11 / 27
本編
4-3 契り*
しおりを挟む倦怠感が身を包んで、アザリアはぼんやりとしていた。
何が起きたのか分からず、天蓋の豪奢な装飾をぼんやりと見つめる。顔を動かせば、お兄様の頭頂部が見えた。硬さのある髪がアザリアの頬に触れる。くすぐったくて身を捩るものの、お兄様はそのままの姿勢で動かない。
「膣内が痙攣している。どうやら達したみたいだな」
「……?」
「性的快感の頂点、エクスタシーとも言うそうだな。俗語ではイクと表現することもあるらしい」
「イク……? さっきのが、ですか……?」
「ああ。……とても、気持ちよさそうな顔をしていた」
頭を撫でられる。手の動きがとても優しくて、また驚いてしまう。触れられると心地よくて、アザリアは目を細めた。
「初めては緊張で上手く達せない事も多いそうだが……アザリアはそうではないらしいな」
「そう、なのですか……?」
「ああ……アザリアには才能があるな」
褒められているのか分からなかったが、お兄様の声がいつにも増して優しいので、これはとても嬉しいこと、幸せなことだと思うことにした。
「今もいい顔をしている」
「いい顔って、いったいどんな……」
「頬が赤い。目が潤んでいる。可愛い……顔をしている」
「かわ、いい……?」
まさかお兄様の口からそんな誉め言葉が出るとは思わず、アザリアの開いた口が塞がらない。そんなアザリアの心情を知ってか知らずか、膣内にある指が再び動き始めた。
「だが、まだ私のは入らない」
体に硬い何かが当たって、アザリアは身を硬くした。ソレがなんなのか、知識では知っている。でもまさか、こんな美しい吸血鬼のお兄様でも、人間の男性と同じような現象になるなんて、思わなくて。
「あ……」
ぞくぞく、──してしまう。
(この人も……こんなに……)
身を戦慄かせたアザリアの首筋に、お兄様の舌がねっとりと這った。その間にも指はアザリアの内壁をこじあけ、奥へと進んでいる。度重なる刺激に腰が浮きあがり、短く声をもらしながらお兄様の首にしがみつく。そのときアザリアは、自分の服がお兄様によって脱がされていることに気付いた。
「ぁ、待っ、──っ、ぁ……っ!」
この行為をする前に、アザリアは彼と約束していた。
完全な裸にはなりたくないから、服を着たままにしてほしい、と。
右肩に、痣があるのだ。まるで花のような形をしたソレは、《花喰らい》の、証。他人には見せたくないもの。とてつもなく、気持ち悪いもの。
建前上は、恥ずかしいから、ということにしている。
「お兄様、待っ、て──っ」
「あぁ、そういえば……そういう約束だったな」
胸板を押すようにして動きを封じると、お兄様は低く呻いた。その声が少し名残惜しそうに聞こえたのは、アザリアの聞き間違いだろうか。
「……つい、な。アザリアを見ていると、噛みたくなった」
「え……」
(それって……)
情事のさなかに吸血鬼が女性の血を吸うという話がある。吸血鬼の本能を刺激した今でなら、食べてもらえる一世一代のチャンスだったのではないかと、アザリアは少し考えた。
でも。
あまり残念に思っていない自分がいることにも、気付いていて。
「どうかしたか」
「……なんでも、ないです」
アザリアは首を振ると、寒さを感じて脱がされかけた服をたぐりよせる。胸ははだけているけれど、そのままで。たまにお兄様に舐められるのも、非常に背徳的で、心地がいい。
今は。
今だけは、このまま。
この感覚だけを追いかけようと、アザリアは目を閉じる。
アザリアが小さく顔を突き出せば、察したお兄様が口づけを落とした。最初は触れるだけの優しいものだったのに、舌を使って唇を丹念に舐め、やがて口内へ。アザリアは「んっ」と声を漏らしつつ、お兄様の舌を受け入れ、ぎこちなく応え始める。
「アザリア……」
お兄様の声に熱がこもりはじめる。接吻の要領を得たお兄様は、のしかかるようにアザリアの口づけを深くしていく。未だにキスに不慣れなアザリアはすぐに息があがってしまい、唇が離れる度に必死に酸素を取り込んでいる。
「あ……」
アザリアは、下肢部分に硬い何かが当たっていることに気付いた。正体に気付いてしまい、アザリアは一気に体を桜色に色づかせる。下着越しに当たっている硬い雄に、アザリアは恍惚の息を吐いた。
目の前には、赤い瞳を爛々と光らせたお兄様がいて。
瞳がとても熱っぽいのは、きっとアザリアの見間違えではないだろう。
「お兄様……」
「ああ、分かっている」
アザリアは胸のまえで手を握り、彼の言葉を待った。
「入れるぞ」
つきやぶられて、貫かれて。
思い切り腰を引き寄せられて、より奥へと侵入しようとしてくるソレ。
アザリアの蜜壺はもう洪水のように愛液で満ちていて、お兄様が腰を押し進めると、ぐちゅりと粘ついた水音が響き渡る。
「あ、ああぁ……っ!」
剛直に隘路をこじ開けられる痛みと、やっと欲しいものが手に入った悦び。ぐちゃぐちゃになった感情に翻弄されないように、アザリアはお兄様の背中に手を回す。衝撃が大きすぎてしがみつかないと振り落とされてしまいそうだった。
「お兄様、の、入って……っ!」
「……ッ、ぁ……熱くて、ドロドロしているな」
「っひ、ぁあっ! やっ、うご、か、ないで──っぁあっ!」
「…………ッ」
お兄様の苦悶の声が響く。
アザリアは背中を叩いてお兄様に動きを止めるよう促したが、お兄様は聞く耳を持たなかった。お兄様は一度腰を引くと、アザリアの細い腰を持ち上げて奥へと穿ち始める。奥をほじられるたびにアザリアは大きな嬌声をあげ、背中に爪を立てていた。
「あ、ぁ、ひぅ……っ、あ、ああぅ……っ!」
「あざり、あ……ッ」
寝台に押し付けられるにして、腰を動かされる。
揺さぶられて、熱っぽく名前を呼ばれて、たくさんの口づけをされる。
立て続けに起こる快楽の波に、アザリアの視界に白い星がちらついていた。大きすぎる波に逃げようとしても、体を抑え込まれてしまってどうにもならなかった。
「また、さっきの──っ」
頭が真っ白になる現象が近付いてきて、アザリアは目をぎゅっと瞑った。お兄様の体はひんやりして少し冷たいのに、その部分だけは火傷しそうなほどの熱を持っている。熱い雄を打ち込まれるたびに、アザリアの瞳からほろほろと涙がこぼれた。
「あっ、やっ、ぁあっ、──痛っ……っ!?」
そして今度は、首を噛まれてしまった。
アザリアは驚きに目を見開くけれども、体を抑え込まれている状況では何もできない。思考するよりも先に気持ちよさに上塗りされて、喘ぐことしかできなかった。
「甘い……アザリア……」
アザリアの皮膚を甘噛みし、しみ出してきた血を舐めとったお兄様は、低く唸っていた。それがアザリアにとっては、どんなものよりも甘美な刺激になってしまい──
「あ、ぁあああ……っ」
白濁としたものを胎の奥で感じて、アザリアの意識は深い場所まで堕ちていった。
13
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
世間知らずな山ごもり薬師は、××な騎士団長の性癖淫愛から逃げ出せない
二位関りをん
恋愛
平民薬師・クララは国境沿いの深い山奥で暮らしながら、魔法薬の研究に没頭している。招集が下れば山を下りて麓にある病院や娼館で診察補助をしたりしているが、世間知らずなのに変わりはない。
ある日、山の中で倒れている男性を発見。彼はなんと騎士団長・レイルドで女嫌いの噂を持つ人物だった。
当然女嫌いの噂なんて知らないクララは良心に従い彼を助け、治療を施す。
だが、レイルドには隠している秘密……性癖があった。
――君の××××、触らせてもらえないだろうか?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる