僕は女の中の女を目指します~弱燃性転生チートで駆けあがれ!~

初夏終冬

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第一章/第二陣 元少年、Sランクへの道!

第11話 

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 僕たちは進行を深めるため、お互いに協力して魔物を倒しつつ、リウドの待ちまで戻って来た。
 いつか共闘するかもしれない人たちだ。連携を取る練習をするのも、避難訓練と同じことだと思えば楽める。
 僕は、魔法はほぼ完璧だと自負しているけれど、剣術はまだまだのようだった。Aランクの前衛の人に様々なことを教えてもらっていたので、有意義な時間を過ごした。

 街に入ると、出た時に感じたものと違い、まるで全く別の街に来たようで、これもあの結晶を取り込んだ影響なのだろう。
 だけど、昨日の内に、魔法で封印とかせずとも、五感の調整はなんとか出来るようになっている。雑踏から聴覚を消去し、周囲に空気の壁を作る。音は空気が振動し、鼓膜がそれに答えて脳に信号を与えている。だから、振動しない空気を作れば、立派な壁となるのだ。
 それを応用し、振動しにくい空気を作り出すと、自然と調整できるようになった。
 他の五感も、似たようなものだ。流石に、口にするものにまでは影響させられなかったのだけど。

「やっと帰ってきたね!」

 ミスティが元気よく、手を広げる。
 僕も、それに大きく頷いた。
 冒険者になってから、これだけの長期間、冒険者ギルドに来ない事なんてなかった。強いて言えば、護衛依頼の時くらいだし、そもそもそれは、街から街への移動をしているから、同じギルドに戻ってくるとは言い辛い。
 けれど、今回は、出発点と終着点が同じなのだ。
 これは、初めてのことである。

「依頼達成報告、お願いします」

 受付のおじさんに声をかけると、手慣れた作業で報告と報酬の受け取りを済ませた。今回の報酬は、白銀貨1枚。結晶があってもなくても同じ金額なので、とても助かる。
 そして、冒険者ギルドにて、12人は解散することとなった。帰りは行きと違い、ライズさんがいないのだ。
 僕とミスティはBランク冒険者が泊まるに相応しい宿を取る。Cランク以下とは、一線を画す宿で、壁に絵画なんてのもあった。汚したら弁償しないといけないのだろうけれど、いくらくらいするのか、とても気になる。
 これでCランクなのだから、Bランク、Aランクの宿はどんなところなのだろうか。
 ちなみに、Sランクの宿はないようで、Sランク冒険者自体も、数人しかいない上に、Sランク冒険者は行方知れずで有名だ。
 いつかは会ってみたいけれど、どうすれば会えるのか見当もつかない。

 部屋に入ると、真剣な顔で、ミスティに話しかけた。

「ミスティ、大事な話があるんだけど」

 僕が「大事な」とつけると、本当に大切な話なのだとミスティは理解しているため、すぐに僕と向き合った。その目は真剣みを帯びて、普段のおっとり元気溌剌少女の雰囲気とは違い、キリっとした印象を持つ雰囲気を纏っている。

「なに? お姉ちゃん」

「えっとね、鉱山にあった結晶のことなんだけど……」

 前置きをし、ライズさんに話した内容のことと、ライズさんに話していない内容を話す。ライズさんには話せなくても、身内であるミスティには隠し事をしない。たった1人の、血の繋がった妹なのだから。

「そうだったの? じゃあ魔法は使えるんだね! よかった!」

 僕は街に戻ってくる道中、一度も魔法を使っていない。剣――刀を学べる機会はそう多くないから、この際真面目に学んでおくべきだ、と思って。
 だけど、それがミスティの勘違いを深めていたらしい。
 謝罪すると、ミスティは気にしてないよ、と笑った。

「そういうわけで、ミスティ、器合わせしよう」

「器合わせ?」

「そう、器合わせ。うまく行けば、自分より魔力が高い人と、同じ大きさの魔力を手に入れられるんだ。ミスティの魔力を僕に合わせておいたら、出来ることも多くなるだろうし」

「う~ん。よくわかんないけど、お姉ちゃんがそう言うなら」

 ミスティが素直に受け入れたことで、僕は彼女に指示を出す。

「僕がやることを真似してね」

 まず、正座した。それを見たミスティも、正座する。
 次に、両手を前に出し、2人の間まで伸ばした。ミスティも両手を出し、お互いの両の手の平が合わさった。

「これで、準備完了だ。ちょっと気持ち悪いかもしれないけど、我慢してね」

 僕が結晶を取り込んだ時に感じた、痛みや痺れなどは感じないだろうけれど、不快感はあると思っている。それも、少しだけのはずだ。
 僕の魔力が増えたのは、結晶のせいだけど、これからするのは、あんな無茶な魔力の底上げじゃない。あれは、体内組織を作り変えたけれど、器合わせは、体内組織まで作り直すものではないのだ。
 魔力を右手から送り出し、送り出した分だけ、ミスティの魔力を取り出していく。
 この作業を連続的に行った。

「これが……お姉ちゃんの魔力? 優しい魔力だね」

 集中していた僕の耳に届いたその言葉は、物凄く嬉しく感じる。優しい魔力だなんて、生まれて初めて言われた。ミスティの魔力は、僕のとは比べものにならないほどの優しさ入りだけど。

「お姉ちゃん、疲れた」

 もうかれこれ、数時間もの間、正座している。よくここまで泣き言を言わなかった、と褒めたい。
 僕としても、数十分とかで終わると思っていた。ミスティの魔力は多いから、僕との差はそれほど多くないだろう、と思って。
 だけど、それは違っていた。
 この行為が初めてで、思いのほか難しいというのもあるかもしれない。
 だけど、やはり一番の問題は、僕とミスティの間に魔力量の差が多くあったこと。

 それから更に数時間。
 もうじき半日経とうか、というところで、ようやく終わりを迎えた。他の人とすれば、何日かかるかわかったものではない。
 長い間集中し、飲まず食わず、睡眠すらとらずにやっていたため、僕とミスティの精神力は0に近い。ミスティに至っては、中身も10歳に達していない。
 でも、そのお蔭で、ミスティの魔力は僕と同等の量になった。これだけあれば、ある程度のことは膨大な魔力でどうにでもなるだろう。

「凄い。こんな簡単に増やせるなんて」

 僕は、簡単じゃないよ、と言ってから、この魔力の増やし方の秘匿を徹底させる。こんなことが流行れば、大問題だからだ。正確にしなければ命にかかわるだろうし、例え偶然出来たとしても、巨大な魔力に飲み込まれる危険がある。
 その点、ミスティは優秀と言えた。
 器合わせの前に軽く頭を撫でて、感情を読み取った時のことだ。

「お姉ちゃんのためにも頑張らないと」

 そんなことを考えていたのだ。これを読み取ったから、行動に移せたとも言える。
 僕は、彼女には、出来る限りのことをしたい。僕がいつか、いなくなる時が来ても、1人で世界を歩けるように。

「そろそろ寝よっか。ご飯は起きたらでいいよね?」

「うん。私も、もう……」

 そう言って、僕に寄りかかりながら寝息を立て始めた。
 ベッドに寝かせ、その隣に仰向けになる。
 とにかく、器合わせが成功してよかった。心の中では、盛大な安堵のため息大会が栗人下られている。
 全てが無事に終了したことを嬉しく思いながら、ミスティを抱き枕のようにして眠りについた。
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