どうも魔法少女(おじさん)です。 異世界で運命の王子に溺愛されてます

志麻友紀

文字の大きさ
52 / 120
どうも魔法少女(おじさん)です。【2】~聖女襲来!?~おじさんと王子様が結婚するって本当ですか!?

【20】狂信者のマーチ その2

しおりを挟む
   



「第10王子と第11王子には早くからモルガナ側の接触があったとクルノッサ卿の証言があります。ジーク兄様とコウジさんの二人に差し向けられた刺客も、二王子を通じてモルガナからクルノッサ卿が雇ったものだと」

 「それでも二人の王子が洗脳されたのは、モルガナに渡って聖女とやらに会ってからだろうな」とピートにコウジは返す。

「俺を襲ったときの二人はゲスの極みだったが、狂信者には見えなかったもんな」

 コウジが続けると、横に座る銀の王子様のまとう空気が一度低くなったような気がした。あのときの怒りを思い出したか美しい眉間に浮かんだしわに、コウジはテーブルの下、ちょんちょんと王子様の手の甲を『怒るな』とつつく。するとその手をぎゅっと握りしめられた。まあ、机の下だから、好きにさせてやろう。

「そう考えるとコウジさんの襲撃も、モルガナ側が二人の王子をそそのかした可能性もありますね」
「ことが失敗するのを見越して、二人の逃亡に手を貸すのも計算のうちだとしたら、かなり前から計画を練っていたことになるな」

 暗殺者を送りこむのも、諜報活動も似たようなものだ。隠密行動に慣れている集団ならば、王子二人を国外脱出させるのも手慣れていたに違いない。
 そして他の王子達へと自分達の陣営にはせ参じるように、あの二人の王子に密書を書かせて送り届けたのもモルガナ側か。

 「あなたも必ず成功する! なんて自己啓発セミナーにひっかかって洗脳されるようなもんだよなあ」とコウジがつぶやく。自己啓発? なんだそれは? という顔をする、王に三王子と将軍にコウジは「まあ、詐欺だよ。詐欺」と簡単に説明する。

「もっとも、ただの詐欺なら金が戻ってこない時点で騙されたと気づくが、こいつは悪魔に魂を売り渡すようなもんだな」

 悪魔じゃなくて聖女であるが、しかし、宗教がらみとなると本当にやっかいだ。

「神様の為となりゃ、己の損得なんて関係ない。死ねば神様の御許にいけると信じているから、死ぬのも怖くないときてる」
「それならばただの狂戦士だが、二人の王子の力は異様だ。あれは聖女が失われたパートナーである魔法少女の役目を果たしているからだが」

 コウジに続けてジークが口を開く。
 街道の封鎖を突破された様子は魔石による魔道通信にてこちらに届いていた。
 その様子は異様な光景だった。
 街道の封鎖は一個大隊、約五百人ほどの兵士が詰めていた。それがたった二人の王子によって蹂躙、突破されたのだ。

 王家と魔女の血を引く王子達全員魔法騎士だが、並の魔法騎士と王子達が違うのは、魔法少女達との魔力連結があってこそだ。その魔法少女を失った王子達の力は、並の魔法騎士と同じはずだった。
 だが王子二人は、工兵がつくりあげた深い塀を魔法で強化された足で軽々と跳び越え、次にそびえ立つ木の丸太を打ち付けた並べただけの壁。ただし、大隊に配属されていた魔法騎士五十人の魔力によって強化されていたそれを、たった一撃でぶち抜いたのだ。

 炸裂する魔術の砲弾に兵士達はなすすべもなく後退した。むしろ徹底抗戦ではなく、大隊長がいち早く撤退の指示を出したからこそ、兵の損傷は少なかったと言えるだろう。
 後退した大隊は次の防衛地点にあらたな防衛線を築いているが、あの映像ではまた、たやすく突破されるに違いない。

 二人の王子だけで封鎖を解除させたのは、力の誇示だろう。たった二人で十分だが、次はとりこんだ王子達がもっと増えるぞと。
 災厄退治の力が人に向けられる。それは立派な大量殺戮兵器だ。

 そして、円卓会議室に流れる映像にフィルナンド王以下、他の者達が呆然と見るなか、ジークとコウジだけには見えていたものがある。
 王子達の背後にある黄金の輿。四方に垂れ下がる幕によって聖女の姿は見えなかったが、そこから王子二人に強力な力が与えられていたことを。

 魔力連結だと二人は直感した。
 コンラッドにピート、シオンにマイアには見えなかったという。

「しかし、二人の魔法少女と契約した聖王グラムマンデはともかく、たった一人の魔法少女が複数の王子との契約は可能なのか?」

 にわかには信じられないというコンラッドにコウジは「相手は魔法少女じゃない。聖女様だ」と返す。

 「おそらく消息不明のすべての王子達とも“契約”を交わしたのに違いない」とのジークの言葉にコウジは「狂信者の王子様達の軍隊なんてぞっとしねぇな」と返す。
 逃げた王子達は二十名あまり、こちらは三人の王子様+魔法少女二人におじさんだ。
 数的には圧倒的な不利だ。



『そのとおりよ。聖女は王子達と契約を交わして、その虜にした』



 そのとき頭の中で声が響いて、ジークとコウジ、コンラッドにシオン、ピートとマイア達は見覚えがあるまっ白な場所にいきなり転移していた。

 女神アルタナの空間だ。

 そこには花冠をかぶりまっ白な古代風のドレスをまとって、寝椅子にゆったりと座る女神様と。
 その後方で事務机に縛り付けられて、事務服七三分けで必死に書類整理するアンドルの姿があった。





しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまいネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください! 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。校正も自力です!(笑)

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

悪役神官の俺が騎士団長に囚われるまで

二三@冷酷公爵発売中
BL
国教会の主教であるイヴォンは、ここが前世のBLゲームの世界だと気づいた。ゲームの内容は、浄化の力を持つ主人公が騎士団と共に国を旅し、魔物討伐をしながら攻略対象者と愛を深めていくというもの。自分は悪役神官であり、主人公が誰とも結ばれないノーマルルートを辿る場合に限り、破滅の道を逃れられる。そのためイヴォンは旅に同行し、主人公の恋路の邪魔を画策をする。以前からイヴォンを嫌っている団長も攻略対象者であり、気が進まないものの団長とも関わっていくうちに…。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 透夜×ロロァのお話です。 本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけを更新するかもです。 『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も 『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑) 大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑) 名前が  *   ゆるゆ  になりました。 これからもどうぞよろしくお願い致します! 表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。校正も自力です!(笑)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。