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第2話、新境地
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思わぬ再会にそれぞれ紹介しながら歩いていると彩音と緋香琉の思い出話を沙織とクロスは関心を持ちながら聞いていた。
「東京すっごいよなあ。ゲームセンターがいっぱいあるし」
「そう? 大阪や名古屋もありそうなものだけど」
「ある所にはあるけど……って感じだよなあ?」
と緋香琉が彩音に同意を求めると彩音は息を吐き自らの故郷を話し始めた。
名古屋出身と一概に言えど、彩音が住んでいた場所は僻地なのだとか。電車も頻繁には通らない、大勢がイメージする都市とはかけ離れた場所で近くにそれらの遊戯施設も無かったと呆れたように語っていく。
「三人はこの近くに住んでるの?」
「まあ、学校から近いほうがいいしなー。近くのアパート借りてクロスと住んでるよ。ウチらはウチらだけで来たけど……彩音は一人暮らしか?」
「まあ、そうと言えばそうだし、違うと言えば違うし……」
「?」
「ほら、サアラってロボットがいたでしょ。一通りの家事が出来るからお父さんが連れてけって。まあ、都会で一人暮らしさせたくなかったんだろうねえ」
「えっ、ロボットって何?」
「あぁ、確か彩音の父さんって機械いじりが趣味でさ、人型ロボット作ってんだ。へえ、私も微かに記憶があるけどあのロボットがまだ……」
やがて沙織と駅で別れ、緋香琉とクロスとも別れると彩音は帰路を歩いていた。しかし記憶力はいい彩音だが方向音痴の為見慣れぬ地の中目的地に向かうのも一苦労である。
(まさか……あいつがいるなんて)
家に無事到着し、ベッドに身を投げると天井を見上げ絶望というより茫然とした表情で心に呟いた。
学校生活二日目。
静けさに満ちていた教室も少しだけにぎわい始め、まだ少し迷いながら登校していると視界に映った姿は彩音の姿を見るなり駆け寄った。
「彩音、おはよ!」
「え」
その姿と言葉に思考が止まると沙織はきょとんとした様子で
「どうしたの?」
「え、あ、いや……おはよう」
カバンを机に置くと黒板に書かれた日直の名前を見て口を閉じる。
昨日一日であまりにも大きな事が起きすぎて実は気のせいだったんじゃないかと、夢ではないかと微かに思ったりもしたがそれは夢ではなく全て現実だと思い知らされる。
「東京のことなら任せて。なにか知りたい事があったら言って? 欲しいものとか病院とか、それなりには分かると思うから」
「そりゃどうも」
その時、視界外から聞こえた声に沙織は振り返り
「沙織、おはよー」
「おはよー」
「……」
何気ない挨拶だが、そのやりとりに彩音は黙り込むと僅かに視線を伏せ俯いた。
鈴木沙織。
一見この日本という国の中で何ら違和感ない見た目をした少女だが、とある国外にて出会った彼女は全属性の魔法が扱えるという優秀な魔法使いだった。
当時は互いに日本人がこんな遠く離れた大陸にいることに驚き、ある野望を企む存在から人々を守る為に共闘した仲である。
軽い身のこなしと言動、自由さを持ちながら明るく都会人と知り納得出来てしまう雰囲気を持っていた。そしてまだ一日しか経っていない教室内でも男女問わず挨拶を交わし、談笑する姿に誰とでも仲好くなれるタイプだとかつてより感じていた雰囲気を確信した。
当時は日本人であり、近い年と思われる共通点に旅好きも重なって親近感を持ったものの、見るたびに違う人物達と言葉を交わす交流の広さはハッキリ言って自分が苦手なタイプである。
「ねえ伊藤君。気になったんだけど彩音と仲悪いの? 中学の同級生って言ってたけど……」
そんな中、沙織は彩音から離れ席にいた伊藤青空に話しかけていた。その問いに青空は困ったように後頭部に手を当てながら答え
「別に悪くは無いはず。ただ中学の時同じクラスになった事があるってだけでそこまで仲が良かった訳でもないけどな……」
「あれ、そうなんだ?」
「たまに話した程度だけどな。ただ、上田はどうやら小学校から見知ってるそうで、何だか仲良さげじゃないような事を言ってたなあ」
「ふーん? なんでとかは知らないの?」
知らないと答えたその時、タイミングよく翔太が教室に入ってきた。
青空の後ろが翔太の席で、自席に向かっていた翔太に青空が声をかけると翔太は青空と会話していた沙織の姿に気づく。
「おっす」
「おう。……お前は確か……」
「鈴木沙織。名古屋出身なのに顔見知りが三人も同じ東京の学校に来るなんて珍しいね? 伊藤君は野球部の推薦で来たって聞いたけど上田君は……」
「俺は普通の推薦で来たからな。伊藤のように何か立派な目的があって来た訳じゃないし、あいつがここに来た事も知らなかった」
やがて昼休み、彩音の元にやって来た沙織は彩音を連れ出し階段を登っていく。
扉を抜けると目の前に見えるのは町一帯が見渡せる広大な景色、そして見上げれば晴天と言える空。そこは屋上だった。
「私の通った学校は小学校も中学校も危険だからって立ち入り禁止だったんだよ。この学校無駄に広いし、中庭もあったよね」
「確かに購買も食堂も中学には無かったなあ。流石は高校」
と屋上で合流した緋香琉も感心するように頷いており、学校そのものに縁のなかったクロスは目に入るもの全てに呆然とした様子でいた。
輝かせた彩音と緋香琉の前で沙織は疑問符を浮かべながら
「そんなに珍しいかな」
「珍しい、というよりロマン!」
「屋上で弁当とか焼きそばパン争奪戦とか、漫画で夢見た光景そのものじゃないか? こんなものを普通と思ってる沙織の感覚よ……」
「ええ……?」
当然のように沙織が緋香琉やクロスと打ち解けるのにも時間はそうかからず、緋香琉も元々は打ち解けやすい性格だから尚更早かっただろう。多くの生徒が集まるこの学校は総生徒数も多く、彩音の中学の数倍は軽く行く。故に敷地も広大なのだ。
「現実屋上って人がいっぱいだと思ったけど……」
「彩音えええ! クロスがいじめるー!」
翌日、突然教室にかけ込んできた緋香琉に驚くと後から遅れてクロスが歩いてきて、彩音を前にため息をつきながら事の理由を口にした。
「この間の漢字テストが返ってきたのだけれど……緋香琉の点数がひどくて。まさか私よりも低いなんて驚くわ……」
「勉強は無理なんだってー!」
日はあっという間に過ぎ、教室内の授業では慣れた様子で黒板に書かれた文字をノート写していたその時どこからか悲鳴のような叫び声が聞こえた。
「きゃあああああ!」
「なんだ?」
その声にチョークを持っていた先生の手も止まり、教室内にいた生徒達もざわつき始める。
「なんだあれ!?」
それから間もなく、生徒の一人が窓の外を見ながら叫ぶとつられるように生徒達が外へ視線を向け、彩音も窓の外を見るとそこにはこの世界にとって『あり得ない』ものが映っていた。
目に映る姿に唖然としていると校内放送が流れ出す。
『全校生徒及び職員に連絡。ただいま校庭にて魔物が現れたとのこと。校舎内にいる生徒は教室から動かぬよう、校外にいる者は速やかに校内へ移動してください』
繰り返されるアナウンスに唖然とした。
この世界において魔法やモンスターはゲームにおける世界観であり架空のもの。
それがこの国に生きる人間の認識である。
世界を広げれば魔法も魔物も存在し、彩音は日本に戻るまで様々な世界を旅した事がありその中で魔物と戦った事もあるがそれらは全て日本から遠く離れた外の世界での話。
日本でそんな話は聞いたこともないし、日本にとってこれらの生物とそれを倒す存在はファンタジーと分類される……架空の系統のはずなのだ。
(どういうこと……? なんでこんなところに魔物が?)
教室内の生徒達が青ざめ、言葉を失う中彩音は尽きぬ疑問を思い浮かべていた。
そして再び視界に魔物と呼ばれる存在を映すと魔物は正面門校庭に佇み、暴れたり物を破壊している様子はなくともここからどう動くかは一切分からない。
もし、あれが本物で破壊行動に移る可能性があるのならあの存在を倒さなければならず、その術を彩音は持っている。彩音もまた沙織と同じく魔法が使えるのだ。
握っていた手に力が入り、倒さななければと脳は信号を送ってもいる。
(倒さないと。けど……)
だが信号とは裏腹にこの中から行動に移す事が出来なかった。
それは目に映る魔物と戦う事が怖いからじゃない。
魔物が架空のもののように剣や魔法ですら現代の日本において現実味のないもので、それらを使い倒す術を持つなど有り得ない話なのだ。
脳内に過去の記憶が一瞬蘇り行動を躊躇させる。
(もし、あんな力が使えるって知られたら……)
その時、誰かが立ちあがる音がし振り返ると沙織が立ち上がった音で、室内の生徒達は彼女へ視線を集中させる。
だが視線を向けて間もなく、生徒達の視線に目もくれず彼女は扉から出ていき彩音は目を丸くした。
それから僅か数分後、窓の外に見えた魔物は無数の黒い光線によって貫かれ姿は消えていった。
そしてそれは沙織の魔法によって倒されたのだとかつて彼女と共に戦った彩音はすぐに分かった。
魔物消滅のアナウンスが流れ授業が終わった後、彩音の元に緋香琉とクロスがやってくると先程の放送の真偽を確かめに問いかけた。
「さっきの放送、あれマジだったのか? うちら音楽室にいたから見えなかったんだけど」
「本当だよ。校庭にカバみたいな魔物が……ねえ沙織」
「ん?」
彩音は隣にいた人物に声をかけると帰ってきた返事はいつもと変わらぬ、よく知る軽い声である。
だが彩音自身も内心は困惑しており、信じられない様子で投げかける。
「あれ……なに? なんで日本にあんなものが出てきてんの?」
「知らないよ。とはいえ、ここ最近日本に魔物が出るようになったのは確かだけどね」
「ここ最近って……」
日本に戻り間もなく、彩音と緋香琉、クロスは沙織から聞かされた話に驚愕していた。
少し前から出没しているそうで、初めて目撃情報があったのは約一年前。
既に何度かニュースにもなっているようで時には町が襲われたり学校が襲われ、政府の指針で急遽都心を中心に避難経路となる地下道が通っているのだとか。
主に出現するのは都内だが原因は不明で、そもそも日本人がこの手に通ずる者がいる訳でもなく今でこそ政府の対応が行き届き始めているが目撃が相次いだ初めの頃は混乱状態にあったと言う。
「まさか日本にも魔物が出るとはなあ」
「というか、アレ使って大丈夫だったの?」
「アレ?」
彩音の問いに緋香琉が首を傾げ、周りに聞こえないようにそれを口にする。
「魔法だよ。日本人にとって魔法って存在しないはずのものでしょ」
「んー……まあね。でも案外そんな事もないよ? 特に最近はね」
その声に顔を上げると沙織は考えながら彼女らに説明し始めた。
彩音達も知っての通り、外国にいけば魔法も魔物も武器も当たり前の存在であり魔法学校なんかも存在する。
そして全国的には知名度はまだないものの、彼女らの知らぬうちに日本ではある現象が生まれつつあるというのだ。
「確かにまだ少数派だし珍しいし知らないのも無理ないかも。私達は外国で身につけた身だけど、そうでなくてもそういう能力を持つ人間が見つかってるんだよ」
「へ……?」
「日本各地に少数だけど、そういう『特別な力』を持つ人達がいてね。魔法を習った訳でもないけど魔法みたいなものが使えたり戦う術を持ったり。いわゆる超能力者みたいな括りだけど」
何らかの理由で突如能力に目覚める日本人。次第に発見数が多くなるにつれ政府がその者達をこう名付けた。
『異能者』と――
しかし、超能力者と同じくまだごく一部の人間にしか発覚せず、その理由も経緯も不明の為謎が多く国内の認知度は都市部ほどない。
「まあだから、珍しいと言えば珍しいけどそこまで必死に隠すものでもないかな。超能力者なの? すごーい! くらいで済むと思うよ?」
「そう、なのか……?」
「魔物が存在しないはずのこの国に突然魔物が出た……。その理由は分からないのよね?」
クロスの問いに沙織は頷き、自身もニュースで見聞きした程度の知識しかないと言う。
だが、魔物が現れたという話に彼女らは共通して同じ事を思っており、真っ先に緋香琉が口に出す。
「つまり、私達の出番かな?」
「ちょ、ちょっとまってよ。魔法は今の話でともかく、剣とか槍とか出したらそれ銃刀法違反に引っかかるんじゃないの……?」
「えっ……」
おそるおそる彩音が口に出すと気づいたように緋香琉は反応しながら表情を変えるが、少し考えながら
「……大丈夫じゃないか? アニメだって敵に襲われながらバンバン武器出して戦ってるけど何も起きないだろ?」
「それはあくまでアニメだからそこまで表記してないだけで普通アウトでしょ。日本に戻って来て早々捕まりたくないよ」
「言われてみれば……沙織、どうなんだ?」
緋香琉の問いに考えるような素振りを見せながら
「うーん……まあ、大丈夫なんじゃない?」
「自分が使わないからってそんな適当な」
「そう聞かれると私にも分からないなー……。ただ、異能者の話だけど魔法みたいとは言ったけど種類はホント色々なんだよね。魔法のようなものを使って戦う異能者もいれば、身近なものを変化させる事が出来る異能者もいるって聞くし」
中には地味な能力だったり犯罪を起こせてしまいそうな能力を持ったり強さも大きさも様々だとか。
「ほら、例えば氷の剣を生成したり……そんな異能者がいるかもしれないじゃない? だから大丈夫じゃないかなーって」
「私達の武器は普段は姿を消してる訳だし、戦う時だけ出すからよっぽど平気じゃないかしら。それに……魔物から町や人々を守る為に使うのなら平気な気がするけれど……」
「とにかく、異能者がいるって言っても慣れてるのはほぼ私たちだけみたいなもんだし、ここは私たちが戦わないとな!」
「緋香琉、なんでそんなにノリノリなのさ」
彩音の問いに緋香琉は誇らしげに答える。
「だってこんなのあの時以来だし、なんだか悪の組織から世界を守る正義のヒーローって感じで燃えないか?」
「ええと……さっきから気になってたんだけど……彩音は知ってたけど二人も戦えるの?」
そこに沙織が口を挟み、疑問符を浮かべていた様子に彩音は把握すると納得しながら口を開いた。
彩音と緋香琉、クロスはとある共通点を持ち、そのきっかけとなるある一件の中で出会い共闘した仲なのだと。
沙織が首を傾げる中彩音は言葉を続け
「まあ、私と緋香琉は元々昔馴染みと言うかそんな感じだったんだけど、すぐ別れちゃったからね。けど数年前に偶然再会したんだよね」
「そうそう」
「数年前って言うと……?」
「沙織と会う少し前かな。脅威となる存在が現れて、それを知ったユニコネが倒すはずだったんだけど……」
ユニコネとは『ユニバーサル・コネクト』の略称であり、日本に戻る前彩音がいた組織の名前である。
世界中から名を馳せた強者達が集い、星規模で起きる様々な脅威から世界を守る為に結成された国際組織である。
その中で彩音は創設者との縁から戦闘者ではなく、補助的な役割として組織の一員としていたのだ。
「その敵の黒幕がさ、特別な力を持つ者じゃないと倒せなくてユニコネのメンバーじゃ手も足も出なかったわけ。その力っていうのは……エリアの加護を受けし守護者の力」
「エリアの加護? ……守護者?」
彩音、緋香琉、クロスの共通点。
それは同一人物から力を得た事であり同じ使命を受けたこと。
そしてエリアとは、この世を始め全ての世界を管理し統べる者。最上位の神である。
そんな最上位の神から加護と力を与えられた彼女らは『守護者』として使命を受けその脅威を退けたのだという。
「え、何それ、どこのゲームの話?」
「ざーんねんながらリアルなんだなあこれが」
と冗談交じりに確認する沙織に対して緋香琉が返す。
「つまり彩音も……?」
「そう。私は『勇気の守護者』なんて呼ばれてるけど。ちなみに沙織とは緋香琉との一件の後に会ったんだよね」
日本人は黒髪。
土地柄の問題もあったかもしれないが彩音が離れていた間に日本の常識は変わりつつあった。それは沙織の茶髪は染めたものでなく、地毛だという話から知る事になる。
異能者のように、それ以上に国際化と何らかの変化あってか黒髪以外の地毛を持つ日本人も増えているという。
確かに入学式やクラスメイトの中でも黒以外の髪色の生徒もちらほらおり、黒が珍しいのではないかのいう程の比率。
日本人は皆黒髪であるという固定概念を持っていた彩音にとって当初は皆染めてるかこれが東京ならではの在り方なのだと思っていたほどだ。
「まあ、中には染めてる人もいるだろうけどねー。今も多くは地毛が黒髪とは思うけど、確かに減ってきているのかも」
「ハーフとか?」
「そうとは限らないんじゃない? 突然変異だとか言われた時期もあったけど、多数派になりつつあるからもう普通みたいな感じになってるし」
初めは見慣れぬ部屋の構造に違和感を感じていたが見慣れてきて、東京に来てから一週間以上が経とうとしていた。
スマートフォンが点滅しながら鳴り父の名が表示されている。
ボタンを押し電話に出ると変わらぬ父の声が聞こえてくる。
あれこれ聞いてくる父に鬱陶しさを感じながらも何人かの顔見知りに会ったことを話し、中でも緋香琉は父も見知っているはず、と
「小学校の時に仲の良かった緋香琉がいた。二年の時に大阪に引っ越したから覚えてないかもしれないけど」
『ひょっとして仲の良かったあの? 凄い偶然じゃないか!』
「クラスは違うけど。で、それを聞きに来たの?」
『あぁ、それもあるんだが……。実は彩音に話があってな。もっと早く言うべきだったんだろうが……』
どこか歯切れの悪い言葉に疑問符を浮かべると、父はある人物がここへ向かっているのだと話した。
更なる詳細を求めれど、その瞬間父の歯切れが悪くなり中々答えない。
『少し前に東京に入ったと聞いたから、もうそろそろそこに着くはずなんだ。で、父さんもそっちに向かってるからさ』
「何それ、仕事関係の人?」
『いや、そうではないんだが……』
「……何なのさ一体」
『うーん……おそらく彼の方が早く着くだろうから、詳しい事は彼に聞いてくれ。ただし、暴れたりしないでくれよ』
「は、暴れるって何……?」
電話は切れ、結局誰かがここへ向かっていることしか分からず隣で疑問符を浮かべたサアラに何か知らないか問いかけれど首を横に振る。
そしてその時、インターホンの音が鳴り二人の視線は玄関に向かう扉へと向けられた。
「東京すっごいよなあ。ゲームセンターがいっぱいあるし」
「そう? 大阪や名古屋もありそうなものだけど」
「ある所にはあるけど……って感じだよなあ?」
と緋香琉が彩音に同意を求めると彩音は息を吐き自らの故郷を話し始めた。
名古屋出身と一概に言えど、彩音が住んでいた場所は僻地なのだとか。電車も頻繁には通らない、大勢がイメージする都市とはかけ離れた場所で近くにそれらの遊戯施設も無かったと呆れたように語っていく。
「三人はこの近くに住んでるの?」
「まあ、学校から近いほうがいいしなー。近くのアパート借りてクロスと住んでるよ。ウチらはウチらだけで来たけど……彩音は一人暮らしか?」
「まあ、そうと言えばそうだし、違うと言えば違うし……」
「?」
「ほら、サアラってロボットがいたでしょ。一通りの家事が出来るからお父さんが連れてけって。まあ、都会で一人暮らしさせたくなかったんだろうねえ」
「えっ、ロボットって何?」
「あぁ、確か彩音の父さんって機械いじりが趣味でさ、人型ロボット作ってんだ。へえ、私も微かに記憶があるけどあのロボットがまだ……」
やがて沙織と駅で別れ、緋香琉とクロスとも別れると彩音は帰路を歩いていた。しかし記憶力はいい彩音だが方向音痴の為見慣れぬ地の中目的地に向かうのも一苦労である。
(まさか……あいつがいるなんて)
家に無事到着し、ベッドに身を投げると天井を見上げ絶望というより茫然とした表情で心に呟いた。
学校生活二日目。
静けさに満ちていた教室も少しだけにぎわい始め、まだ少し迷いながら登校していると視界に映った姿は彩音の姿を見るなり駆け寄った。
「彩音、おはよ!」
「え」
その姿と言葉に思考が止まると沙織はきょとんとした様子で
「どうしたの?」
「え、あ、いや……おはよう」
カバンを机に置くと黒板に書かれた日直の名前を見て口を閉じる。
昨日一日であまりにも大きな事が起きすぎて実は気のせいだったんじゃないかと、夢ではないかと微かに思ったりもしたがそれは夢ではなく全て現実だと思い知らされる。
「東京のことなら任せて。なにか知りたい事があったら言って? 欲しいものとか病院とか、それなりには分かると思うから」
「そりゃどうも」
その時、視界外から聞こえた声に沙織は振り返り
「沙織、おはよー」
「おはよー」
「……」
何気ない挨拶だが、そのやりとりに彩音は黙り込むと僅かに視線を伏せ俯いた。
鈴木沙織。
一見この日本という国の中で何ら違和感ない見た目をした少女だが、とある国外にて出会った彼女は全属性の魔法が扱えるという優秀な魔法使いだった。
当時は互いに日本人がこんな遠く離れた大陸にいることに驚き、ある野望を企む存在から人々を守る為に共闘した仲である。
軽い身のこなしと言動、自由さを持ちながら明るく都会人と知り納得出来てしまう雰囲気を持っていた。そしてまだ一日しか経っていない教室内でも男女問わず挨拶を交わし、談笑する姿に誰とでも仲好くなれるタイプだとかつてより感じていた雰囲気を確信した。
当時は日本人であり、近い年と思われる共通点に旅好きも重なって親近感を持ったものの、見るたびに違う人物達と言葉を交わす交流の広さはハッキリ言って自分が苦手なタイプである。
「ねえ伊藤君。気になったんだけど彩音と仲悪いの? 中学の同級生って言ってたけど……」
そんな中、沙織は彩音から離れ席にいた伊藤青空に話しかけていた。その問いに青空は困ったように後頭部に手を当てながら答え
「別に悪くは無いはず。ただ中学の時同じクラスになった事があるってだけでそこまで仲が良かった訳でもないけどな……」
「あれ、そうなんだ?」
「たまに話した程度だけどな。ただ、上田はどうやら小学校から見知ってるそうで、何だか仲良さげじゃないような事を言ってたなあ」
「ふーん? なんでとかは知らないの?」
知らないと答えたその時、タイミングよく翔太が教室に入ってきた。
青空の後ろが翔太の席で、自席に向かっていた翔太に青空が声をかけると翔太は青空と会話していた沙織の姿に気づく。
「おっす」
「おう。……お前は確か……」
「鈴木沙織。名古屋出身なのに顔見知りが三人も同じ東京の学校に来るなんて珍しいね? 伊藤君は野球部の推薦で来たって聞いたけど上田君は……」
「俺は普通の推薦で来たからな。伊藤のように何か立派な目的があって来た訳じゃないし、あいつがここに来た事も知らなかった」
やがて昼休み、彩音の元にやって来た沙織は彩音を連れ出し階段を登っていく。
扉を抜けると目の前に見えるのは町一帯が見渡せる広大な景色、そして見上げれば晴天と言える空。そこは屋上だった。
「私の通った学校は小学校も中学校も危険だからって立ち入り禁止だったんだよ。この学校無駄に広いし、中庭もあったよね」
「確かに購買も食堂も中学には無かったなあ。流石は高校」
と屋上で合流した緋香琉も感心するように頷いており、学校そのものに縁のなかったクロスは目に入るもの全てに呆然とした様子でいた。
輝かせた彩音と緋香琉の前で沙織は疑問符を浮かべながら
「そんなに珍しいかな」
「珍しい、というよりロマン!」
「屋上で弁当とか焼きそばパン争奪戦とか、漫画で夢見た光景そのものじゃないか? こんなものを普通と思ってる沙織の感覚よ……」
「ええ……?」
当然のように沙織が緋香琉やクロスと打ち解けるのにも時間はそうかからず、緋香琉も元々は打ち解けやすい性格だから尚更早かっただろう。多くの生徒が集まるこの学校は総生徒数も多く、彩音の中学の数倍は軽く行く。故に敷地も広大なのだ。
「現実屋上って人がいっぱいだと思ったけど……」
「彩音えええ! クロスがいじめるー!」
翌日、突然教室にかけ込んできた緋香琉に驚くと後から遅れてクロスが歩いてきて、彩音を前にため息をつきながら事の理由を口にした。
「この間の漢字テストが返ってきたのだけれど……緋香琉の点数がひどくて。まさか私よりも低いなんて驚くわ……」
「勉強は無理なんだってー!」
日はあっという間に過ぎ、教室内の授業では慣れた様子で黒板に書かれた文字をノート写していたその時どこからか悲鳴のような叫び声が聞こえた。
「きゃあああああ!」
「なんだ?」
その声にチョークを持っていた先生の手も止まり、教室内にいた生徒達もざわつき始める。
「なんだあれ!?」
それから間もなく、生徒の一人が窓の外を見ながら叫ぶとつられるように生徒達が外へ視線を向け、彩音も窓の外を見るとそこにはこの世界にとって『あり得ない』ものが映っていた。
目に映る姿に唖然としていると校内放送が流れ出す。
『全校生徒及び職員に連絡。ただいま校庭にて魔物が現れたとのこと。校舎内にいる生徒は教室から動かぬよう、校外にいる者は速やかに校内へ移動してください』
繰り返されるアナウンスに唖然とした。
この世界において魔法やモンスターはゲームにおける世界観であり架空のもの。
それがこの国に生きる人間の認識である。
世界を広げれば魔法も魔物も存在し、彩音は日本に戻るまで様々な世界を旅した事がありその中で魔物と戦った事もあるがそれらは全て日本から遠く離れた外の世界での話。
日本でそんな話は聞いたこともないし、日本にとってこれらの生物とそれを倒す存在はファンタジーと分類される……架空の系統のはずなのだ。
(どういうこと……? なんでこんなところに魔物が?)
教室内の生徒達が青ざめ、言葉を失う中彩音は尽きぬ疑問を思い浮かべていた。
そして再び視界に魔物と呼ばれる存在を映すと魔物は正面門校庭に佇み、暴れたり物を破壊している様子はなくともここからどう動くかは一切分からない。
もし、あれが本物で破壊行動に移る可能性があるのならあの存在を倒さなければならず、その術を彩音は持っている。彩音もまた沙織と同じく魔法が使えるのだ。
握っていた手に力が入り、倒さななければと脳は信号を送ってもいる。
(倒さないと。けど……)
だが信号とは裏腹にこの中から行動に移す事が出来なかった。
それは目に映る魔物と戦う事が怖いからじゃない。
魔物が架空のもののように剣や魔法ですら現代の日本において現実味のないもので、それらを使い倒す術を持つなど有り得ない話なのだ。
脳内に過去の記憶が一瞬蘇り行動を躊躇させる。
(もし、あんな力が使えるって知られたら……)
その時、誰かが立ちあがる音がし振り返ると沙織が立ち上がった音で、室内の生徒達は彼女へ視線を集中させる。
だが視線を向けて間もなく、生徒達の視線に目もくれず彼女は扉から出ていき彩音は目を丸くした。
それから僅か数分後、窓の外に見えた魔物は無数の黒い光線によって貫かれ姿は消えていった。
そしてそれは沙織の魔法によって倒されたのだとかつて彼女と共に戦った彩音はすぐに分かった。
魔物消滅のアナウンスが流れ授業が終わった後、彩音の元に緋香琉とクロスがやってくると先程の放送の真偽を確かめに問いかけた。
「さっきの放送、あれマジだったのか? うちら音楽室にいたから見えなかったんだけど」
「本当だよ。校庭にカバみたいな魔物が……ねえ沙織」
「ん?」
彩音は隣にいた人物に声をかけると帰ってきた返事はいつもと変わらぬ、よく知る軽い声である。
だが彩音自身も内心は困惑しており、信じられない様子で投げかける。
「あれ……なに? なんで日本にあんなものが出てきてんの?」
「知らないよ。とはいえ、ここ最近日本に魔物が出るようになったのは確かだけどね」
「ここ最近って……」
日本に戻り間もなく、彩音と緋香琉、クロスは沙織から聞かされた話に驚愕していた。
少し前から出没しているそうで、初めて目撃情報があったのは約一年前。
既に何度かニュースにもなっているようで時には町が襲われたり学校が襲われ、政府の指針で急遽都心を中心に避難経路となる地下道が通っているのだとか。
主に出現するのは都内だが原因は不明で、そもそも日本人がこの手に通ずる者がいる訳でもなく今でこそ政府の対応が行き届き始めているが目撃が相次いだ初めの頃は混乱状態にあったと言う。
「まさか日本にも魔物が出るとはなあ」
「というか、アレ使って大丈夫だったの?」
「アレ?」
彩音の問いに緋香琉が首を傾げ、周りに聞こえないようにそれを口にする。
「魔法だよ。日本人にとって魔法って存在しないはずのものでしょ」
「んー……まあね。でも案外そんな事もないよ? 特に最近はね」
その声に顔を上げると沙織は考えながら彼女らに説明し始めた。
彩音達も知っての通り、外国にいけば魔法も魔物も武器も当たり前の存在であり魔法学校なんかも存在する。
そして全国的には知名度はまだないものの、彼女らの知らぬうちに日本ではある現象が生まれつつあるというのだ。
「確かにまだ少数派だし珍しいし知らないのも無理ないかも。私達は外国で身につけた身だけど、そうでなくてもそういう能力を持つ人間が見つかってるんだよ」
「へ……?」
「日本各地に少数だけど、そういう『特別な力』を持つ人達がいてね。魔法を習った訳でもないけど魔法みたいなものが使えたり戦う術を持ったり。いわゆる超能力者みたいな括りだけど」
何らかの理由で突如能力に目覚める日本人。次第に発見数が多くなるにつれ政府がその者達をこう名付けた。
『異能者』と――
しかし、超能力者と同じくまだごく一部の人間にしか発覚せず、その理由も経緯も不明の為謎が多く国内の認知度は都市部ほどない。
「まあだから、珍しいと言えば珍しいけどそこまで必死に隠すものでもないかな。超能力者なの? すごーい! くらいで済むと思うよ?」
「そう、なのか……?」
「魔物が存在しないはずのこの国に突然魔物が出た……。その理由は分からないのよね?」
クロスの問いに沙織は頷き、自身もニュースで見聞きした程度の知識しかないと言う。
だが、魔物が現れたという話に彼女らは共通して同じ事を思っており、真っ先に緋香琉が口に出す。
「つまり、私達の出番かな?」
「ちょ、ちょっとまってよ。魔法は今の話でともかく、剣とか槍とか出したらそれ銃刀法違反に引っかかるんじゃないの……?」
「えっ……」
おそるおそる彩音が口に出すと気づいたように緋香琉は反応しながら表情を変えるが、少し考えながら
「……大丈夫じゃないか? アニメだって敵に襲われながらバンバン武器出して戦ってるけど何も起きないだろ?」
「それはあくまでアニメだからそこまで表記してないだけで普通アウトでしょ。日本に戻って来て早々捕まりたくないよ」
「言われてみれば……沙織、どうなんだ?」
緋香琉の問いに考えるような素振りを見せながら
「うーん……まあ、大丈夫なんじゃない?」
「自分が使わないからってそんな適当な」
「そう聞かれると私にも分からないなー……。ただ、異能者の話だけど魔法みたいとは言ったけど種類はホント色々なんだよね。魔法のようなものを使って戦う異能者もいれば、身近なものを変化させる事が出来る異能者もいるって聞くし」
中には地味な能力だったり犯罪を起こせてしまいそうな能力を持ったり強さも大きさも様々だとか。
「ほら、例えば氷の剣を生成したり……そんな異能者がいるかもしれないじゃない? だから大丈夫じゃないかなーって」
「私達の武器は普段は姿を消してる訳だし、戦う時だけ出すからよっぽど平気じゃないかしら。それに……魔物から町や人々を守る為に使うのなら平気な気がするけれど……」
「とにかく、異能者がいるって言っても慣れてるのはほぼ私たちだけみたいなもんだし、ここは私たちが戦わないとな!」
「緋香琉、なんでそんなにノリノリなのさ」
彩音の問いに緋香琉は誇らしげに答える。
「だってこんなのあの時以来だし、なんだか悪の組織から世界を守る正義のヒーローって感じで燃えないか?」
「ええと……さっきから気になってたんだけど……彩音は知ってたけど二人も戦えるの?」
そこに沙織が口を挟み、疑問符を浮かべていた様子に彩音は把握すると納得しながら口を開いた。
彩音と緋香琉、クロスはとある共通点を持ち、そのきっかけとなるある一件の中で出会い共闘した仲なのだと。
沙織が首を傾げる中彩音は言葉を続け
「まあ、私と緋香琉は元々昔馴染みと言うかそんな感じだったんだけど、すぐ別れちゃったからね。けど数年前に偶然再会したんだよね」
「そうそう」
「数年前って言うと……?」
「沙織と会う少し前かな。脅威となる存在が現れて、それを知ったユニコネが倒すはずだったんだけど……」
ユニコネとは『ユニバーサル・コネクト』の略称であり、日本に戻る前彩音がいた組織の名前である。
世界中から名を馳せた強者達が集い、星規模で起きる様々な脅威から世界を守る為に結成された国際組織である。
その中で彩音は創設者との縁から戦闘者ではなく、補助的な役割として組織の一員としていたのだ。
「その敵の黒幕がさ、特別な力を持つ者じゃないと倒せなくてユニコネのメンバーじゃ手も足も出なかったわけ。その力っていうのは……エリアの加護を受けし守護者の力」
「エリアの加護? ……守護者?」
彩音、緋香琉、クロスの共通点。
それは同一人物から力を得た事であり同じ使命を受けたこと。
そしてエリアとは、この世を始め全ての世界を管理し統べる者。最上位の神である。
そんな最上位の神から加護と力を与えられた彼女らは『守護者』として使命を受けその脅威を退けたのだという。
「え、何それ、どこのゲームの話?」
「ざーんねんながらリアルなんだなあこれが」
と冗談交じりに確認する沙織に対して緋香琉が返す。
「つまり彩音も……?」
「そう。私は『勇気の守護者』なんて呼ばれてるけど。ちなみに沙織とは緋香琉との一件の後に会ったんだよね」
日本人は黒髪。
土地柄の問題もあったかもしれないが彩音が離れていた間に日本の常識は変わりつつあった。それは沙織の茶髪は染めたものでなく、地毛だという話から知る事になる。
異能者のように、それ以上に国際化と何らかの変化あってか黒髪以外の地毛を持つ日本人も増えているという。
確かに入学式やクラスメイトの中でも黒以外の髪色の生徒もちらほらおり、黒が珍しいのではないかのいう程の比率。
日本人は皆黒髪であるという固定概念を持っていた彩音にとって当初は皆染めてるかこれが東京ならではの在り方なのだと思っていたほどだ。
「まあ、中には染めてる人もいるだろうけどねー。今も多くは地毛が黒髪とは思うけど、確かに減ってきているのかも」
「ハーフとか?」
「そうとは限らないんじゃない? 突然変異だとか言われた時期もあったけど、多数派になりつつあるからもう普通みたいな感じになってるし」
初めは見慣れぬ部屋の構造に違和感を感じていたが見慣れてきて、東京に来てから一週間以上が経とうとしていた。
スマートフォンが点滅しながら鳴り父の名が表示されている。
ボタンを押し電話に出ると変わらぬ父の声が聞こえてくる。
あれこれ聞いてくる父に鬱陶しさを感じながらも何人かの顔見知りに会ったことを話し、中でも緋香琉は父も見知っているはず、と
「小学校の時に仲の良かった緋香琉がいた。二年の時に大阪に引っ越したから覚えてないかもしれないけど」
『ひょっとして仲の良かったあの? 凄い偶然じゃないか!』
「クラスは違うけど。で、それを聞きに来たの?」
『あぁ、それもあるんだが……。実は彩音に話があってな。もっと早く言うべきだったんだろうが……』
どこか歯切れの悪い言葉に疑問符を浮かべると、父はある人物がここへ向かっているのだと話した。
更なる詳細を求めれど、その瞬間父の歯切れが悪くなり中々答えない。
『少し前に東京に入ったと聞いたから、もうそろそろそこに着くはずなんだ。で、父さんもそっちに向かってるからさ』
「何それ、仕事関係の人?」
『いや、そうではないんだが……』
「……何なのさ一体」
『うーん……おそらく彼の方が早く着くだろうから、詳しい事は彼に聞いてくれ。ただし、暴れたりしないでくれよ』
「は、暴れるって何……?」
電話は切れ、結局誰かがここへ向かっていることしか分からず隣で疑問符を浮かべたサアラに何か知らないか問いかけれど首を横に振る。
そしてその時、インターホンの音が鳴り二人の視線は玄関に向かう扉へと向けられた。
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