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BL短編 単発
穏やかならざる午後
しおりを挟む「なぁ、クラウチってキモくね?中学からああだったの?」
俺は、聞こえた台詞が日本語なのになんで理解できないんだろうと、多分数秒、相手を黙って見返した。
「今時ブタカバンにママチャリとかありえんわ」
そう言う高橋の唇の端は醜く歪んでいた。
「貧乏くさいしとろいしさぁ、走るの死ぬほど遅いしさぁ、ああいう奴のせいで体育祭の予演遅れんの死ぬほど迷惑だわ。腹立つしあいつのカバンゴミ箱にぶっ込んでやろうかな」
そばで聞いていた陸マネがやだぁこわ~いと笑う。それは薄ら寒い賛同の笑い声だった。
高橋の言葉のどこに笑える要素があるのか全くわからない。
高橋は『死ぬほど』って言葉が好きなようだった。死ぬほど死ぬほど繰り返して言うならお前が死ね。その方がせいせいする。…なんて事を面と向かって言えるはずもない。
俺は高橋が好きではなかったから、小中同じだった倉内を援護することにした。
「倉内が走るの遅いのは小さい頃に怪我して膝壊してるからだし、家が貧乏なのは病気の家族がいてそこに金かかるからだ。そういうの知らずに馬鹿にしてるお前らの方が俺は理解できん」
「え!?そうなの!?やだぁ知らなかったぁ。言ってくれれば良いのにぃ。クラウチくんかわいそぉ~」
陸マネがスカートの端を握って身を捩った。
お前に言って何が起きるんだよ、何が変わるんだよと、何かいらっとした。
大仏顔がミニスカを履いて身を捩っても俺はどこが良いのか分からなかった。キモいって言葉はこう言う時に使うんじゃないのか?俺は思ったけれど心の中に留めておいた。
悪口なんて言って良いことは何一つ起きない。死んだ婆ちゃんはよく言っていた。悪口は言った人の耳に一番早く近く届いて中に積もって行くのだと。
俺は、中学は平凡でのどか過ぎてつまんないと思っていたけれど、高校2年の今はおかしな事に小中学校の時は良かったなぁと思うんだ。
小中学校の時も文句を言ったり殴り合いの喧嘩はあった。
あいつ気に食わねーとか言いながら、それでもいつのまにかげらげら笑って肩をたたいたり、給食のプリンに免じて許してやるとかくだらない事で元通りになった。
高校はそうじゃない。
あのちょっとあほみたいなあっけらかんとした爽やかさがない。ここは、なんだろう…うまく言えないけど陰湿だ。
監督は高橋の競争心とか攻撃的な所を見習えというけれど、俺は早く走れるようになりたいけど、性格があんな風にはなりたくない。
高橋の競技中の負けん気の強さはマジで目を見張るものがあるけど、そう云う勝ち気な所をどうして試合以外の方向に向けられないんだろう。テストとか。
高橋と倉内は同じクラスだったっけ。
倉内はいじめらてるんだろうか。
他の誰かを省みることのなかった俺は、少しだけ不安になった。
「倉内はちょっと口下手だけど、頭良いし悪いやつじゃないよ」
小学生の頃俺はチビで、倉内は俺より背が高くて足が早かった。鬼ごっこでなかなか捕まえられなくて泣きそうになった時じゃんけんもせずに鬼を代わってくれた。牛乳をあげたらみかんをくれた。人に褒められるとすぐに照れてうつむいた。
あーだめだ。もっと知っているはずなのに。高校に入ってからの倉内の事を知らなかった。今の倉内について俺は何も言えなかった。
高橋と陸マネのいるこの空間に居づらいなぁと俺は思った。
小学校か中学校のグラウンドに行きたい。勝ち負けじゃなくてただひたすら楽しくてぎゃあぎゃあ笑いながら鬼ごっことかドッジボールとかをやってた頃に戻りたい。
多分なんかそんなことをもやもやと胸の内で思った。
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