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第七夜 残骸
第七夜 残骸②
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鳥飼さんは店の前で佇んでいた。不安そうに周囲を見ていたので、俺が裏から「鳥飼さん」と呼ぶと、彼女は肩を震わせて驚いた。
「し、心臓止まるかと思いましたぁ……どこから出てきてるんですかぁ」
今にでも泣き出しそうな弱々しい声で言うので、すぐに申し訳ないなと思った。
「すみません……」
「いいです。びっくりしただけですから……まさか、お店の裏から顔を出されるとは思わなくて。店長さん、大丈夫なんですか」
すぐに話を切り替えてくれる。俺は面食らいつつ、母屋の方へ案内した。
「うーん、まぁ、大丈夫と言えば大丈夫じゃない、かもしれない。なんとかして奥さんと連絡がとれたらいいのにって思ってるとこです」
「連絡とれないんですか?」
「店長が頑なに拒否するんで、困ってます」
呆れて言えば、鳥飼さんは「はぁ」と要領を得ない様子で曖昧な返事をした。そうこうしているうちに居間まで上がる。
「店長、鳥飼さん来ました」
「ん……あぁ、すまんね。なんかいろいろと面倒をかけて」
彼女の姿が見えた途端、店長はおろおろと居住まいを正した。なんとも調子のいい人だと思う。
鳥飼さんはまたも「はぁ」と曖昧に笑い、俺を見た。躊躇いがちに手土産の紙袋を持ち上げ、咳き込む店長におずおずと差し出す。百貨店で見かけるクッキー缶だ。
「はじめまして。お噂はかねがね……あの、これ、お見舞いです」
すると、店長が俺を見た。こういう状況じゃなきゃ双方への紹介も気まずくならずに済んだだろうに。
繕うように咳払いし、なんとなくかしこまって紹介する。
「えーっと、こちらは鳥飼光美さん。俺の同級生の知り合いで、酒飲み友達です。で、こっちがサンマート店長の……そういえば、店長って名前なんていうんですか」
「内緒」
店長はそっけなく答えた。なんで自分の名前を内緒にする必要があるんだよ。
すると、玄関先が賑やかになった。バタバタと駆け込むちびっこ双子たちが押し合いへし合いしながら居間へ入ってくると同時に、市田くんが顔を出す。
「そうそう、店長って名前教えてくんないんですよー。オレも知り合って二、三年は教えてもらえなかった」
俺たちの話を聞いていたらしく、ケラケラ笑いながら言う。
「そういうもの?」
「まぁ、オレたちも店長の名前に興味なかったんで、知ろうともしなかったんですけどねぇ」
「へぇぇ」
納得したのは鳥飼さんだった。
「あ! 噂の鳥飼さんですよね! やぁ、どうもどうも、喜多屋さんの後輩の市田智です!」
すぐさま顔色をパッと華やかに輝かせる市田くんは鳥飼さんの姿を見て、しきりにテンション高く笑った。無邪気なゴールデンレトリバーみたいだ。そんなワンコ系男子さながらの彼に、鳥飼さんも朗らかな笑顔を向けて「はじめまして」とお辞儀した。おかげで店長の名前問題は有耶無耶になってしまう。
市田くんは双子の面倒を見るために一緒になっておもちゃで遊ぶし、店長はまたソファに寝転んだ。そのかたわらで、俺と鳥飼さんは揃って横に並んで座り、こそこそと話をする。
「店長と奥さん、うまくいってないみたいでね」
「あぁ、どうりで……だからこうして、みんなでお世話しにきたわけですね」
「そうなんです。奥さんに連絡したらって言っても、店長ってば全然言うこときかないし……あ、離婚してるわけじゃないんですけどね」
「うぅん……ってことは、別居中ってことですか?」
鳥飼さんが一段と密やかに訊いた。対し、俺は声のトーンを上げて店長にそのまま訊いた。
「店長、奥さんと別居中なんですか」
すると店長は面倒そうに寝返りを打った。
「だから、そんなんじゃねぇって。なんでおまえは俺の事情に首を突っ込みたがるんだよ。市田だってほっといてくれるのに」
「オレは店長と奥さんの事情に興味ないんでー」
市田くんがサラッと冷たいことを言う。店長は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「でも、そうじゃないなら連絡取ったほうがいいですよ」
鳥飼さんが遠慮がちに意見した。
すると、店長は「うーん」と困り果てる。俺たち男二人に対する態度とは明らかに違い、はたまた鳥飼さんを前にしては冗談もはぐらかしも通じないと悟ったのか、いくらか優しく唸っていた。
「うーん……まぁ、なんというか……紗弓が一度、病気したんだけどさ」
何を思ったのか突然始まる物語に、俺たちの間にわずかな動揺が走った。
市田くんを見ると、子供たちを抱っこしたまま遊ぶ手を止めている。やがて、彼は子供たちに「あっちで遊ぼっかー」と言い、隣の和室へ逃げた。ふすまをピシャリと閉める。そんな俺たちに構うことなく、店長はマイペースに語った。
「子供産まれてすぐだな。ちょっと体調が悪くなってさ。それはまぁ、なんていうか、育児で疲れたからなんだろうけど、まぁそんな感じで。もともと仕事人間だったこともあって、家庭にべったりだったのがキツかったんだろうなー」
声音はどうにも他人事だ。店長はため息をつき、むくりと起き上がるとペットボトルのイオン水を飲んだ。
「だからほっとくことにしたんだよ。もうあんな風に落ち込んだ紗弓を見てらんないし、あいつが元気ならそれでいいんだよ」
そう言われてしまうと、俺はたちまちバツが悪くなった。なんと返したらいいか分からなくなる。
「でもそれって、お互い元気じゃないとダメなんじゃないですか?」
そう訊いたのは鳥飼さんだった。
「奥さんが元気でも、店長さんが元気じゃないとダメです。一人で背負い込んだらつらいって、分かってるなら助けを求めるべきです……あ、ごめんなさい。知ったようなこと言って」
すぐに我に返ったらしく、彼女は慌てて手を振ったかと思うとしゅんと項垂れた。
「でも、私がもし奥さんの立場だったら、言って欲しいなって思いますよ。やっぱり言葉にしないと分からないものですから」
顔を伏せたまま苦笑して言う鳥飼さん。それに対し、店長の心は頑なだった。
「この年になるとさ、面と向かって話すのも小っ恥ずかしいわけよ」
「そうかもしれませんけど! あぁもう、ほら、喜多屋さんもなんとか言ってくださいよ!」
「うん。鳥飼さんの言う通りですよ」
俺は簡潔にきっぱり言った……が、彼女の優しい言葉にドキッとしたのは、店長だけでなく俺もそうだったのだ。便乗しただけの不甲斐ない俺に、鳥飼さんは「もう!」と不機嫌に眉をひそめた。
すると、唐突に和室のふすまがスパーンと開いた。腕まくりした市田くんがニヤリと笑いながらこちらを見る。
「分かりました。じゃあ、このオレが人肌脱ぎましょう」
「どうした急に」
驚きで挙動不審になる俺が訊く。君はこの問題に興味なかったんじゃないのか。
「いや、オレ的には店長の問題だからあえて何も言わなかったんです。でも、鳥飼さんの言葉を聞いたら考え方変わりました。店長、紗弓さんを呼び戻そう」
まったく、重たい話になった途端逃げ出したくせに調子のいいことを言う。すると、店長はようやく狼狽の色をあらわした。
「おいおい、待て待て待て。市田、考え直せ」
「いーや、ダメだ。オレだって結婚したら双子の面倒見られないくらい幸せで忙しいんだから、あとは二人でなんとかして」
そう言って、市田くんはポケットからスマートフォンを出した。「やめろおぉぉ」と嘆く店長をソファに押しやり、俺は市田くんに訊いた。
「どうするつもり?」
「簡単です。莉央さんを経由して、そこから店長の奥さんに繋ぎます。事情を説明すれば向こうも分かってくれるでしょ。ともかく、奥さんを家に呼び戻すまでが今回の作戦です」
「おぉ」
なんとも頼もしい。て言うか、最初から君が動いていればすんなり話が通ることだったのに。そんなツッコミはできず、また横で拳を握る鳥飼さんのやる気を見やれば、俺もこの作戦に前のめりになった。
「おい子供たち、母さんに会いたいかー!」
和室でゴロンと寝そべる双子に向かって市田くんが言う。このオーディエンスは店長同様にやる気も覇気もなく「えー?」と気だるげに首をかしげた。さすが店長の子供たちだ。
「ほら、店長! 子供たちも母さんに会いたいって!」
「言ってねぇだろ、捏造すんじゃねぇ」
ソファで脱力する店長が力なく怒る。それに構わず、市田くんはさっさと莉央さんにトークメッセージを送った。店長はもう抗う気力もないようで、不貞腐れて寝てしまう。
程なくして、莉央さんから返事がきた。
「お、いい感じです。莉央さんを経由して今、『every』の方で話が伝わったようです」
「『every』って、お向かいのコンビニ?」
鳥飼さんが訊く。そういえば、店長の奥さんは全国チェーン大手コンビニ「every」の元店長で、今は本社の販売経営部に属しているとか。
「紗弓さんの部下に、サンマート時代の同僚がいるんすけど、その人がうまいこと紗弓さんに伝えてくれます」
どうやら市田くんの作戦はうまくいっているらしい。この華麗な連携プレーぶりに、俺と鳥飼さんは呆気に取られた。
「なんか、手慣れてるね……」
「まぁ、店長と紗弓さんを結婚させたのって、その人とオレらが裏でコソコソ調べてくっつけたからなんですよ。いやぁ、久しぶりに〝コンビニ探偵団〟再開って感じで楽しいですねぇ」
市田くんは懐かしそうに笑うと、子供たちの頭をくしゃくしゃに撫でた。
***
曰く、十年前にも似たようなことがあったらしい。
ある夏の日、しみったれたサンマートに突如現れた真っ白ワンピースと女優帽、サングラス姿で現れた紗弓さんは、そもそも店長の幼馴染であり元カノだったのだが、大学生の頃に店長が誰にも相談せずに退学し、このサンマートで働いていることを噂で知ったのだそうだ。
このサンマートは元々、店長のお祖父さんの店だったそうで、お祖父さんが亡くなったことから店長が周囲の反対を押し切って店を継いだという。そんな彼を探しにきたのが紗弓さんで、そのことを当時のアルバイトみんなで調べて、店長と紗弓さんを取り持った──なんて短編小説みたいな物語を市田くんがかいつまんで話してくれた。
店長は耳を塞いでソファに寝転んでいたけど、子供たちをはじめ鳥飼さんや俺は興味津々で話を聞いていた。
「昔から世話が焼ける人なんですよねぇ」
莉央さんからの続報を待つ間、市田くんがため息をたっぷり吐き出しながら言った。
「そういう君もなかなかのものだったけどね」
俺は澄まして言った。すると、彼は唇をすぼめ裏声で返した。
「喜多屋さんに言われたくないですー」
「………」
反論できるはずがない。一方、鳥飼さんは聞かなかったふりをするように、すっとぼけた顔で子供たちと一緒に遊んでいる。
俺と市田くんは和室から出て、居間のちゃぶ台に移った。
「で、どうなの。奥さんは帰ってきてくれるの?」
「あ、はい。ちょうどこっちに帰ってきてるらしいけど、支社で仕事中だから……まぁ、仕事終わったら帰ってくるでしょ」
市田くんはあっけらかんと言った。
その間、俺たちは店長の指示通りに夕飯を作り、子供たちにご飯を食べさせ、風呂に入れることになった。ちなみに、風呂に入れるのは市田くんが担当する。さすが店長の家を第二の実家と言い張るだけあり、子供の面倒を見るのが上手だ。
俺と鳥飼さんもそのまま夕飯(みんなで作った甘口カレー)をごちそうになり、店長に薬を飲ませて皿洗いをしていた。二人並んで黙々と皿洗いをするのがシュールであり、俺はどうにもそわそわと落ち着かない。本当なら昨日のトークメッセージの話をしたかったのだが、きっかけがうまく作れないでいる。
「おーい、お前たち、それ終わったら晩酌に付き合え」
店長が毛布にくるまった姿でキッチンに現れた。
「おとなしく寝てください」
ピシャリと俺が言うと、店長はムッとした。まったくもってかわいくない。
「そう固いこと言うなよー。酒は百薬の長ってな」
いけしゃあしゃあと屁理屈を言う。
「万病の元でもあります。はい、寝ましょうね」
すかさずツッコミを入れると、店長は不機嫌な顔のままソファに戻った。ともすれば、子供たちよりも聞き分けが悪いぞ。途端にうちの親父を思い起こし、俺は苦々しく顔をしかめた。
「こんな中年にはなりたくないな……」
ついボソッと言うと、隣で鳥飼さんが「んぼっ」と噴き出した。
「でも、きっとシャイな人ですよね。ぶっきらぼうなのは照れ隠しなんじゃないかなー、なんて」
「まぁ……素直じゃないのは否めないけど。子供より手がかかるってどうなんだ……」
「普段甘えられないから、市田さんたちに甘えちゃうんでしょうかね。その関係もいいなぁって思いますよ、私は。本当に羨ましい……」
そう言って、彼女はわずかにアンニュイな表情を見せた。
「鳥飼さんももう俺たちと、友達でしょ」
皿を拭きながら返してみると、鳥飼さんは「そうですね!」と明るい顔になった。
一方で俺は「友達」という言葉を選択したことに後悔していた。いや、まぁ、友達以外に言葉が見当たらないし……間違いじゃないし……。
そうしてゴニョゴニョと心のなかでも独り言をぼやいていると、風呂上がりの子供たちが居間へ戻ってきた。
「あ、おかえりなさい」
すかさず鳥飼さんが子供たちを迎えに行く。二人の髪の毛をドライヤーで乾かす姿をぼんやり眺めてしまうと、市田くんがキッチンに入ってきて冷蔵庫から缶ビールを出した。
「はい、喜多屋さんもどうぞ。見惚れてないで」
冷たいビールを額にぶつけられる。その瞬間だった。
玄関が急に騒がしくなり、バタバタと駆け込む足音が聴こえてきた。
「春馬!? 大丈夫!?」
そう言って飛び込んできたのは、かっちりしたパンツスーツ姿のスタイル抜群な美女……髪の毛を後ろでまとめていて、いかにもバリキャリウーマンって感じだ。首には社員証がぶら下がったままである。
「春馬」という名前に覚えがない俺と鳥飼さんは、なんとなく店長を見遣った。ガバっとソファから起き上がった店長が目をまんまるにして驚く。
「紗弓……」
「はぁ……もう……心配させないでよ……」
紗弓さんが床に座り込み、頭を抱えた。その時、鳥飼さんに髪を乾かしてもらっていた子供たちが急に泣き出した。
「ママぁぁぁぁ~!」と、二人同時に泣き出し、紗弓さんの胸の中へ飛び込んでいく。なんだかんだ言って子供たちも我慢していたんだろう。しきりに泣きじゃくる双子に、紗弓さんはおろおろと周囲を見渡した。
「え、待って待って、どうしたの。あぁもう、泣かない泣かない」
子供たちを慰める紗弓さんは、ようやく俺たちの姿に気が付いた。垂れた髪の毛を耳にかけ、まず最初に市田くんを見る。
「ごめんね、市田くん。連絡もらってびっくりした。本当に、このドアホは連絡一つもしないんだから。どうせ、連絡するのもごねてたんでしょ。この人、いつもそうだから。まぁ、アタシが帰れないのも問題だけども……って、なんか見覚えある顔があるわね」
紗弓さんは旦那そっちのけで俺と鳥飼さんに気が付いた。すると、鳥飼さんが「あ!」と声を上げる。鈍い俺は数秒後に気が付いた。
「あ! 魔女!」
「やっぱり、あの時のカップルだ!」
魔女こと紗弓さんも目をまんまるにして驚いた。
合縁奇縁とはよく言うが、これほどの奇縁はなかろう。俺たちはしばらく開いた口が塞がらなかった。
「し、心臓止まるかと思いましたぁ……どこから出てきてるんですかぁ」
今にでも泣き出しそうな弱々しい声で言うので、すぐに申し訳ないなと思った。
「すみません……」
「いいです。びっくりしただけですから……まさか、お店の裏から顔を出されるとは思わなくて。店長さん、大丈夫なんですか」
すぐに話を切り替えてくれる。俺は面食らいつつ、母屋の方へ案内した。
「うーん、まぁ、大丈夫と言えば大丈夫じゃない、かもしれない。なんとかして奥さんと連絡がとれたらいいのにって思ってるとこです」
「連絡とれないんですか?」
「店長が頑なに拒否するんで、困ってます」
呆れて言えば、鳥飼さんは「はぁ」と要領を得ない様子で曖昧な返事をした。そうこうしているうちに居間まで上がる。
「店長、鳥飼さん来ました」
「ん……あぁ、すまんね。なんかいろいろと面倒をかけて」
彼女の姿が見えた途端、店長はおろおろと居住まいを正した。なんとも調子のいい人だと思う。
鳥飼さんはまたも「はぁ」と曖昧に笑い、俺を見た。躊躇いがちに手土産の紙袋を持ち上げ、咳き込む店長におずおずと差し出す。百貨店で見かけるクッキー缶だ。
「はじめまして。お噂はかねがね……あの、これ、お見舞いです」
すると、店長が俺を見た。こういう状況じゃなきゃ双方への紹介も気まずくならずに済んだだろうに。
繕うように咳払いし、なんとなくかしこまって紹介する。
「えーっと、こちらは鳥飼光美さん。俺の同級生の知り合いで、酒飲み友達です。で、こっちがサンマート店長の……そういえば、店長って名前なんていうんですか」
「内緒」
店長はそっけなく答えた。なんで自分の名前を内緒にする必要があるんだよ。
すると、玄関先が賑やかになった。バタバタと駆け込むちびっこ双子たちが押し合いへし合いしながら居間へ入ってくると同時に、市田くんが顔を出す。
「そうそう、店長って名前教えてくんないんですよー。オレも知り合って二、三年は教えてもらえなかった」
俺たちの話を聞いていたらしく、ケラケラ笑いながら言う。
「そういうもの?」
「まぁ、オレたちも店長の名前に興味なかったんで、知ろうともしなかったんですけどねぇ」
「へぇぇ」
納得したのは鳥飼さんだった。
「あ! 噂の鳥飼さんですよね! やぁ、どうもどうも、喜多屋さんの後輩の市田智です!」
すぐさま顔色をパッと華やかに輝かせる市田くんは鳥飼さんの姿を見て、しきりにテンション高く笑った。無邪気なゴールデンレトリバーみたいだ。そんなワンコ系男子さながらの彼に、鳥飼さんも朗らかな笑顔を向けて「はじめまして」とお辞儀した。おかげで店長の名前問題は有耶無耶になってしまう。
市田くんは双子の面倒を見るために一緒になっておもちゃで遊ぶし、店長はまたソファに寝転んだ。そのかたわらで、俺と鳥飼さんは揃って横に並んで座り、こそこそと話をする。
「店長と奥さん、うまくいってないみたいでね」
「あぁ、どうりで……だからこうして、みんなでお世話しにきたわけですね」
「そうなんです。奥さんに連絡したらって言っても、店長ってば全然言うこときかないし……あ、離婚してるわけじゃないんですけどね」
「うぅん……ってことは、別居中ってことですか?」
鳥飼さんが一段と密やかに訊いた。対し、俺は声のトーンを上げて店長にそのまま訊いた。
「店長、奥さんと別居中なんですか」
すると店長は面倒そうに寝返りを打った。
「だから、そんなんじゃねぇって。なんでおまえは俺の事情に首を突っ込みたがるんだよ。市田だってほっといてくれるのに」
「オレは店長と奥さんの事情に興味ないんでー」
市田くんがサラッと冷たいことを言う。店長は不機嫌そうに鼻を鳴らした。
「でも、そうじゃないなら連絡取ったほうがいいですよ」
鳥飼さんが遠慮がちに意見した。
すると、店長は「うーん」と困り果てる。俺たち男二人に対する態度とは明らかに違い、はたまた鳥飼さんを前にしては冗談もはぐらかしも通じないと悟ったのか、いくらか優しく唸っていた。
「うーん……まぁ、なんというか……紗弓が一度、病気したんだけどさ」
何を思ったのか突然始まる物語に、俺たちの間にわずかな動揺が走った。
市田くんを見ると、子供たちを抱っこしたまま遊ぶ手を止めている。やがて、彼は子供たちに「あっちで遊ぼっかー」と言い、隣の和室へ逃げた。ふすまをピシャリと閉める。そんな俺たちに構うことなく、店長はマイペースに語った。
「子供産まれてすぐだな。ちょっと体調が悪くなってさ。それはまぁ、なんていうか、育児で疲れたからなんだろうけど、まぁそんな感じで。もともと仕事人間だったこともあって、家庭にべったりだったのがキツかったんだろうなー」
声音はどうにも他人事だ。店長はため息をつき、むくりと起き上がるとペットボトルのイオン水を飲んだ。
「だからほっとくことにしたんだよ。もうあんな風に落ち込んだ紗弓を見てらんないし、あいつが元気ならそれでいいんだよ」
そう言われてしまうと、俺はたちまちバツが悪くなった。なんと返したらいいか分からなくなる。
「でもそれって、お互い元気じゃないとダメなんじゃないですか?」
そう訊いたのは鳥飼さんだった。
「奥さんが元気でも、店長さんが元気じゃないとダメです。一人で背負い込んだらつらいって、分かってるなら助けを求めるべきです……あ、ごめんなさい。知ったようなこと言って」
すぐに我に返ったらしく、彼女は慌てて手を振ったかと思うとしゅんと項垂れた。
「でも、私がもし奥さんの立場だったら、言って欲しいなって思いますよ。やっぱり言葉にしないと分からないものですから」
顔を伏せたまま苦笑して言う鳥飼さん。それに対し、店長の心は頑なだった。
「この年になるとさ、面と向かって話すのも小っ恥ずかしいわけよ」
「そうかもしれませんけど! あぁもう、ほら、喜多屋さんもなんとか言ってくださいよ!」
「うん。鳥飼さんの言う通りですよ」
俺は簡潔にきっぱり言った……が、彼女の優しい言葉にドキッとしたのは、店長だけでなく俺もそうだったのだ。便乗しただけの不甲斐ない俺に、鳥飼さんは「もう!」と不機嫌に眉をひそめた。
すると、唐突に和室のふすまがスパーンと開いた。腕まくりした市田くんがニヤリと笑いながらこちらを見る。
「分かりました。じゃあ、このオレが人肌脱ぎましょう」
「どうした急に」
驚きで挙動不審になる俺が訊く。君はこの問題に興味なかったんじゃないのか。
「いや、オレ的には店長の問題だからあえて何も言わなかったんです。でも、鳥飼さんの言葉を聞いたら考え方変わりました。店長、紗弓さんを呼び戻そう」
まったく、重たい話になった途端逃げ出したくせに調子のいいことを言う。すると、店長はようやく狼狽の色をあらわした。
「おいおい、待て待て待て。市田、考え直せ」
「いーや、ダメだ。オレだって結婚したら双子の面倒見られないくらい幸せで忙しいんだから、あとは二人でなんとかして」
そう言って、市田くんはポケットからスマートフォンを出した。「やめろおぉぉ」と嘆く店長をソファに押しやり、俺は市田くんに訊いた。
「どうするつもり?」
「簡単です。莉央さんを経由して、そこから店長の奥さんに繋ぎます。事情を説明すれば向こうも分かってくれるでしょ。ともかく、奥さんを家に呼び戻すまでが今回の作戦です」
「おぉ」
なんとも頼もしい。て言うか、最初から君が動いていればすんなり話が通ることだったのに。そんなツッコミはできず、また横で拳を握る鳥飼さんのやる気を見やれば、俺もこの作戦に前のめりになった。
「おい子供たち、母さんに会いたいかー!」
和室でゴロンと寝そべる双子に向かって市田くんが言う。このオーディエンスは店長同様にやる気も覇気もなく「えー?」と気だるげに首をかしげた。さすが店長の子供たちだ。
「ほら、店長! 子供たちも母さんに会いたいって!」
「言ってねぇだろ、捏造すんじゃねぇ」
ソファで脱力する店長が力なく怒る。それに構わず、市田くんはさっさと莉央さんにトークメッセージを送った。店長はもう抗う気力もないようで、不貞腐れて寝てしまう。
程なくして、莉央さんから返事がきた。
「お、いい感じです。莉央さんを経由して今、『every』の方で話が伝わったようです」
「『every』って、お向かいのコンビニ?」
鳥飼さんが訊く。そういえば、店長の奥さんは全国チェーン大手コンビニ「every」の元店長で、今は本社の販売経営部に属しているとか。
「紗弓さんの部下に、サンマート時代の同僚がいるんすけど、その人がうまいこと紗弓さんに伝えてくれます」
どうやら市田くんの作戦はうまくいっているらしい。この華麗な連携プレーぶりに、俺と鳥飼さんは呆気に取られた。
「なんか、手慣れてるね……」
「まぁ、店長と紗弓さんを結婚させたのって、その人とオレらが裏でコソコソ調べてくっつけたからなんですよ。いやぁ、久しぶりに〝コンビニ探偵団〟再開って感じで楽しいですねぇ」
市田くんは懐かしそうに笑うと、子供たちの頭をくしゃくしゃに撫でた。
***
曰く、十年前にも似たようなことがあったらしい。
ある夏の日、しみったれたサンマートに突如現れた真っ白ワンピースと女優帽、サングラス姿で現れた紗弓さんは、そもそも店長の幼馴染であり元カノだったのだが、大学生の頃に店長が誰にも相談せずに退学し、このサンマートで働いていることを噂で知ったのだそうだ。
このサンマートは元々、店長のお祖父さんの店だったそうで、お祖父さんが亡くなったことから店長が周囲の反対を押し切って店を継いだという。そんな彼を探しにきたのが紗弓さんで、そのことを当時のアルバイトみんなで調べて、店長と紗弓さんを取り持った──なんて短編小説みたいな物語を市田くんがかいつまんで話してくれた。
店長は耳を塞いでソファに寝転んでいたけど、子供たちをはじめ鳥飼さんや俺は興味津々で話を聞いていた。
「昔から世話が焼ける人なんですよねぇ」
莉央さんからの続報を待つ間、市田くんがため息をたっぷり吐き出しながら言った。
「そういう君もなかなかのものだったけどね」
俺は澄まして言った。すると、彼は唇をすぼめ裏声で返した。
「喜多屋さんに言われたくないですー」
「………」
反論できるはずがない。一方、鳥飼さんは聞かなかったふりをするように、すっとぼけた顔で子供たちと一緒に遊んでいる。
俺と市田くんは和室から出て、居間のちゃぶ台に移った。
「で、どうなの。奥さんは帰ってきてくれるの?」
「あ、はい。ちょうどこっちに帰ってきてるらしいけど、支社で仕事中だから……まぁ、仕事終わったら帰ってくるでしょ」
市田くんはあっけらかんと言った。
その間、俺たちは店長の指示通りに夕飯を作り、子供たちにご飯を食べさせ、風呂に入れることになった。ちなみに、風呂に入れるのは市田くんが担当する。さすが店長の家を第二の実家と言い張るだけあり、子供の面倒を見るのが上手だ。
俺と鳥飼さんもそのまま夕飯(みんなで作った甘口カレー)をごちそうになり、店長に薬を飲ませて皿洗いをしていた。二人並んで黙々と皿洗いをするのがシュールであり、俺はどうにもそわそわと落ち着かない。本当なら昨日のトークメッセージの話をしたかったのだが、きっかけがうまく作れないでいる。
「おーい、お前たち、それ終わったら晩酌に付き合え」
店長が毛布にくるまった姿でキッチンに現れた。
「おとなしく寝てください」
ピシャリと俺が言うと、店長はムッとした。まったくもってかわいくない。
「そう固いこと言うなよー。酒は百薬の長ってな」
いけしゃあしゃあと屁理屈を言う。
「万病の元でもあります。はい、寝ましょうね」
すかさずツッコミを入れると、店長は不機嫌な顔のままソファに戻った。ともすれば、子供たちよりも聞き分けが悪いぞ。途端にうちの親父を思い起こし、俺は苦々しく顔をしかめた。
「こんな中年にはなりたくないな……」
ついボソッと言うと、隣で鳥飼さんが「んぼっ」と噴き出した。
「でも、きっとシャイな人ですよね。ぶっきらぼうなのは照れ隠しなんじゃないかなー、なんて」
「まぁ……素直じゃないのは否めないけど。子供より手がかかるってどうなんだ……」
「普段甘えられないから、市田さんたちに甘えちゃうんでしょうかね。その関係もいいなぁって思いますよ、私は。本当に羨ましい……」
そう言って、彼女はわずかにアンニュイな表情を見せた。
「鳥飼さんももう俺たちと、友達でしょ」
皿を拭きながら返してみると、鳥飼さんは「そうですね!」と明るい顔になった。
一方で俺は「友達」という言葉を選択したことに後悔していた。いや、まぁ、友達以外に言葉が見当たらないし……間違いじゃないし……。
そうしてゴニョゴニョと心のなかでも独り言をぼやいていると、風呂上がりの子供たちが居間へ戻ってきた。
「あ、おかえりなさい」
すかさず鳥飼さんが子供たちを迎えに行く。二人の髪の毛をドライヤーで乾かす姿をぼんやり眺めてしまうと、市田くんがキッチンに入ってきて冷蔵庫から缶ビールを出した。
「はい、喜多屋さんもどうぞ。見惚れてないで」
冷たいビールを額にぶつけられる。その瞬間だった。
玄関が急に騒がしくなり、バタバタと駆け込む足音が聴こえてきた。
「春馬!? 大丈夫!?」
そう言って飛び込んできたのは、かっちりしたパンツスーツ姿のスタイル抜群な美女……髪の毛を後ろでまとめていて、いかにもバリキャリウーマンって感じだ。首には社員証がぶら下がったままである。
「春馬」という名前に覚えがない俺と鳥飼さんは、なんとなく店長を見遣った。ガバっとソファから起き上がった店長が目をまんまるにして驚く。
「紗弓……」
「はぁ……もう……心配させないでよ……」
紗弓さんが床に座り込み、頭を抱えた。その時、鳥飼さんに髪を乾かしてもらっていた子供たちが急に泣き出した。
「ママぁぁぁぁ~!」と、二人同時に泣き出し、紗弓さんの胸の中へ飛び込んでいく。なんだかんだ言って子供たちも我慢していたんだろう。しきりに泣きじゃくる双子に、紗弓さんはおろおろと周囲を見渡した。
「え、待って待って、どうしたの。あぁもう、泣かない泣かない」
子供たちを慰める紗弓さんは、ようやく俺たちの姿に気が付いた。垂れた髪の毛を耳にかけ、まず最初に市田くんを見る。
「ごめんね、市田くん。連絡もらってびっくりした。本当に、このドアホは連絡一つもしないんだから。どうせ、連絡するのもごねてたんでしょ。この人、いつもそうだから。まぁ、アタシが帰れないのも問題だけども……って、なんか見覚えある顔があるわね」
紗弓さんは旦那そっちのけで俺と鳥飼さんに気が付いた。すると、鳥飼さんが「あ!」と声を上げる。鈍い俺は数秒後に気が付いた。
「あ! 魔女!」
「やっぱり、あの時のカップルだ!」
魔女こと紗弓さんも目をまんまるにして驚いた。
合縁奇縁とはよく言うが、これほどの奇縁はなかろう。俺たちはしばらく開いた口が塞がらなかった。
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拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
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