145 / 329
クオカの洞穴の死霊
145.エルフ族の戦い
しおりを挟む
エルフ族が、光の玉に関心を示した理由が死霊との戦いである事は分かった。ダーク達ヴァンパイアが、日の光がダメであるのと同様に、死霊達も日の光を苦手とするのであれば、効果は大きいのだろう。
しかし異世界から来た俺にとっては、何が精霊で何が魔物なのかは、まだ良く分からない。原初の精霊の魔力によって産み出されたのが精霊で、そうでないものが魔物でしかない。
スケルトンやグール、リッチにレイスがどんな存在なのかは今一分かっていないが、そこはムーアやガーラにお任せになるだろう。
問題は、ダーク達ヴァンパイアは月の光でさえも受け付けないが、死霊は月明かりでは問題なく行動出来てしまう。太陽が沈んだ間は洞穴から出てきて、森を目指して動き始める。
森の中にまで入ってしまえば、森の木々が日の光からを遮ってくれる事を知っているかのようである。
「今のところ死霊の侵入は防げているのか?」
「洞穴から出てきた死霊との戦いなら問題はありません。しかし、それでは地面の陥没を止める事は出来ません。それに洞穴の入り口で戦うとなると、精霊樹を受け止めている根を傷付けてしまいます。」
「という事は、今は洞穴の中に入って戦っているのか?」
「洞穴の奥にいる元凶を止めれば、急速な洞穴の拡大を止めれるでしょう。しかし洞穴に潜っての死霊との戦いは、特にエルフ族にとって不利なものになります」
コアピタンスによれば、困難な理由は3つある。
1つ目は、単純に橋頭堡を築き維持することの難しさ。光の届かない闇の中では、アンデッドの魔物は24時間襲いかかってくる。
魔物達の猛攻に耐えつつ橋頭堡を維持し、先に進むための食料や道具を揃えなければならないが、洞穴の入口付近にはそれだけの空間はない。
洞穴の拡大を止める為に、洞穴の中で穴を掘る。そんな矛盾が起こっている。
2つ目は、エルフ族の適正の悪さ。風属性や水属性の精霊と相性の良いエルフ族にとって、地下での戦いは不利になる。風や水がない場所でも精霊を召喚する事は出来るが、力を発揮させるには倍以上の魔力が必要となる。
3つ目は、食料備蓄の少なさ。エルフ族は農耕ではなく狩猟採集社会になる。広大な森のからの恩恵は大きいが、エルフ達は必要以上に採集をする事をしない。それにはエルフ族の住むクオカが、これまで侵攻された事がないというのも影響している。
「光の玉があれば、2つの問題は解消出来るのか」
ローブの中から光る玉を取り出すと、それを見たコアピタンスは黙って頷く。
光の玉は、弱いアンデッドなら近付けなくなる。それに、光の精霊も召喚しやすくなり魔力消費も抑える事が出来る。
「それだけではありません。損耗率が改善されれば、その分が食料確保の人員増に繋がります。現状のままでは、持ちこたえられるのは···長くて1ヶ月くらいでしょう」
予想以上に持ちこたえれる時間は短い。現状のまま時間を過ぎるのを待つだけではないだろうし、まだ他にも手はあるのかもしれない。それでも光の玉以上に、有効な手段はないように思える。
「光の玉があればどうなる?」
「それは、やってみなければ分かりません。まだ把握出来ているのは、洞穴の入口と時折現れるゴブリンロードだけですから」
「怪我をして魔力が尽きていたエルフ達は、洞穴から戻ったエルフなのか?」
「皆、ゴブリンロードと戦って傷付いた者達ばかりです」
オオザの崖のゴブリンロード。ゴブリンキングが復活させようとしたが、俺達が邪魔したことで不完全な状態となり、闇の中に消えてしまったゴブリンロード。ここに現れたゴブリンは、オオザの崖のゴブリンロードで間違いないだろう。
あの時に止める事は出来なかったし、ただ逃げて行く背中を見守ることしか出来なかった。
「怪我を全ては治さないんだな」
「傷付いた身体を完全回復させても、魔力が枯渇した状態ではまともに動くことは出来ません。枯渇した魔力をマジックポーションで強制的に回復させのは命を消耗させます。それに無理して動こうとする者は必ず出てくるので、やむを得ない処置です。それに、マジックポーションにも限りもありますし」
「森にはユニコーンのような薬の精霊も居るんじゃないか?」
「高慢で気難しい精霊が素直に協力はしてくれないでしょう。それは混乱を起こすだけでしかありません」
「今なら大丈夫だと思うぞ」
しかし異世界から来た俺にとっては、何が精霊で何が魔物なのかは、まだ良く分からない。原初の精霊の魔力によって産み出されたのが精霊で、そうでないものが魔物でしかない。
スケルトンやグール、リッチにレイスがどんな存在なのかは今一分かっていないが、そこはムーアやガーラにお任せになるだろう。
問題は、ダーク達ヴァンパイアは月の光でさえも受け付けないが、死霊は月明かりでは問題なく行動出来てしまう。太陽が沈んだ間は洞穴から出てきて、森を目指して動き始める。
森の中にまで入ってしまえば、森の木々が日の光からを遮ってくれる事を知っているかのようである。
「今のところ死霊の侵入は防げているのか?」
「洞穴から出てきた死霊との戦いなら問題はありません。しかし、それでは地面の陥没を止める事は出来ません。それに洞穴の入り口で戦うとなると、精霊樹を受け止めている根を傷付けてしまいます。」
「という事は、今は洞穴の中に入って戦っているのか?」
「洞穴の奥にいる元凶を止めれば、急速な洞穴の拡大を止めれるでしょう。しかし洞穴に潜っての死霊との戦いは、特にエルフ族にとって不利なものになります」
コアピタンスによれば、困難な理由は3つある。
1つ目は、単純に橋頭堡を築き維持することの難しさ。光の届かない闇の中では、アンデッドの魔物は24時間襲いかかってくる。
魔物達の猛攻に耐えつつ橋頭堡を維持し、先に進むための食料や道具を揃えなければならないが、洞穴の入口付近にはそれだけの空間はない。
洞穴の拡大を止める為に、洞穴の中で穴を掘る。そんな矛盾が起こっている。
2つ目は、エルフ族の適正の悪さ。風属性や水属性の精霊と相性の良いエルフ族にとって、地下での戦いは不利になる。風や水がない場所でも精霊を召喚する事は出来るが、力を発揮させるには倍以上の魔力が必要となる。
3つ目は、食料備蓄の少なさ。エルフ族は農耕ではなく狩猟採集社会になる。広大な森のからの恩恵は大きいが、エルフ達は必要以上に採集をする事をしない。それにはエルフ族の住むクオカが、これまで侵攻された事がないというのも影響している。
「光の玉があれば、2つの問題は解消出来るのか」
ローブの中から光る玉を取り出すと、それを見たコアピタンスは黙って頷く。
光の玉は、弱いアンデッドなら近付けなくなる。それに、光の精霊も召喚しやすくなり魔力消費も抑える事が出来る。
「それだけではありません。損耗率が改善されれば、その分が食料確保の人員増に繋がります。現状のままでは、持ちこたえられるのは···長くて1ヶ月くらいでしょう」
予想以上に持ちこたえれる時間は短い。現状のまま時間を過ぎるのを待つだけではないだろうし、まだ他にも手はあるのかもしれない。それでも光の玉以上に、有効な手段はないように思える。
「光の玉があればどうなる?」
「それは、やってみなければ分かりません。まだ把握出来ているのは、洞穴の入口と時折現れるゴブリンロードだけですから」
「怪我をして魔力が尽きていたエルフ達は、洞穴から戻ったエルフなのか?」
「皆、ゴブリンロードと戦って傷付いた者達ばかりです」
オオザの崖のゴブリンロード。ゴブリンキングが復活させようとしたが、俺達が邪魔したことで不完全な状態となり、闇の中に消えてしまったゴブリンロード。ここに現れたゴブリンは、オオザの崖のゴブリンロードで間違いないだろう。
あの時に止める事は出来なかったし、ただ逃げて行く背中を見守ることしか出来なかった。
「怪我を全ては治さないんだな」
「傷付いた身体を完全回復させても、魔力が枯渇した状態ではまともに動くことは出来ません。枯渇した魔力をマジックポーションで強制的に回復させのは命を消耗させます。それに無理して動こうとする者は必ず出てくるので、やむを得ない処置です。それに、マジックポーションにも限りもありますし」
「森にはユニコーンのような薬の精霊も居るんじゃないか?」
「高慢で気難しい精霊が素直に協力はしてくれないでしょう。それは混乱を起こすだけでしかありません」
「今なら大丈夫だと思うぞ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
悪魔になったらするべきこと?
ファウスト
ファンタジー
剣と魔法の世界。そこで魔法を教える学校に通う主人公ルナ・フラウステッドは魔法使いに憧れてる女の子。次の進級で実技に行く段階になった彼女だったがどうしてか魔法を上手く使えない落第生となってしまった。そんな時、偶然にも雇われた家庭教師の先生が言う方法に運命を任せたところ・・・。
「悪魔になっちゃった!?」
悪魔に変化!だけでも中身はそのままの彼女の運命やいかに!
彼女を狙う影、彼女の体の行く末、それを見守る保護者たち。
彼女はいったいどうなってしまうのだろうか。
これは悪党から両親と自分の将来を守るために悪魔になった少女がその身の上と体の特殊さから
様々な騒動に巻き込まれるお話である。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)
愛飢男
ファンタジー
最強の攻撃、それ即ち超硬度超質量の物体が超高速で激突する衝撃力である。
ってことは……大型トラックだよね。
21歳大型免許取り立ての久里井戸玲央、彼が仕事を終えて寝て起きたらそこは異世界だった。
勇者として召喚されたがファンタジーな異世界でトラック運転手は伝わらなかったようでやんわりと追放されてしまう。
追放勇者を拾ったのは隣国の聖女、これから久里井戸くんはどうなってしまうのでしょうか?
異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音(旧・神木 空)
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる