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オヤの街のハーフリングとオーク
235.魔石の誘惑
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『あんなに嫌がってたのに、急にどうしたの?本当にスキルを強化しても大丈夫なの?』
「少し悩むけど、コピーの守護者の魔法吸収スキルなら強化してもイイかもしれない」
魔法吸収スキルならば、様々な可能性を秘めている。2種類の異なる魔法を同時に行使したり、体内に吸収した魔法は切り札にも出来る。ただ、下位魔法であれば驚異とはならないし、最低でも中位魔法くらいまでは吸収出来ないと期待出来ない。
しかし守護者から吸収した魔法吸収スキルでは、今のところ下位魔法しか吸収出来ない。
『もしかして、ドーピングしようとしていない?』
そう言うと、ムーアは俺の顔をまじまじと見つめてくる。コピーされたスキルであっても熟練度を上げさえすれば、上位魔法でも吸収出来るかもしれない。ましてや、拒絶反応のない召喚精霊の魔法を吸収するのだから、余計にコピーされた守護者のスキルでも十分であるはず。
ただ、魔法吸収スキルを上げるには繰り返しの反復練習しかなく、顔面に魔法を受け続けるとういう拷問に耐えなければならない。
『図星みたいね!聴覚スキルが無くても、あなたの心の声は面白いくらいに聞こえるわよ』
ムーアにあっさりと見抜かれてしまうが、他にも守護者がいると聞けば考えも変わってしまう。他の守護者の魔法吸収スキルを取り込んでやれば、簡単に熟練度を上げてやれるかもしれない。
「分かりやすくて悪かったな。だけど仕方ないだろ。まさか守護者が複数いるなんて思わない!」
『まあ、ダメでも安心して。熟練度上げなら、私達に任せておいて。それでダメなら、オリジナルも狙うわよ』
「だから、ダメなんだよ!オリジナルの魔法吸収スキルなんて吸収したら、絶対に上位魔法を試すだろ。その誘惑に絶対に我慢出来ないだろ」
『···』
「その沈黙は、肯定で合ってるよな。俺だって、聴覚スキルを使わなくてもそれくらいは分かるぞ!」
『そんな事はないわよ、きっと!いや、多分ね?』
そして追い込まれたムーアが、急に気付いたように話を変えてくる。
『でも、大丈夫なの?守護者の魔石とライの情報を交換するんでしょ』
「別に、両方の魔石を吸収するわけじゃないからな。あくまでもロードの魔法吸収スキルだけを強化して、キングの聴覚スキルは吸収しない。最上位のキングの魔石を渡せば大丈夫だろ」
『だけど相手は、ズル賢いハーフリング族よ。その中でも領主を務めるケイヌだから、足元をすくわれる可能性もあるわよ』
「ケチを付けられれば、交渉決裂でも構わないさ。どうせ、相手からは正確なライの情報は出てこないんだし、少なくてもケイヌとライが繋がってる事が分かっただけでも、すでに俺達の収穫じゃないか?」
『確かにそうだけど。それなら何故、わざわざ魔石とライの情報を交換しようとするの?』
「俺達はライが関係した一連の出来事を尽く潰してきている。ライにどんな理由があるかは分からないけど、相反する存在で快くは思っていない。だけどケイヌが欲しがっている魔石を俺達は手に入れる事が出来る。その時に、ケイヌはどうするだろな?」
影の中から、オルキャンの造った光る短剣を取り出す。最初は長剣だったが、今は真っ二つに折れて短剣に姿を変えている。
『その光るだけの短剣が、関係するの?効果があるのは死霊だけでしょ?』
「もし、俺がこの短剣で守護者を倒したように見えたら、ケイヌはどうすると思う?俺達がいなくても、この短剣があれば守護者を簡単に倒す事が出来る。そうなれば増殖する守護者を倒し続け、上位種の魔石は手に入り続ける。ハーフリング族の中でも存在感を増すだろうな」
『ケイヌならどうやっても、手に入れようとするでしょうね···。まさか、襲って来て欲しいの?』
「それはケイヌ次第だろ。こっちが、美味しそうにみえる餌を撒くだけ。派手に喰いついては欲しいけどな」
『だけど、簡単に倒せると思わせなければダメでしょ』
恐らく、俺達の事は調べられている。商人としての情報網を駆使して、タカオやフタガでの事までもが調べられているだろう。ハーピーを倒した力や、ハーピーロードの黒翼がある事も調べられているだろうが、知られていない力も多い。
しかし今回は簡単な方法で、守護者を倒したように見せなければならない。
「ケイヌ達でも倒せると思わせるようにな」
「少し悩むけど、コピーの守護者の魔法吸収スキルなら強化してもイイかもしれない」
魔法吸収スキルならば、様々な可能性を秘めている。2種類の異なる魔法を同時に行使したり、体内に吸収した魔法は切り札にも出来る。ただ、下位魔法であれば驚異とはならないし、最低でも中位魔法くらいまでは吸収出来ないと期待出来ない。
しかし守護者から吸収した魔法吸収スキルでは、今のところ下位魔法しか吸収出来ない。
『もしかして、ドーピングしようとしていない?』
そう言うと、ムーアは俺の顔をまじまじと見つめてくる。コピーされたスキルであっても熟練度を上げさえすれば、上位魔法でも吸収出来るかもしれない。ましてや、拒絶反応のない召喚精霊の魔法を吸収するのだから、余計にコピーされた守護者のスキルでも十分であるはず。
ただ、魔法吸収スキルを上げるには繰り返しの反復練習しかなく、顔面に魔法を受け続けるとういう拷問に耐えなければならない。
『図星みたいね!聴覚スキルが無くても、あなたの心の声は面白いくらいに聞こえるわよ』
ムーアにあっさりと見抜かれてしまうが、他にも守護者がいると聞けば考えも変わってしまう。他の守護者の魔法吸収スキルを取り込んでやれば、簡単に熟練度を上げてやれるかもしれない。
「分かりやすくて悪かったな。だけど仕方ないだろ。まさか守護者が複数いるなんて思わない!」
『まあ、ダメでも安心して。熟練度上げなら、私達に任せておいて。それでダメなら、オリジナルも狙うわよ』
「だから、ダメなんだよ!オリジナルの魔法吸収スキルなんて吸収したら、絶対に上位魔法を試すだろ。その誘惑に絶対に我慢出来ないだろ」
『···』
「その沈黙は、肯定で合ってるよな。俺だって、聴覚スキルを使わなくてもそれくらいは分かるぞ!」
『そんな事はないわよ、きっと!いや、多分ね?』
そして追い込まれたムーアが、急に気付いたように話を変えてくる。
『でも、大丈夫なの?守護者の魔石とライの情報を交換するんでしょ』
「別に、両方の魔石を吸収するわけじゃないからな。あくまでもロードの魔法吸収スキルだけを強化して、キングの聴覚スキルは吸収しない。最上位のキングの魔石を渡せば大丈夫だろ」
『だけど相手は、ズル賢いハーフリング族よ。その中でも領主を務めるケイヌだから、足元をすくわれる可能性もあるわよ』
「ケチを付けられれば、交渉決裂でも構わないさ。どうせ、相手からは正確なライの情報は出てこないんだし、少なくてもケイヌとライが繋がってる事が分かっただけでも、すでに俺達の収穫じゃないか?」
『確かにそうだけど。それなら何故、わざわざ魔石とライの情報を交換しようとするの?』
「俺達はライが関係した一連の出来事を尽く潰してきている。ライにどんな理由があるかは分からないけど、相反する存在で快くは思っていない。だけどケイヌが欲しがっている魔石を俺達は手に入れる事が出来る。その時に、ケイヌはどうするだろな?」
影の中から、オルキャンの造った光る短剣を取り出す。最初は長剣だったが、今は真っ二つに折れて短剣に姿を変えている。
『その光るだけの短剣が、関係するの?効果があるのは死霊だけでしょ?』
「もし、俺がこの短剣で守護者を倒したように見えたら、ケイヌはどうすると思う?俺達がいなくても、この短剣があれば守護者を簡単に倒す事が出来る。そうなれば増殖する守護者を倒し続け、上位種の魔石は手に入り続ける。ハーフリング族の中でも存在感を増すだろうな」
『ケイヌならどうやっても、手に入れようとするでしょうね···。まさか、襲って来て欲しいの?』
「それはケイヌ次第だろ。こっちが、美味しそうにみえる餌を撒くだけ。派手に喰いついては欲しいけどな」
『だけど、簡単に倒せると思わせなければダメでしょ』
恐らく、俺達の事は調べられている。商人としての情報網を駆使して、タカオやフタガでの事までもが調べられているだろう。ハーピーを倒した力や、ハーピーロードの黒翼がある事も調べられているだろうが、知られていない力も多い。
しかし今回は簡単な方法で、守護者を倒したように見せなければならない。
「ケイヌ達でも倒せると思わせるようにな」
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