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大公達の休日【ノクト×スノゥ編】
大公達の休日【夜?】
しおりを挟む「一回ですませろよ」と夫の首に腕を回しながら告げたら、目の前の端正な眉間に皺が寄った。
「あのな、夜はドゥーチェ主催の夜会があるだろう? グロースター大公とノアツン大公が寝室に籠もって出てこれませんから欠席します、なんてわけにはいかないだろう?」
明日は条約の調印式であり大陸会議はこれで終結する。今夜はそのお別れの夜会なのだ。各国首脳が出席するなか、サンドリゥムとノアツンだけが穴をあけるわけにはいかない。
「……わかった」
眉間にしわを刻んだまま渋々うなずいた、黒狼が可愛くて、その眉間にちゅっと口づけてやる。
「そのかわり、夜会が終わったら“続き”をしっかりやろうぜ」
「…………」
その頭の上の立った狼の耳にささやいてやれば、ぴくりと耳も尻尾も動いた。とくに尻尾は横にぶんと一回揺れたので、少しご機嫌になったようだ。
お返しとばかり、ノクトの唇がスノウの長く白い耳にふれる。その輪郭を縁取るように細かくちゅっちゅっと口づけられて「ん……」と声をあげる。お耳がぴくぴく動く。
両手はお忍び用の平民が著るようなチュニックの裾をたくし上げて、小さな引き締まった尻をもみしだき、さらにテールリングのはまったまるい尻尾を手の平で転がすように撫でられる。
耳もだが、尻尾も弱い。ぞくぞくと尾てい骨から脊髄へと、怪しい熱が立ち上ってく。さらには左耳のピアスのはまった耳の根元をかしりと痛みを感じるか感じない程度の加減で噛まれる。ざらりと舌に和毛を舐められて続々して「ああぁ……」と声をあげる。
ひたい、こめかみ、ほおへと唇が優しくおしあてられる。初めて抱き合ったときから、こういった愛撫をこの男はいつもした。ただ性欲を満たすだけでなく、そこに愛情があるのだと示すように。
身体だけの関係だと思っていた頃は、それがどうにもこそばゆくて「必要ないだろう?」なんてぶっきらぼうにいったこともある。「私がしたいからするんだ」とこの狼は開き直ったけれど。
だけど、今はそのスノゥもまた出来る限りノクトに返す。男の唇が頬に触れたときには、同じように自分もその精悍な頬に口づけを。頬を甘えるように、すり……とすりあわせることもして。
今はしっかり毎日剃っているけれど、無精髭を生やしていた頃も、もっと若かった狼のほうからしてきて、ざり……と自分で感じる感触に、おっさんへよくやるな~と思ったものだけど。
いまはこんなにも愛おしいとスノゥはくすりと笑う。
「なんだ?」
「ん、あんたが好きだな……と思って」
高い鼻先にちゅっと口づけてやれば、銀月の瞳が見開かれる。
「私も愛してる」
「真顔でいわれると照れるな」
「お前が言いだしたのだぞ」
「ま、そうなんだけどよ……ん」
そして唇を重ねる。これも最初はむさぼりあうようなそれが、いつのまにか互いに労るようなそれに変わっていた。戯れるように舌をからませて、ときには、たわむれに歯を立てたり、歯列をくすぐるようになめあう。混ざり合った互いの唾液をこくりと呑み込んで、それが甘いと思う。
「も、こんなかよ……」
手で触れてスノゥは反り返ったそれにの灼熱の感触に笑う。まったく純血種の三百年の寿命があるとはいえ、相変わらず若いな……と、可愛がるように亀頭を手の平でなでなでしてやれば、耐えるように眉間に皺がよる。
「別に暴発しちまってもいいんだぜ」
と手でちょっとキツくしごきあげて挑発してやれば。
「私がお前のなか以外で子胤をこぼすと?」
「その言い方……なんかやらし……な…ぁ…ん!」
尻と尻尾をなで回していた手が、いつのまにやらアヌスのなかに入りこんでいた。香油で濡れた指がぬくぬくと。一本が二本、もう三本か?
「……早く…しろ…よ……」
「もう少し解してな。舐めるか?」
これは初めからそうだが、ガツガツ貪るように性急だったクセして、この狼の愛撫はしつこかった。
それも、今になって考えるとスノゥに苦痛を与えないための、愛情だったと思うとこそばゆいが……。
「今は舐めるのは……なし。長くなるだろ?」
あそこを舐めるなんて最初は正気か? と思ったが、しかし、今となってはお返しとばかりに自分を貫く、ご立派な勇者様の聖剣を舐めたくなるのだから。
しかし、こうなると長くなる。夜会の仕度の前に風呂だって当然入りたいし。
「あ、一緒に風呂入るのはなしな」
「…………」
最近は……というか結婚してから、だいたい一緒であるが。
「あのな、汗やいろんなもの流して綺麗にするのに、風呂で盛ってヤッたら、意味がないだろうが……あっ!」
三本の指にぐりっと弱い場所をえぐられて、あとはまともに話せなくなった。
その上に。
「ばかっ! 一回だって言っただろ…うっ……も、抜けっ……うあっ!」
「だから一回挿れたきりだ」
「って……抜かずの二発目って…詐欺だ…ろ……! あ、ひゃあんっ!」
二発どころか、三発やられて、夜会ではふらつく腰を、夫にがっちり支えてもらうことになる、ノアツン大公だった。
END
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