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本編
1-2 花喰らいの乙女
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「え?」
初耳である。
普段から取り乱した様子を見せないアザリアが驚いた顔をしたので、養父は機嫌がよさそうに薄ら笑いを浮かべた。寝酒に使用する酒を取り出し、コルク栓を開けながら、いつ母と出会ったのか、どれだけ母のことを想っていたのか、軽やかに語り始める養父。三杯目のワインを飲み干す頃には、覇気のない顔がすっかり赤く出来上がっていた。
「実によくできた女だった。お淑やかで、いつもニコニコと笑顔を絶やさない。アレは弁えがしっかり出来ている。研究者なんて変わり者がする職業だ。僕と結婚すれば、結婚生活も華やかになっていただろうね」
確かに、母はいつもニコニコと笑っていた。だが母はああ見えて気の強い性格だ。相手の嫌なところをはっきり伝えるため、もし結婚してもソリが合わないだろう。養父のように、軟弱者で自尊心が高い人間だと尚更だ。
「アザリア。おまえは母によく似ている」
「……っ」
「たとえばこの、長い髪……」
反射的に逃げようと一歩下がってしまったのがいけなかった。
無表情で従順な人形が逆らうような仕草を見せたら、この類の男は逆上するに決まっている。アザリアは強く腕を掴まれ、思い切り床に引き倒された。
「あぁ、綺麗だな…………彼女と同じ色だ」
柔らかな絨毯の上に、白髪がふわりと広がっている。
痛みで小さく呻くアザリアに、養父が跨った。
「色素の薄さは……生まれ持った魔力の量に比例する。すなわち神秘さそのもの。……魔法使いっていう存在に憧れはあったけど、僕は茶髪だからあんまり魔力がなくてね、魔法系はさっぱりなんだ」
「……っ」
「ほら、僕に押し倒されても声もあげない従順さ。さすが彼女の娘だ……やっぱり親が良質だと娘も良質だね……」
酒気の帯びた呼気を吐き出しながら、養父がアザリアの腰に触れる。うすっぺらいスカートの中に入りこみ、太ももの外側を緩慢に撫で始めて、嬉しそうに口角をあげている。
これが何を意味するのか、アザリアは理解していた。
ぞわりとする感覚に、できるだけ力を入れないようにして目を閉じる。薄く唇を噛んで耐えしのべばいい。どうせ、数年後には死ぬ人間だ。ここであがいたら、痛い目をみるかもしれない。痛いのはイヤだ。
「もう男を受け入れられる年齢だろう……ああ、年頃の女性にこれを聞くのは失礼だったかな」
やり過ごせばいい。
いつもみたいに。
いつもやっていることを繰り返せばいい。
両親が美しい花を咲かせて死に絶えたとき、アザリアは確信したのだ。
──これが自分の未来だと。
醜く腐り始めていた両親の体とは対照的に、大きな白い花は残酷なまでに美しく咲き誇っていた。
花は両親の体から『命』を吸い上げ続けていた。甘いの匂いと濃厚な死の香りを纏わせるその存在から、目が離せなかった。
(私はどうせ花の養分になる……)
アザリアは目を閉じる。
養父によって服が破かれていく様を、諦観の思いでやり過ごした。
「大丈夫だ。手荒い扱いはしないと約束する」
目を瞑っているアザリアには、そのあと養父に起きた悲劇に、すぐに気付けなかった。
アザリアの耳に届いたのは、何かが壁にぶつかる音と、液体が噴射されたような音。温かく生ぬるいものが頬に降り注いだ感覚がして、目を開く。
視界に飛び込んできたのは、赤い液体にまみれた自分の手だった。
血だ。誰の血かなんて、すぐに分かる。むこうの壁際で倒れている養父のものだ。
(赤……)
ぼんやりと血を眺めるアザリアに、誰かが近づいていく。
全身血まみれの若い男だった。
お世辞にも身なりのいいとは言えない薄汚れたローブ姿。養母が見ればあからさまに顔をしかめそうだが、男の背は見上げるほど高く、顔立ちはどんな精巧に描かれた絵画よりも美しく整っていた。
なにより目を引くのは、薄暗い部屋の中で炯々と輝く瞳だろう。
ハッとするほど鮮やかな真紅だ。
(きれい……)
さきほど食べた赤い花よりも……それどころか、今まで見たどんな『赤』よりも、彼の瞳は美しい。
自分の状況も忘れて、アザリアは彼の美しさに見惚れていた。心を鷲掴みにされていた。彼の牙が物言わぬ養父の体に突き刺さっている時でさえ、息をひそめて、じっと見ていた。
(吸血、鬼……)
もはや伝承となっている存在だ。
一説によれば、吸血鬼は不老ですべからく美しい姿をしているという。
人間の生き血を好んで飲み、人間の肉すらも美味しく食べるそうだ。
「どうせ死ぬんだったら、この”美しい”ひとに食べられて、死にたいな……」
美しい吸血鬼は、口端についた血を舐めとっていた。薄い唇からちろりと覗く赤い舌が、なんて淫靡なのだろう。アザリアの肌はぞくりと粟立ち、期待に胸が膨らんだ。
「どうして逃げない……?」
彼がアザリアに近付いていく。
「この家にいた他の人間は、血にまみれた私の姿を見て声をあげた。私が『食事』を摂り始めたら彼女たちはいよいよ逃げ始めた」
声は、とても淡々としていた。
人間味がない。
いや、人間ではなく吸血鬼なのだから当たり前か。
そんなどうでもいい思考が、アザリアの脳裏によぎる。
「最後の一人だ。おまえを食べれば、この家の人間はいなくなる」
では、養父と同じように養母もこの美しい人に吸血されて命を落としたのだろう。アザリアは初めて養父母が羨ましいと思った。
美しい吸血鬼が、アザリアの体に覆いかぶさった。
真紅の瞳に見下ろされて、アザリアの心臓が彼に捧げる血液を全身に巡らせている。ドクドクと早鐘を打つ鼓動を感じながら、端正に整った顔を見つめた。彼の髪は銀色だった。まるで月の光のようだ。
「初めてだ」
「……?」
「恐怖のあまりその場から動けなくなる人間は多いが、自分から身を差し出す人間は初めて見た」
「……その、人たちは、……死にたくないから……」
「おまえはそうではない、と?」
「私は……ちがう、から……」
人は、綺麗すぎるものを目の前にすると、声が震えるらしい。好きな人を前にすると頭が真っ白になって何も喋れなくなると、お喋りなメイド達の会話を聞いた事があるけれど、その感覚と似ているのかもしれない。
「決めた」
彼の大きな手に頬を触られて、アザリアはびくりと肩を震わせる。
「おまえを私の『家族』にしよう」
「か、ぞく……?」
「ああ。おまえは……そうだな、私より弱く、小さい……だから『妹』だ」
まるでか弱い動物に触れるように、彼はアザリアの頬を撫でていた。耳の裏を触れられ、くすぐったくなってアザリアは身を捩らせる。
「今日からおまえは私のものだ。これから私のことは『お兄様』と呼びなさい」
アザリアは一人っ子だった。
兄妹という存在は、絵本や小説の世界でしか聞いたがない。だからお兄様という単語という単語を舌の上で転がすと、幸せな心地がした。生前、母がご褒美としてくれたキャンディを舐めている時のようだ。
「お兄様……」
──そしてその日。
アザリアは『吸血鬼』の妹 となり、血にぬれた家から忽然と姿を消した。
初耳である。
普段から取り乱した様子を見せないアザリアが驚いた顔をしたので、養父は機嫌がよさそうに薄ら笑いを浮かべた。寝酒に使用する酒を取り出し、コルク栓を開けながら、いつ母と出会ったのか、どれだけ母のことを想っていたのか、軽やかに語り始める養父。三杯目のワインを飲み干す頃には、覇気のない顔がすっかり赤く出来上がっていた。
「実によくできた女だった。お淑やかで、いつもニコニコと笑顔を絶やさない。アレは弁えがしっかり出来ている。研究者なんて変わり者がする職業だ。僕と結婚すれば、結婚生活も華やかになっていただろうね」
確かに、母はいつもニコニコと笑っていた。だが母はああ見えて気の強い性格だ。相手の嫌なところをはっきり伝えるため、もし結婚してもソリが合わないだろう。養父のように、軟弱者で自尊心が高い人間だと尚更だ。
「アザリア。おまえは母によく似ている」
「……っ」
「たとえばこの、長い髪……」
反射的に逃げようと一歩下がってしまったのがいけなかった。
無表情で従順な人形が逆らうような仕草を見せたら、この類の男は逆上するに決まっている。アザリアは強く腕を掴まれ、思い切り床に引き倒された。
「あぁ、綺麗だな…………彼女と同じ色だ」
柔らかな絨毯の上に、白髪がふわりと広がっている。
痛みで小さく呻くアザリアに、養父が跨った。
「色素の薄さは……生まれ持った魔力の量に比例する。すなわち神秘さそのもの。……魔法使いっていう存在に憧れはあったけど、僕は茶髪だからあんまり魔力がなくてね、魔法系はさっぱりなんだ」
「……っ」
「ほら、僕に押し倒されても声もあげない従順さ。さすが彼女の娘だ……やっぱり親が良質だと娘も良質だね……」
酒気の帯びた呼気を吐き出しながら、養父がアザリアの腰に触れる。うすっぺらいスカートの中に入りこみ、太ももの外側を緩慢に撫で始めて、嬉しそうに口角をあげている。
これが何を意味するのか、アザリアは理解していた。
ぞわりとする感覚に、できるだけ力を入れないようにして目を閉じる。薄く唇を噛んで耐えしのべばいい。どうせ、数年後には死ぬ人間だ。ここであがいたら、痛い目をみるかもしれない。痛いのはイヤだ。
「もう男を受け入れられる年齢だろう……ああ、年頃の女性にこれを聞くのは失礼だったかな」
やり過ごせばいい。
いつもみたいに。
いつもやっていることを繰り返せばいい。
両親が美しい花を咲かせて死に絶えたとき、アザリアは確信したのだ。
──これが自分の未来だと。
醜く腐り始めていた両親の体とは対照的に、大きな白い花は残酷なまでに美しく咲き誇っていた。
花は両親の体から『命』を吸い上げ続けていた。甘いの匂いと濃厚な死の香りを纏わせるその存在から、目が離せなかった。
(私はどうせ花の養分になる……)
アザリアは目を閉じる。
養父によって服が破かれていく様を、諦観の思いでやり過ごした。
「大丈夫だ。手荒い扱いはしないと約束する」
目を瞑っているアザリアには、そのあと養父に起きた悲劇に、すぐに気付けなかった。
アザリアの耳に届いたのは、何かが壁にぶつかる音と、液体が噴射されたような音。温かく生ぬるいものが頬に降り注いだ感覚がして、目を開く。
視界に飛び込んできたのは、赤い液体にまみれた自分の手だった。
血だ。誰の血かなんて、すぐに分かる。むこうの壁際で倒れている養父のものだ。
(赤……)
ぼんやりと血を眺めるアザリアに、誰かが近づいていく。
全身血まみれの若い男だった。
お世辞にも身なりのいいとは言えない薄汚れたローブ姿。養母が見ればあからさまに顔をしかめそうだが、男の背は見上げるほど高く、顔立ちはどんな精巧に描かれた絵画よりも美しく整っていた。
なにより目を引くのは、薄暗い部屋の中で炯々と輝く瞳だろう。
ハッとするほど鮮やかな真紅だ。
(きれい……)
さきほど食べた赤い花よりも……それどころか、今まで見たどんな『赤』よりも、彼の瞳は美しい。
自分の状況も忘れて、アザリアは彼の美しさに見惚れていた。心を鷲掴みにされていた。彼の牙が物言わぬ養父の体に突き刺さっている時でさえ、息をひそめて、じっと見ていた。
(吸血、鬼……)
もはや伝承となっている存在だ。
一説によれば、吸血鬼は不老ですべからく美しい姿をしているという。
人間の生き血を好んで飲み、人間の肉すらも美味しく食べるそうだ。
「どうせ死ぬんだったら、この”美しい”ひとに食べられて、死にたいな……」
美しい吸血鬼は、口端についた血を舐めとっていた。薄い唇からちろりと覗く赤い舌が、なんて淫靡なのだろう。アザリアの肌はぞくりと粟立ち、期待に胸が膨らんだ。
「どうして逃げない……?」
彼がアザリアに近付いていく。
「この家にいた他の人間は、血にまみれた私の姿を見て声をあげた。私が『食事』を摂り始めたら彼女たちはいよいよ逃げ始めた」
声は、とても淡々としていた。
人間味がない。
いや、人間ではなく吸血鬼なのだから当たり前か。
そんなどうでもいい思考が、アザリアの脳裏によぎる。
「最後の一人だ。おまえを食べれば、この家の人間はいなくなる」
では、養父と同じように養母もこの美しい人に吸血されて命を落としたのだろう。アザリアは初めて養父母が羨ましいと思った。
美しい吸血鬼が、アザリアの体に覆いかぶさった。
真紅の瞳に見下ろされて、アザリアの心臓が彼に捧げる血液を全身に巡らせている。ドクドクと早鐘を打つ鼓動を感じながら、端正に整った顔を見つめた。彼の髪は銀色だった。まるで月の光のようだ。
「初めてだ」
「……?」
「恐怖のあまりその場から動けなくなる人間は多いが、自分から身を差し出す人間は初めて見た」
「……その、人たちは、……死にたくないから……」
「おまえはそうではない、と?」
「私は……ちがう、から……」
人は、綺麗すぎるものを目の前にすると、声が震えるらしい。好きな人を前にすると頭が真っ白になって何も喋れなくなると、お喋りなメイド達の会話を聞いた事があるけれど、その感覚と似ているのかもしれない。
「決めた」
彼の大きな手に頬を触られて、アザリアはびくりと肩を震わせる。
「おまえを私の『家族』にしよう」
「か、ぞく……?」
「ああ。おまえは……そうだな、私より弱く、小さい……だから『妹』だ」
まるでか弱い動物に触れるように、彼はアザリアの頬を撫でていた。耳の裏を触れられ、くすぐったくなってアザリアは身を捩らせる。
「今日からおまえは私のものだ。これから私のことは『お兄様』と呼びなさい」
アザリアは一人っ子だった。
兄妹という存在は、絵本や小説の世界でしか聞いたがない。だからお兄様という単語という単語を舌の上で転がすと、幸せな心地がした。生前、母がご褒美としてくれたキャンディを舐めている時のようだ。
「お兄様……」
──そしてその日。
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