黒子の天使の異世界創造~幼馴染み熾天使はダンジョンマスター~

さんが

文字の大きさ
35 / 53

第35話 魅惑の宝箱

しおりを挟む
 ブランシュによってダンジョンの方針が決められた。第13ダンジョンを攻略する魔王の存在のような大義名分は必要なく、冒険者が来たくなるようなダンジョンをつくること。

「マリク、これから忙しくなるぞ」

「何がっすか。慌てなくても、ゆっくり行きましょうよ。監視の目もないんすからね」

「ドロップアイテムだけじゃ、ダンジョンの魅力に欠けるだろ」

「えっ、それって宝箱がっすか?もっと先でもいいっすよ」

 ダンジョンの魅力といえば、魔物のドロップアイテムと、どこからともなく現れる坪や宝箱。
 一度開けて空っぽになった宝箱でも、気付けばまた何か入っている。そんな便利なものが、この世にあるはずがなく、全てが黒子天使の仕業。
 勇者は正義で、魔王は悪という固定観念は熾天使がつくったものだが、ダンジョンは不思議なものという固定観念は黒子天使によってつくられた。

 ご都合主義ともいえるが、簡単な道のりではなかった。長い年月をかけて少しずつ刷り込み、それを当たり前にした、黒子天使の汗と涙の結晶でもある。

「宝箱の中身っすよね。どこまで準備するんすか?まだ、ダンジョンの上層階なら大したものも入れれないっすよね」

「違う。宝箱自体を用意するところから始まるんだ」

「えっ、宝箱からっすか……」

 第6ダンジョンは先人の黒子天使によって、すでに宝箱がつくられていた。だが、第13ダンジョンは新しく出来たダンジョン。誰かが用意しなければならない。

「第6ダンジョンの宝箱を使いまわしたらダメなんすか。十分使えるし、在庫だって十分にありますよ」

 宝箱には種類があり、低ランクのものは木の宝箱。それから、銅・銀・金・白金・虹とランクが上がってゆく。
 一般的には、最初に出現する宝箱は木と銅の宝箱から始まる。20階層毎に宝箱のランクが上がり、60階層の第6ダンジョンは、金の宝箱までが出現し、宝箱自体は白金の宝箱まで準備されている。

「そんなの、ダメに決まってるだろ。ダンジョン毎に宝箱は全て形や模様が違うんだ。第6ダンジョンの宝箱なんて出現させてみろ。ここの存在がバレてしまう」

 宝箱やの柄については、特に決まりはなく各ダンジョンに一任されている。ゼブラ柄やキリン柄といった宝箱もあり、いかに冒険者のテンションを上げさせるかの工夫がある。今では、宝箱自体をコレクションしているマニアも少なからず居て、未開封の宝箱自体が売り買いされている。

「宝箱のデザインから始まるんだ」

「そんなの、やったことないっすよ。それに絵心なんてないっすよ」

「俺だってないさ。でも、一人だけ心当たりがある」

 俺の視線は、ブランシュの肩に止まるザキーサに向く。鉄貨のブランシュに似た熾天使サージを描いたザキーサなら、宝箱についても知っているはず。

「ザキさんっすか?」

 俺とマリクの視線が向けられる前から、ザキーサは俺が何を考えているかを知っている。そして、少しだけ嫌そうに聞いてくる。

「どっちだ。良い方と悪い方がある」

「俺の考えはお見通しだろ、もちろん悪い方だ」

「ふん、時代が変わっても相変わらず、芸術が何かを理解せんやつがおる。どちらも出してやるから、良く見て決めろ」

 アイテムボックスから取り出されたのは、2つの木の宝箱。鉄化と同様に、熾天使サージが掘られた宝箱と、簡略化されたデザインの熾天使が焼き印されて宝箱。

「スゲ~っすよ。これ」

「ああっ、見るまでもない。悪い方の宝箱で決まりだな」

 一番低ランクの量産品の木の宝箱のだが、明らかに芸術性が高すぎる。宝箱の中身よりもも遥かに、宝箱の方が価値がある。

「先輩っ、でもこの宝箱目当てで、冒険者を呼び込めるんじゃないっすか?」

「じゃあ、聞くがな。この宝箱を誰が作るんだ?」

 マリクが、シーマの顔を凝視する。

「残念だけど、僕の担当はマジックアイテムだよ。特殊な仕掛けがないなら、管轄外だね」

「マリク、宝箱目当てに冒険者が殺到してみろ。デスマーチが始まるぞ」

 ザキーサが無駄に能力と魔力を消費してつくった宝箱。それが、ブラックアウトを引き起こした原因の1つなのかもとさえ思えてくる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~

Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。 それでも、組織の理不尽には勝てなかった。 ——そして、使い潰されて死んだ。 目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。 強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、 因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。 武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。 だが、邪魔する上司も腐った組織もない。 今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。 石炭と化学による国力強化。 情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。 準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。 これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、 「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、 滅びの未来を書き換えようとする建国譚。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

勘当された少年と不思議な少女

レイシール
ファンタジー
15歳を迎えた日、ランティスは父親から勘当を言い渡された。 理由は外れスキルを持ってるから… 眼の色が違うだけで気味が悪いと周りから避けられてる少女。 そんな2人が出会って…

処理中です...