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第11話、透明な手紙
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「ここは……」
白い壁だったはずの店内から見える景色は茶色の柱が目立つ店内に。
茶色を基調とされた空間にテーブルとイスが何組も並べられ、店内に流れるクラシック音楽が自然と落ち着かせる雰囲気を表していた。
綺麗で拘りを持たせた配置のオシャレな空間に彩音は呆然としたまま
「喫茶店……?」
「あれ、六本木く……」
その時、客一人席にいない空間の中奥から一人の女性が現れ、六本木の姿に声を発しかけた女性はその隣にある彩音の姿を見ると言葉を途中で止めるも唖然とした表情を再び六本木に向ける。
「すみません、突然来てしまって」
唖然としていた女性は六本木の言葉に振り向き
「実は、彼女に六本木の街を案内していた所例の魔物が現れて。安全な場所はここしかないだろうと駆け込んだんです」
「……それは大変だったね。無事でよかった」
何もかもが理解出来ず、喫茶店の制服姿の女性から六本木に視線を向けると視線に気づいた六本木が振り向き
「あぁ、驚かせてごめんね。彼女は御茶ノ水さん。この喫茶店の店長なんだ」
「まあ、咄嗟に安全な場所と言えばここか君たちの拠点だろうし仕方ないね。怖かったろう。ここは安全だから安心するといい」
と喫茶店の制服姿でいる女性は背を向け
「とりあえず座りなよ。何か用意するから」
席に座って間もなくコーヒーを出されると空いていた席に女性も腰を下ろし、頬杖をつきながら六本木に投げかけていた。
「へえ、六本木君のクラスメイトねえ。お客さんじゃない人を連れてくるなんて珍しい。生真面目な六本木君なら尚更」
「はは……」
ニヤリと笑みを向ける女性の視線に六本木は苦笑いする傍ら、彩音はさっきまで握られていた手を見るとギュッと片方の手で握り俯いていた。
間もなく、御茶ノ水さんが用意してくれたパフェを食べている中僅かに視線を動かせば六本木は誰かと電話していた。
「はい、御茶ノ水さんの喫茶店に避難したので僕も彼女も無事ですが……」
「…………」
結局何が起きたのか説明もされないまま出されたパフェを食べているものの、彩音の頭の中は困惑と混乱が渦巻いていた。そして、憂い気な表情の理由はもう一つある。
それは、あの魔物を倒しにいくべきではないかということ。
(デパートに駆け込んだはずが見えてた中と違う喫茶店にいるし、ここは一体何なんだろう?)
彩音の事を知らぬ六本木の前で抜け出す訳にもいかないし、おそらく出ていこうとすれば止められるだろう。
「……あの、ここってどこなんですか」
電話している六本木を見ていた女性に問いかけ、振り返られると
「わ、私達デパートに入ったはずなんですけど」
「ここは御茶ノ水にある喫茶店だよ」
「御茶ノ水……?」
「都内の土地だよ。有名所は……明治大学かな」
間もなく、三人の耳に魔物が討伐されたという情報が入る。
御茶ノ水が手元のスマートフォンで情報を確認しながら告げると六本木も彩音も安心したように息を吐くが、息を吐きながら
「本当に、最近何が起きてるんだろうね……」
女性の不穏な表情と言葉に彩音は俯き黙り込んでいた時、ベルの音が鳴り入口の扉が開いた。
そして現れた男性に視線を向けた女性は男性の姿に声を上げた。
「おや、マスターじゃないか」
ベルが鳴り、扉が開くと現れたスーツ姿の男性を見て御茶ノ水さんがそう声を上げた。
だが次の瞬間……
「あー!」
突如大声が聞こえ、視線をずらすとそれは男性の後に続いて姿を現した小学生高学年かと思われる少女の声だった。
少女は彩音の姿を見るなり口を大きく開け
「彩音さん!? どうしてこんな所に彩音さんが……」
「え……?」
その少女の言葉に彩音も唖然とすると
「なんで私の名前を知って……」
「え? あっ……」
ハッとしたように女の子が口を閉じると困ったように声を上げ、そんな彼女と男性に向けて六本木もまた声をかけると
「天王洲さんにマスター、なぜここに……?」
「私はマスターが行くって言うからついてきたんです。てっきり六本木さんのお迎えついでに御茶ノ水さんの様子を見に行くのだと思っていましたが……」
マスターと呼ばれた男性から視線を向けられふと目が合い、彩音が警戒の意を向けていると彼は口を開いた。
「貴方がこちらにおられると聞いたものですから。少し、彼女に用がありましてね」
「……え、彼女に……?」
向けられた視線を追うと六本木は唖然とし、やがてマスターと呼ばれた男性は内ポケットに手を忍ばせ
「……これに見覚えはありませんか?」
問いかけながら、懐から一般的な手紙の封筒を取り出すと彩音に見せる。
彼が手にする手紙をまじまじと見つめ、目を細めると
「手紙……? ……ないですけど」
「「えっ?」」
その時、少女と六本木が同時に声を上げ、その声に彩音は驚いたように六本木へと視線を向ける。
「神月さん、覚えてないの?」
「え……何が?」
「皆、私たちの事は覚えてなくてもこれを貰ったことは覚えてるはずなのに……覚えていないのですか……?」
「え……何の話……?」
唖然としている二人の言葉に彩音は困惑する。
何かに驚く二人の言葉の意味が分からず、首を傾げ眉を寄せながら疑問符を浮かべると疑念のままに視線は再び手紙を持つ男性へと向けられた。
一見ただのスーツ姿の成人男性に見えるものの、彩音は普通の人とは違う何かを感じていた。
上手く言葉で説明できないものの、普通の人とは違う『何か』が感じられるような気がしていた。
「御茶ノ水さん。彼らがお世話になりました」
男性が一礼し、一瞬揺れた気がして気がつくとデパートでも喫茶店でもなく、また全く見覚えのない部屋の中にいた。
「あ、マスターに天王洲戻って……って!?」
ふと近くから聞き覚えのない声が聞こえ振り向くと、数人の男女が唖然とした様子でこちらを見ていた。
そして驚いているのは彩音だけでなく、服装もバラバラな彼らは声を上げる。
「お前は……!」
「また何か悩みでもあったの? この短期間でまた巡り合うなんてこれまで無かったんじゃないか? ま、俺はかわい子ちゃんなら何度でも歓迎だけど」
口々に口にする中、誰もがまるで驚いたような反応をしていたが驚いたのは彩音も同じ。
突如喫茶店から応接室のような部屋に変わりまるで異なる光景に言葉を失っていた。
だが、やがて唯一真面目そうな印象を受けるスーツ姿の女性は唖然とした表情をマスターに向け不思議そうに問いかけ
「マスター、これは一体……」
「驚きました。彼女、手紙を受け取った事さえも覚えていないようでして」
「な、手紙を受け取った事を覚えていない……?」
度重なる視線を向けられる中、更には女性からも視線を向けられ彩音の表情はますます険しくなる。
訳も分からず、状況を何一つ理解出来ていないまま彼らは困惑するように声に出していく。
「今まで多くの人の相手をしてきたけど、手紙を受け取った人の中に手紙の存在までも忘れてしまう人なんて聞いたことも無いな」
「しかし、現に彼女は覚えておられないようですし……」
いかにも都会を歩いてそうな金髪の男性と、穏やかな物腰の新緑のような色の髪の男性の声に黙りこんでいると再び聞こえたスーツ姿の男性の声に彩音は俯いたまま目を丸くした。
「本当に、この『ミラクルレター』について覚えておられないんですか?」
「……ミラクル……レター……?」
唖然としたまま顔を上げ、それはもう何度も聞いたことがある言葉だった。
実体験の報告が多い事から近年では飛び抜けて話題性のある都市伝説で、瞬く間にクラスでも話題に上がっていた。
そしてそこには美男美女がいて……
「マスター、いいんですか? 手紙のことを話してしまって」
「ええ、構いません。何故なら……」
その時、突然何かの光景が脳裏に過ぎる。
突然ちらついた記憶に頭を押さえると彩音の姿に気付かぬマスターは疑問符を抱く仲間達に説明するように話していく。
「彼女が手紙の記憶さえも消えている理由に心当たりがありますから」
(なん、だろう)
何かが断片的に浮かぶ。
「順次説明していきますが……」
「…………」
ぐるぐる回る。記憶に無いはずの記憶が。
それはまるで自分の記憶ではないような感覚ながら、瞬く間に流れる記憶はやがて繋がり声にならない声を上げた。
そして、そんな彩音の表情を見てマスターは笑みを浮かべると
「……おや、思い出したようですね」
「思い出したって……」
と少女ゆかりが呟いた時、は周りにいた人物たちを見渡すと彼らもまた彩音から視線を向けられた事に気づく。
そして六本木と、その隣にいる少女に視線を向けると
「ゆかり……ちゃん……?」
「!」
記憶は鮮明に。彼女からかけられた言葉を思い出すと彩音は微かに儚げな笑みを浮かべ
「そうだ。私は前にもここに来て……」
「えっ、ま、待ってください。彩音さん、どうして私達に会った記憶があるんですか? 私の名も……どうして覚えているんですか……?」
「どういう事なんだ、マスター」
スーツ姿の女性、都庁もまた驚きから険しい視線をマスターに向け問いかけると彼は詳細と説明を求める一同の視線に一呼吸置き、間を置くと口を開き始めた。
「結論から言いますと……彼女はまだ『お客様』のままなんです」
「「えっ……?」」
数人が同時に声を上げ、都庁の表情がますます不可解なものになると
「それは、また手紙を受け取ったということなのか? 以前彼女の悩みを解決し、彼女は無事解放されたはず……」
「……」
「この短期間に再び手紙を受け取るなどこれまでにない事例だ。説明してもらいたい」
「『真の悩み』が解決出来ていない、と言ったところでしょうか」
一同が再び声を上げ、彩音に視線を向けると恐縮するように縮こまり半歩下がる。
そんな彩音に向けてマスターはこう告げた。
これはこれまで運用してきた中で最も難易度の高い『悩み』であると。
「ま、待ってくれ」
そこに焦った都庁の声が響き
「ミラクルレターは反応した『悩み』が解決しない限り消えることはない。そして手紙が消滅しなければ……つまり、悩みが解決しなければこの空間から出ることは出来ないはずだろう?」
「ええ。本来であれば」
くるりとマスターは困惑する都庁へ体ごと視線を向け
「以前受け取った手紙が反応したものは無事解決と認識されたが故、彼女はこれまでのように皆さんの記憶を忘れた。あの手紙の反応した内容はあの時の通りだったのでしょう」
「…………」
「秘密事項に関わる為全てを詳しくは話せませんが……このミラクルレターのシステムをもっても反応出来なかったものを別の方法で知ったというわけです」
だから彼女を再びここに呼び出す必要があって、マスターは皆の知らない間にその機会を伺っていた事を明かしその機会が運良く訪れた。
「彼女の抱えるものは最高難易度。つまり私達の力で止められる時間範囲内での解決は『不可能』……」
「「…………」」
「そして、本来であればお客様に対して一人が担当するものですが、これにおいては『特殊形式』を以て臨むべきと判断しました」
それは、ミラクルレターによる現実の時を止めての解決ではなく、現実世界の時を止めぬまま解決に導くのだと話した。
そしてそれは、『全員』で導くべき案件だと───
呆然と話を聞いていた彩音は声を上げ
「い、今の私に解決して欲しいような悩みはありませんよ」
「いえ、ありますよ。……奥深くに抱えているものが」
「っ!?」
「自分の事ですから、何かしらの心当たりがあるのでは?」
唖然とし、言葉を失うも視線の先にいる男性は穏やかな笑みを浮かべているもののそれはまるで目の前の相手はそれが何かを知っているような感覚がした。
「…………」
何も言わず、口を閉じ俯く彩音を心配な様子で六本木は視線を向ける。
彼に言われた通り『奥深くに抱えているもの』に心当たりはあるものの、それが悩みと言われるかと言うと答えられず黙り込んだ彩音に彼は笑みを浮かべたまま
「おそらく、貴方自身も不透明のままなのでしょう? だからずっと迷い抱え続けている」
「…………」
「その為の彼らです」
「誰かに話して解決して欲しいような悩みはありません」
「それはまだ貴方が気づいていないだけですよ」
「っ」
この部屋にいた誰もが彼女の様子に違和感を感じていたが、その正体を知る者は誰一人としていない。
そして、現実時間で解決に導く……それはつまりこれから彼らと彩音は共に行動することの宣告だった。
「でも、その様子では分かっておられるのでしょう? 私が何のことを言っているのか」
「しかしマスター、時間を止めず彼女の悩みを解決させるなどどうやって……?」
困惑の中都庁が口を開くと、マスターは小さく息を吐き
「言ったでしょう? 『特殊形式』を用いると。貴方方にはこれからも日々手紙を受け取った方たちの解決へ励んで頂きます。彼女と共に」
「な……?」
「つまり……?」
「つまり、彼女にはこれからしばらく貴方達と共にここで悩める人々の悩み解決に同行して頂きます」
彩音が部屋から去って間もなく、納得のいかぬ様子で都庁はマスターに問いかける。
「貴方の口調からすると、貴方は彼女の秘めたる悩みを知っているように取れた」
「ええ」
「なら教えてくれたっていいじゃないですかー」
と横から少女、天王洲ゆかりが頬を膨らませながら呟く。
その言葉を耳に入れながらもマスターは再び口を開き
「彼女は手紙を受け取っていない。よってこれは本来の私達の使命の規定には値しないでしょう。しかし、彼女は心の底に霧が立ち込めている。もし、それを本心では何とかしたいと願っていたとしたら……」
貴方がたならどうします? と問うと部屋の中にいた者達は難しい表情を浮かべ
「どうって……。そりゃあ、本当に悩んでるってんなら解決してやりたいが」
「彼女は乗り気じゃなかったねえ」
「ま、初対面からあまり印象は良くなかったしな」
渋谷と新宿が悩ませながら口にすると都庁の声に彼らは振り向き
「信頼のない者ほど弱みを見せたがらないもの。それだけで彼女の件は高難易度と言えるだろう」
「…………」
「……ところでマスター、彼女が私達の使命に同行するのもこの場へ来るのも問題は無いのですが……彼女にミラクルレターの正体を明かしたままで良かったのですか?」
「あっそうですよ。良かったのですか? 彩音さんに他の人には話さないよう釘も刺してませんけど……」
月島とゆかりの問いにマスターは問題ないと答えた。
彼女はそう簡単に秘密を話すような人ではないと答えるが、多くの人間と接してきた彼らにとってそれは不安の残る説明だった。
「……まあ、マスターがそう言うならいいけど……」
翌日、何ら変わらない一日が始まっていた。
その中で六本木は沙織と話している彩音の姿を見ると脳内に問いかける。
(さて、どうしたものか)
それは昨日怒涛の状況の変化とマスターから告げられた衝撃の言葉。
そしてリーダーである都庁よりクラスメイトで接触しやすい事から六本木が連れてくるよう促されていた。
しかし昨日は成り行きで案内したものの、だからと言って仲が良くなった訳でもない。元から彼女はどこか周囲を寄せ付けない雰囲気を出していたのだ。
(彼女の悩みって何だろう)
素振りからは何か深刻なものを隠しているようには見えないが、それは人特有のものであるとも六本木は理解している。僅かに視線を伏せると
(人は皆悩みを抱えて生きている。そして人はそんな悩みを隠したがる)
これまでそう言った人達を何度も見てきた。
平気なふりをして笑って。
それは様々な理由から発せられる。
(周囲に迷惑をかけたくないという気持ちだったり、弱みを見せたくないという気持ちから来たり、誰かに打ち明ける事自体が恥だと思っていたり)
色んな悩みを聞いて色んな人を見てきたから、彼女にあると言われた悩みを探るべく意識を向けるとある間もなくある異変に気づいた。
それは普段クラスメイトの鈴木さんと共にいる事の多い彼女が一人になった時に感じられ、周りにはクラスメイト達が様々な話に花を咲かせている。
ドラマの感想、芸能人の話、日常の話。
そんな話が右往左往から飛び交う教室内で、ぽつりと席に座っている彼女はどこか遠い目をしていた。
それはどこか霞んでいるような、ここではないどこかを見つめるような目。
その姿は自分がまだ知らない何かを隠しているような気がした。
彼女に声をかけるとすれば放課後。
颯爽と荷物をまとめ教室を出ていく彼女を追いかけると声を上げた。
「神月さん!」
呼び止めた声に彼女は足を止め振り向くが、その際向けられた視線はとてつもなく鋭く冷たい。
「あのさ、今日用事ってあるのかな」
「……」
「特にないのなら、僕達の所に……来て欲しいんだ」
冷ややかな目を向けたまま黙り込んでいた彩音だが、六本木に悪意がない事は見て取れ呆れるように息を吐く。
「……拒否権はない感じ?」
「……無理にとは言わないけど……もし君に悩みがあるのなら、その苦しみから解放してあげたいとは思うよ」
グッと抑え込むと顔を上げ
「ついてきて」
間もなく、人目を避けられる場を探して歩く六本木の後を彩音は歩いていた。
「よく図書室で本を借りてるよね。読書が趣味なの?」
「別にそういう訳じゃ。ただ……」
途中で言葉が止まり、黙り込む彩音を傍目に見ながらやがて彼らが辿り着いたのは図書室の入口だった。
目の前までやってくると六本木はポケットからあるものを取り出しながら
「僕達の拠点……あそこはね、特別な場所にあるんだ。そこに行くためにはこのカードキーが必要なんだ」
やがてそれを彩音に見せると緑色の印刷が印象的だがどこにでもあるようなカードキー。
やがて六本木がカードキーを扉の前に翳すと扉が一瞬光り、そのまま彼が扉を開けれと視線の先は何ら変わりない図書室の中が見える。
「これで僕達は、この扉をくぐる事であの場にいける」
「……あの時も、自動ドアの向こうはただのデパートだった……。まさか、あの時もそれをかざしたの?」
「まあね。一見何の変化もないように見えるけど、ちゃんと繋がってるよ」
「……」
「僕達以外は通れないし、この間に誰かが通っても図書室に入るだけだけど……いつどんな経路で秘密がばれてしまうか分からないから、徹底して人目の少ない所で移動するよう言われてるんだ」
それに図書室はうってつけで、奥であればあるほど人目は少なく特に専門書のコーナーなんかはうってつけなんだとか。
「これは『あれ』に関係する皆が持ってるんだ。あそこへの道を開くにはいくつか条件があるけどね」
白い壁だったはずの店内から見える景色は茶色の柱が目立つ店内に。
茶色を基調とされた空間にテーブルとイスが何組も並べられ、店内に流れるクラシック音楽が自然と落ち着かせる雰囲気を表していた。
綺麗で拘りを持たせた配置のオシャレな空間に彩音は呆然としたまま
「喫茶店……?」
「あれ、六本木く……」
その時、客一人席にいない空間の中奥から一人の女性が現れ、六本木の姿に声を発しかけた女性はその隣にある彩音の姿を見ると言葉を途中で止めるも唖然とした表情を再び六本木に向ける。
「すみません、突然来てしまって」
唖然としていた女性は六本木の言葉に振り向き
「実は、彼女に六本木の街を案内していた所例の魔物が現れて。安全な場所はここしかないだろうと駆け込んだんです」
「……それは大変だったね。無事でよかった」
何もかもが理解出来ず、喫茶店の制服姿の女性から六本木に視線を向けると視線に気づいた六本木が振り向き
「あぁ、驚かせてごめんね。彼女は御茶ノ水さん。この喫茶店の店長なんだ」
「まあ、咄嗟に安全な場所と言えばここか君たちの拠点だろうし仕方ないね。怖かったろう。ここは安全だから安心するといい」
と喫茶店の制服姿でいる女性は背を向け
「とりあえず座りなよ。何か用意するから」
席に座って間もなくコーヒーを出されると空いていた席に女性も腰を下ろし、頬杖をつきながら六本木に投げかけていた。
「へえ、六本木君のクラスメイトねえ。お客さんじゃない人を連れてくるなんて珍しい。生真面目な六本木君なら尚更」
「はは……」
ニヤリと笑みを向ける女性の視線に六本木は苦笑いする傍ら、彩音はさっきまで握られていた手を見るとギュッと片方の手で握り俯いていた。
間もなく、御茶ノ水さんが用意してくれたパフェを食べている中僅かに視線を動かせば六本木は誰かと電話していた。
「はい、御茶ノ水さんの喫茶店に避難したので僕も彼女も無事ですが……」
「…………」
結局何が起きたのか説明もされないまま出されたパフェを食べているものの、彩音の頭の中は困惑と混乱が渦巻いていた。そして、憂い気な表情の理由はもう一つある。
それは、あの魔物を倒しにいくべきではないかということ。
(デパートに駆け込んだはずが見えてた中と違う喫茶店にいるし、ここは一体何なんだろう?)
彩音の事を知らぬ六本木の前で抜け出す訳にもいかないし、おそらく出ていこうとすれば止められるだろう。
「……あの、ここってどこなんですか」
電話している六本木を見ていた女性に問いかけ、振り返られると
「わ、私達デパートに入ったはずなんですけど」
「ここは御茶ノ水にある喫茶店だよ」
「御茶ノ水……?」
「都内の土地だよ。有名所は……明治大学かな」
間もなく、三人の耳に魔物が討伐されたという情報が入る。
御茶ノ水が手元のスマートフォンで情報を確認しながら告げると六本木も彩音も安心したように息を吐くが、息を吐きながら
「本当に、最近何が起きてるんだろうね……」
女性の不穏な表情と言葉に彩音は俯き黙り込んでいた時、ベルの音が鳴り入口の扉が開いた。
そして現れた男性に視線を向けた女性は男性の姿に声を上げた。
「おや、マスターじゃないか」
ベルが鳴り、扉が開くと現れたスーツ姿の男性を見て御茶ノ水さんがそう声を上げた。
だが次の瞬間……
「あー!」
突如大声が聞こえ、視線をずらすとそれは男性の後に続いて姿を現した小学生高学年かと思われる少女の声だった。
少女は彩音の姿を見るなり口を大きく開け
「彩音さん!? どうしてこんな所に彩音さんが……」
「え……?」
その少女の言葉に彩音も唖然とすると
「なんで私の名前を知って……」
「え? あっ……」
ハッとしたように女の子が口を閉じると困ったように声を上げ、そんな彼女と男性に向けて六本木もまた声をかけると
「天王洲さんにマスター、なぜここに……?」
「私はマスターが行くって言うからついてきたんです。てっきり六本木さんのお迎えついでに御茶ノ水さんの様子を見に行くのだと思っていましたが……」
マスターと呼ばれた男性から視線を向けられふと目が合い、彩音が警戒の意を向けていると彼は口を開いた。
「貴方がこちらにおられると聞いたものですから。少し、彼女に用がありましてね」
「……え、彼女に……?」
向けられた視線を追うと六本木は唖然とし、やがてマスターと呼ばれた男性は内ポケットに手を忍ばせ
「……これに見覚えはありませんか?」
問いかけながら、懐から一般的な手紙の封筒を取り出すと彩音に見せる。
彼が手にする手紙をまじまじと見つめ、目を細めると
「手紙……? ……ないですけど」
「「えっ?」」
その時、少女と六本木が同時に声を上げ、その声に彩音は驚いたように六本木へと視線を向ける。
「神月さん、覚えてないの?」
「え……何が?」
「皆、私たちの事は覚えてなくてもこれを貰ったことは覚えてるはずなのに……覚えていないのですか……?」
「え……何の話……?」
唖然としている二人の言葉に彩音は困惑する。
何かに驚く二人の言葉の意味が分からず、首を傾げ眉を寄せながら疑問符を浮かべると疑念のままに視線は再び手紙を持つ男性へと向けられた。
一見ただのスーツ姿の成人男性に見えるものの、彩音は普通の人とは違う何かを感じていた。
上手く言葉で説明できないものの、普通の人とは違う『何か』が感じられるような気がしていた。
「御茶ノ水さん。彼らがお世話になりました」
男性が一礼し、一瞬揺れた気がして気がつくとデパートでも喫茶店でもなく、また全く見覚えのない部屋の中にいた。
「あ、マスターに天王洲戻って……って!?」
ふと近くから聞き覚えのない声が聞こえ振り向くと、数人の男女が唖然とした様子でこちらを見ていた。
そして驚いているのは彩音だけでなく、服装もバラバラな彼らは声を上げる。
「お前は……!」
「また何か悩みでもあったの? この短期間でまた巡り合うなんてこれまで無かったんじゃないか? ま、俺はかわい子ちゃんなら何度でも歓迎だけど」
口々に口にする中、誰もがまるで驚いたような反応をしていたが驚いたのは彩音も同じ。
突如喫茶店から応接室のような部屋に変わりまるで異なる光景に言葉を失っていた。
だが、やがて唯一真面目そうな印象を受けるスーツ姿の女性は唖然とした表情をマスターに向け不思議そうに問いかけ
「マスター、これは一体……」
「驚きました。彼女、手紙を受け取った事さえも覚えていないようでして」
「な、手紙を受け取った事を覚えていない……?」
度重なる視線を向けられる中、更には女性からも視線を向けられ彩音の表情はますます険しくなる。
訳も分からず、状況を何一つ理解出来ていないまま彼らは困惑するように声に出していく。
「今まで多くの人の相手をしてきたけど、手紙を受け取った人の中に手紙の存在までも忘れてしまう人なんて聞いたことも無いな」
「しかし、現に彼女は覚えておられないようですし……」
いかにも都会を歩いてそうな金髪の男性と、穏やかな物腰の新緑のような色の髪の男性の声に黙りこんでいると再び聞こえたスーツ姿の男性の声に彩音は俯いたまま目を丸くした。
「本当に、この『ミラクルレター』について覚えておられないんですか?」
「……ミラクル……レター……?」
唖然としたまま顔を上げ、それはもう何度も聞いたことがある言葉だった。
実体験の報告が多い事から近年では飛び抜けて話題性のある都市伝説で、瞬く間にクラスでも話題に上がっていた。
そしてそこには美男美女がいて……
「マスター、いいんですか? 手紙のことを話してしまって」
「ええ、構いません。何故なら……」
その時、突然何かの光景が脳裏に過ぎる。
突然ちらついた記憶に頭を押さえると彩音の姿に気付かぬマスターは疑問符を抱く仲間達に説明するように話していく。
「彼女が手紙の記憶さえも消えている理由に心当たりがありますから」
(なん、だろう)
何かが断片的に浮かぶ。
「順次説明していきますが……」
「…………」
ぐるぐる回る。記憶に無いはずの記憶が。
それはまるで自分の記憶ではないような感覚ながら、瞬く間に流れる記憶はやがて繋がり声にならない声を上げた。
そして、そんな彩音の表情を見てマスターは笑みを浮かべると
「……おや、思い出したようですね」
「思い出したって……」
と少女ゆかりが呟いた時、は周りにいた人物たちを見渡すと彼らもまた彩音から視線を向けられた事に気づく。
そして六本木と、その隣にいる少女に視線を向けると
「ゆかり……ちゃん……?」
「!」
記憶は鮮明に。彼女からかけられた言葉を思い出すと彩音は微かに儚げな笑みを浮かべ
「そうだ。私は前にもここに来て……」
「えっ、ま、待ってください。彩音さん、どうして私達に会った記憶があるんですか? 私の名も……どうして覚えているんですか……?」
「どういう事なんだ、マスター」
スーツ姿の女性、都庁もまた驚きから険しい視線をマスターに向け問いかけると彼は詳細と説明を求める一同の視線に一呼吸置き、間を置くと口を開き始めた。
「結論から言いますと……彼女はまだ『お客様』のままなんです」
「「えっ……?」」
数人が同時に声を上げ、都庁の表情がますます不可解なものになると
「それは、また手紙を受け取ったということなのか? 以前彼女の悩みを解決し、彼女は無事解放されたはず……」
「……」
「この短期間に再び手紙を受け取るなどこれまでにない事例だ。説明してもらいたい」
「『真の悩み』が解決出来ていない、と言ったところでしょうか」
一同が再び声を上げ、彩音に視線を向けると恐縮するように縮こまり半歩下がる。
そんな彩音に向けてマスターはこう告げた。
これはこれまで運用してきた中で最も難易度の高い『悩み』であると。
「ま、待ってくれ」
そこに焦った都庁の声が響き
「ミラクルレターは反応した『悩み』が解決しない限り消えることはない。そして手紙が消滅しなければ……つまり、悩みが解決しなければこの空間から出ることは出来ないはずだろう?」
「ええ。本来であれば」
くるりとマスターは困惑する都庁へ体ごと視線を向け
「以前受け取った手紙が反応したものは無事解決と認識されたが故、彼女はこれまでのように皆さんの記憶を忘れた。あの手紙の反応した内容はあの時の通りだったのでしょう」
「…………」
「秘密事項に関わる為全てを詳しくは話せませんが……このミラクルレターのシステムをもっても反応出来なかったものを別の方法で知ったというわけです」
だから彼女を再びここに呼び出す必要があって、マスターは皆の知らない間にその機会を伺っていた事を明かしその機会が運良く訪れた。
「彼女の抱えるものは最高難易度。つまり私達の力で止められる時間範囲内での解決は『不可能』……」
「「…………」」
「そして、本来であればお客様に対して一人が担当するものですが、これにおいては『特殊形式』を以て臨むべきと判断しました」
それは、ミラクルレターによる現実の時を止めての解決ではなく、現実世界の時を止めぬまま解決に導くのだと話した。
そしてそれは、『全員』で導くべき案件だと───
呆然と話を聞いていた彩音は声を上げ
「い、今の私に解決して欲しいような悩みはありませんよ」
「いえ、ありますよ。……奥深くに抱えているものが」
「っ!?」
「自分の事ですから、何かしらの心当たりがあるのでは?」
唖然とし、言葉を失うも視線の先にいる男性は穏やかな笑みを浮かべているもののそれはまるで目の前の相手はそれが何かを知っているような感覚がした。
「…………」
何も言わず、口を閉じ俯く彩音を心配な様子で六本木は視線を向ける。
彼に言われた通り『奥深くに抱えているもの』に心当たりはあるものの、それが悩みと言われるかと言うと答えられず黙り込んだ彩音に彼は笑みを浮かべたまま
「おそらく、貴方自身も不透明のままなのでしょう? だからずっと迷い抱え続けている」
「…………」
「その為の彼らです」
「誰かに話して解決して欲しいような悩みはありません」
「それはまだ貴方が気づいていないだけですよ」
「っ」
この部屋にいた誰もが彼女の様子に違和感を感じていたが、その正体を知る者は誰一人としていない。
そして、現実時間で解決に導く……それはつまりこれから彼らと彩音は共に行動することの宣告だった。
「でも、その様子では分かっておられるのでしょう? 私が何のことを言っているのか」
「しかしマスター、時間を止めず彼女の悩みを解決させるなどどうやって……?」
困惑の中都庁が口を開くと、マスターは小さく息を吐き
「言ったでしょう? 『特殊形式』を用いると。貴方方にはこれからも日々手紙を受け取った方たちの解決へ励んで頂きます。彼女と共に」
「な……?」
「つまり……?」
「つまり、彼女にはこれからしばらく貴方達と共にここで悩める人々の悩み解決に同行して頂きます」
彩音が部屋から去って間もなく、納得のいかぬ様子で都庁はマスターに問いかける。
「貴方の口調からすると、貴方は彼女の秘めたる悩みを知っているように取れた」
「ええ」
「なら教えてくれたっていいじゃないですかー」
と横から少女、天王洲ゆかりが頬を膨らませながら呟く。
その言葉を耳に入れながらもマスターは再び口を開き
「彼女は手紙を受け取っていない。よってこれは本来の私達の使命の規定には値しないでしょう。しかし、彼女は心の底に霧が立ち込めている。もし、それを本心では何とかしたいと願っていたとしたら……」
貴方がたならどうします? と問うと部屋の中にいた者達は難しい表情を浮かべ
「どうって……。そりゃあ、本当に悩んでるってんなら解決してやりたいが」
「彼女は乗り気じゃなかったねえ」
「ま、初対面からあまり印象は良くなかったしな」
渋谷と新宿が悩ませながら口にすると都庁の声に彼らは振り向き
「信頼のない者ほど弱みを見せたがらないもの。それだけで彼女の件は高難易度と言えるだろう」
「…………」
「……ところでマスター、彼女が私達の使命に同行するのもこの場へ来るのも問題は無いのですが……彼女にミラクルレターの正体を明かしたままで良かったのですか?」
「あっそうですよ。良かったのですか? 彩音さんに他の人には話さないよう釘も刺してませんけど……」
月島とゆかりの問いにマスターは問題ないと答えた。
彼女はそう簡単に秘密を話すような人ではないと答えるが、多くの人間と接してきた彼らにとってそれは不安の残る説明だった。
「……まあ、マスターがそう言うならいいけど……」
翌日、何ら変わらない一日が始まっていた。
その中で六本木は沙織と話している彩音の姿を見ると脳内に問いかける。
(さて、どうしたものか)
それは昨日怒涛の状況の変化とマスターから告げられた衝撃の言葉。
そしてリーダーである都庁よりクラスメイトで接触しやすい事から六本木が連れてくるよう促されていた。
しかし昨日は成り行きで案内したものの、だからと言って仲が良くなった訳でもない。元から彼女はどこか周囲を寄せ付けない雰囲気を出していたのだ。
(彼女の悩みって何だろう)
素振りからは何か深刻なものを隠しているようには見えないが、それは人特有のものであるとも六本木は理解している。僅かに視線を伏せると
(人は皆悩みを抱えて生きている。そして人はそんな悩みを隠したがる)
これまでそう言った人達を何度も見てきた。
平気なふりをして笑って。
それは様々な理由から発せられる。
(周囲に迷惑をかけたくないという気持ちだったり、弱みを見せたくないという気持ちから来たり、誰かに打ち明ける事自体が恥だと思っていたり)
色んな悩みを聞いて色んな人を見てきたから、彼女にあると言われた悩みを探るべく意識を向けるとある間もなくある異変に気づいた。
それは普段クラスメイトの鈴木さんと共にいる事の多い彼女が一人になった時に感じられ、周りにはクラスメイト達が様々な話に花を咲かせている。
ドラマの感想、芸能人の話、日常の話。
そんな話が右往左往から飛び交う教室内で、ぽつりと席に座っている彼女はどこか遠い目をしていた。
それはどこか霞んでいるような、ここではないどこかを見つめるような目。
その姿は自分がまだ知らない何かを隠しているような気がした。
彼女に声をかけるとすれば放課後。
颯爽と荷物をまとめ教室を出ていく彼女を追いかけると声を上げた。
「神月さん!」
呼び止めた声に彼女は足を止め振り向くが、その際向けられた視線はとてつもなく鋭く冷たい。
「あのさ、今日用事ってあるのかな」
「……」
「特にないのなら、僕達の所に……来て欲しいんだ」
冷ややかな目を向けたまま黙り込んでいた彩音だが、六本木に悪意がない事は見て取れ呆れるように息を吐く。
「……拒否権はない感じ?」
「……無理にとは言わないけど……もし君に悩みがあるのなら、その苦しみから解放してあげたいとは思うよ」
グッと抑え込むと顔を上げ
「ついてきて」
間もなく、人目を避けられる場を探して歩く六本木の後を彩音は歩いていた。
「よく図書室で本を借りてるよね。読書が趣味なの?」
「別にそういう訳じゃ。ただ……」
途中で言葉が止まり、黙り込む彩音を傍目に見ながらやがて彼らが辿り着いたのは図書室の入口だった。
目の前までやってくると六本木はポケットからあるものを取り出しながら
「僕達の拠点……あそこはね、特別な場所にあるんだ。そこに行くためにはこのカードキーが必要なんだ」
やがてそれを彩音に見せると緑色の印刷が印象的だがどこにでもあるようなカードキー。
やがて六本木がカードキーを扉の前に翳すと扉が一瞬光り、そのまま彼が扉を開けれと視線の先は何ら変わりない図書室の中が見える。
「これで僕達は、この扉をくぐる事であの場にいける」
「……あの時も、自動ドアの向こうはただのデパートだった……。まさか、あの時もそれをかざしたの?」
「まあね。一見何の変化もないように見えるけど、ちゃんと繋がってるよ」
「……」
「僕達以外は通れないし、この間に誰かが通っても図書室に入るだけだけど……いつどんな経路で秘密がばれてしまうか分からないから、徹底して人目の少ない所で移動するよう言われてるんだ」
それに図書室はうってつけで、奥であればあるほど人目は少なく特に専門書のコーナーなんかはうってつけなんだとか。
「これは『あれ』に関係する皆が持ってるんだ。あそこへの道を開くにはいくつか条件があるけどね」
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