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オヤの街のハーフリングとオーク
259.精霊が求めるもの
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指輪を外してからは、横穴を進む速度が急激に上がる。
引き留める精霊もいなければ、気になるものもない。ただ変化のない横穴が延々と真っ直ぐに伸びている。それはオークロードの臭いも同じで、横穴の中央を真っ直ぐに進んでいる。
ただ想像以上だったのは燭台で、依然として等間隔に並び途切れることなく、その数は優に千を超えていて、それがそのままウィプスの数を示す。
ロードが燭台に近付いたり、戦ったような痕跡もないので、奥には行けばまだウィプスが居るのかもしれないが、その光景は想像出来ない。
『難しい顔してるわね。また変な事を考えているの?』
「これだけの数のウィプスが、奥には居るのかもしれないんだろ。ライの指輪がなければ、俺と契約してくれる精霊はいるんだよな」
『少なからずは、いるでしょうね』
「数千のウィプスか···。契約出来る精霊が増えて、上手く行くと思うか?」
『下位の精霊との契約であっても、一番重要なのはお互いの相性よ。ライの祠のウィプスでも、契約出来たのはルーク·メーン·カンテの3人だけなんでしょ』
「そうだな、あの時は指輪の影響は受けてないくても、近寄ってきたのはルーク達だけだったな」
『だったら、そんな簡単に増えようがないわよ。私たちを見てご覧なさい。メジャーな精霊の方が少ないでしょ』
「それを自分で言うか」
『あら、現状を知ることは大切よ。それが、あなたの強みなのだから♪』
そして、そこにコアも現れる。
「旦那様とルーク達との相性の良さを超えるウィプスは見つからないと思いますよ」
『そうね、ここまで進化して守護者を戦えるウィプスなんて過去を探してもいないわよ』
「旦那様は、何を求めておられるですか?そして、精霊は何を求めているのでしょうか?」
「そうだったな。一番は俺の魔力を消費してくれることだったな。戦うことが当たり前になって、肝心な事がを見落としていたな」
そう考えると少しだけ気持ちが楽になったような気がする。
「ムーア、召喚魔法は離れたところにいる精霊を呼び出すんだろ」
「ええ、そうね。だけど離れれば離れるほど、召喚に時間がかかるし維持することも難しくなるわよ」
「それで構わない。精霊が俺と一緒にいることを望めば、ブレスレットや影の中に居ればイイ。しかし、安全な縄張りを求めるのなら、その場所を用意してやればイイ」
『その場所は、チェンが用意するのかしら?』
「なんで、あっしが関係するんすかっ?」
「フタガの精霊の岩峰の領主にしてやるよ!」
そんな話をしている内に、横穴に少しずつ変化が表れる。ワームによって作られた丸い横穴から、少しずつ床面が削られ平らになり、石畳が敷かれて舗装され始める。それに伴い壁の燭台も彫刻が施された豪華なものに変わり、横穴から明らかにハーフリング族の手の加わった通路へと様変わりする。
「血の臭いがするワ。きっとハーフリング族の臭いネ」
“音はしない”
さらにブロッサが、俺よりも早く臭いの変化に感知し、クオンがさらに情報を補足すると、しばらくしてリッターの明かりが通路の終わりを照らし出す。
そこに現れたのラーキの根に囲まれた巨大な広間に出る。枯れてしまう前であれば、ビッシリと生えた根が行く手を阻んでいたに違いないが、今はロードによって突き破られポッカリと穴が開いてしまっている。
そのラーキの根には、血が飛び散り床にはハーフリングが転がっている。バラバラになり原型を留めていない姿は、どれだけの被害があるかを調べる事も出来ない悲惨な状態となっている。
「ウィプスの臭いもするワ。残り香ではナイ」
ハーフリング族の強烈な血の臭いに埋もれてしまっているが、そこにはウィプスの香りもする。嗅覚だけでは分からないかもしれないが、視覚で感じとることが出来るからこそ分かるウィプスの香り。
そして、そこから発せられているのはウィプスの残り香でなない。存在が消滅してまい、残った核だけが自己主張するかのように微かな香りを放っている。
「数は多くないワ」
「この量だと、まだ半数以上のウィプスは残されている」
“戦ってる、奥で音”
クオンの声に、ルーク達はいつもよりも明るく輝く。ライの祠では、もともと集団でいただけに仲間意識は高いのかもしれない。
「行けるか?」
俺の問いに、明滅してルーク達が応える。
引き留める精霊もいなければ、気になるものもない。ただ変化のない横穴が延々と真っ直ぐに伸びている。それはオークロードの臭いも同じで、横穴の中央を真っ直ぐに進んでいる。
ただ想像以上だったのは燭台で、依然として等間隔に並び途切れることなく、その数は優に千を超えていて、それがそのままウィプスの数を示す。
ロードが燭台に近付いたり、戦ったような痕跡もないので、奥には行けばまだウィプスが居るのかもしれないが、その光景は想像出来ない。
『難しい顔してるわね。また変な事を考えているの?』
「これだけの数のウィプスが、奥には居るのかもしれないんだろ。ライの指輪がなければ、俺と契約してくれる精霊はいるんだよな」
『少なからずは、いるでしょうね』
「数千のウィプスか···。契約出来る精霊が増えて、上手く行くと思うか?」
『下位の精霊との契約であっても、一番重要なのはお互いの相性よ。ライの祠のウィプスでも、契約出来たのはルーク·メーン·カンテの3人だけなんでしょ』
「そうだな、あの時は指輪の影響は受けてないくても、近寄ってきたのはルーク達だけだったな」
『だったら、そんな簡単に増えようがないわよ。私たちを見てご覧なさい。メジャーな精霊の方が少ないでしょ』
「それを自分で言うか」
『あら、現状を知ることは大切よ。それが、あなたの強みなのだから♪』
そして、そこにコアも現れる。
「旦那様とルーク達との相性の良さを超えるウィプスは見つからないと思いますよ」
『そうね、ここまで進化して守護者を戦えるウィプスなんて過去を探してもいないわよ』
「旦那様は、何を求めておられるですか?そして、精霊は何を求めているのでしょうか?」
「そうだったな。一番は俺の魔力を消費してくれることだったな。戦うことが当たり前になって、肝心な事がを見落としていたな」
そう考えると少しだけ気持ちが楽になったような気がする。
「ムーア、召喚魔法は離れたところにいる精霊を呼び出すんだろ」
「ええ、そうね。だけど離れれば離れるほど、召喚に時間がかかるし維持することも難しくなるわよ」
「それで構わない。精霊が俺と一緒にいることを望めば、ブレスレットや影の中に居ればイイ。しかし、安全な縄張りを求めるのなら、その場所を用意してやればイイ」
『その場所は、チェンが用意するのかしら?』
「なんで、あっしが関係するんすかっ?」
「フタガの精霊の岩峰の領主にしてやるよ!」
そんな話をしている内に、横穴に少しずつ変化が表れる。ワームによって作られた丸い横穴から、少しずつ床面が削られ平らになり、石畳が敷かれて舗装され始める。それに伴い壁の燭台も彫刻が施された豪華なものに変わり、横穴から明らかにハーフリング族の手の加わった通路へと様変わりする。
「血の臭いがするワ。きっとハーフリング族の臭いネ」
“音はしない”
さらにブロッサが、俺よりも早く臭いの変化に感知し、クオンがさらに情報を補足すると、しばらくしてリッターの明かりが通路の終わりを照らし出す。
そこに現れたのラーキの根に囲まれた巨大な広間に出る。枯れてしまう前であれば、ビッシリと生えた根が行く手を阻んでいたに違いないが、今はロードによって突き破られポッカリと穴が開いてしまっている。
そのラーキの根には、血が飛び散り床にはハーフリングが転がっている。バラバラになり原型を留めていない姿は、どれだけの被害があるかを調べる事も出来ない悲惨な状態となっている。
「ウィプスの臭いもするワ。残り香ではナイ」
ハーフリング族の強烈な血の臭いに埋もれてしまっているが、そこにはウィプスの香りもする。嗅覚だけでは分からないかもしれないが、視覚で感じとることが出来るからこそ分かるウィプスの香り。
そして、そこから発せられているのはウィプスの残り香でなない。存在が消滅してまい、残った核だけが自己主張するかのように微かな香りを放っている。
「数は多くないワ」
「この量だと、まだ半数以上のウィプスは残されている」
“戦ってる、奥で音”
クオンの声に、ルーク達はいつもよりも明るく輝く。ライの祠では、もともと集団でいただけに仲間意識は高いのかもしれない。
「行けるか?」
俺の問いに、明滅してルーク達が応える。
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