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どうも魔法少女(おじさん)です。【3】~魔王降臨!!おじさんの昔のオトコ!?~
【3】腰みのにリンボーダンス、嘘だよ~※ その1
しおりを挟むコウジ達が現在いる天空に浮かぶ城は、アルタナの神の空間でもないが、現実の世界でもない。女神の権能で作り出した時の止まった城だ。
その名の通り時が止まっている。だから、現実の王宮で彼らが消えたことを誰も知らない。アルタナ女神曰く「わたしは神としての年齢も浅くて、時間を遡ったりは出来ないけど、少し止めることぐらい出来るわ」だそうだ。
女神の力で作られた城には、コウジ達のためのゆったりとした個室があり共有の食堂やサロンもありと至れり尽くせり。食事も誰が作っているのか自然に出てくる。
「世話係としてこれを付けるわ」とアルタナの背後で必死で事務作業していた、七三分けのアンドルもついてきた。どんな暴言を吐いても丁寧語に変換されてしまう女神様の制限付きで。
そこでコウジ達は魔王を倒す勇者を召喚したわけだが……。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
「コウジさんとフィラースさんって、お知り合いなんですね? どこで会われたんです?」
召喚した勇者を立ち話もなんだということで、全員サロンへと移動して、少し早い昼を兼ねての茶会ということになった。
いきなり呼び出されたフィラースだが、初めから落ち着いており、混乱する様子もなかった。召喚されるときに、すでに勇者としての情報や知識は頭に入っているという。魔法少女召喚のときといい、さすが神様パワーというべきか。
しかし、なぜこいつが若返っているのかがコウジにはわからない。初めて会ったときにすでに三十過ぎだったはずだ。それがジークと同じぐらいの見た目になっている。十歳も若返りやがった。
なんで俺だけおじさんなんだ? とコウジは思わないでもないが、まあそういう設定だし。
で、そのお茶会で温かな茶が全員に回って、落ち着いたところでマイアが訊ねたのだ。みんな疑問に思っていることだろう。
「私がコウジに出会ったのはスイスの寄宿舎だったか?」
スイス? 寄宿舎? なんだそりゃと思いながらコウジは「ああ」と生返事をする。それにシオンがなぜか反応して学校名を訊ねると、フィラースはさらりと答えた。その名前にシオンが大きく目を見開いて、まじまじコウジを見た。
なんだ? と思ったが、あとでその学校は世界中のVIPの子弟が集まる超有名校なんだと。
裕福な家で育ったフィラースはそこの出身だが、当然コウジは違う。
しかし、彼はまるで昔を懐かしむように。
「あれは光差す渡り廊下でのことだったな。十五歳のコウジは今よりもっと線が細くて、黒髪黒目の東洋の神秘的な美少年でね」
「美少年……」とつぶやいたシオンにそしてマイアにピート、コンラッドも呆然としている。ジークだけは……お前なんで“当然”って顔してるんだよ!
つうか、美少年、美少年……って、コウジはごきゅりと喉を鳴らして茶を飲み込んだあとに、ぷはっ! と耐えきれず吹き出した。
「俺がそんなもんな訳ないだろう! なんでみんな本気にしてるんだ!」
うははと自ら腹を抱えて大爆笑し、フィラースを指さして「こいつさらりと真顔で嘘つきやがる」と続けた。
「違うだろう? 俺とお前が会ったのはバリ島だ。バックパック一つで旅してた。旅費も尽きたんでバイトしてたんだ」
「ああ、たしかに君はあのとき私がディナーでおとずれたレストランで見事なダンスを披露していた」
「そうそう、腰みの一丁の痩せた身体でファイヤーダンスしていたんだ……って」
嘘だというコウジにシオンが「騙したのね!」と真っ先に噛みつき憤慨する。その顔がバリ島? 腰みの? ファイヤーダンスで困惑の色になる。みんなも同様の表情でコンラッドが生真面目に「ファイヤーダンスとはなんだ?」とシオンに訊ねるのに、またまたコウジは耐えきれずに爆笑した。
「ないない、このおじさんが上半身裸でリンボーダンスとかないだろう!?」
「また嘘ついたのね!」とシオンが怒る。ジークが“上半身裸”にぴくりと険しい顔になる。おい、お前反応するところ間違っているぞ。
「それで本当のところはどうなのよ!?」と問うシオンにコウジは「ん~いつの間にか知り合いだったから覚えてねぇなあ」とぐしゃりと髪の毛をかき混ぜる。
「たぶん、新宿のゴールデン街あたりだったんじゃないか?」
「そうだな。あのバーだ」とフィラースがうなずいて話はそれで終わりとなった。
キュウリが透けるぐらい薄くスライスされたバターのみのシンプルなサンドイッチと。スコーンはうまかった。
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