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2日目
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「おっはよー。」
少女は昨日買ったであろうメロンパンをトーストしていた。
「メロンパン、トーストするのか?」
思わず聞いてしまった。
「いや、初めてやるけどサクサクして美味しいかなぁって。」
『チーン』という音が鳴る。
「あっ意外とイケる!サクッふわぁだ。」
少しだけ気になるが、まあどうでも良い。
「祭りといえば夜だよね。何する?」
「寝る。」
「ゲームしよう!」
「なあ、聞いてた?」
「トランプあるー?」
いつもの仕返しかガン無視された。
「大富豪しよう。ルール分かる?」
「…一応。」
お前のほうが分かるのかといった感じだが自信満々だから大丈夫なんだろう。
まさかの三連敗だった。他にも色んなゲームをしたが全部負けた。
「意外と弱いねーってわたしが強過ぎるだけかなー。」
敢えて煽るように言っているのが丸分かりだから僕も敢えて反応しない。まあ内心苛ついているけど。
「もういいだろ。」
「あっやっぱ悔しい?そうだよね、子供相手に全敗だもんね。」
こいつはどれだけ苛つかせたら気がすむんだ。
「ごめんごめん、もう良い時間だしお祭り行こう!」
僕達はテキトーに用意して外へ出た。
「りんご飴を食べてみたい!」
少女の声が暗闇に響く。
そして「お祭り行くの初めてなんだよねー」と付け足す。
いつもに増してテンションが上がっている様子だった。
りんご飴を買い、豪快に飴を噛む。
「うわぁ、飴が髪についた。ベッタベッタなんだけどー。」
「そこら辺で洗ってこいよ。」
少女は焦って近くの水道へ行った。今のうちに逃げてくれないかな、なんて思いつつぼーっと辺りを見渡していると随分活気が無くなったなと思う。昔はもっと屋台が出てたのに。
昔、妻とこの祭りに来たことがあった。そのときにはもう妻のお腹には子供が宿っていた。「この子とまた一緒に行けたらいいね」なんて話したものだ。まあ叶わぬ夢となったが。何故かどうしようもなく泣きたくなった。涙なんて出ないけど。泣けたら楽なのかもしれない。
「お待たせー。」
少女は駆け寄って来て
「ベビーカステラ食べたい!」
という。こいつ食べてばっかりじゃねーか。
「勝手にしろよ。」
もう面倒くさくなってきた。こいつにも、自分にも。 僕は流れに身を任せることにした。
「あっ、やば、口ん中パサパサだ。お茶持ってきて良かった。合わないけど。」
いつしか少女は自己完結が多くなった気がする。そっちの方が僕は楽でいい。
「ねぇ、この祭りって花火ないの?」
「ないな。」
ボソッと少女は何かを言った。
「昔はやってたらしいけど。」と付け足すと少女は納得したような顔をした。
「思ったより祭りって何も無いんだね。もう帰ろうか。」
つまんないの、そう聞こえた気がした。
人も少ないしすぐに帰えることができた。
「明日が3日目か。」
少女が口を開いた。少女と僕が一緒に過ごしてから今日で2日目になる。いつも家に引きこもっている僕からするとめまぐるしい日々だった。
「もういいからさ、最後に海に行きたい。」
いつもより静かに感じた。
いつも通りに答えるつもりだった。でも、声が出なかった。少し遅れて返事をする。
「ああ。」
「じゃあ、おやすみ。」
目の前のコーヒーに映る自分の姿はまるで闇に堕ちていくようだった。
(本当何やってんだろ?)
分からない。もしかしたら娘と重ねているのかもしれない。全部してあげたくて、出来なかったことだから。
少女は昨日買ったであろうメロンパンをトーストしていた。
「メロンパン、トーストするのか?」
思わず聞いてしまった。
「いや、初めてやるけどサクサクして美味しいかなぁって。」
『チーン』という音が鳴る。
「あっ意外とイケる!サクッふわぁだ。」
少しだけ気になるが、まあどうでも良い。
「祭りといえば夜だよね。何する?」
「寝る。」
「ゲームしよう!」
「なあ、聞いてた?」
「トランプあるー?」
いつもの仕返しかガン無視された。
「大富豪しよう。ルール分かる?」
「…一応。」
お前のほうが分かるのかといった感じだが自信満々だから大丈夫なんだろう。
まさかの三連敗だった。他にも色んなゲームをしたが全部負けた。
「意外と弱いねーってわたしが強過ぎるだけかなー。」
敢えて煽るように言っているのが丸分かりだから僕も敢えて反応しない。まあ内心苛ついているけど。
「もういいだろ。」
「あっやっぱ悔しい?そうだよね、子供相手に全敗だもんね。」
こいつはどれだけ苛つかせたら気がすむんだ。
「ごめんごめん、もう良い時間だしお祭り行こう!」
僕達はテキトーに用意して外へ出た。
「りんご飴を食べてみたい!」
少女の声が暗闇に響く。
そして「お祭り行くの初めてなんだよねー」と付け足す。
いつもに増してテンションが上がっている様子だった。
りんご飴を買い、豪快に飴を噛む。
「うわぁ、飴が髪についた。ベッタベッタなんだけどー。」
「そこら辺で洗ってこいよ。」
少女は焦って近くの水道へ行った。今のうちに逃げてくれないかな、なんて思いつつぼーっと辺りを見渡していると随分活気が無くなったなと思う。昔はもっと屋台が出てたのに。
昔、妻とこの祭りに来たことがあった。そのときにはもう妻のお腹には子供が宿っていた。「この子とまた一緒に行けたらいいね」なんて話したものだ。まあ叶わぬ夢となったが。何故かどうしようもなく泣きたくなった。涙なんて出ないけど。泣けたら楽なのかもしれない。
「お待たせー。」
少女は駆け寄って来て
「ベビーカステラ食べたい!」
という。こいつ食べてばっかりじゃねーか。
「勝手にしろよ。」
もう面倒くさくなってきた。こいつにも、自分にも。 僕は流れに身を任せることにした。
「あっ、やば、口ん中パサパサだ。お茶持ってきて良かった。合わないけど。」
いつしか少女は自己完結が多くなった気がする。そっちの方が僕は楽でいい。
「ねぇ、この祭りって花火ないの?」
「ないな。」
ボソッと少女は何かを言った。
「昔はやってたらしいけど。」と付け足すと少女は納得したような顔をした。
「思ったより祭りって何も無いんだね。もう帰ろうか。」
つまんないの、そう聞こえた気がした。
人も少ないしすぐに帰えることができた。
「明日が3日目か。」
少女が口を開いた。少女と僕が一緒に過ごしてから今日で2日目になる。いつも家に引きこもっている僕からするとめまぐるしい日々だった。
「もういいからさ、最後に海に行きたい。」
いつもより静かに感じた。
いつも通りに答えるつもりだった。でも、声が出なかった。少し遅れて返事をする。
「ああ。」
「じゃあ、おやすみ。」
目の前のコーヒーに映る自分の姿はまるで闇に堕ちていくようだった。
(本当何やってんだろ?)
分からない。もしかしたら娘と重ねているのかもしれない。全部してあげたくて、出来なかったことだから。
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