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キラキラ
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小さい頃は特撮ヒーローになりたかった。画面の中で活躍する彼らは眩しく、ひと際輝いて見えていたんだ。画面の中からこちらを照らす太陽のように。彼らを見る少年の目も同様にキラキラと希望を見つめていた。
それが今はどうだ?
死んだ魚の目。
よく人に言われる言葉だ。
空虚で中身がない。
まさに俺の人生のことだ。
人に流されて人と同じことを漫然とコピーしてペーストするだけの模造品に何を
って、あぁダメダメダメ。こんな事考えてボーッとしてたら終わんない。部活を引退して一息つけるかと思っていたのに、高校生ってのはイベントに事欠かないようだ。
「とりあえず皆と同じとこ書いとくか。」
手元の紙にまたペーストして提出する。
「兄ちゃん今日は早いね!一緒に仮免ライダー観ようよ!」
「兄ちゃん今日からは早く帰ってこれるんだぞー。......昨日言った気がするなぁ。」
家に着くなりテキトーに鞄を置いて弟の為にアラザンプライム(通称アラプラ)を起動した。
そう。今日からは夜遅くまでの部活なんてないのだ。なんと気楽な事か。それなりに辛かったし、サボって皆でパクドナルドに行ったこともあった。バレて怒られた時は辞めてやろうかとも思った。それでもやっぱり皆でやる野球は楽しかったし、ヒットを打ったら嬉しかった。勝った時なんかは最高の気分だった。あんなにサボりたかった筈なのに、いざ無くなってみると寂しいもんだ。結局、全国に行くなんてイベントは無くて、一昨日は一勝一敗。それで俺の野球は終わったんだ。
そこそこの熱量でまあまあ楽しめたからいいか。なんて、ひと通りテンプレートなセンチメンタルに浸った辺りで、ふと画面に目をやる。どうやら1話は完全に見逃したようだ。
「どうしよう、負けそうだよ!兄ちゃん!」
「負けないように応援してあげたらいいんじゃないか?がんばれーって。」
相槌とほぼ同時に叫び声が聞こえる。そこまでの声量とは言ってな......まぁいいか。絶叫を受けて平たい世界の仮面の男は怪物に必殺技を放っていた。2話にして早くも辛勝のようだ。大丈夫かコイツ。団欒ムードの中、イケメンがなんか格好のいい事を言っている。CMもないしOPもEDも飛ばしているから、その雰囲気のまま次の話を続けて観る。
こうして特撮アニメを観るのはかなり久しぶりだな。小学生の時とは視点が変わるというか、抱く感想が随分と変わったような気がする。
最近のCG技術は凄いなとか、この女優さん可愛いなとか、流石に今はベルトに惹かれないなとか。そんな中でも俺の目を引くものがあった。
アクションシーンだ。
正確に言うとアクションを行っているスーツアクターだ。動きにキレがあって、躍動感があって、なんていうか、カッコいい。
そう、カッコいいんだ。主役の俳優なんかよりも。所詮イケメン俳優の代役、中身なんて誰も気にしていない様なコピペの様な存在に惹かれたのだ。むしろ、代役(コピペ)だからこそ惹かれたのだ。
気が付いたら数時間経っていた。もう寝る時間だと怒られてしまった。しぶしぶ横になりまぶたの裏を見つめ、その日は眠った。
翌日、俺は朝から職員室に向かった。
「先生!進路希望調査、書き直していいですか!?」
書き直された紙と俺の顔を交互に見ながら大人が俺に聞いてきた。
「お前なぁ、急にやる気になったと思ったら。これ本気かぁ?」
俺の心はしぶしぶ入った布団の中で既に決まっていて、頷くと同時に大きな返事が職員室に響き渡った。
時は流れて数年後、今日は高校の同窓会にて。
「ひっっっさし振りじゃん!あれ?でも他の奴らは太ってたり多少変わってんのに、お前は変わんねぇな!久しぶりな感じがしねぇや!」
「もしかしたら画面の中の俺と毎週会ってるのかもな。」
「え?ってことは、なれたのか?」
「ああ、月(コピペ)にな。」
それが今はどうだ?
死んだ魚の目。
よく人に言われる言葉だ。
空虚で中身がない。
まさに俺の人生のことだ。
人に流されて人と同じことを漫然とコピーしてペーストするだけの模造品に何を
って、あぁダメダメダメ。こんな事考えてボーッとしてたら終わんない。部活を引退して一息つけるかと思っていたのに、高校生ってのはイベントに事欠かないようだ。
「とりあえず皆と同じとこ書いとくか。」
手元の紙にまたペーストして提出する。
「兄ちゃん今日は早いね!一緒に仮免ライダー観ようよ!」
「兄ちゃん今日からは早く帰ってこれるんだぞー。......昨日言った気がするなぁ。」
家に着くなりテキトーに鞄を置いて弟の為にアラザンプライム(通称アラプラ)を起動した。
そう。今日からは夜遅くまでの部活なんてないのだ。なんと気楽な事か。それなりに辛かったし、サボって皆でパクドナルドに行ったこともあった。バレて怒られた時は辞めてやろうかとも思った。それでもやっぱり皆でやる野球は楽しかったし、ヒットを打ったら嬉しかった。勝った時なんかは最高の気分だった。あんなにサボりたかった筈なのに、いざ無くなってみると寂しいもんだ。結局、全国に行くなんてイベントは無くて、一昨日は一勝一敗。それで俺の野球は終わったんだ。
そこそこの熱量でまあまあ楽しめたからいいか。なんて、ひと通りテンプレートなセンチメンタルに浸った辺りで、ふと画面に目をやる。どうやら1話は完全に見逃したようだ。
「どうしよう、負けそうだよ!兄ちゃん!」
「負けないように応援してあげたらいいんじゃないか?がんばれーって。」
相槌とほぼ同時に叫び声が聞こえる。そこまでの声量とは言ってな......まぁいいか。絶叫を受けて平たい世界の仮面の男は怪物に必殺技を放っていた。2話にして早くも辛勝のようだ。大丈夫かコイツ。団欒ムードの中、イケメンがなんか格好のいい事を言っている。CMもないしOPもEDも飛ばしているから、その雰囲気のまま次の話を続けて観る。
こうして特撮アニメを観るのはかなり久しぶりだな。小学生の時とは視点が変わるというか、抱く感想が随分と変わったような気がする。
最近のCG技術は凄いなとか、この女優さん可愛いなとか、流石に今はベルトに惹かれないなとか。そんな中でも俺の目を引くものがあった。
アクションシーンだ。
正確に言うとアクションを行っているスーツアクターだ。動きにキレがあって、躍動感があって、なんていうか、カッコいい。
そう、カッコいいんだ。主役の俳優なんかよりも。所詮イケメン俳優の代役、中身なんて誰も気にしていない様なコピペの様な存在に惹かれたのだ。むしろ、代役(コピペ)だからこそ惹かれたのだ。
気が付いたら数時間経っていた。もう寝る時間だと怒られてしまった。しぶしぶ横になりまぶたの裏を見つめ、その日は眠った。
翌日、俺は朝から職員室に向かった。
「先生!進路希望調査、書き直していいですか!?」
書き直された紙と俺の顔を交互に見ながら大人が俺に聞いてきた。
「お前なぁ、急にやる気になったと思ったら。これ本気かぁ?」
俺の心はしぶしぶ入った布団の中で既に決まっていて、頷くと同時に大きな返事が職員室に響き渡った。
時は流れて数年後、今日は高校の同窓会にて。
「ひっっっさし振りじゃん!あれ?でも他の奴らは太ってたり多少変わってんのに、お前は変わんねぇな!久しぶりな感じがしねぇや!」
「もしかしたら画面の中の俺と毎週会ってるのかもな。」
「え?ってことは、なれたのか?」
「ああ、月(コピペ)にな。」
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