った後に買ったやつがすぐに経営破綻しちまって、うちが吸収合併したんだ」
「え、と、いうことはここに住んでいる人だったの?」
「そうだ。さらに驚け!あのビルは、いくつかフロアを賃貸してるんだがな」
「屋上のペントハウスにキースさんが住んでいるのですよね」
「ペントハウスは三区画に分かれていてな、その2区分を、トロイの正体の人物が購入してたんだよ。つまり、入り口は違うがキースのお隣さんだったんだよ。
それで、これからそこに行ってみようと思うんだ。あの人が居る可能性のある場所だとも思うんだ」
ボクは兄貴の話しに頭がついて行けなかった。
だいたい15ガキが、平然と日本酒を飯食いながら1升も飲むかしら。代謝がいいとかの以前に、それって絶対、飲み慣れているでしょ」
「1升ってなんだ?」
「その日本酒が入っている瓶の容量よ。それ1.8リットルあるのよ。ビールじゃないんだよ」
「えー、水とは言わなけど、これ15度くらいでしょ。ワインよりちょっと高めなくらいじゃない。ジョアンナもそのくらい飲んでるよ」
「飲む、飲む。わたしでも1.5リットルくらいは普通に飲むわよ」
うちは、みんな飲むからな。知能&肉体労働者をなめんなよ。
「あたし、トロイメライの本名と国籍は聞けなかったけど、年齢は聞いたのよ。あたしが当時27で、もうじき30になっちゃうって、滅入ってたら、自分なんか若く見えるけど17で、3年もすれば20で、オバンの仲間入りだって言ってたのよ。
つまり、アンタは今年で20。もう既にババアの仲間入りしてんのよ、アンタがお姉ちゃんと慕っているジョアンナより、3つも年上なのよ。分かった!」
おっと、汚バサン、勝ち誇りに来たよ。でも、何にも負けてないよ。余裕。余裕。
「汚バサン、自分がお肌の曲がり角角してるんで妬いてるんだね。ボクの美しい肌艶に。若い時からお手入れしてないからだよ。
それに、トロイメライはオバンなのにティーンエージャー並みに肌艶がいいの?」
「う、そ、それは・・・・」
「はい、汚バサンの負け。仮にボクがジョアンナより3歳年上だったとして、それが何かの障害になるとでも思ってるの?
元から血はつながってないし、姉妹と言うよりも仲のいい友達なんだよ。汚バサンの友達じゃなくて残念だったけどね。
あ、でも汚バサンってもう30なんだ。社長のザック兄貴より年上なんだね。だったらもっと落ち着かないと。
キースさんも女遊びとかやめて、汚バサンと所帯もったら? もう若ぶれる年じゃないと思うけど」
汚バサンは、キースさんと共に轟沈した。勝った。意外とあっさりだったな。この汚バサンいったい何がしたかったのだろう。
汚バサン以上にキースさんにより効いたみたいだ。もう生気を感じない。今日、ボクと会ったがために、天国から地獄に落ちてしまうとは。ボクって罪だな。でも、汚バサンは、顔を真っ赤にして、涙を流しながら、口を魚のようにパクパクして、まだ、何か言いたげだ。
「トロイメライ、・・・・・・本当にわたしのこと忘れたの?」
汚バサンの言葉がわなわなと震えている。気がどうかなった感じだ。相当にヤバイ雰囲気だ。
「3年前、日本で待ち合わせして、3か月も一緒に旅をしたのに、ひどいよ!
ほんの一か月前まで、週末の度に、あんなに話し込んでたのに。そんなに簡単に忘れられるの?
誰があんたにこんなことしたのよ。わたしの親友を返してよ!」
汚バサンは、床にペタンと尻もちをつく形で、顔をくしゃくしゃにして、鼻水まじりに泣き崩れてしまった。
なんだかとても後味が悪い感じがした。悪いのはこの汚バサン、いやエレナさんなんだけど、なんでここまで執拗にからむのか、ボクは自分のしたことに懺悔の念を覚えた。そこへ、それまで、静観していたザック兄貴が神妙な面持ちで、ボクらの間に入って来た。
「おい、トロイこれはいらなんでも不味いぞ。エレナが悪いかもしれんが、ここは堪えて、謝罪してくれないか」
流石にボクも罪悪感を感じた。「エレナさん、そのごめんなさい」と謝った。
「俺たちは決して、お前のことを放っておいた訳じゃなかったんだが、いくつか探りあてたことがあるんだ。それに、エレナが昔のお前を知ってるってのは、あながち、嘘ともいいがたいんだよ」
「お兄さん、場所をちょっと変えましょうか。もうこの時間ですから、下の応接室へ行きましょう」
ハルさんは、エレナさんを立たせて肩を抱いて、そっと裏口からエレベータで移動した。一緒に来たのは、ザック兄貴とキースさん、そして研究員のサラさんだった。ボクら応接室に入れると、ハルさんは席を外した。これからは関係者だけの会話ということなのだ。
兄貴はハルさんが席を外すときに、ジョアンナを10時までには帰宅させるよう言つけていた。でも、なんでサラさんまで、何かを調査した人ってことなのかな?
「さて、何から話そうか」
兄貴はどこから話を切り出すか模索しているようだ。ボクが記憶するのは、あのゲオルグ・パパと、レイラ・ママと対面した、動く家のコクピットからだった。その前にも何かあった気がするけど、今もはっきりしない。
「まず、トロイを発見したのは、今から四か月くらい前のことだ。連邦保安署から国籍不明機が墜落したので、その事故現場検証をするよう依頼が下りたんだ。
採掘場から10キロ離れたところだったんで、バギーで親父と俺と、レジェンドンの3人で向かったんだ。飛行機は大破していて、墜落で滑空して破損したとは思えない壊れっぷりだった。翼やエンジンの一部は見つかったので、それが飛行機であるこに違いはなかった。
生存者も居た。ざっと10人だったと思う。みな、うちの会社の防護スーツを着用していたので、見た範囲では死亡者は一人も居なかった」
「生存者は居たの? 死んだって言ってなかった?」
以前、聞かされていた話と違っていたので、ボクはそのことがすごく気になった。
「ああ、以前はそう話していたが。まあ、周囲に対するフェイクだ。うちのクルーの中に、スパイがいるとも限らないからな。生存者のことは親父と相談して、しばらく伏せることにしたんだ」
「クルーにはやばい人もいるの?」
「親父のところに来るのも高い賃金が目当てが理由の者は少なからずいる。どこかで何らかのつながりがあったりしてもおかしくないからな。おまえが遭った事故はそのくらい異質だったんだ。用心するに越したことはないって、親父は悟ったんだ」
元兵士のカンというやつなのかな。ゲオルグ・パパは慎重なんだな。
「話ができる人はいたの?」とサラさんは、兄貴の話を進めやすい調子で聞いた。
「胴体が大破するほどのすごい衝撃か、爆発だったので、ほとんどの人が気を失っていた。意識のある人も居たが、とても話ができる状況ではなかったよ。
トロイは飛行機の進行方向に対し、胴体部の箇所から5キロほど先に転がっていた脱出ポッドの中に居た。ヘルメットを被ってうずくまっていた。俺たちは、事故の詳細を連邦保安署に報告して、おまえを引き取って、ポッドも回収した。うちで解析を頼まれたからだ」
「ちゃんとした依頼だったんだ」
「ああ、でも、何か不自然だったんだ。普通、事故物件の解析依頼されることなんかないからね。うちの会社だったら、民間で故障原因調査とかもやってるから、そこに要請されることはあるんだけど。依頼が出たのは親父の会社だからな。親父の会社で俺宛だったんだ。そして、依頼書は正式なものだった」
「いちおう、親父の会社にも業務アドバイザーとして登録はしてある。アドバイサーの域を超えた仕事は家の手伝いにしてだけなんだ」
「仕掛けた側の調査不足か、手違いがあったってことですか?」
サラさんが質問した。なかなかするどい突っ込みだ。ボクもそう思えた。
「たぶんそうなんだろう。この一件に仕掛け人がいるとするなら、彼らは俺らにトロイを回収してもらいたかったんだ」
「なんかミステリーですね。そんなことして何の意味があるんでしょうか」
「で、ここからが本題だ」
兄貴の口調がちょっとだけ神妙になった。
「トロイの事件に合わせるように、バチスカン公国のクーデーター事件があり、トロイがそこの公にされていない第三王女トロイメライであるという情報が出たことだ。
この解析をやったのは、レジェンドンだった。レジェンドンは、うちの会社で雇っている人物で、現在、行方不明中のコベナント博士が5年前に勧誘した人物だ。
うちの開発スーツを親父の職場の職員にモニタさせていることもあって、親父の職場に常駐させている。あそこには彼専用のちょっとした研究したがあって、そこで開発スーツのモニタの解析、メンテの他、協業で採掘の技術アドバイザーもやっている。
コベナント博士には夫人と15の娘がいるとの話を聞かされていた。娘さんは、ネット好きだが家事全般ができて、気立てのいい自慢の娘だそうだが、彼の夫人や娘さんがどこに住んでいて、どんな容姿をしているかは誰も知らない。
コベナント博士は公国の科学者なので、そのプライベート情報の扱いは本人のみとなっているんだ。
そして、エレナのネット友達で、トロイメライと名乗る国籍不明のセレブお嬢様。3年前に、エレナと日本旅行をした人物で、3か月分のすべての旅費を彼女が持ってくれたんだそうだ」
「3か月の海外の旅行代を全部おごってくれたんですか、そこまで仲が良かったんですね!」
サラさんは、エレナさんが楽しい思い出を思い出すよう、うまく兄貴の話に相槌を打ってくれている。聞き上手でできる女性だ。このために兄貴は彼女を呼んだのかな。
「そうよ。彼女はわたしの大の親友なのよ。知り合ったのは今から10年前だったわ。妙に話の合う娘がいてね。日本のアニメにどっぷりはまっていて、とっても詳しかったのよ。作品に対する読みも深くてね。どんな人だろうって想像をかきたてられたわ。
でも、2年くらいして年齢聞いたら12歳っていうのだものびっくりしたわ。ネットだから嘘かなと思っていたけど、ついその2年前はボルダリングの地区チャンピオンだったとかも言ってたのよね。それも嘘だと当時は持ってたわ。世界も狙えるけど体力づくりにやってるし、大会は興味ないからやめちゃたって言ってたわ」
「地区大会のチャンピオンで世界狙える人って結構いますからね。どんなレベルで言っているかや、その時点で容姿が分からないと調べようがないですね。
エレナさん、日本に行くまで、彼女の顔を見たことはあったんですか?」
「バーチャルでは会ってた。暗号化されたプライベート空間では容姿をデフォルメせずに、会ってたわ」
「トロイメライさん以外に、ネットのお友達はいたんですか?」
「いたわよ、レイヤーのファン以外でもそこその仲のいい人は50人はいたわ」
「え、レイヤーって!?」
「サラくん、そこはスルーしてやってくれ、彼女の黒歴史かもしれないから」
エレナさんの現恋人にして、子供を産ませた彼氏。ナイスフォローです。
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「切り出して来たのはトロイメライだったの。これからの人生を一新することを今年始める。その踏ん切り付けに海外旅行するけど、二人で日本旅行しないかって?聞いてきたのよ」
「当時は、契約社員で社長の会社に行ってたけど、たまった休みが3か月以上あったから、仕事も一段落してたから社長の許可をとって休みを取ったわ。
さらに、戻ってきたら正社員に昇格させて、今居る研究所へ転勤だと言われたの。掘っ立て小屋から大都会でしょ。胸躍ったわよ」
「トロイメライさんがつける踏ん切りが何かって聞けました?」
「そこは全然教えてくれなかったけど、今まで会社経営とかやってたけど、それを売却して、今度はもっと躍動的なことをするんだとか言ってた」
「なるほど、会社を売却したんで、相当なお金があったということなんですね。でも、凄いですね。その人、17歳で会社経営って、ザックさんも18歳で起業してますけど、叔父さんの工場を引き継いでますから、違いますものね」
「それがな、実は驚くべきことに、今のうちの合併元の会社の前の前のオーナーだったんだよ。売った後に買ったやつがすぐに経営破綻しちまって、うちが吸収合併したんだ」
「え、と、いうことはここに住んでいる人だったの?」
「そうだ。さらに驚け!あのビルは、いくつかフロアを賃貸してるんだがな」
「屋上のペントハウスにキースさんが住んでいるのですよね」
「ペントハウスは三区画に分かれていてな、その2区分を、トロイの正体の人物が購入してたんだよ。つまり、入り口は違うがキースのお隣さんだったんだよ。
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