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桜の木が綺麗なピンク色の花でいっぱいになり、僕が高校に入学した年に祖母は亡くなった。
父や母、親戚中が涙で顔がグチャグチャになるぐらい泣いている中、祖父だけは涙を流すことなく、眠るように棺桶に入っている祖母を見つめていた。
長年連れ添った夫婦なら涙一つあってもいいのではないかと思うところだが、感情というのは人それぞれで、僕自身も祖父は泣くような人ではないと分かっていたから、これが普通なのだと思った。
祖母は優しい人で、よく小さい頃はいっぱい可愛がってもらって、これから祖母に恩返ししようと思っていたけど、その願いは叶わなく、思い出だけがフラッシュバックし、自然と涙がこぼれていた。
式が全て終わりお別れの時まで祖父は涙を流す事はなくそれどころか外に出て祖母を見送ろうとはしなかった。
僕は、そんな祖父を見て、やっぱり共感は出来なかった。
結局祖父の気持ちは、わからないまま祖母の体は煙となって空へと向かった。
それから何日か経つと、気持ちも落ち着き僕は学校に行くことにした。
学校に着くと、周りは友達のグループが出来ていて楽しそうな会話が教室中に響いていた。
僕はと言うと、席も分からずただただずっと教室の隅で立っているだけだった。
その後すぐチャイムが鳴り先生が教室に入ってきた。
先生「チャイムが鳴ってるぞ、席につけ」
みんなが席につくと、先生はすぐに僕に気づいた
先生「なんだここにいたのか、お母さんには職員室にくるように説明したけどなかなか来ないから今日も休むのかと思ったぞ、それじゃあこっちに来て自己紹介をしてもらおうかな、二人ね」
先生の言葉に驚いてしまったがその後すぐに来た安心感の方が勝っていた。
先生「本当は俺の一言のあと教室に入ってもらい、自己紹介をしてもらおうと思ったが、もういるなら入ってもらおう、おーい、入ってきて」
そう言うと、女子生徒が廊下から教室に入ってきた。
先生「じゃあ先に男子から行こうか、よろしく」
僕は頷き、緊張しながら前を向いて自己紹介を始めた
裕翔「初めまして、櫻井裕翔です、よろしくお願いします。」
クラスのみんなの反応は静かで、これが普通なのだと思った。
先生「はい、よろしくね、じゃあ次お願いします」
そういうと、女子は一歩前に出て自己紹介を始めた。
琉愛「葉月琉愛です、分からない事ばかりなので、いろいろ教えてください。よろしくお願いします。」
琉愛の言葉に何人かの男子はにやけたり、小声で何かを話しているのが聞こえた。
先生「よし!やっとみんな揃ったな、席だが、櫻井は窓際の一番後ろ、葉月は廊下側の一番後ろな!みんな、二人が困った時は、助けてやってくれ、よろしくな!」
クラス全員が返事をする。僕たちはそれぞれの席に向かって着席をした。
授業が始まり、いろいろと分からないことばかりで、昼休みを迎えた。
友達なんかできる気配もなく、教室で弁当を食べずらくて、僕は第二校舎の裏庭のベンチで食事をすることにした。
初めてきたこの場所は、本校舎から離れており誰も人はいなかった。
とても静かで一番落ち着く時間だった。その時、遠くから足音が聞こえ少しずつ近づいてくるのがわかった。
足音の方に目を向けると、今日一緒に自己紹介をした琉愛だった。
琉愛「あれ?もしかして一人?」
裕翔「そうだよ、葉月さんだったっけ?」
琉愛「葉月さんって‥これから友達になるんだから琉愛でいいよ、櫻井君は友達と弁当食べないの?」
裕翔「さすがに登校初日から、友達はなかなか出来なくてね、いろいろグループみたいのは出来てるみたいだけど、その和の中には入れそうにはないよ‥ってかこれから友達になるって言った!?」
琉愛「そっか、じゃあ私と一緒だね、よかったら私もここでお弁当食べてもいい?」
裕翔「人の話聞いてる?まぁ‥僕の隣で良ければ」
そう言うと、彼女はベンチに座った。特に変な意味ではないのだが、彼女が座った時とてもいい匂いがした。これが女子なんだなと、思春期の僕はそう思ってしまった。
僕たちは昼休みの短い時間に話をした。どうでもいい話だ。友達作りのこと、弁当のおかず、授業のこと、いろんな話をしたが何より登校初日でできた友達が女子というのは、ちょっと不思議なものだった。
琉愛「裕翔君になら素の自分で話せそうだよ、楽しい」
裕翔「それは、どうも‥ってか素の自分ってどう言う意味?」
琉愛「僕の友達になってよ、櫻井裕翔君!」
裕翔「僕?女の子だよね?」
琉愛「私の素ってね、僕って言っちゃうの、男の兄弟に囲まれて育って、最初は「俺」だったんだけど、さすがに母親がそれはやめてってことで「僕」になったの。」
裕翔「そうなんだじゃあ、ここではその話し方でいいよ、僕からも改めて、友達になってください。」
こうして、変な形ではあるが僕たちは友達になった。
彼女の事はよく分からないが、この時はこれからゆっくりわかっていけばいいと思っていた…
父や母、親戚中が涙で顔がグチャグチャになるぐらい泣いている中、祖父だけは涙を流すことなく、眠るように棺桶に入っている祖母を見つめていた。
長年連れ添った夫婦なら涙一つあってもいいのではないかと思うところだが、感情というのは人それぞれで、僕自身も祖父は泣くような人ではないと分かっていたから、これが普通なのだと思った。
祖母は優しい人で、よく小さい頃はいっぱい可愛がってもらって、これから祖母に恩返ししようと思っていたけど、その願いは叶わなく、思い出だけがフラッシュバックし、自然と涙がこぼれていた。
式が全て終わりお別れの時まで祖父は涙を流す事はなくそれどころか外に出て祖母を見送ろうとはしなかった。
僕は、そんな祖父を見て、やっぱり共感は出来なかった。
結局祖父の気持ちは、わからないまま祖母の体は煙となって空へと向かった。
それから何日か経つと、気持ちも落ち着き僕は学校に行くことにした。
学校に着くと、周りは友達のグループが出来ていて楽しそうな会話が教室中に響いていた。
僕はと言うと、席も分からずただただずっと教室の隅で立っているだけだった。
その後すぐチャイムが鳴り先生が教室に入ってきた。
先生「チャイムが鳴ってるぞ、席につけ」
みんなが席につくと、先生はすぐに僕に気づいた
先生「なんだここにいたのか、お母さんには職員室にくるように説明したけどなかなか来ないから今日も休むのかと思ったぞ、それじゃあこっちに来て自己紹介をしてもらおうかな、二人ね」
先生の言葉に驚いてしまったがその後すぐに来た安心感の方が勝っていた。
先生「本当は俺の一言のあと教室に入ってもらい、自己紹介をしてもらおうと思ったが、もういるなら入ってもらおう、おーい、入ってきて」
そう言うと、女子生徒が廊下から教室に入ってきた。
先生「じゃあ先に男子から行こうか、よろしく」
僕は頷き、緊張しながら前を向いて自己紹介を始めた
裕翔「初めまして、櫻井裕翔です、よろしくお願いします。」
クラスのみんなの反応は静かで、これが普通なのだと思った。
先生「はい、よろしくね、じゃあ次お願いします」
そういうと、女子は一歩前に出て自己紹介を始めた。
琉愛「葉月琉愛です、分からない事ばかりなので、いろいろ教えてください。よろしくお願いします。」
琉愛の言葉に何人かの男子はにやけたり、小声で何かを話しているのが聞こえた。
先生「よし!やっとみんな揃ったな、席だが、櫻井は窓際の一番後ろ、葉月は廊下側の一番後ろな!みんな、二人が困った時は、助けてやってくれ、よろしくな!」
クラス全員が返事をする。僕たちはそれぞれの席に向かって着席をした。
授業が始まり、いろいろと分からないことばかりで、昼休みを迎えた。
友達なんかできる気配もなく、教室で弁当を食べずらくて、僕は第二校舎の裏庭のベンチで食事をすることにした。
初めてきたこの場所は、本校舎から離れており誰も人はいなかった。
とても静かで一番落ち着く時間だった。その時、遠くから足音が聞こえ少しずつ近づいてくるのがわかった。
足音の方に目を向けると、今日一緒に自己紹介をした琉愛だった。
琉愛「あれ?もしかして一人?」
裕翔「そうだよ、葉月さんだったっけ?」
琉愛「葉月さんって‥これから友達になるんだから琉愛でいいよ、櫻井君は友達と弁当食べないの?」
裕翔「さすがに登校初日から、友達はなかなか出来なくてね、いろいろグループみたいのは出来てるみたいだけど、その和の中には入れそうにはないよ‥ってかこれから友達になるって言った!?」
琉愛「そっか、じゃあ私と一緒だね、よかったら私もここでお弁当食べてもいい?」
裕翔「人の話聞いてる?まぁ‥僕の隣で良ければ」
そう言うと、彼女はベンチに座った。特に変な意味ではないのだが、彼女が座った時とてもいい匂いがした。これが女子なんだなと、思春期の僕はそう思ってしまった。
僕たちは昼休みの短い時間に話をした。どうでもいい話だ。友達作りのこと、弁当のおかず、授業のこと、いろんな話をしたが何より登校初日でできた友達が女子というのは、ちょっと不思議なものだった。
琉愛「裕翔君になら素の自分で話せそうだよ、楽しい」
裕翔「それは、どうも‥ってか素の自分ってどう言う意味?」
琉愛「僕の友達になってよ、櫻井裕翔君!」
裕翔「僕?女の子だよね?」
琉愛「私の素ってね、僕って言っちゃうの、男の兄弟に囲まれて育って、最初は「俺」だったんだけど、さすがに母親がそれはやめてってことで「僕」になったの。」
裕翔「そうなんだじゃあ、ここではその話し方でいいよ、僕からも改めて、友達になってください。」
こうして、変な形ではあるが僕たちは友達になった。
彼女の事はよく分からないが、この時はこれからゆっくりわかっていけばいいと思っていた…
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楽しみにしてめす。
ありがとうございます^o^
頑張って続きを書いていきます^o^