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オヤの街のハーフリングとオーク
258.指輪の秘密
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ムーアに言われて、もう一度ゆっくりと指輪を嵌めて見る。
「『やっぱり』」
ムーアもブロッサも、口を揃えて納得の表情を見せる。
「何が、やっぱりなんだ?」
『指輪を嵌めると、あなたの魔力が感じ難くなるのよ』
「何だって!」
それは、衝撃的な話になる。精霊と召喚契約する為には、相性と魔力が必要になる。
中位や上位精霊は、契約者に協力して良いと思わせるだけの理由や相性が必要になるが、下位精霊は魔力が多いだけでも十分に召喚契約に値する理由になる。言い換えれば、魔力量が多ければ精霊と出会う機会は増え、召喚契約出来る可能性が高いということになる。
だが、魔力そのものを感じられないとなれば、下位精霊とすら契約出来ない。
「だから、俺の前に精霊達は姿を現さないのか!」
『何らかの阻害効果があるのは間違いないわね。ハッキリとは言えないけど下位の精霊だと、あなたの存在すら気付けない可能性もあるわ。私が魔力探知スキルを持っているわけじゃないから、正確なことは言えないけどね』
精霊は魔力を糧とする為、自然と魔力の濃い方へと引き寄せられる。ムーアやブロッサが感じとったのも本能や感覚的なもので、魔力探知スキルを行使したものではない。
何度か指輪を着け外ししながら、自身に魔力探知スキルを使ってみる。しかし直接体内の魔力を探知するのだから、指輪の阻害効果の影響を受けるはずがない。
「ダメだな、全く分からない。それに俺が秘めている魔力も膨大すぎて、違いがあっても差が分かりそうもない」
『本人じゃなくてイッショなら、魔力探知スキルで違いが分かるんじゃないの?』
「カショウに出来なくても、俺様には出来るぞ。何故なら、俺様に不可能はないからな!」
そして呼んでもないのに、豆柴のイッショが出てくる。俺の魔力探知スキルは、イッショにお任せ状態となっていて、勿論イッショは俺よりも遥かに熟練度が高い。
「さあ、やってみろ。俺様が魔力探知してやる!」
再度指輪を着け外ししながら、イッショが魔力探知を行う。
「う~ん、分かるには分かるのだが···」
それなのに、イッショはいつもの自慢気な態度とは違って、煮えきらない態度を見せる。
「イッショ、どうなんだ?魔力はどれくらい違ってみえるんだ?」
しかし、イッショは中々答えようとしない。
『やっぱり、イッショでも難しいのかしら?』
「ちょっと待て、何を言う。俺様には不可能はない、少し説明が複雑になるだけだ!そもそも、お主の膨大な魔力量はチュニックによって隠されているんだぞ」
「ああ、それは何となく分かってるよ」
「チュニックよって隠されている状態で、お主の魔力量は普通かそれよりも少し上くらいのレベルだな。指輪を着けた時は···」
そこでイッショは、しばらく考え込んでしまうが、何かを見つけたのか急に大きな声を出す。
「ほれ、それだ。そこの燭台の下にいるヤツ程度にしか感じん。それなら分かりやすいだろ!」
しかし、イッショの示す燭台の下には何も見えない。
「何も居ないぞ?もしかして、見えない存在っていうのは···」
「違うぞ、良く見てみろ。丸くなる小さいのがいるだろう!」
燭台の下に居たのは小さな虫。刺激を受ければ丸くなり、害虫ではあるが人に害を与えることはない。好きでもなければ、嫌いでもない存在。
「もしかして、このダンゴムシのことか?」
「ああ、そうだ。下位の精霊達にとっては、お主はダンゴムシみたいな存在だな」
「ダンゴムシ···。そんな存在で精霊と契約なんて出来るわけがないだろ」
衝撃的すぎて、それ以上は直ぐに言葉が続かない。ライが信用出来ないとは分かっていた。しかし精霊を探せば助かると言ったのはライであり、それと同時に精霊を遠ざけるような回りくどい方法をするのだろうか?
「そうだとしたら、祠を出る時からだぞ」
『最初から仕組まれてたのよ。あなたを助けたのはライではなくて、そのチュニックを作った精霊なのよ』
そしてライの祠を出てから、最初に契約した精霊はムーアになる。
「ムーアは、俺の魔力をどう感じたんだ?」
『魔力は、召喚契約する為の判断材料の1つでしかないわ。一番重要な事は、あなたと精霊との相性。どんなに魔力量ががあっても、相性が悪ければ大した力は発揮出来ないわよ』
この指輪がなければムーアとは出会っていなかったかもしれないなが、でもこの指輪は俺には必要ない。
「『やっぱり』」
ムーアもブロッサも、口を揃えて納得の表情を見せる。
「何が、やっぱりなんだ?」
『指輪を嵌めると、あなたの魔力が感じ難くなるのよ』
「何だって!」
それは、衝撃的な話になる。精霊と召喚契約する為には、相性と魔力が必要になる。
中位や上位精霊は、契約者に協力して良いと思わせるだけの理由や相性が必要になるが、下位精霊は魔力が多いだけでも十分に召喚契約に値する理由になる。言い換えれば、魔力量が多ければ精霊と出会う機会は増え、召喚契約出来る可能性が高いということになる。
だが、魔力そのものを感じられないとなれば、下位精霊とすら契約出来ない。
「だから、俺の前に精霊達は姿を現さないのか!」
『何らかの阻害効果があるのは間違いないわね。ハッキリとは言えないけど下位の精霊だと、あなたの存在すら気付けない可能性もあるわ。私が魔力探知スキルを持っているわけじゃないから、正確なことは言えないけどね』
精霊は魔力を糧とする為、自然と魔力の濃い方へと引き寄せられる。ムーアやブロッサが感じとったのも本能や感覚的なもので、魔力探知スキルを行使したものではない。
何度か指輪を着け外ししながら、自身に魔力探知スキルを使ってみる。しかし直接体内の魔力を探知するのだから、指輪の阻害効果の影響を受けるはずがない。
「ダメだな、全く分からない。それに俺が秘めている魔力も膨大すぎて、違いがあっても差が分かりそうもない」
『本人じゃなくてイッショなら、魔力探知スキルで違いが分かるんじゃないの?』
「カショウに出来なくても、俺様には出来るぞ。何故なら、俺様に不可能はないからな!」
そして呼んでもないのに、豆柴のイッショが出てくる。俺の魔力探知スキルは、イッショにお任せ状態となっていて、勿論イッショは俺よりも遥かに熟練度が高い。
「さあ、やってみろ。俺様が魔力探知してやる!」
再度指輪を着け外ししながら、イッショが魔力探知を行う。
「う~ん、分かるには分かるのだが···」
それなのに、イッショはいつもの自慢気な態度とは違って、煮えきらない態度を見せる。
「イッショ、どうなんだ?魔力はどれくらい違ってみえるんだ?」
しかし、イッショは中々答えようとしない。
『やっぱり、イッショでも難しいのかしら?』
「ちょっと待て、何を言う。俺様には不可能はない、少し説明が複雑になるだけだ!そもそも、お主の膨大な魔力量はチュニックによって隠されているんだぞ」
「ああ、それは何となく分かってるよ」
「チュニックよって隠されている状態で、お主の魔力量は普通かそれよりも少し上くらいのレベルだな。指輪を着けた時は···」
そこでイッショは、しばらく考え込んでしまうが、何かを見つけたのか急に大きな声を出す。
「ほれ、それだ。そこの燭台の下にいるヤツ程度にしか感じん。それなら分かりやすいだろ!」
しかし、イッショの示す燭台の下には何も見えない。
「何も居ないぞ?もしかして、見えない存在っていうのは···」
「違うぞ、良く見てみろ。丸くなる小さいのがいるだろう!」
燭台の下に居たのは小さな虫。刺激を受ければ丸くなり、害虫ではあるが人に害を与えることはない。好きでもなければ、嫌いでもない存在。
「もしかして、このダンゴムシのことか?」
「ああ、そうだ。下位の精霊達にとっては、お主はダンゴムシみたいな存在だな」
「ダンゴムシ···。そんな存在で精霊と契約なんて出来るわけがないだろ」
衝撃的すぎて、それ以上は直ぐに言葉が続かない。ライが信用出来ないとは分かっていた。しかし精霊を探せば助かると言ったのはライであり、それと同時に精霊を遠ざけるような回りくどい方法をするのだろうか?
「そうだとしたら、祠を出る時からだぞ」
『最初から仕組まれてたのよ。あなたを助けたのはライではなくて、そのチュニックを作った精霊なのよ』
そしてライの祠を出てから、最初に契約した精霊はムーアになる。
「ムーアは、俺の魔力をどう感じたんだ?」
『魔力は、召喚契約する為の判断材料の1つでしかないわ。一番重要な事は、あなたと精霊との相性。どんなに魔力量ががあっても、相性が悪ければ大した力は発揮出来ないわよ』
この指輪がなければムーアとは出会っていなかったかもしれないなが、でもこの指輪は俺には必要ない。
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