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どうも魔法少女(おじさん)です。【2】~聖女襲来!?~おじさんと王子様が結婚するって本当ですか!?
【6】高慢と偏見とおじさん※ その2
しおりを挟むそれからはもう酷かった。あちこち噛みつかれたし、いつもよりキツく吸われてお前はタコか! と思ったし、きっと明日は全身痣だらけだ。
おじさんの痩せてはいるが骨張っている手首を押さえつける、王子様の長い指のあとも……だ。
「もうっ! イカせろ……っ…よ!」
後ろ向き膝の上に抱きあげられて、ジークの大きいのをくわえこまされている。コウジが自分の足の間に手を伸ばせば、「ダメだ」とその手を押さえられた。
そそり立っている己の根元は、なんとコウジの首にひっかかっていたネクタイで戒められていた。黒だからめだたないが、それはすっかりぐっしょりと濡れている。
おいおいこれを洗うのはここのメイドさんか? 別の使用人か? と思う。アイロンがけするのは執事のケントンだが……いや、こんなネクタイもう廃棄か。
「考え事か? ずいぶんと余裕だな」
突き上げられて「ひっ…ぅっ……!」と声が漏れる。この身体の弱い場所はすっかり知り尽くされている。立ち上がる性器の後ろを凶悪なジークの張り出した先がぐりっとえぐっていく。さらには入っちゃいけないような奥まで進まれると、目の前にチカチカ火花が散るような、全身麻薬に浸されたような快楽が走る。
「は…ぁ……お前ばっか…もぅ……三回…も……」
「あなただって同じ数、達しているだろう? 男として出さなくても」
「そいつはっ……!」
奥をぐるりとかき回すようにされて「かはっ!」と声が漏れる。全身が制御出来ないほどガクガクと震えて、意識が一瞬ぶわりと跳んだ。
己の中が怖いぐらいにうねって、なかのオスを締め付けるのが……本来なら内臓なんだからわかるわけもないが、なのにわかった。同時にまたたっぷりと出されたのも。
ぐったりと力の抜けた身体を今度はベッドに仰向けに押し倒された。痩身の片脚を肩に担ぎ上げられるようにして、再度、繋がる。
もう何度も出されて濡れたそこは、すんなりとジークの太くて大きなものを、最奥まで再び受け入れる。びくりと背がしなやかにそる。
「は……あなたのなかぐしょぐしょだ。私を温かく包む癖にキツくてまだまだ欲しいと、搾り取ろうとしてる。
私が四回、あなたの胎に出すあいだに、あなたも同じ数だけ、女のように……」
ぱしんと乾いた音がした。過ぎた快楽に浸された腕には大した力もこもらなかったが、それでもコウジはジークの頬を打った。
そして、軽く見開かれた剃刀色の瞳をじっと見上げる。
「お前は俺のそんなんじゃねぇだろう……?」
ただ組み敷かれるだけの女か? と言外に問う。ジークの唇が「すまない……」と声もなく動いた。
そのくせ、コウジを押さえ付ける腕の力は弱まらず、求められ続けた。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
朝、起きたらジークはすでにベッドのなかにいなかった。
こんなことは初めてだ。
だが、散々抱かれた身体はいつものようにけだるくはない。あれだけ手酷く抱いておいても、治癒魔法はしっかりかけていったらしい。
身体も拭き清められてすっきりしている。さらにはしっかりガウンまで着せられていた。
「逃げたな、あの馬鹿」
ここまでやっておいて、目が覚めたコウジと顔を合わせるのが、嫌だったのか、怖かったのか。とにかくあの王子様の姿がない。
ノックの音がして「コウジ様」という声は執事のケントンだ。
「朝食はこちらでお召し上がりになりますか? それとも食堂になさいますか?」
「ああ、行きます」
いつものごとくケントンがしっかりアイロンがけしただろう、スーツに着替えたとたんにくったりするのは仕様だ。仕様。首にネクタイをひっかけて、朝の食堂へ。
さんさんと窓から差し込む朝日がまぶしい……といいたいが、暖炉の上の時計を見れば結構な時刻だった。
焼き立てのパンに、バターと少し苦みがあるマーマレードがよくあう。それにスクランブルエッグ。
これにジークの皿なら、焼いたソーセージに豆だの芋だのが添えられているのだろうが、おじさんにはこれで十分だ。
食べ終えると食後のお茶とともに「林檎はいかがですか?」とケントンに言われてうなずいた。くびりと茶をやりながら、しゅるしゅると見事に林檎の皮をむく執事の手元を眺めて、口を開く。
「ケントンさんは俺とジークの関係をどう思っているんですか?」
ここの使用人は優秀だ。初日からコウジを丁重に扱ってくれた。それは今でも変わらない。ケントンもコウジに非難めいた視線を向けたことは一度もない。
「旦那様が、こちらにコウジ様をお迎えになったときのことです。コウジ様のお部屋をどうなさるのか訊いた私に旦那様は迷うことなく、あのお部屋をご指定なされました」
あのお部屋とは、花柄の壁紙の模様のちょっと繊細な意匠の部屋だ。ジークはあとであなたの好きに改装していいと言っていたが、コウジは十分と気に入っていてそのまま使っている。
もっとも部屋にいる時間はそうはない。まあ、本を読んだり、たまに書き物をしたりする程度で、寝室にいるほうが長くないか? とコウジは考える。
この屋敷の主人とコウジがベッドを共にして、なにをしてるかなんて、ここの使用人には丸分かりだろうな……と少し遠い目になる。
「あのお部屋は奥さま……エノワール様がお使いのお部屋でした」
「ああ、だからあんなデカい鏡台がある部屋がくっついて……って、ええ!? ジークの母さんの部屋?」
「はい、今の旦那様が使われているお部屋は、国王陛下がご滞在のおりに私室とされておりました」
「…………」
つまり、コウジが現在使っているのは、この館の女主人の部屋で、ジークは王様の……って。
コウジの眉間にしわが寄るのにケントンは、切り分けた林檎を差し出して続ける。
「コウジ様。私のことはただケントンと呼んでください」
「いや、呼び捨てはどうも慣れなくて」
「慣れて頂かないと困ります。ここの使用人達にとっては、旦那様と同じく、コウジ様もお仕えする方なのですから」
「…………」
まったくもってケントンは執事の鑑だ。
使用人ならば、仕える主人に関して私情を述べるなどもってのほかだ。だからコウジの質問に回答はなくて当然だった。
それを彼が今、使っている部屋は元はこの屋敷の女主人の部屋だと知らせた上で、さらには自分はジークと同じく仕える主人だと言った。
すっかり受け入れられているのが、どうにも気恥ずかしい気持ちのまま、コウジは林檎をしゃり……と囓った。
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