黒子の天使の異世界創造~幼馴染み熾天使はダンジョンマスター~

さんが

文字の大きさ
24 / 53

第24話 ドロップアイテムの掟

しおりを挟む
 ダンジョンは、順調に生命力を吸い取り成長している。冒険者だけでなく、地上の商人達の生命力も吸収し、成長速度は第6ダンジョンよりも遥かに速い。
 まだ4・5階層は瓦礫に埋もれたままにしているが、その下には第6階層の空間が出来つつある。

 だが、成長速度は早くても、ダーマからの竜鱗ドロップの無理難題に応えることは出来ない。

「どうやって、竜鱗をドロップさせるかだな?」

「宝箱じゃダメなんすか?」

「こんな浅い階層の宝箱から竜鱗を出してみろ。他のダンジョンから恨まれるぞ」

 ダンジョンの宝箱にもルールがある。勇者のように谷町のいない冒険者の大半は、ダンジョンで生計を立てている。
 しかし、浅い階層から竜鱗が排出されれば、簡単に財を築けてしまう。そのダンジョンには冒険者が殺到し、ダンジョンに潜ったり深い下層に行く為の努力を怠ってしまう。

「魔物を倒してドロップさせるしかないんっすね」

「ああ、サボってるように見えて、俺も常に考えてるんだ」

「でもドロップにも、ルールがあるんすよねっ」

 今の第13ダンジョンにいる魔物は最弱の魔物の吸血虫のみ。宝箱と同様に、吸血虫に地竜の竜鱗をドロップさせるわけにはいかない。最下位の魔物の吸血虫であれば、それに見合った最下位のドロップアイテムである必要がある。

「だから、吸血虫のドロップアイテムは鉄貨なんだ」

 何十匹倒して、やっとドロップするのが鉄貨一枚。収支が簡単にプラスになってはならない。

「でも、古代の鉄貨は大丈夫なんすか?結構な価値が付くかもしれないっすよ」

「ああ、それは心配してない。あれはレアドロップ扱いだ。価値に合わせてドロップ率を変えるだけでイイ」

「何か、先輩って詐欺師っぽいっすよね」

「それがダンジョン経営ってもんなんだ」

 そしてドロップには他にも問題があり、それは魔物とドロップアイテムとの関係性。火属性の魔物が、水属性のアイテムを落とせばダンジョンは無法地帯になってしまう。
 吸血虫が竜鱗をドロップするには、強さも分類としても全く関係性がない。さらには、通例として1つの魔物がドロップするのは2つから3つまでと決まっている。

「ミショウ、誰かいないのか?新しく出来る6階層辺りで、竜鱗をドロップさせれる魔物が?」

「無理を言うでない。残ってるのは第6ダンジョンでも31階層以降の魔物ばかりだぞ」

 まだ6階層が出来始めたばかりの新設のダンジョン。それに3階層までは最弱の吸血虫しか出現しないのに、急激に魔物のレベルを上げて竜種を出現させるには無理がある。

「ローゼのところも無理だよな」

「ああ、妾も無理だな」

 26階層のモンスター部屋に立て籠っていた魔物は、ローゼに徹底的に鍛えられている。それに、属性としても竜種とは離れた者しかいない。
 古代ダンジョンにも竜鱗を落とすに相応しく、ダンジョンの上層に出現する都合の良い魔物。

「ミショウの知り合いでもイイけど、どこかに居ないのか?」

「俺様の成長した姿を見れば、ここに来たがるヤツは多いが、俺の知り合いは皆竜種だぞ」

「そうなんだよな。竜種なんだよな……。ザキさんの所に相談しに行くか」

「うむっ、ワシは絶対に行かん。行くなら、レヴィンとマリクで行ってくるが良い」

 表情の分かりにくい竜種ではあるが、明らかにミショウの顔は渋い。そして、お調子者のマリクも巻き込まれまいと逃げにかかっている。

「ザキさんて誰なの?何処かに行く必要があるの?それなら、私もついて行くわ」

 それ見たブランシュは、逆に興味を惹かれている。ダンジョンマスターであることの責任感もあるが、それ以上にまだ知らない世界への好奇心が強く表れている。

「ブランシュ様は、あんな偏屈爺に関わらんほうがイイ」

「そうっすよ、偏屈がうつるっす。それに、頑固者っす」

「ミショウもマリクも、諦めろ。あの目になったらブランシュは絶対に無理なんだ」

 ミショウもマリクも拒絶すればする程に、ブランシュの決意を強固させる。

「古代竜の一体だ。地竜のミショウとは格が違う。機嫌が悪ければ、どうなるか分からないし、無事で帰ってこれる保証もないぞ」

「でも、レヴィンは行くんでしょ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

もる
ファンタジー
 剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...