精霊のジレンマ【閑話集】

さんが

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1.ご主人様カショウ

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 私はケットシーのクオン。影の精霊で、カショウの一番目の精霊、一番精霊なの!

 今日はご主人様であるカショウについて教えてあげるわ。

 ご主人様は、私と同じで黒髪のヒト族。私も黒髪だからお似合いだと思うの。黒髪は少ないから、きっとこれは運命的なものを感じるの。

 カショウは迷い人で、アシスの住人ではない。そして、精霊と融合した、半ヒト半精霊。どんな精霊と融合したかは、私では分からないわ。ただ、何となくライバル的なものを感じる。

 ただ、ご主人様の影は間違いなく、ご主人様のもの。精霊の影ではない。
 ご主人様の影の中は、明るくて暖かい。私はこんな影を知らない。暗くて少し寒い世界ばかりで、こんな世界は初めてなの。


 ご主人様は、“様”を付けて呼ばれるのを嫌うの。何故だか“ご主人様”も“カショウ様”とも呼ばせてくれない。
 呼んでイイのは、ソースイだけ。精霊はダメで、オニだったらイイみたい。これは皆不満なの。

「差別はダメだ!」

 と口癖のように言っているのに、明らかな差別なの。ご主人様に嫌われたくないから、皆黙ってる。だから、“ご主人様”と呼ぶのは心の中だけよ。

 ご主人様は常に何か考えてるの。ムーアなんかは、“理屈っぽい”とか“細かい”とか言うけど、私はそんなご主人様が好きなの。

 ほとんどの精霊達は何もすることが無い、ただこの世界にあるというだけの存在。
 自由だという精霊も居るけど、私は退屈な生活は嫌だったの。

 そこにご主人様が現れて、手を差し伸べてくれたの♪
 影でしかない私を、いろんな場所に連れ出してくれる。新しく見る景色に風景、種族に獣、魔物。どれを取っても新鮮で、色鮮やか!

 そして役割とかいって仕事をくれたんだけど、これは私にとって生き甲斐なの。
 何かをする事に喜びを感じたのは初めて。そして、たまに私の頭をワシワシッてしてくれる。
 もっとやって欲しいんだけど、私は一番精霊。他の精霊達のお手本にならなきゃいけない。だからワガママは言わないわ!
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