黒子の天使の異世界創造~幼馴染み熾天使はダンジョンマスター~

さんが

文字の大きさ
3 / 53

第3話 ダンジョンの禁忌

しおりを挟む
 勇者タームが放ったペルセウス流星剣は、強烈な閃光と共に地竜の鱗を切り裂き、鮮血が舞い上がったように見えた。

 だが、実際に起こった事とは大きく異なる。黒子天使カシューが勇者ターム憑依し、加減されて放たれた攻撃は竜鱗に掠り傷を付けた程度でしかない。
 舞い上がったように見えた鮮血や、切り裂かれた地竜の皮膚に絶たれた骨。それら全てが、他の黒子天使によって作られた幻影。

「幻影発動」

「幻影発動確認。地竜ミショウを、ダンジョン待機空間に転移します」

「転移確認し次第、ドロップアイテムの転送開始します」

「地竜ミショウの消失確認。ドロップアイテム転送確認。ミッション完了、ミッション完了」

 各部署の黒子天使から、作戦実行の結果報告が次々と届けられる。勇者達は地竜が消滅し、残されたドロップアイテムを見て、地竜との戦いに勝ったと信じ込んでいる。

「おい、レヴィン! 何故カシューの攻撃を加減したんだ。もっと本気の攻撃をせねば、ワシは満足できんぞ。何の為にダンジョンに引っ越してきたと思っとるんだ」

 ミッションの達成報告が続くなかで、最後に苦情の報告が届く。モニターに映し出されたのは、地竜ミショウの不満げな顔。

「加減しなければ、勇者の体が持たん。それに必要以上の傷は、回復魔力の消費が大きすぎる。それくらいは分かってるだろ」

 ダンジョンを運用するに当たり、絶対に破ってはならない禁忌事項がある。

 需要魔力が供給魔力を超えてはならない!

 魔力は、ダンジョンの中の戦闘だけで消費される訳じゃない。ダンジョンの中を映し出しているモニターやパソコン・照明の全てが、ダンジョンの魔力で賄われている。それに転移魔法やドロップアイテムを作るにも、魔力が必要になる。
 それは、勇者だけの戦いではなく、他の冒険者達にも同じことが行われている。ただ、勇者の生命力が最も強く、効果があるというだけの違いでしかない。

 だから熾天使が加護が与えた者には、特別編成された黒子天使のチームにより監視が行われる。いかに勇者にダメージを与え、生命力をダンジョンへと吸収さるか。いかに効率よく、ダンジョンを大きく成長させるか。
 得られる魔力が増しても、それ以上に無駄な魔力を消費し続けては意味がないのだから!

 それでも、モニターに映る地竜ミショウの不機嫌な顔は変わらない。

「ブラックアウトしたらどうなるか分かってるだろ。古代竜だって助からないんだ」

 ブラックアウトとは、需要魔力が供給魔力を超えた時に、ダンジョンに訪れる破滅を云う。魔力の制御が一切コントロール不能となり、暴走した魔力が次々に破壊を引き起こす。大抵の場合はダンジョンマスターの熾天使の死から始まり、ダンジョンが次々と崩壊してゆく。

 今までに崩壊したダンジョンの数は8つ。

「相変わらずケチ臭いヤツじゃ。たまにはお主がワシの相手をしにこい。それならば、今回は我慢してやる」

「ああ、分かったよ。時間がある時にな」

 そして、モニターには再び勇者達の姿が映し出されている。ドロップアイテムは、地竜の魔石もどきの欠片に、数枚の地竜の鱗。
 地竜のブレスによって、勇者達の装備は腐食し使い物にならなくなった。しかし、ドロップアイテム使えば腐食耐性のある武器や防具がつくれる。
 全滅する寸前で悲壮感が漂っていたが、今は笑みさえ浮かべている。次に戦うときは、今よりも勝てる可能性が高くなる。無理ゲーとは思わせない配慮が必要になる。

「先輩の思い通りっすね。調子に乗せず、かといって心も折ってもいけない」

「ああ、これで勇者タームはドラゴンスレイヤーの称号を手に入れたからな。でも勘違いしてもらっては困る。後々俺達が大変になるんだからな。それに」

「ああ、分かってますよ! さっさと勇者の肉体改造を終わらせろって言うんですよね」

「分かってるならイイ。暫くは中層で装備を整える為に資金集めするはずだから、時間は十分にある。上手く行けば久しぶりに休みが取れるって訳だ」

「はいはいっ、さっさと済ませましょう」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

処理中です...