168 / 329
クオカの洞穴の死霊
168.代理契約
しおりを挟む
「なあ、ムーア。代理契約者って可能なのか?」
『代理契約って、カショウはどういう事をしたいの?』
「ハンソの事は、ソースイが一番良く理解している。それなら、召喚する権限をソースイに与える事は出来るのか?」
『カショウは、その代理契約に何を望むの?』
「契約する精霊が増えても、俺一人じゃ限界がある。全ての精霊がムーアやナレッジみたいに、判断して行動出来るわけじゃない。それに、俺よりもソースイの方がハンソの事を理解している。それなら、ソースイにハンソを任せた方が良いような気がするんだ」
『カショウが望む代理契約なら出来ないことはないわ。ソースイもカショウとは契約している訳だから、ソースイとハンソは同格の存在。後は2人の問題になるけど、すでに主従関係みたいな繋がりが出来ているわ』
「つまり、可能って事だな」
『だけど問題を引き起こすリスクは大きいとしか言えないわ。カショウとソースイの指示が同時だったらどうするの?ソースイの指示がカショウの思った通りじゃなかったらどうする?』
「それは簡単だ。常にソースイが優先に決まっている。ソースイ以上にハンソと意志疎通出来ないんだから、ソースイが優先になるだろ。それで結果が上手くいかないなら、俺の責任でしかない」
『それともう1つ。カショウは、他の精霊にも同じ事を望むの?』
「今はハンソ以外には考えてない。俺が指示しなくても、精霊達同士で上手くやってくれてるだろう。だけど今後ハンソみたいな精霊が出てきたり、それを望む精霊がいれば考えるかもしれない。だけど無理矢理にも代理契約するつもりはないぞ」
『それなら、他の精霊達も安心すると思うわ。カショウならそんな事はしないと分かっていても、これは聞いておかなければならないから』
「そういう事なら代理契契約の狙いは違うんだ。俺だけじゃなくて、ソースイやホーソン、チェンと相性の良い精霊もいるだろう。俺が魔力を供給する事で、そんな精霊とも契約出来るなら悪くはない事だと思う」
『そういう事ね分かったわ。それなら、早くソースイとハンソで代理契約を結びましょう。そこから新しく見えてくる事もあるわ。だけど、まずは2人に説明してからね』
「それなら、全員に話をした方がイイだろうな」
代理契約の話をする為に全員を集めるが、まずはソースイとハンソになる。
「そんな、私なんかで宜しいのでしょうか?責任が重すぎます」
今までは従者の一人でしかなかったが、代理契約すれば精霊使いになる。ハンソとはいえ精霊を任され、その責任は明らかに大きくなる。
カショウから認められた事による嬉しさはある。しかし自分一人の失敗ではなくハンソへの責任も負う事になる。これまでに感じたことのないプレッシャー。これまでも失敗はしてきたが、これからは自分一人の責任という気楽さはない。
「そんな、気負わなくて大丈夫だ。あくまでもハンソを召喚する権限があるだけで、責任は俺にあるんだから」
『あくまでも代理召喚の契約よ。ダメだと判断されれば、その時点で権限はなくなるから安心しなさい』
「ムーアは厳しいな」
『そこは、ハッキリしておかないと』
「ということだ、ソースイ。あまり深く考えないで、まずやってみたらどうだ。上手く行けばイロイロと出来る事も増える。現状でもハンソと一緒なら、ソースイも都合が良いだろう」
「確かに、そうですが···」
「それなら問題ないだろ。ハンソはどうなんだ」
「ントッ、ントッ、ントッ」
相変わらず、“ントッ”か“エトッ”を繰り返すハンソ。俺達には同じにしか聞こえないが、ソースイには僅かな発音やイントネーション、長さで違いが分かる。
「ソースイ、これは何て言ってるんだ?」
「ああ、これは問題ないって意味です」
「ントッって3回繰り返してるけど、問題ないって言ってるのか?」
問題ないなら、1回の“ントッ”で済むはずだが、何故か3回繰り返される“ントッ”は不思議になる。問題ないといっても、渋々なのか是非ともなのかで意味合いは大きく変わる。
「1回目のントッが、こき使われるのが嫌。2回目のントッが楽な方がイイ。3回目のントッが契約問題ないと言ってます」
「エトッ、エトッ、エトッ、エトッ」
明らかに慌てふためくハンソ。
「これは俺にだって分かるよ。図星だな」
『代理契約って、カショウはどういう事をしたいの?』
「ハンソの事は、ソースイが一番良く理解している。それなら、召喚する権限をソースイに与える事は出来るのか?」
『カショウは、その代理契約に何を望むの?』
「契約する精霊が増えても、俺一人じゃ限界がある。全ての精霊がムーアやナレッジみたいに、判断して行動出来るわけじゃない。それに、俺よりもソースイの方がハンソの事を理解している。それなら、ソースイにハンソを任せた方が良いような気がするんだ」
『カショウが望む代理契約なら出来ないことはないわ。ソースイもカショウとは契約している訳だから、ソースイとハンソは同格の存在。後は2人の問題になるけど、すでに主従関係みたいな繋がりが出来ているわ』
「つまり、可能って事だな」
『だけど問題を引き起こすリスクは大きいとしか言えないわ。カショウとソースイの指示が同時だったらどうするの?ソースイの指示がカショウの思った通りじゃなかったらどうする?』
「それは簡単だ。常にソースイが優先に決まっている。ソースイ以上にハンソと意志疎通出来ないんだから、ソースイが優先になるだろ。それで結果が上手くいかないなら、俺の責任でしかない」
『それともう1つ。カショウは、他の精霊にも同じ事を望むの?』
「今はハンソ以外には考えてない。俺が指示しなくても、精霊達同士で上手くやってくれてるだろう。だけど今後ハンソみたいな精霊が出てきたり、それを望む精霊がいれば考えるかもしれない。だけど無理矢理にも代理契約するつもりはないぞ」
『それなら、他の精霊達も安心すると思うわ。カショウならそんな事はしないと分かっていても、これは聞いておかなければならないから』
「そういう事なら代理契契約の狙いは違うんだ。俺だけじゃなくて、ソースイやホーソン、チェンと相性の良い精霊もいるだろう。俺が魔力を供給する事で、そんな精霊とも契約出来るなら悪くはない事だと思う」
『そういう事ね分かったわ。それなら、早くソースイとハンソで代理契約を結びましょう。そこから新しく見えてくる事もあるわ。だけど、まずは2人に説明してからね』
「それなら、全員に話をした方がイイだろうな」
代理契約の話をする為に全員を集めるが、まずはソースイとハンソになる。
「そんな、私なんかで宜しいのでしょうか?責任が重すぎます」
今までは従者の一人でしかなかったが、代理契約すれば精霊使いになる。ハンソとはいえ精霊を任され、その責任は明らかに大きくなる。
カショウから認められた事による嬉しさはある。しかし自分一人の失敗ではなくハンソへの責任も負う事になる。これまでに感じたことのないプレッシャー。これまでも失敗はしてきたが、これからは自分一人の責任という気楽さはない。
「そんな、気負わなくて大丈夫だ。あくまでもハンソを召喚する権限があるだけで、責任は俺にあるんだから」
『あくまでも代理召喚の契約よ。ダメだと判断されれば、その時点で権限はなくなるから安心しなさい』
「ムーアは厳しいな」
『そこは、ハッキリしておかないと』
「ということだ、ソースイ。あまり深く考えないで、まずやってみたらどうだ。上手く行けばイロイロと出来る事も増える。現状でもハンソと一緒なら、ソースイも都合が良いだろう」
「確かに、そうですが···」
「それなら問題ないだろ。ハンソはどうなんだ」
「ントッ、ントッ、ントッ」
相変わらず、“ントッ”か“エトッ”を繰り返すハンソ。俺達には同じにしか聞こえないが、ソースイには僅かな発音やイントネーション、長さで違いが分かる。
「ソースイ、これは何て言ってるんだ?」
「ああ、これは問題ないって意味です」
「ントッって3回繰り返してるけど、問題ないって言ってるのか?」
問題ないなら、1回の“ントッ”で済むはずだが、何故か3回繰り返される“ントッ”は不思議になる。問題ないといっても、渋々なのか是非ともなのかで意味合いは大きく変わる。
「1回目のントッが、こき使われるのが嫌。2回目のントッが楽な方がイイ。3回目のントッが契約問題ないと言ってます」
「エトッ、エトッ、エトッ、エトッ」
明らかに慌てふためくハンソ。
「これは俺にだって分かるよ。図星だな」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)
愛飢男
ファンタジー
最強の攻撃、それ即ち超硬度超質量の物体が超高速で激突する衝撃力である。
ってことは……大型トラックだよね。
21歳大型免許取り立ての久里井戸玲央、彼が仕事を終えて寝て起きたらそこは異世界だった。
勇者として召喚されたがファンタジーな異世界でトラック運転手は伝わらなかったようでやんわりと追放されてしまう。
追放勇者を拾ったのは隣国の聖女、これから久里井戸くんはどうなってしまうのでしょうか?
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜
あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい!
ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット”
ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで?
異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。
チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。
「────さてと、今日は何を読もうかな」
これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。
◆小説家になろう様にて、先行公開中◆
◆恋愛要素は、ありません◆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる