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敬愛賛美
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アルが用意したメイド三人が荷解きを手伝いにきたが、レフィは断った。豪奢な部屋に不釣り合いな持参したドレスを見られるのが恥ずかしく思ったからだ。
ひとりで旅の荷ほどきを終え、部屋で休んでいたレフィのもとにオフェレーマが扉越しに呼びに来た。
「お休みになられているところ失礼します。この後ご主人様との夕食へご案内いたしますので、レフィ様の身支度をメイドが整えさせていただきます」
「アル様と夕食……」
持って来たドレスで麗しい大公との食事に同席するのは恥ずかしい、そう考えたレフィは黙ってしまった。部屋の外から気遣うような声色でオフェレーマが尋ねた。
「……本日はお部屋でお召し上がりになられますか?」
しかし、今日を避けてもまだまだ彼の城に滞在するのだから、とレフィは思い直し返事をした。長い間、馬車に乗ってよれた裾を握りながら。
「……御一緒しますわ。あの……ドレスが皺になってしまっていて、もし余っているドレスがありましたら、お借りしたいのだけれど」
「では、メイドに持って来させます」
――この城にはアル様しか住んでいらっしゃらないと聞いたから断れるかもしれないと思ったけど、きっとお母さまのドレスを貸していただけるんだわ。
すると暫くして最初の三人のメイドが次々に装飾衣類を部屋に持って来た。
入浴を済ませるとすぐにレフィの装いに取り掛かった。
メイドの用意した光沢と繊細さのある上等なレースをふんだんにあしらわれたドレスと虹色のようにたくさんの宝石が輝く装飾品、そのどれもの精巧な美しさにレフィは目を奪われた。
「わあ素敵なドレス、宝石もこんなにたくさん」
普段見ることのない珍しい宝石から、多種多様な文様と色使いのドレスに囲まれ、一国の姫になったかのような気持ちになった。
「レフィ様、こちらから一種類の宝石をお選びください」
そこには赤、緑、紫のネックレスが並べられていた。どれも重厚な趣のある造りであった。若いレフィにはその歴史の古さを感じさせる装飾品には抵抗があった。
ーーなんて地味なネックレス。少し首にさげただけで肩が凝りそうだわ。
レフィは少しでも華やかに見えるように赤色の宝石のネックレスを選ぶ。
「そちらのネックレスはくれぐらも外すことのないように」
「ええ」
そう言って、すぐにメイドはその装飾に似合ったドレスを数着選び勧めた。
彼女たちの優雅な感性に驚き、本当にお姫様になったかのような姿を大鏡で確認して満足をその美しい顔に浮かべた。
真っ赤なドレスに鈍く光る真珠が、精力的な若さ溢れる顔立ちに洗練された大人の落ち着きを身に纏った女性へと変貌させた。地味だと思ったネックレスも、むしろ彼女の若い美しさを際立たせ全体的なバランスを整えた。
最後に纏められた金髪にパールを飾られるのを待った。
「これが、私?」
「よくお似合いで御座います」
「あなたたち素敵な腕前ね」
「お褒め頂き感謝申し上げます」
三人のメイドは部屋から下がると、代わりにオフェレーマが部屋に入って言った。
「ご主人様のところへご案内致します」
ひとりで旅の荷ほどきを終え、部屋で休んでいたレフィのもとにオフェレーマが扉越しに呼びに来た。
「お休みになられているところ失礼します。この後ご主人様との夕食へご案内いたしますので、レフィ様の身支度をメイドが整えさせていただきます」
「アル様と夕食……」
持って来たドレスで麗しい大公との食事に同席するのは恥ずかしい、そう考えたレフィは黙ってしまった。部屋の外から気遣うような声色でオフェレーマが尋ねた。
「……本日はお部屋でお召し上がりになられますか?」
しかし、今日を避けてもまだまだ彼の城に滞在するのだから、とレフィは思い直し返事をした。長い間、馬車に乗ってよれた裾を握りながら。
「……御一緒しますわ。あの……ドレスが皺になってしまっていて、もし余っているドレスがありましたら、お借りしたいのだけれど」
「では、メイドに持って来させます」
――この城にはアル様しか住んでいらっしゃらないと聞いたから断れるかもしれないと思ったけど、きっとお母さまのドレスを貸していただけるんだわ。
すると暫くして最初の三人のメイドが次々に装飾衣類を部屋に持って来た。
入浴を済ませるとすぐにレフィの装いに取り掛かった。
メイドの用意した光沢と繊細さのある上等なレースをふんだんにあしらわれたドレスと虹色のようにたくさんの宝石が輝く装飾品、そのどれもの精巧な美しさにレフィは目を奪われた。
「わあ素敵なドレス、宝石もこんなにたくさん」
普段見ることのない珍しい宝石から、多種多様な文様と色使いのドレスに囲まれ、一国の姫になったかのような気持ちになった。
「レフィ様、こちらから一種類の宝石をお選びください」
そこには赤、緑、紫のネックレスが並べられていた。どれも重厚な趣のある造りであった。若いレフィにはその歴史の古さを感じさせる装飾品には抵抗があった。
ーーなんて地味なネックレス。少し首にさげただけで肩が凝りそうだわ。
レフィは少しでも華やかに見えるように赤色の宝石のネックレスを選ぶ。
「そちらのネックレスはくれぐらも外すことのないように」
「ええ」
そう言って、すぐにメイドはその装飾に似合ったドレスを数着選び勧めた。
彼女たちの優雅な感性に驚き、本当にお姫様になったかのような姿を大鏡で確認して満足をその美しい顔に浮かべた。
真っ赤なドレスに鈍く光る真珠が、精力的な若さ溢れる顔立ちに洗練された大人の落ち着きを身に纏った女性へと変貌させた。地味だと思ったネックレスも、むしろ彼女の若い美しさを際立たせ全体的なバランスを整えた。
最後に纏められた金髪にパールを飾られるのを待った。
「これが、私?」
「よくお似合いで御座います」
「あなたたち素敵な腕前ね」
「お褒め頂き感謝申し上げます」
三人のメイドは部屋から下がると、代わりにオフェレーマが部屋に入って言った。
「ご主人様のところへご案内致します」
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