50 / 329
オオザの崖のゴブリン
50.解放
しおりを挟む
ゴブリンキングの王冠や杖、ロードの盾を回収し、階段を登る。
「エトッ、エトッ、エトッ」
ハンソに岩を出させて階段を岩で埋めていく。中から何かが出てくるだけでなく、誰かが中に入るのも防ぎたい。
避けては通れない気がするが、今は少しでも先延ばししたい。
そして崖からの帰り道は楽になった。
「ウィング!」
呪文のように唱える必要はないが、口に出して言ってみると背中から純白の翼が現れる。
回復中のリズとリタの魔力なので、長時間出しっぱなしには出来ないが、ゴブリンキング戦では翼に助けられた。
残念なのは、今ソースイの脇の下に腕を入れて抱えて飛んでいる事。
照れているソースイが少し気持ち悪い。
あまりにも照れているので、行きと同様にマジックシールドで足場を作ってやったが、それは嫌だったらしい。
そして、やっぱりベルがソースイの頭に止まる。私の存在を忘れないでと自己主張するかのように!
崖の下に居たゴブリン達の姿は見えない。クオンの探知にもかからないので、この近くには居ない。異変を感じて逃げたか、ジェネラルが居なくなった事で自由を手に入れたのかもしれない。
統制の取れた行動や動きは見せないだろうが、それでもゴブリンキャプテンの群れは残っている。逆に抑えるものがなく攻撃的になってしまうかもしれない。
今回も予定外で、探索だけのつもりが大きく予定が変わってしまった。
結局、ソーギョクとヤッシの期待通りの動きをしているような気がするが、一応は報告しに戻る。
勿論報酬もあるし今後の事を考えても、お金は必要になるのは間違いない。改めて、ソースイの装備を揃える必要性も考えさせられた。
そして村へ戻る途中で、火オニ族の族長であるソーセキの部隊と、ゴブリンキャプテンの戦いに遭遇する。
ソーセキの横にはソーサが居るので、ソーキのように暴走したわけではない。そして、何故かブクマ達が一緒に居る。
獣達も本能的にゴブリン達の異変を感じたのかもしれない。オニ族をむやみやたらに襲うなとは言ったが、まさか協力してくれるとは思わなかった。
ソーセキとブクマは、ゴブリン達の攻撃を物ともせず、ゴブリンキャプテンに向かって突き進む。
多少の犠牲は出ているが、待つだけでなく前に進むという選択をしたようだ。
まだゴブリンキャプテンは残っているから、それなりの抵抗はあると思うが、そこはオニ族に任せようと思う。
『眉間にシワが寄ってるわよ!』
ムーアが俺の真似をしてくる。
「ゴブリンだけで終わると思うか?」
『それなら尚更、1人だけでは何も出来ないわよ』
「そうだな、ゴブリンでこれだもんな。分からない事も増えたしな!」
ゴブリンの持っている武器の謎。ゴブリンロードも剣と盾を持ってポップアップした。あの凶悪な武器はどうやって出来てくるんだ?
そして魔物も精霊に似ている事が分かった。核が魔力を吸収し身体をつくる。魔石を残して消滅はするが死ぬことはなく核に戻るだけ。
ゴブリンキングから得た嗅覚なら、見えないほどの小さな核を感じ取る事が出来る。
古の滅びた記憶とは何かが分かれば解明できるのかもしれない。
「分からない事も増えたけど、仲間も増えたもんな!」
『そうね、ぼっちの集まりとは思えないくらいね』
クオン、ルーク、メーン、カンテ、ムーア、ブロッサの6人だった精霊が、ベル、リズ、リタ、ハンソ、ダーク、フォリー、マトリが加わって13人。
「大分、魔力消費も増えたかな?」
『あら、残念ね』
そして愕然とした。大分消費量が増えたと感じてたが、ダムの水を耳掻きで掬ってる程度。俺の身体はどうなってんるだ・・・。
焦る、気が急く、それは仕方がない。
だけど、それだけじゃない気がするが。言い表すことの出来ない、これまで俺が生きてきた勘と経験のような感覚が、俺に先に進めと言う。ただ進む為の度胸がないだけ。
勘・経験・度胸なんて言ったら、最悪だよな。だけど、覚悟を決めて口にする。
「とにかく先に進もうと思う。理由はないが、進まなきゃ駄目な気がするんだ!」
『最初から分かってるって言ってるでしょ。あなたが走りすぎたら、私かクオンが止めてあげるわよ!』
「そうだな、じゃあ、次は何処を目指そうか?南の迷いの森か、それとも東のドワーフの国を目指すか?」
影からクオンとブロッサが現れる。
“精霊の核、忘れてる”
「私ノ棲ミカナラ、ヴァンパイアデモ大丈夫ヨ」
「そうだったな、大切な事を忘れてたな。それじゃあ、少し戻るけどブロッサの棲みかに向かうか!」
「エトッ、エトッ、エトッ」
ハンソに岩を出させて階段を岩で埋めていく。中から何かが出てくるだけでなく、誰かが中に入るのも防ぎたい。
避けては通れない気がするが、今は少しでも先延ばししたい。
そして崖からの帰り道は楽になった。
「ウィング!」
呪文のように唱える必要はないが、口に出して言ってみると背中から純白の翼が現れる。
回復中のリズとリタの魔力なので、長時間出しっぱなしには出来ないが、ゴブリンキング戦では翼に助けられた。
残念なのは、今ソースイの脇の下に腕を入れて抱えて飛んでいる事。
照れているソースイが少し気持ち悪い。
あまりにも照れているので、行きと同様にマジックシールドで足場を作ってやったが、それは嫌だったらしい。
そして、やっぱりベルがソースイの頭に止まる。私の存在を忘れないでと自己主張するかのように!
崖の下に居たゴブリン達の姿は見えない。クオンの探知にもかからないので、この近くには居ない。異変を感じて逃げたか、ジェネラルが居なくなった事で自由を手に入れたのかもしれない。
統制の取れた行動や動きは見せないだろうが、それでもゴブリンキャプテンの群れは残っている。逆に抑えるものがなく攻撃的になってしまうかもしれない。
今回も予定外で、探索だけのつもりが大きく予定が変わってしまった。
結局、ソーギョクとヤッシの期待通りの動きをしているような気がするが、一応は報告しに戻る。
勿論報酬もあるし今後の事を考えても、お金は必要になるのは間違いない。改めて、ソースイの装備を揃える必要性も考えさせられた。
そして村へ戻る途中で、火オニ族の族長であるソーセキの部隊と、ゴブリンキャプテンの戦いに遭遇する。
ソーセキの横にはソーサが居るので、ソーキのように暴走したわけではない。そして、何故かブクマ達が一緒に居る。
獣達も本能的にゴブリン達の異変を感じたのかもしれない。オニ族をむやみやたらに襲うなとは言ったが、まさか協力してくれるとは思わなかった。
ソーセキとブクマは、ゴブリン達の攻撃を物ともせず、ゴブリンキャプテンに向かって突き進む。
多少の犠牲は出ているが、待つだけでなく前に進むという選択をしたようだ。
まだゴブリンキャプテンは残っているから、それなりの抵抗はあると思うが、そこはオニ族に任せようと思う。
『眉間にシワが寄ってるわよ!』
ムーアが俺の真似をしてくる。
「ゴブリンだけで終わると思うか?」
『それなら尚更、1人だけでは何も出来ないわよ』
「そうだな、ゴブリンでこれだもんな。分からない事も増えたしな!」
ゴブリンの持っている武器の謎。ゴブリンロードも剣と盾を持ってポップアップした。あの凶悪な武器はどうやって出来てくるんだ?
そして魔物も精霊に似ている事が分かった。核が魔力を吸収し身体をつくる。魔石を残して消滅はするが死ぬことはなく核に戻るだけ。
ゴブリンキングから得た嗅覚なら、見えないほどの小さな核を感じ取る事が出来る。
古の滅びた記憶とは何かが分かれば解明できるのかもしれない。
「分からない事も増えたけど、仲間も増えたもんな!」
『そうね、ぼっちの集まりとは思えないくらいね』
クオン、ルーク、メーン、カンテ、ムーア、ブロッサの6人だった精霊が、ベル、リズ、リタ、ハンソ、ダーク、フォリー、マトリが加わって13人。
「大分、魔力消費も増えたかな?」
『あら、残念ね』
そして愕然とした。大分消費量が増えたと感じてたが、ダムの水を耳掻きで掬ってる程度。俺の身体はどうなってんるだ・・・。
焦る、気が急く、それは仕方がない。
だけど、それだけじゃない気がするが。言い表すことの出来ない、これまで俺が生きてきた勘と経験のような感覚が、俺に先に進めと言う。ただ進む為の度胸がないだけ。
勘・経験・度胸なんて言ったら、最悪だよな。だけど、覚悟を決めて口にする。
「とにかく先に進もうと思う。理由はないが、進まなきゃ駄目な気がするんだ!」
『最初から分かってるって言ってるでしょ。あなたが走りすぎたら、私かクオンが止めてあげるわよ!』
「そうだな、じゃあ、次は何処を目指そうか?南の迷いの森か、それとも東のドワーフの国を目指すか?」
影からクオンとブロッサが現れる。
“精霊の核、忘れてる”
「私ノ棲ミカナラ、ヴァンパイアデモ大丈夫ヨ」
「そうだったな、大切な事を忘れてたな。それじゃあ、少し戻るけどブロッサの棲みかに向かうか!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚…
スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて…
気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。
愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。
生きていればいつかは幼馴染達とまた会える!
愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」
幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。
愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。
はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
ガチャから始まる錬金ライフ
あに
ファンタジー
河地夜人は日雇い労働者だったが、スキルボールを手に入れた翌日にクビになってしまう。
手に入れたスキルボールは『ガチャ』そこから『鑑定』『錬金術』と手に入れて、今までダンジョンの宝箱しか出なかったポーションなどを冒険者御用達の『プライド』に売り、億万長者になっていく。
他にもS級冒険者と出会い、自らもS級に上り詰める。
どんどん仲間も増え、自らはダンジョンには行かず錬金術で飯を食う。
自身の本当のジョブが召喚士だったので、召喚した相棒のテンとまったり、時には冒険し成長していく。
異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音(旧・神木 空)
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)
愛飢男
ファンタジー
最強の攻撃、それ即ち超硬度超質量の物体が超高速で激突する衝撃力である。
ってことは……大型トラックだよね。
21歳大型免許取り立ての久里井戸玲央、彼が仕事を終えて寝て起きたらそこは異世界だった。
勇者として召喚されたがファンタジーな異世界でトラック運転手は伝わらなかったようでやんわりと追放されてしまう。
追放勇者を拾ったのは隣国の聖女、これから久里井戸くんはどうなってしまうのでしょうか?
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる