【R18】花喰らいの乙女は吸血お兄様の執愛に溺れる

べらる

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本編

4-2 契り*

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 初めてロスト・ヴァージンは好きな人と──
 そんな話できゃあきゃあとメイド達が騒いでいたのは、もう何年前だったのかアザリアは覚えていない。養母から言いつけられていた仕事を中途半端に放り投げ、彼女たちは女子会とやらに華を咲かせていた。初めて恋人と手を繋いでドキドキした。キスまでした。いい感じの雰囲気になって、最後まで致した……。

 そんな話を遠くから聞いていたアザリアは、彼女たちが思いを馳せる甘く切ない青春のドキドキ感が理解できなかった。たぶん好いた男性がいれば少しは共感できるのだろうけれど、好きな人はおろか興味を持てる人間というものが誰一人としていない現状。まるで別世界の人間を見ているような気持ちで、彼女たちの話を右から左へと聞き流していた。

 そもそも。

(あの二人がいる限り、家の外から出られない)
 
 出ようとも思わない。
 世界は灰色で『色』がなかった。

 いつもアザリアが見る夢がある。
 数十メートル先には花瓶に生けられた大きな白いお花があって、アザリアはそこに向かって歩き始めるという夢だ。

 でも最近、夢の内容が変わった。

 アザリアの目の前に、とても大きな赤色の光が現れたのである。
 色だ。
 黒と白とグレーしか存在しない無彩色の世界で、初めて現れた有彩色だった。
 肉食獣の目のように真っ赤で恐ろしくもあり、暖炉の火のように温かく優しい光が、アザリアの目の前でふわふわと漂い始めたのである。

 アザリアは、……虜になった。

 そして強欲になってしまった。
 その光が、欲しくなったのである──



「……っ、ぁ……っ」



 口から漏れでた声を聞いて、アザリアはとっさに口を塞いだ。寝具の柔らかさを背中に感じながら、できるだけその部分を見ないように上を──寝台の天蓋を見つめ続ける。

 下着をはぎとられて体を震わせているアザリアに、お兄様はゆっくりとした動きで彼女の内ももに手をあて、足を開かせた。もりあがった白い丘に、綺麗な縦筋が入っている。誰にも暴かれた事のない秘めた場所を視界に納めて、彼は端正な顔を近づける。舌全体を使って、舐めあげた。

「ゃ……っ!?」

 まさか舐められるなんて思ってもいなかったアザリアは、とっさに下肢部分を見てしまう。美しいかんばせを持つ男が、臆することもなく恥部に愛撫を施しているのである。見てはいけないものを見た気がして、アザリアの体全身がさあぁと桜色に色づく。

「女性は、このように愛撫を施さないと怪我をすると本に書かれていた」
「ひ、……っ」
「おまえのように……未発達で、華奢で……、処女ならなおさらな」

 目をぎゅっと瞑りながら顔を手で覆ったアザリアに、お兄様は身体を起こした。溢れ始めてきた蜜液を指に絡ませ、いまだ隠れて出てきていない秘芽をゆっくりと揉む。

「これ……っ、はずかし……ぃ」
「耐えなさい。大丈夫だ、ちゃんと濡れている。すぐによくなれる」
「ぁ……っ、ぅ!」

 刺激しつつ、お兄様はアザリアの服に手をかけた。前側のボタンを片手で器用に外していき、肌着をずらして胸を露出させる。

「これが………おまえの胸か」
「み、ないで、ください……」
「おかしな事を言う」
「はぅ……っ!」

 こぶりな白い果実に舌が這い、アザリアの体に力が入った。足先がぎゅぅっと丸まる。

「ぉ、に、ぃさ、ま……っ」

 狙っているわけではないのだろう。
 彼は中心部分をさけるように舐めあげていた。たまに唇で食むようにしてから、舌先を尖らせて突いている。一瞬離れたかと思えば、舌で押しつぶされた。「あぅ……っ」と、声が出る。

(自分の身体じゃ、ない、……みたい)

 全身の熱がへそのしたに集まっている感じがした。体が熱く、火照っている。ざらざらな舌が、つぎはどこを舐めるのだろうとそればかり気にしてしまう。

「指を入れる」
「……っ、っっ」

 お兄様はアザリアの秘めた場所に中指を添え、静かに押し込んだ。

「……………狭い、な」

 何かが内側に入り込んでくる違和感が大きく、アザリアは眉をひそめる。
 
(あの人の指が、私の……体の中に……)

 お兄様の手が、大きくて長いということをアザリアは知っている。
 本のページをめくるとき、ぎこちない仕草でナイフとフォークを持つとき、お兄様はその大きな手を動かして、アザリアの視線を独り占めしていた。異性の手なんて全く興味なんてなかったのに、お兄様の手だけは無意識に目で追っていた。

「はっ、ぁ……っ、うっ、ん……っ」

 たまに鋭い感覚が走るものの、耐えられないほどではない。「痛いか」と聞いてくるお兄様に、大丈夫だと伝える。

「なら、いい」

 お兄様はいま、何を考えているのだろうかと、アザリアは疑問に思った。
 お兄様は以前、人間を理解したいと言っていたことがある。アザリアを妹と見立てているのは、昔出会った『兄妹』を模倣しているからだそうだ。人間を理解するには、まず家族を理解しようという考えになったそうだ。その入り口が『兄妹』になりきればいいという考えらしい。

 この行為は、彼にとって人間観察の一種になるのだろうか。

「契り、という考えがある」
「っえ、……?」
「個々の絆を深めるのに、肉体的な繋がりを深めるというものらしいな。一般的には夫婦、兄妹にも似た風習があると」

 まるでアザリアの疑問に答えるかのように、そんなことを言うお兄様。
 その瞬間、指の腹がある一点を叩き、アザリアは目を白黒させた。

「これが、そうなのか……」
「ん、んぅ……っ」

 叩かれるたびに声が漏れる。
 アザリアの様子に気付いたお兄様が、緩く微笑んだ。

 笑うんだと驚いたのも束の間、あっという間に快楽の波にさらわれてしまう。

快感オーガズムを感じてきたのか」
「っ、ぁ……っ!」
「嫌がるな。むしろ良い事だ」
「あぅ、あっ、ぁぅ……っ」

 指はその一点を優しく叩いていた。感度をあげるための行為なのだが、未知の感覚にアザリアは無意識に首を横に振り続けている。

「量が増えてきた……」
 
 耳もとで囁かれ、アザリアの肩がびくりと揺れる。愛撫による前戯で、女性が快感オーガズムを得なければ、男性を迎えることができない。頭では分かっているものの、アザリアは恥じらいを感じていた。自分はもっと冷めた人間だと思っていたからだ。恋愛小説に登場する女性のように、ときめきを感じたり、気持ちよさで喘ぐような状況にはならないだろうと予想していた。

「見ない、で。見ないでください……」
「またそれか。……じゃあ、こうするか」

 指の動きを止めることなく、お兄様はアザリアの肩に顔を埋めた。
 これなら確かに顔を見られることはない。そのかわり、お兄様の吐息が直接アザリアの鼓膜を揺らす事になる。数度何かを言われただけで、たやすく達してしまった。


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