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第25話 古代竜のザキーサ
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この世界の最強種の魔物の一つが竜種。その中でも頂点に君臨するのが8体の古代竜。その内の1体が、ヒケンの森の東にあるゴセキ山脈に棲んでいるザキーサ。
地竜ミショウにとっては、ゴセキの竜種を束ねる長老でもあり、気性の荒い竜種をまとめ従わせることの出来る圧倒的な力を持っている。
「ミショウなんか子供扱いされてるもんな」
「ふん、爺さん相手に本気を出してないだけだ。怪我でもさせたら、後味が悪かろう」
「本気を出す前にぶっ飛ばされたの間違いだろ。何回も暴れて、それでゴセキ山脈を追い出された。そうじじゃなかったか?」
「うるさいっ、ワシには狭すぎる世界だから、飛び出したまでだ」
ゴセキの山で、ダンジョンで働いてくれる魔物をスカウトしていた俺とカシューの前に、突然地竜ミショウを連れて現れたザキーサ。
地竜をボコボコにする圧倒的な力を見せつけられれば、誰だってザキーサの依頼を拒否することなんて出来ない。
その依頼こそが、ミショウをダンジョンで働かせること。
ザキーサとミショウには圧倒的な力の差があるが、竜種が暴れれば棲みかは破壊される。それを嫌ったザキーサは、ダンジョンへと都合良く追い出した。何故かザキーサはダンジョンの知識があり、竜種であってもダンジョンを破壊出来ないことを知っている。
ただ、第6ダンジョンの冒険者レベルではミショウの力は十分に発揮出来ない。50階層に相応しい竜種を演じる必要があり、本気を出して戦う為には100階層以上でなければならない。
しかし、俺やカシューがミショウと対等に渡り合えると力を見抜いてもいた。そして、竜種がいるダンジョンは格が上がり、悪い話ではなかった。それだけではなく、ザキーサの依頼を引き受けたことで魔物のスカウトもしやすくなったのは否定出来ない。
「ザキーサさんには、お世話になってるんでしょ。それなら、余計に私も挨拶しに行かないと」
「まあ、世話にはなってるけど……。でもな、古代竜の機嫌を損ねれば、無事で帰ってこれる保障はないんだぞ」
「レヴィンが、“さん”付けしてるのって珍しいわよ。だから、心配する必要なんて無いわ」
そして、俺の目の前には大量の荷物を抱えたブランシュがいる。
「ブランシュ、これどうするんだ?」
「やっぱり、手土産の1つもいるでしょ。古代竜なら尚更よ」
ブランシュの服装はザ・探検隊で、用意しているのは大量のクッキーの詰め合わせ。
「いや、悪いけどそんな必要はないんだ。転移魔法で簡単に行けるし、そんな量も必要ない」
「転移魔法なのっ?」
ブランシュの顔に落胆の色が浮かぶが、こればっかりはどうしようもない。只でさえ注目を集めてる中で、俺達がゴセキの山に向かえば、必ず他のダンジョンの連中に見つかる。古代竜ザキーサとの繋がりも、俺達のダンジョンの秘密も、知られるわけにはいかない。
「でも、これだけは持ってくわ。やっぱり始めて会うのだし礼節は必要よ」
「まあ、それは止めないけど絶対に驚くなよ!」
転移先の魔方陣は、ゴセキ山の山頂付近にある洞穴の中にある。大きな広間ではあるが、巨大な竜が棲みかとするには小さい。どちらかと云えば、ダンジョンの中の一部屋といった雰囲気がする。
そして部屋の中央にある台座に鎮座しているのが、ゴセキの竜を統べる古代竜ザキーサ。
「もしかして、あれがザキーサさんなの?」
「ああ、そうだ」
そこには、手の平程の大きさの3頭身の竜。地竜ミショウは30mはあるのに対して、あまりにも小さく幼い姿。
無意識にブランシュがクッキーを手に取っている。その匂いにつられてか、ザキーサも小さな翼を羽ばたかせながら、真っ直ぐにブランシュの方へと飛んでくる。
「何だ、食べるのか?」
思わず突っ込んでしまうが、それを無視してザキーサは、クッキーを食べ始める。しばらくは、ブランシュに餌付けされる古代竜という不思議な光景が繰り広げられるが、自分の体以上のクッキーを平らげるとブランシュの顔をしげしげと見つめる。
「サージ……。匂いが違う、それに2対の翼の熾天使」
急に我に返ったのか距離をとると、俺の方を睨み付けてくる。
「レヴィン。この熾天使は誰だ?」
地竜ミショウにとっては、ゴセキの竜種を束ねる長老でもあり、気性の荒い竜種をまとめ従わせることの出来る圧倒的な力を持っている。
「ミショウなんか子供扱いされてるもんな」
「ふん、爺さん相手に本気を出してないだけだ。怪我でもさせたら、後味が悪かろう」
「本気を出す前にぶっ飛ばされたの間違いだろ。何回も暴れて、それでゴセキ山脈を追い出された。そうじじゃなかったか?」
「うるさいっ、ワシには狭すぎる世界だから、飛び出したまでだ」
ゴセキの山で、ダンジョンで働いてくれる魔物をスカウトしていた俺とカシューの前に、突然地竜ミショウを連れて現れたザキーサ。
地竜をボコボコにする圧倒的な力を見せつけられれば、誰だってザキーサの依頼を拒否することなんて出来ない。
その依頼こそが、ミショウをダンジョンで働かせること。
ザキーサとミショウには圧倒的な力の差があるが、竜種が暴れれば棲みかは破壊される。それを嫌ったザキーサは、ダンジョンへと都合良く追い出した。何故かザキーサはダンジョンの知識があり、竜種であってもダンジョンを破壊出来ないことを知っている。
ただ、第6ダンジョンの冒険者レベルではミショウの力は十分に発揮出来ない。50階層に相応しい竜種を演じる必要があり、本気を出して戦う為には100階層以上でなければならない。
しかし、俺やカシューがミショウと対等に渡り合えると力を見抜いてもいた。そして、竜種がいるダンジョンは格が上がり、悪い話ではなかった。それだけではなく、ザキーサの依頼を引き受けたことで魔物のスカウトもしやすくなったのは否定出来ない。
「ザキーサさんには、お世話になってるんでしょ。それなら、余計に私も挨拶しに行かないと」
「まあ、世話にはなってるけど……。でもな、古代竜の機嫌を損ねれば、無事で帰ってこれる保障はないんだぞ」
「レヴィンが、“さん”付けしてるのって珍しいわよ。だから、心配する必要なんて無いわ」
そして、俺の目の前には大量の荷物を抱えたブランシュがいる。
「ブランシュ、これどうするんだ?」
「やっぱり、手土産の1つもいるでしょ。古代竜なら尚更よ」
ブランシュの服装はザ・探検隊で、用意しているのは大量のクッキーの詰め合わせ。
「いや、悪いけどそんな必要はないんだ。転移魔法で簡単に行けるし、そんな量も必要ない」
「転移魔法なのっ?」
ブランシュの顔に落胆の色が浮かぶが、こればっかりはどうしようもない。只でさえ注目を集めてる中で、俺達がゴセキの山に向かえば、必ず他のダンジョンの連中に見つかる。古代竜ザキーサとの繋がりも、俺達のダンジョンの秘密も、知られるわけにはいかない。
「でも、これだけは持ってくわ。やっぱり始めて会うのだし礼節は必要よ」
「まあ、それは止めないけど絶対に驚くなよ!」
転移先の魔方陣は、ゴセキ山の山頂付近にある洞穴の中にある。大きな広間ではあるが、巨大な竜が棲みかとするには小さい。どちらかと云えば、ダンジョンの中の一部屋といった雰囲気がする。
そして部屋の中央にある台座に鎮座しているのが、ゴセキの竜を統べる古代竜ザキーサ。
「もしかして、あれがザキーサさんなの?」
「ああ、そうだ」
そこには、手の平程の大きさの3頭身の竜。地竜ミショウは30mはあるのに対して、あまりにも小さく幼い姿。
無意識にブランシュがクッキーを手に取っている。その匂いにつられてか、ザキーサも小さな翼を羽ばたかせながら、真っ直ぐにブランシュの方へと飛んでくる。
「何だ、食べるのか?」
思わず突っ込んでしまうが、それを無視してザキーサは、クッキーを食べ始める。しばらくは、ブランシュに餌付けされる古代竜という不思議な光景が繰り広げられるが、自分の体以上のクッキーを平らげるとブランシュの顔をしげしげと見つめる。
「サージ……。匂いが違う、それに2対の翼の熾天使」
急に我に返ったのか距離をとると、俺の方を睨み付けてくる。
「レヴィン。この熾天使は誰だ?」
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