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美羽ルート
ブラコン姉妹は、天使だろうか? 美羽√(16)
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――俺は、美羽を彼女にする事は出来ない。
兄者に言われた一言が、美羽の頭の中でリピート再生される。重く圧し掛かって来るようにして、心の奥で激しい痛みが走る。このまま消えたいとか、居なくなりたいと思ってしまう程の傷み。それは、もう味わいたくないと思えるモノだ。
「……兄者の、ばか」
「……」
チクタクと時計の針の音が響く中で、自分の鼓動と鼻を啜る音しか耳に入って来ない。他にもし音が入るとしたら、それは雑音としか今は思えないだろう。それ程、今の美羽は頭の中がごちゃごちゃになっている。
……そう思うのだ。
「――行ってきます」
翌朝になって、美羽は睡眠不足のまま外へと飛び出した。朝は皆で朝ご飯を食べるという恒例行事、それを今日、初めて美羽は逃げた。
悔しさのあった試合、負けそうになった試合、絶対に勝てないと言われた相手と当たった試合。
運動部なら誰にでもある光景を見てきたけれど、美羽は一度もそれから逃げた事は無い。無いつもりだ。
だから今回も、振り切って前に進めると思った。思っていたのだ。だけど……。
『……美羽ちゃんっ、走って!』
「っ!?」
ハッとして我に返って顔を上げたら、そこで美羽は陸上部の手伝いをしていた。朝練に参加しないかと聞かれて、それを笑って受け入れたのだ。だけど、駄目だ。自分の中で振り切れてない。全然駄目だ。
目の前が真っ暗で、そんな真っ黒な世界を美羽は――
「っ……うあああああああああっっ!!!!」
大声で叫びながら、真っ黒に見える世界の中を闇雲に駆けるのだった……――。
――彼女の笑顔に嘘も偽りも無い。ある事は滅多に無い。
だからこそ、ほんの少しの変化に気付ける者は少ない。運が悪ければ、その表情の癖を見抜いている人間は、本当の彼女を知らない。
『元気いっぱいで、運動が出来る女の子』
知らないからこそ、そんなレッテルを貼って奥を見抜く事が出来なくなる。だから私は、駆け出そうとした彼女に手を思い切り掴んだ。
「それ以上に闇雲に走るなら、駄目だよ。美羽」
「……み、さき?」
「お兄ちゃんと何が遭ったか。それは聞かない。大体分かるし、美羽が何に悔しがってるのかも分かる」
「分か、る……?そんな事を簡単に言わないでよっ!!美咲は良いよ!いつも自分の気持ちに素直になれるようにしてるから、器用だし、頭も良いから……でもっ、美羽はっ」
掴んだ手を思い切り払われて、彼女は私を睨んでそう言った。昨日の夜から、何が遭ったかなんて知っている。同じ家に住んでいて、同じ部屋で暮らしているのだから当然だ。でも、だから、私は彼女を放って置く事はしない。
彼女の事を幼い頃から、それこそ生まれた時から隣に居たのだ。それだけは、兄にも負ける気はしない。
兄の事は分からない事もあるけれど、私は彼女の事をたくさん知っている。
良いところも、悪いところも、苦手な事も、好きな事も、好きな人の事も……全部、全部知っている。
「美羽……私は妹だけど、お姉ちゃんにもなれるよ。美羽も同じ。だから、一人が辛いなら、二人で考えよ?いつも通り、二人で、一緒に。それが嫌なら今だけ、私の腕の中で泣いて良いよ。――泣いて、良いんだよ?」
「――っ、うぅ……っあああああああああああああああああ!!」
グラウンドの上で、トラックの途中。誰もが見た事の無い神楽坂美羽の姿。
――その泣き声が、校庭に響き渡ったのだった。
兄者に言われた一言が、美羽の頭の中でリピート再生される。重く圧し掛かって来るようにして、心の奥で激しい痛みが走る。このまま消えたいとか、居なくなりたいと思ってしまう程の傷み。それは、もう味わいたくないと思えるモノだ。
「……兄者の、ばか」
「……」
チクタクと時計の針の音が響く中で、自分の鼓動と鼻を啜る音しか耳に入って来ない。他にもし音が入るとしたら、それは雑音としか今は思えないだろう。それ程、今の美羽は頭の中がごちゃごちゃになっている。
……そう思うのだ。
「――行ってきます」
翌朝になって、美羽は睡眠不足のまま外へと飛び出した。朝は皆で朝ご飯を食べるという恒例行事、それを今日、初めて美羽は逃げた。
悔しさのあった試合、負けそうになった試合、絶対に勝てないと言われた相手と当たった試合。
運動部なら誰にでもある光景を見てきたけれど、美羽は一度もそれから逃げた事は無い。無いつもりだ。
だから今回も、振り切って前に進めると思った。思っていたのだ。だけど……。
『……美羽ちゃんっ、走って!』
「っ!?」
ハッとして我に返って顔を上げたら、そこで美羽は陸上部の手伝いをしていた。朝練に参加しないかと聞かれて、それを笑って受け入れたのだ。だけど、駄目だ。自分の中で振り切れてない。全然駄目だ。
目の前が真っ暗で、そんな真っ黒な世界を美羽は――
「っ……うあああああああああっっ!!!!」
大声で叫びながら、真っ黒に見える世界の中を闇雲に駆けるのだった……――。
――彼女の笑顔に嘘も偽りも無い。ある事は滅多に無い。
だからこそ、ほんの少しの変化に気付ける者は少ない。運が悪ければ、その表情の癖を見抜いている人間は、本当の彼女を知らない。
『元気いっぱいで、運動が出来る女の子』
知らないからこそ、そんなレッテルを貼って奥を見抜く事が出来なくなる。だから私は、駆け出そうとした彼女に手を思い切り掴んだ。
「それ以上に闇雲に走るなら、駄目だよ。美羽」
「……み、さき?」
「お兄ちゃんと何が遭ったか。それは聞かない。大体分かるし、美羽が何に悔しがってるのかも分かる」
「分か、る……?そんな事を簡単に言わないでよっ!!美咲は良いよ!いつも自分の気持ちに素直になれるようにしてるから、器用だし、頭も良いから……でもっ、美羽はっ」
掴んだ手を思い切り払われて、彼女は私を睨んでそう言った。昨日の夜から、何が遭ったかなんて知っている。同じ家に住んでいて、同じ部屋で暮らしているのだから当然だ。でも、だから、私は彼女を放って置く事はしない。
彼女の事を幼い頃から、それこそ生まれた時から隣に居たのだ。それだけは、兄にも負ける気はしない。
兄の事は分からない事もあるけれど、私は彼女の事をたくさん知っている。
良いところも、悪いところも、苦手な事も、好きな事も、好きな人の事も……全部、全部知っている。
「美羽……私は妹だけど、お姉ちゃんにもなれるよ。美羽も同じ。だから、一人が辛いなら、二人で考えよ?いつも通り、二人で、一緒に。それが嫌なら今だけ、私の腕の中で泣いて良いよ。――泣いて、良いんだよ?」
「――っ、うぅ……っあああああああああああああああああ!!」
グラウンドの上で、トラックの途中。誰もが見た事の無い神楽坂美羽の姿。
――その泣き声が、校庭に響き渡ったのだった。
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