双剣使いの極狼零竜《バースト・ゼローグ》

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『来るべきはずのこの世界』

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「やべーな。こいつ強い」
剣道部主将  綾辻  狼竜。
(剣道って竹刀2本使えないからなー)
「面ッ!」
竹刀を振りかざす相手。
しかし、狼竜は本気を出さない。
「おい!狼竜!早くぶっ倒せよ!」
そんな仲間の声がふと、聞こえた。
竹刀で防ぎ、空いた胴を狙い込む。
「胴!」
バシンッと激しい音を立て、決めた。
「何してんだよ。おせーよ」
剣道部副将  北座  幕六。
「仕方ないだろ。強かったし」
「ふんっ。雑魚が」
(全く・・・。少し遅くなっただけで怒って・・・)
幕六の試合がそろそろ始まる。
「次が決勝だ。狼竜が勝ったのなら俺も勝つ」
幕六は何やらぶつぶつ言っていた。
狼竜が通う高校、彩劣高校は剣道強豪校だ。
そして、今は全国大会だ。
「狼竜。審判やってこい」
「あ、はい」
顧問に言われ、面を外し旗を持った。試合開始の挨拶をする。
「彩劣高校、北座。行楽高校、滝。構え」
両者とも、構える。
「試合、開始!」
先に動いたのは幕六だった。
素早い切り込みで、間合いにつき、面を取りに行く。
「面ッ!」
(幕六の得意の速攻か・・・。)
面を相手は止め、距離を保とうとする。
しかし、幕六はこの面は囮だった。
この防いだ一瞬が致命的だ。
「面ッ!!」
(上手いなぁ・・・。胴に見せての面か・・・)
相手は防ぎ切れず、負けてしまった。
幕六の得意な速攻は、試合開始直後に、素早く前に詰めることだ。そして、面を打つ。しかし、相手は当然防ぐが、その防いだ瞬間の駆け引きを得意とする。
(まぁ、見切れば一瞬で返り討ちだけど・・・)
「ふん。弱過ぎる」
幕六の勝利により、彩劣高校は決勝に進出した。
(決勝か。勝てるといいな)
そう思いながら準備してると、相手の主将と目が合った。
相手高校は日暮高校。主将は小宮  啓示。
その主将の目は燃えていた。
俺と戦え。
そう、訴えているようだった。
(主将か。強そうだな・・・)
「狼竜。順番どうする」
幕六が聞いてきた。
「俺は最後。主将と当たると思うから、幕六最初でいい?」
「あぁ」
「おっけー」
用紙に順番の名前を書いていく。
(最後ってなんかやだな)
「狼竜。なんかあっても負けんなよ?」
「え、あ、はい」
睨まれて、苦笑しながら承諾した。
「これより、試合を初めます。両者とも前へ」
審判がそう言うと幕六と日暮高校の相手は向き合った。
「では・・・、試合開始!」
開始直後は静かだった。両者とも動かず、竹刀の先と先で睨み合っているだけだった。
(幕六・・・。いつもの強気はどうしたんだろう?)
そう思いながらも、狼竜は幕六を応援した。
そして、ついに動いた。
日暮高校の緑谷  一義だ。
緑谷は1歩下がった。そこをすかさず幕六が攻めに行く。
しかし、これは罠だった。
この1歩はあくまで、攻撃をするための行為だった。間合いに詰まられば詰められる程威力は増す。
緑谷は1歩下がり、また1歩上がり威力を上げていた。それに、幕六は近づいている。
(まずい!?)
「面ッ!!」
放たれた一撃は見ているこっちからもその重みが分かった。
しかし、幕六はこの程度でやられる程甘くはなかった。
「ッ!」
幕六が放った無言の一撃。その一撃は一手にはならないが脅威を誇っていた。
反射的に防ごうとした緑谷は罠にかかった。
幕六は狙ったかのように竹刀と竹刀をぶつけ、緑谷の竹刀を防御できなくした。
「面ッ!」
ものの見事に決まった一撃は、幕六に勝利をもたらした。
「幕六・・・。いつ覚えたんだ?」
呆気に取られ、聞くと幕六は少し照れくさそうに言った。
「つい最近だ」
2回戦は日暮高校の勝ち。持ち点は1点対1点。勝負は主将同士の戦いになった。
「はぁ」
小さいため息が出た。
(嫌だな~。絶対強いじゃん)
「おい。狼竜」
「何?」
「負けんなよ?」
幕六が睨んできた。
(うっわ・・・。プレッシャーやな)
「が、頑張ります」
幕六は練習試合等々であの主将と戦うことが多かった。もちろん、負けたことがない。
「あいつは強いぞ」
「知ってる」
「ただし、速攻に弱いがな」
(あぁ、確かに)
思い出してみれば幕六はあの主将をすべて、速攻で屠ってきた。
(いやいや、それは幕六の速攻が強いんだろ)
「じゃあ行ってくるよ」
「あぁ、頑張れよ」
竹刀を持ち、戦いの場えといざ向かう。
「やあ」
小宮が話しかけてきた。
「速攻してきても、いいんだよ?」
(なんだこいつ。誘ってんのか?)
「いや、速攻はしないよ」
小宮は小さく舌打ちをした。
「そっか。まぁして来ても負ける気は無いけどさ」
(別に挑発に乗っても良かったな)
審判が声をかける。
「彩劣高校、綾辻。日暮高校、小宮。構え」
審判の掛け声により、構える。
「試合開始!」
試合は始まった。しかし、余りどちらも攻めない。
竹刀同士を押し付け合っていると、小宮が話しかけてきた。
「あれー?速攻しないのかな?」
「しないっていったろ。つーかさ、お前喧嘩売ってんの?」
「まさか。売ってねえよ!」
力強く小宮が押してきて、会話は終わった。
(そろそろ決めるか)
いざ決め技をしようとした時、小宮から攻撃がきた。
「面!」
それは弾いた。小宮は2歩下がる。
「胴!」
これも弾いた。
それからは持久戦だった。
どちらも譲らない試合。打って弾いて打って弾いての繰り返し。どちらも体力を消耗していく。
小宮は勢いを付けるために3歩下がった。しかし、狼竜はそれを見ていた。
「面ッ!」
竹刀を上げた瞬間それは起こった。
バチンッ!とこの大きな武道場に響いた。見えたのはごくわずかだろうか。
小宮は倒れ込んでいる。
狼竜の超強力な胴が小宮に入った。剣速が速すぎて見えず、狼竜の声も音でかき消される程だった。
小宮の防具はボロボロだ。
審判が慌てて言った。
「い、1本。勝者!彩劣高校綾辻!」
彩劣高校優勝の瞬間だった。
「うっわ・・・。なんちゅー威力・・・」
どこからか聞こえた。
(まぁ物理的に竹刀が持たないんだけどね・・・)
ただし、狼竜はまだ、少し力んだだけだ。
「終わりだな」
小宮は震えてどうも、立ち上がれそうにない。
するとヒソヒソと声がした。
「もしかしたら、防具外れたんじゃない?」
「そうかも。いくら威力が高くても立ち上がれないほどにはならないよねー」
(少しやだなー。ちゃんと防具に当たったのに)
そんなことを考えながら審判に聞こうとしたら、突然幕六が声を出した。
「は!?狼竜の胴くらったことないからんなこと言えるんだろうが!すっげー痛てえんだよ!こいつはなあ、防具越しに完全に倒すために、衝撃伝えてんだよ!お前らに何が分かる!1回くらってみろ!死ぬぞ!」
「ま、幕六ぅう~」
感動して、腑抜けな声が出てしまった。
「は、はい・・・。すいませんでした」
「ふん」
幕六は鼻で返事をした。
小宮も、なんとか立ち上がり、開会式が行われた。
「優勝。彩劣高校」
「はい」
そそくさと出て、賞状を受け取る。後ろを向き、礼をしたら泣いている人もいれば、あー。終わったー。みたいな顔の人もいた。
なんかもう、寝ている人は論外だ。


                  ☆


「はぁー。疲れたー」
体力的には全然なのだが、精神的には疲れていた。
「肉食いてえ」
「わかるわー」
幕六と一緒に帰っていた。幕六とは腐れ縁というやつだ。俺は普通に彩劣高校に入学出来たが幕六は推薦だ。もちろん部活の。狼竜に先に推薦があったが、学力なども特に問題はない。だから、断った。幕六は学力は・・・頑張れ。
「1年で主将ってのもな」
彩劣高校の剣道部は3年はきちんといる。しかし、実力主義の彩劣高校は強い狼竜と幕六を主将と副将に選ばれた。故に、1年ながらゆうに3年を抜いていた。
「んじゃ、俺こっちだから」
「あぁ、じゃあな」
幕六と別れたのち、コンビニにより、腹を少し満たした。
ジュースを飲んでいた時、それは起こった。
「ッ!?」
気配を感じ、飛んできた物を避ける。
(ナイフ・・・!?)
フードを被った男が後ろを歩いていた。
(あの人か?)
すると、男の横からものすごいスピードでトラックが突っ込んで来ている。
「おい!危ないぞ!」
呼びかけても、避ける気配がない。
「間に合えっ!」
走り出したが圧倒的にトラックが早く、男の人に当たった。
「ッ!!?」
止めていた。しかも、片手で。
男は顔を上げ、ニヤリと笑った。そして、ナイフを投げてきた。
「くっ!」
凄いスピードのナイフを、わざとギリギリで避けた。
すると、懐から1本の真剣が。
「おいおい・・・。ほんと勘弁してくれ!」
もちろん、相手は容赦なく斬りかかってくる。
「よっと!」
塀の方に走り込み、ジャンプ。壁を蹴り、さらに高く飛翔。そして、蹴った。
速攻の早業に、相手はなすすべなく吹っ飛ばされる。
「・・・」
無言のまま這いより、仕返しと、言わんばかりの強烈なキック。そして、左からは真剣。
だが、キックを受け止め、真剣から逃げるように敵と一緒に回る。なんとか避けきり、距離を取った。
(俺も何か武器が欲しいな・・・)
「んっ?」
狼竜が手に取ったのは。
ペットボトル。
(いや無理だろおおお!)
「くそっ!でもやるしかないんだ!」
相手も真剣を構える。
走り込みは同じ。あとは当てるだけ。
相手が先に剣を振った。
(よし!避けれる!)
横に振られた剣を、下に叩き落とし、ペットボトルを顔面に放った。
「吹き飛べえええええ!」
ペットボトルは見事、顔面に当たり敵は吹っ飛んだ。
すると、相手が初めて声を上げた。
「やはりその強さ・・・。ふっ。はははは!」
「な、なんだ?突然・・・」
「貴様、異世界に行きたくないか?」
「い、異世界?」
(ラノベでよく見る異世界か?)
「まぁ、貴様に拒否権はない。転送!グローティブ・アクシュエイト・インバイト!」
すると、足元に魔法陣が現れた。
「う、動けない!?おい!ちょ、待ってくれ!」
「貴様は今からある部屋に行く。そこには箱があるから開けろ。あとは頑張れ。グットラック」
「あ、ちょ、お・・・」
その日、俺は異世界召喚を果たした。
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