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第49話 書き変わった肩書き
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「ザキーサがダンジョンに居るなら、私にも居住権があるはずよ」
ハイエルフのクセして、長期間の森での生活が相当嫌だったのか、それとも食欲に負けたのか詳しくは言わない。
ただダンジョンでの居住権を主張し、強制的に引っ越しが始めようとしている。再び魔方陣が現れ、それが迷いの森全体に広がってゆく。
「ちょっと待て、この森ごと転移するつもりか?」
「ええっ、トレントもドライアドも皆連れていくわよ。元々この子達もダンジョンに居たんだもの」
「……」
ダンジョンで生まれたわけはないだろと言えずに、言葉を飲む。
「まだ、ダンジョンは6階層しかない。いきなり全部を連れていくのは無理だ」
「そうなの、随分と小さくなったのね」
「再生しばかりのダンジョンなんだ。目立つようなことをすれば、他の熾天使達に目を付けられる」
「そう、じゃあ新しく出来る1階層は私が貰うわ。それまで待つわ」
マリアナの一方的な転移魔法の発動は回避出来たが、マリアナだけは俺達に付いてくる。勿論居る場所は、始まりのダンジョンではなく、第6ダンジョンの最下層。
「ここも悪くはないわね。私はここで良いわよ」
右手には珈琲カップ、左手にはクッキーを詰まみ、完全に馴染んでしまっている。ダンジョンで司令官代理をしていたマリクは、完全にマリアナのパシリとなり、ダンジョンの中を駆け回っている。
本来なら、働かざる者食うべからずと言いたいが、力が強すぎて働いてもらっては困る連中が多い。まだ出来たばかりのダンジョンに、分相応とならないヤツばかりが増える事は頭が痛い。
「それで、私に何か用事があったのでしょ?何でも教えてあげるわよ」
そこで、見失いかけていた目的を思い出す。
「タカオの岩峰の黒い霧について知りたいんだ?」
「ああ、あれね。残念だけど、詳しくは知らないのよ。でもね、黒い霧が発生すると堕天使が誕生すると言われているわ」
「堕天使って……」
「熾天使の誰かが、地に堕ちたのよ」
熾天使代理であるブランシュを含めれば、該当する熾天使は12人。ブランシュが堕天する可能性が無いわけではないが、何の異変もなく第6ダンジョンの最下層にいる。
「フジーコか?」
考えられるのは、問題を起こしたダンジョンの熾天使。そして、フジーコは災厄から逃れ生き残っているが、今まで通りが許される程、神々は甘くない。
「マリク、パシリは終わりだ。カーリーのステータスを確認しろ」
「先輩っ、待ってました。何でもやりやすっ」
マリアナのパシリから解放されたマリクが、珍しく意気揚々と仕事をしにくる。
地上にある洋菓子店ブ・ランシュのカーリー。まだ熾天使フジーコが生き残り、第6ダンジョンも崩壊していない。だから、カーリーの肩書きは第6ダンジョン聖女になっていた。その肩書きが消えていれば、熾天使と聖女の関係が解消されたことの証明になる。
モニターに、ブ・ランシュの監視カメラの映像が映される。4人の使い魔を増員したといっても、カーリーは忙しそうに店の中を動き回っている。
「マリク、簡単なステータスだけで良いぞ」
「了解、今鑑定スキルの結果を出すっすよ」
しかし何を勘違いしたかマリクは、モニターにカーリーはプロフィールを表示させる。身長や体重にスリーサイズ、趣味や好きな異性のタイプなどなど。そして、最後に出てきた職業欄には、洋菓子店ブ・ランシュ店長となっている。
「肩書きが変わっているっすよ」
「やっぱりフジーコが堕天使した可能性がある」
しかし、堕天使の誕生も過去の言い伝えでしかなく、それを知っている黒子天使はいない。
「言い伝えでは、次に起こるのは魔物の大量発生……だよな」
「そうね。タカオのダンジョンが崩壊した時は、カボチャ頭の天使を見たわよ」
「あれは、そうじゃったの。五月蝿くてしつこいヤツじゃったな」
マリアナとザキーサの記憶が一致し、再び魔物がヒケンの森に襲来する危険性が高まる。
「それで、どうしたんだ。どうやって回避したんだ」
「竜種にとっては、蚊程度の魔物じゃて」
「迷いの森の中に居たから、知るわけないでしょ」
ハイエルフのクセして、長期間の森での生活が相当嫌だったのか、それとも食欲に負けたのか詳しくは言わない。
ただダンジョンでの居住権を主張し、強制的に引っ越しが始めようとしている。再び魔方陣が現れ、それが迷いの森全体に広がってゆく。
「ちょっと待て、この森ごと転移するつもりか?」
「ええっ、トレントもドライアドも皆連れていくわよ。元々この子達もダンジョンに居たんだもの」
「……」
ダンジョンで生まれたわけはないだろと言えずに、言葉を飲む。
「まだ、ダンジョンは6階層しかない。いきなり全部を連れていくのは無理だ」
「そうなの、随分と小さくなったのね」
「再生しばかりのダンジョンなんだ。目立つようなことをすれば、他の熾天使達に目を付けられる」
「そう、じゃあ新しく出来る1階層は私が貰うわ。それまで待つわ」
マリアナの一方的な転移魔法の発動は回避出来たが、マリアナだけは俺達に付いてくる。勿論居る場所は、始まりのダンジョンではなく、第6ダンジョンの最下層。
「ここも悪くはないわね。私はここで良いわよ」
右手には珈琲カップ、左手にはクッキーを詰まみ、完全に馴染んでしまっている。ダンジョンで司令官代理をしていたマリクは、完全にマリアナのパシリとなり、ダンジョンの中を駆け回っている。
本来なら、働かざる者食うべからずと言いたいが、力が強すぎて働いてもらっては困る連中が多い。まだ出来たばかりのダンジョンに、分相応とならないヤツばかりが増える事は頭が痛い。
「それで、私に何か用事があったのでしょ?何でも教えてあげるわよ」
そこで、見失いかけていた目的を思い出す。
「タカオの岩峰の黒い霧について知りたいんだ?」
「ああ、あれね。残念だけど、詳しくは知らないのよ。でもね、黒い霧が発生すると堕天使が誕生すると言われているわ」
「堕天使って……」
「熾天使の誰かが、地に堕ちたのよ」
熾天使代理であるブランシュを含めれば、該当する熾天使は12人。ブランシュが堕天する可能性が無いわけではないが、何の異変もなく第6ダンジョンの最下層にいる。
「フジーコか?」
考えられるのは、問題を起こしたダンジョンの熾天使。そして、フジーコは災厄から逃れ生き残っているが、今まで通りが許される程、神々は甘くない。
「マリク、パシリは終わりだ。カーリーのステータスを確認しろ」
「先輩っ、待ってました。何でもやりやすっ」
マリアナのパシリから解放されたマリクが、珍しく意気揚々と仕事をしにくる。
地上にある洋菓子店ブ・ランシュのカーリー。まだ熾天使フジーコが生き残り、第6ダンジョンも崩壊していない。だから、カーリーの肩書きは第6ダンジョン聖女になっていた。その肩書きが消えていれば、熾天使と聖女の関係が解消されたことの証明になる。
モニターに、ブ・ランシュの監視カメラの映像が映される。4人の使い魔を増員したといっても、カーリーは忙しそうに店の中を動き回っている。
「マリク、簡単なステータスだけで良いぞ」
「了解、今鑑定スキルの結果を出すっすよ」
しかし何を勘違いしたかマリクは、モニターにカーリーはプロフィールを表示させる。身長や体重にスリーサイズ、趣味や好きな異性のタイプなどなど。そして、最後に出てきた職業欄には、洋菓子店ブ・ランシュ店長となっている。
「肩書きが変わっているっすよ」
「やっぱりフジーコが堕天使した可能性がある」
しかし、堕天使の誕生も過去の言い伝えでしかなく、それを知っている黒子天使はいない。
「言い伝えでは、次に起こるのは魔物の大量発生……だよな」
「そうね。タカオのダンジョンが崩壊した時は、カボチャ頭の天使を見たわよ」
「あれは、そうじゃったの。五月蝿くてしつこいヤツじゃったな」
マリアナとザキーサの記憶が一致し、再び魔物がヒケンの森に襲来する危険性が高まる。
「それで、どうしたんだ。どうやって回避したんだ」
「竜種にとっては、蚊程度の魔物じゃて」
「迷いの森の中に居たから、知るわけないでしょ」
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