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第13話、心の奥にあるもの
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「うーん……」
「どうかしたの?」
廊下を歩いていた所、ふとクロスは隣を歩いていた緋香琉から聞こえた声に振り向き首を傾げた。
そして緋香琉が口を開き
「ほら、覚えてるか? 彩音がAクラスにいるってAクラスの教室に行った時のこと。そこに男子がいただろ?」
切り出された話にクロスは思い返すと
「その片方は沙織から話を聞いて思い出した。微かな記憶しかないけど……確か小学校にそんなやつがいた気がしたんだ」
「確か、緋香琉は短い間だけど彩音と同じ学校にいたのよね」
「そう。幼稚園から小学二年まで……」
あの日、彩音と二人の男子生徒間に流れた異様な空気は沙織を始め緋香琉とクロスも気づいていた。しかしそれ以降彩音から話が出ることも無く、聞くにも躊躇いそのまま風化していた。
彩音はまるで気にされることを嫌がるかのように一切あの時の事には触れず、たまたま彩音がいなかった時に沙織からその名を聞き出した。
そして沙織から聞いた情報を思い返し、自身の記憶を手繰り寄せていきながら
「元々そんなにクラス人数も多く無かったし、特に少し目立つやつなら印象にも残りやすい。所詮、狭い世界だからな」
かつてクラスの大半と仲が良く、中心と言われていた緋香琉も隣のクラスで似たような存在を耳にした記憶が微かにある。
「つまり、小学校には彩音と緋香琉に加えて彼もいたということ?」
「そうなるな。あの伊藤ってやつは完全に知らないが、沙織に話を聞いたらどうやら上田や彩音と中学の同級生だったらしい」
その頃には既に緋香琉は大阪へ引っ越しておりその頃の事は知らない。
「彩音が一方的に上田を嫌ってるみたいで、沙織曰く何か訳ありじゃないかとか予想してるみたいだけど……」
そして学校全体で流行ったあの都市伝説について彼女が関わり出したということは彼女らは知らない。
「にこにこしてるのが気に食わないっ」
彼らの拠点であるこの部屋……『導きの間』で彩音は六本木に不満を露わにしながら睨みつけ、睨まれた六本木は苦笑いしていた。
そこに渋谷颯紀がソファに座ったまま振り返れば
「なんだなんだ? 彩音は硬派な男が好みなのか? 六本木はウチの中じゃあ誠実枠なんだか優男なのは否定出来んからなあ」
「そういう話をしてる訳じゃないですけどっ!」
「というか渋谷、いつの間に彼女と親しくなったんだ……下の名で呼ぶなんて」
「新宿、お前じゃないんだから誤解を招く言い方はやめろ。悩みを解決するまでの条件付きとはいえ、チームの一員になったんだからそれ相応の接し方に合わせただけだ」
新宿の問いに息を吐きながら答え、それに新宿は彩音に視線を向けるとにこりと笑い
「それなら俺も彩音ちゃんって呼ぼうかな」
「…………」
「……そう、露骨に嫌な顔されると流石の俺も傷つくな……」
「別に、そう呼びたいなら止めはしませんけど……」
と答えながら、目線は合わずそっぽを向いているから明らかに本意ではないと感じ取り新宿が苦笑いしていると再び聞こえた渋谷の声に視線を向けた。そこには妹の朱里もおり
「マスターは一員として俺たちの手伝いをするように言ったけれど、本来の目的は彩音の抱える悩みを解決することなんだよな」
「彩音の悩みって?」
「それが本人にも俺たちにも分からないから困ってんだよ。マスター曰く俺たちと一緒に人々の悩みに立ち会っていけば状況が変わるらしいが」
と朱里に説明するように語る颯紀の言葉を聞きながら彩音は黙り込むと俯いた。
彼らと共に悩みを持つ人々を手助けし始め少し経つものの、進展は見込めぬまま彼らは揃えて疑問符を浮かべている。
「何か心当たりはないの?」
「そりゃ、大小問わず言うなら常に悩みくらいあるけど……」
小テストの点数、北条啓の件、時々聞かれる夕飯のリクエスト……しかしマスターの口調からするとそれが根深い悩みに該当するとは思えない。
一向に見えない兆しに誰もが悩む中彩音は問いかけ
「そもそも、あの人が言う私の中にある悩みってどんなものを指してるんでしょうか」
「最高難易度とか言ってたし、どこにでもあるような悩みではないってことだよね。それも本人さえも分からないような……」
「いや」
ふと言葉は遮られ、一同は遮る声を上げた六本木に振り向き彩音も目を丸くした。
そして六本木は僅かに視線を伏せながら
「あの時は本当に分からなかった。だけど今はマスターの指した悩みは分からなくても引っかかることはあるんじゃない?」
「な……?」「え……?」
誰もが声を揃えて口に出し、六本木が視線を向けるとその先にいた彩音は険しい表情で黙り込んでいた。
そしてその様子に確信を持つと
「……本当に何も無い人は、そんな表情はしないよ」
「…………」
「一くん、何か心当たりがあるの?」
朱里の問いに数秒間を開け
「僕にもはっきりとは分からない。だけど明らかに何かを抱えているような違和感を感じてるんだ」
「多くの人の、多種多様な悩みを見てきた六本木でさえ完全に見抜けないもの。それが最高難易度の理由かね」
「…………」
「そして、多分彼女もこの件に引っかかる思い当たりがあって、だけどそれが何なのか分からない状態なんじゃないかな」
「つまり、どうすれば……?」
「思い当たる微かな情報から、本当に抱えているものを僕達で探し出すしかない」
再び難易度を極めそうな発言に部屋が静まり返りかけた時、開かれた口に部屋の中にいた誰もは振り向いた。
「……関係してそうなことはあるけれど、それをどう説明したらいいか分からないんだ」
「!」
聞こえた声に六本木が目を丸くすると、彩音は俯き視線を逸らしたまま
「これがあの人の言っていた事なのかは分からない」
「やっぱり、心当たりがあるんだね?」
「……。だけど、それは悩みとは少し違うような……。なんて言うんだろう。解決っていう『最終点』があるのか私にも想像出来ないというか……」
♦
「彩音、私購買で買ってくるから先に行ってて」
「わかった」
後日、昼休みに廊下へと出ていく沙織を見送ると彩音は北条啓の作った弁当を持って一足先に屋上へと向かう。
やがて辿り着いたもののそこに緋香琉もクロスの姿もなく、弁当を置くと手すりから校舎の周りを見下ろした。
天気も良く穏やかな気温な事もあり、ベンチや木陰に腰を下ろして昼食を取っている生徒の姿がちらほら見える。
『……本当に何も無い人は、そんな表情はしないよ』
「…………」
あくまで抱えているという悩みを解決する為に関わる身であることから日常の中で必要以上の接触はしてこない。
それには彩音が噂好きの沙織と仲がいいことから勘づかれることを六本木が警戒しての行動でもあり、見下ろしながらその表情は曇っていた。
その時、違和感を感じ彩音の表情は一変し、微かに感じた不穏な空気を確かめるように空を見上げると子供と同じくらいの大きさの鳥が飛んでいた。
「鳥……?」
こんな街中でそこまで巨大な鳥は珍しく無意識に疑念を抱いて間もなく、鳥の視線が彩音に向いたと思った途端突然急降下してきた。
「っ!?」
咄嗟に避けると反動でバランスを崩し地面へと倒れ込むもすぐ立ち上がり視線を鳥に定める。
黒い羽根でありながら、時折キラキラと虹のような七色の輝きを見せ明らかにただの鳥ではない。
「魔物か……!?」
再び爪を立て急降下してくると防御魔法『ネルラ』を唱え、鳥は堅い音を立てて青い壁に遮られると弾かれた。
鋭い爪を立て壁を破ろうとしていたものの、やがて飛び上がり距離をとる姿を凝視しながら彩音は表情を歪める。
(今ここには自分しかいない。戦わないと)
と魔法を唱えようとした時、風の刃のような何かが魔物の翼を切り裂いていった。
瞬時に起きた事に目を丸くした瞬間背後から声が聞こえ
「そのまま動くなよ!」
その声は沙織でもなく、想像していた人達とは違う男子生徒の声。
だから驚きのままに思わず振り向くがその男子生徒は顔を見る前に真横を通り駆け抜けていく。そして両手で握っていた刀を振ると刃から風の刃が飛び出し、それは先程見たものと同じ技。
「衝波!!」
彩音の中で戦える者と言えば神から力を受けた緋香琉とクロス、そして魔法使いである沙織のみだと思っていた。
ここで昼食にする約束もしてる以上彼女らが現れてもおかしくはないのだ。
しかし、今目の前にいるのはその誰でもなくこの学校に通う男子生徒だった。
そして彼の手には武器と思わしき『刀』が握られている────
光のような、風のような刃は魔物を切り裂き鳥の魔物は消滅していった。
「…………」
言葉は出ず、口が開いたまま目の前に立っていた人物を見つめていた。
多くの日本人が持つと言われている黒い髪、そしてこの学校の制服。彼女ら以外に戦う術を持つならば、以前沙織から聞いた異能者。
だけど振り返り、視線を返すようにこちらを見つめる姿は彩音のよく知る人物だった。
「怪我はないか?」
唖然と言葉を失っていた彩音に対して男子生徒は問いかける。
その男子生徒は……上田翔太。
言葉を失っていた彩音はやがて手に握られたものに視線を落とし
「なんであんたが戦えて……」
「…………」
「何それ……何、その武器は」
混乱のまま問いかける彩音に翔太は自らの握る刀を見つめ、彩音に視線を戻すと
「これは……ちょっと事情があってな。とある人から渡されたんだ」
「な、渡されたって何……!? 日本は武器を持てないはずじゃ……」
と反射的に投げかけるとそれは遮られる。
「違う違う。お前と同じ……とある神から授けられたんだよ」
「な……?」
その名はエリア。
彩音達守護者に守護者としての使命を与え力を与えた存在から翔太もこの刀を渡されたと話し
「まあ、とある面倒事に巻き込まれて、たまたま俺がいたから解決の為に渡されたって感じだけどな」
「は……? 何それ」
「異変を解決した後も回収されないまま何でか俺が持ってるってだけの話だ。お前ら程偉大な力でもなければ大層な使命も受けてないけどな」
つまり、彼は守護者ではない。
彩音が唖然とする中、翔太はどこかへと歩き出し戦いの最中ポケットから落としたものを拾うとポケットに入れた。
それから、これ以上魔物が出ることもなく日常に戻るもののこれはある真実への始まりだった。
平穏なとある日、落ちたものを拾う翔太に対して青空はそれを見て問いかける。
「ブレスレット?」
拾い上げ、席に戻ると聞こえた声に気づきしまいかけてたブレスレットを机の上に置いた。
それは透明な石と緑の人工石で作られたブレスレットで青空が物珍しそうな視線を向けていたことに口を開く。
「言っとくが俺の趣味ってわけじゃねえぞ。ただ、これはちょっと特別なもんで、一種のお守り的な感じで持ち歩いてるだけだ」
青空が疑問符を浮かべ翔太はブレスレットへ視線を落とす。そこにどこからともなく沙織も現れて
「ん、何々? 何そのブレスレット」
「鈴木……一体どこから湧いてくるんだよ」
と呆れたように息を吐きながら語り始め
「小さい頃に仲のいいやつがいてな」
それはもう何年も前の話。
町の外れで出会い、会う度に遊んでいたのだという。
車も滅多に通らない、まるで森の中のような場所の為木に登ったり地面に絵を描いたり殆ど外で遊んでいたという。
「まあ、そいつがその町の外れに住んでて俺は町に住んでたんだが……子供の頃の話だからつい冒険したくて森の中に入ってったんだ。そこで会ってな」
「…………」
「そいつの両親はいつも出張で空けるもんだから、遊び相手も話し相手もいないと退屈そうにしてたんだ」
よく彼女の元へ行っては話して遊んでいたものの、ある時翔太は遠い場所へ引っ越す事になる。
別れを惜しんだ果てに何か残せるものはないかと考えた結果がこのブレスレットだと言う。
「俺はこの緑の。そしてあいつにはこれの色違い、水色のブレスレットを渡したんだ。友達の証としてな」
「何それ、めちゃくちゃいい話~!」
と感激しながら沙織が声を上げ、青空も同意のように頷いている。
「だから肌身離さず持ち歩いてるのか?」
「まあ、結局あの後会えなかったし、俺もこんな所に来ちまったからもう会えないとは思ってるけど……もしかしたらいつか会えるんじゃないかとも思えてな」
「本当に仲が良かったんだな」
「あぁ。あいつはいつもビクビクしてて、俺が連れ出さなきゃどこにも行けないようなやつだった。探検とか言って森の中を歩き回ったり」
懐かしむような語り口調に青空が穏やかな気持ちになっていると沙織もまるで楽しそうに話していく。
「それさ、本当にどこかでまた会えたらそれこそ運命って言うかロマンチックだよね~」
「なんか、そう言われると小っ恥ずかしくなってくるな……」
「いやいや、そういう思い出のものがあるって凄くいいことだと思うな!」
そう話す沙織に翔太は微かに笑う。
だが続けて話していた沙織の言葉にその笑みは消えた。
「そう言えば、彩音も同じようなブレスレット持ってたんだよねぇ~」
「……え?」
笑みが消え、目を丸くしながら声を上げる。
「いつだったか手に付けてるのが見えた事があるんだよね。彩音の事だから聞いたら茶化してると思われて怒られそうだから聞いてはないんだけど」
「まあ、女子ならブレスレットくらい普通につけるだろうな」
「私も意外だと思ったよ。彩音ってそういう高価なオシャレには拘りがないみたいな事をいってたから。意外にもパワーストーンとか好きなのかな」
「…………」
伊藤が微笑ましく笑いながら鈴木と会話するように女子ならアクセサリーのひとつくらいつけるだろう。
しかしそう思いながら翔太の中には今もまだ、微かに色違いのブレスレットを渡したあの少女との再会を望んでいた。
そして、つい思い浮かべてしまう。
もし、彩音がかつて遊んだ子だったとしたら……と。
彩音とは同じ学校に通う範囲内に住んでいたことは確かだから可能性はゼロではない。
しかし会話のように女子がアクセサリーやブレスレットを身につけるなんてどこにでもある話で、少し条件が合うからってそんな可能性はそうそうない。
(また会える、なんて夢見すぎてるだけなんだ)
やがて時が経ち、掃除当番をしていた翔太は同じ場を掃除していた沙織に問いかけた。
「入学式の時からあいつと顔見知りみたいだったが……どうやって知り合ったんだ」
「ん? 私が外国を旅してた時にね」
返答に表情を変えると背を向け掃除を進める沙織に再度投げかけ
「旅……? 旅行……じゃないよな。あいつの事はどれだけ知ってるんだ?」
「……さあ。変わり者って事くらいしか」
沙織があてもなく旅をしていた時、突如魔物に襲われた時ある人達に助けられた。
そして彼らはある人物を探してこの地に来たという。
「それが彩音だったんだよね」
「ある人達……ってまさかユニコネのことか?」
「なんだ、ユニコネを知ってるんだ。まあ、日本じゃゲームとしても有名だし、知名度もあるけどゲームじゃないユニコネを知ってるなんて」
かつて彩音はユニコネという組織に所属しており、ユニコネの主な活動指針は『世界を襲う脅威や異変から世界を守ること』。
その土地の者だけで対処出来ない程強大な支配者……それこそ邪神や悪魔といった存在に対して対抗出来るよう創られた組織であり、各地の名のある実力者が異なる戦法や文化を知り協力する事で一人では不可能な相手に対抗し守ることを目的としている。
そして、組織と彩音にはとある蟠りがあり、飛び出した彩音を探していた所沙織と彼らは出会いそれが沙織と彩音の出会いの始まりだったという。
「そもそも日本人の、しかも子供が魔物の蔓延る世界を旅してるだけで相当の変わり者だよ。まあ、流れでいざこざに巻き込まれちゃったけど……」
「…………」
「本当に、珍しいなーくらいしか思わなかったからあんまり知らないし聞こうとも思わなかったかな。けど……ユニコネのメンバーとすぐ揉めてたよ」
「揉めてた……?」
放課後場所は変わりファミレス。
飲み物を前に向かい合うように座ると翔太は沙織の言葉に顔を上げた。
「初日の時、明らかに嫌われてたよね? でも上田くん自身は彩音の事を嫌いな訳じゃない……それには何か理由でもあるのかな?」
「それは……」
言い淀む翔太の様子を伺い、意味深な表情を浮かべると
「話しづらい、って感じ? でも彩音の事を気にしてるって事は何か理由があるんじゃないかと思ったんだよ」
都外から来たにも関わらず、偏差値もさほど有名校でないここに集まったのは予想外だと思っているのではないか、と問いかけると黙り込んでいた翔太は息を吐き口を開いた。
「……あいつが俺を嫌う理由について心当たりはあるし納得も出来る内容だ。そして……だからこそお前らとつるんでる事に驚いた」
「…………」
「けど、さっきの話を聞くにお前も魔物と戦う力を持ってる。そして異変を解決する利便性と流れで一緒に行動してたって取れたが」
「大体合ってると思うよ」
ストローで飲み物を飲む沙織はコップを置き、再び口を開く翔太の言葉に耳を傾けた。
そして翔太は俯きながらある話を打ち明けていった。
「……俺達の住んでた地域に少し変わった風習があってな。俺はもう一つ『エメラルド』って言う名前を持つんだ」
「え?」
日本人でありながら、その土地では生まれて幼い頃は日本人特有の名をつける前に外人の様な名をつける風習があるというのだ。
理由は悪しき存在から目を反らせさせる為日本人と認識させない意図があるとかで、上田翔太と名付けられる前は『エメラルド』と名付けられていたと明かした。
「そして、まあ子供の数も少ないから地元に学校なんてねえんだ。小学校は離れた町にしかなくて、地元や付近の学生は一時的に引っ越すか下宿することになる」
そして、多くは小学校に通うに当たり周囲に合わせて今名乗るような日本人の名を名乗るようになるのだという。
翔太は他の子より早く家族と共に小学校のある土地に引っ越したのだが、とあのブレスレットを出し
「これの色違い……水色のブレスレットを渡した子は俺の住んでた町から少し離れた外れに家があった。つまり、同じように引っ越すかなんかして離れた町の学校に通ったはずなんだ」
「!」
「あいつとは小学校からの同級生で……。もし、鈴木の言う通りあいつがブレスレットを持っていて、それがこれと同じ種類で水色なら……」
話を理解し、呑み込んだ沙織はふいに翔太の表情が険しくなった事に気づいた。
そして翔太はテーブルの上に置いた手をぐっと握り込むと
「ただ、もしそうだとしたら……」
「何、どうかしたの?」
「だけど、もしあいつがそうだとしたらとんでもない事になる」
「どうかしたの?」
廊下を歩いていた所、ふとクロスは隣を歩いていた緋香琉から聞こえた声に振り向き首を傾げた。
そして緋香琉が口を開き
「ほら、覚えてるか? 彩音がAクラスにいるってAクラスの教室に行った時のこと。そこに男子がいただろ?」
切り出された話にクロスは思い返すと
「その片方は沙織から話を聞いて思い出した。微かな記憶しかないけど……確か小学校にそんなやつがいた気がしたんだ」
「確か、緋香琉は短い間だけど彩音と同じ学校にいたのよね」
「そう。幼稚園から小学二年まで……」
あの日、彩音と二人の男子生徒間に流れた異様な空気は沙織を始め緋香琉とクロスも気づいていた。しかしそれ以降彩音から話が出ることも無く、聞くにも躊躇いそのまま風化していた。
彩音はまるで気にされることを嫌がるかのように一切あの時の事には触れず、たまたま彩音がいなかった時に沙織からその名を聞き出した。
そして沙織から聞いた情報を思い返し、自身の記憶を手繰り寄せていきながら
「元々そんなにクラス人数も多く無かったし、特に少し目立つやつなら印象にも残りやすい。所詮、狭い世界だからな」
かつてクラスの大半と仲が良く、中心と言われていた緋香琉も隣のクラスで似たような存在を耳にした記憶が微かにある。
「つまり、小学校には彩音と緋香琉に加えて彼もいたということ?」
「そうなるな。あの伊藤ってやつは完全に知らないが、沙織に話を聞いたらどうやら上田や彩音と中学の同級生だったらしい」
その頃には既に緋香琉は大阪へ引っ越しておりその頃の事は知らない。
「彩音が一方的に上田を嫌ってるみたいで、沙織曰く何か訳ありじゃないかとか予想してるみたいだけど……」
そして学校全体で流行ったあの都市伝説について彼女が関わり出したということは彼女らは知らない。
「にこにこしてるのが気に食わないっ」
彼らの拠点であるこの部屋……『導きの間』で彩音は六本木に不満を露わにしながら睨みつけ、睨まれた六本木は苦笑いしていた。
そこに渋谷颯紀がソファに座ったまま振り返れば
「なんだなんだ? 彩音は硬派な男が好みなのか? 六本木はウチの中じゃあ誠実枠なんだか優男なのは否定出来んからなあ」
「そういう話をしてる訳じゃないですけどっ!」
「というか渋谷、いつの間に彼女と親しくなったんだ……下の名で呼ぶなんて」
「新宿、お前じゃないんだから誤解を招く言い方はやめろ。悩みを解決するまでの条件付きとはいえ、チームの一員になったんだからそれ相応の接し方に合わせただけだ」
新宿の問いに息を吐きながら答え、それに新宿は彩音に視線を向けるとにこりと笑い
「それなら俺も彩音ちゃんって呼ぼうかな」
「…………」
「……そう、露骨に嫌な顔されると流石の俺も傷つくな……」
「別に、そう呼びたいなら止めはしませんけど……」
と答えながら、目線は合わずそっぽを向いているから明らかに本意ではないと感じ取り新宿が苦笑いしていると再び聞こえた渋谷の声に視線を向けた。そこには妹の朱里もおり
「マスターは一員として俺たちの手伝いをするように言ったけれど、本来の目的は彩音の抱える悩みを解決することなんだよな」
「彩音の悩みって?」
「それが本人にも俺たちにも分からないから困ってんだよ。マスター曰く俺たちと一緒に人々の悩みに立ち会っていけば状況が変わるらしいが」
と朱里に説明するように語る颯紀の言葉を聞きながら彩音は黙り込むと俯いた。
彼らと共に悩みを持つ人々を手助けし始め少し経つものの、進展は見込めぬまま彼らは揃えて疑問符を浮かべている。
「何か心当たりはないの?」
「そりゃ、大小問わず言うなら常に悩みくらいあるけど……」
小テストの点数、北条啓の件、時々聞かれる夕飯のリクエスト……しかしマスターの口調からするとそれが根深い悩みに該当するとは思えない。
一向に見えない兆しに誰もが悩む中彩音は問いかけ
「そもそも、あの人が言う私の中にある悩みってどんなものを指してるんでしょうか」
「最高難易度とか言ってたし、どこにでもあるような悩みではないってことだよね。それも本人さえも分からないような……」
「いや」
ふと言葉は遮られ、一同は遮る声を上げた六本木に振り向き彩音も目を丸くした。
そして六本木は僅かに視線を伏せながら
「あの時は本当に分からなかった。だけど今はマスターの指した悩みは分からなくても引っかかることはあるんじゃない?」
「な……?」「え……?」
誰もが声を揃えて口に出し、六本木が視線を向けるとその先にいた彩音は険しい表情で黙り込んでいた。
そしてその様子に確信を持つと
「……本当に何も無い人は、そんな表情はしないよ」
「…………」
「一くん、何か心当たりがあるの?」
朱里の問いに数秒間を開け
「僕にもはっきりとは分からない。だけど明らかに何かを抱えているような違和感を感じてるんだ」
「多くの人の、多種多様な悩みを見てきた六本木でさえ完全に見抜けないもの。それが最高難易度の理由かね」
「…………」
「そして、多分彼女もこの件に引っかかる思い当たりがあって、だけどそれが何なのか分からない状態なんじゃないかな」
「つまり、どうすれば……?」
「思い当たる微かな情報から、本当に抱えているものを僕達で探し出すしかない」
再び難易度を極めそうな発言に部屋が静まり返りかけた時、開かれた口に部屋の中にいた誰もは振り向いた。
「……関係してそうなことはあるけれど、それをどう説明したらいいか分からないんだ」
「!」
聞こえた声に六本木が目を丸くすると、彩音は俯き視線を逸らしたまま
「これがあの人の言っていた事なのかは分からない」
「やっぱり、心当たりがあるんだね?」
「……。だけど、それは悩みとは少し違うような……。なんて言うんだろう。解決っていう『最終点』があるのか私にも想像出来ないというか……」
♦
「彩音、私購買で買ってくるから先に行ってて」
「わかった」
後日、昼休みに廊下へと出ていく沙織を見送ると彩音は北条啓の作った弁当を持って一足先に屋上へと向かう。
やがて辿り着いたもののそこに緋香琉もクロスの姿もなく、弁当を置くと手すりから校舎の周りを見下ろした。
天気も良く穏やかな気温な事もあり、ベンチや木陰に腰を下ろして昼食を取っている生徒の姿がちらほら見える。
『……本当に何も無い人は、そんな表情はしないよ』
「…………」
あくまで抱えているという悩みを解決する為に関わる身であることから日常の中で必要以上の接触はしてこない。
それには彩音が噂好きの沙織と仲がいいことから勘づかれることを六本木が警戒しての行動でもあり、見下ろしながらその表情は曇っていた。
その時、違和感を感じ彩音の表情は一変し、微かに感じた不穏な空気を確かめるように空を見上げると子供と同じくらいの大きさの鳥が飛んでいた。
「鳥……?」
こんな街中でそこまで巨大な鳥は珍しく無意識に疑念を抱いて間もなく、鳥の視線が彩音に向いたと思った途端突然急降下してきた。
「っ!?」
咄嗟に避けると反動でバランスを崩し地面へと倒れ込むもすぐ立ち上がり視線を鳥に定める。
黒い羽根でありながら、時折キラキラと虹のような七色の輝きを見せ明らかにただの鳥ではない。
「魔物か……!?」
再び爪を立て急降下してくると防御魔法『ネルラ』を唱え、鳥は堅い音を立てて青い壁に遮られると弾かれた。
鋭い爪を立て壁を破ろうとしていたものの、やがて飛び上がり距離をとる姿を凝視しながら彩音は表情を歪める。
(今ここには自分しかいない。戦わないと)
と魔法を唱えようとした時、風の刃のような何かが魔物の翼を切り裂いていった。
瞬時に起きた事に目を丸くした瞬間背後から声が聞こえ
「そのまま動くなよ!」
その声は沙織でもなく、想像していた人達とは違う男子生徒の声。
だから驚きのままに思わず振り向くがその男子生徒は顔を見る前に真横を通り駆け抜けていく。そして両手で握っていた刀を振ると刃から風の刃が飛び出し、それは先程見たものと同じ技。
「衝波!!」
彩音の中で戦える者と言えば神から力を受けた緋香琉とクロス、そして魔法使いである沙織のみだと思っていた。
ここで昼食にする約束もしてる以上彼女らが現れてもおかしくはないのだ。
しかし、今目の前にいるのはその誰でもなくこの学校に通う男子生徒だった。
そして彼の手には武器と思わしき『刀』が握られている────
光のような、風のような刃は魔物を切り裂き鳥の魔物は消滅していった。
「…………」
言葉は出ず、口が開いたまま目の前に立っていた人物を見つめていた。
多くの日本人が持つと言われている黒い髪、そしてこの学校の制服。彼女ら以外に戦う術を持つならば、以前沙織から聞いた異能者。
だけど振り返り、視線を返すようにこちらを見つめる姿は彩音のよく知る人物だった。
「怪我はないか?」
唖然と言葉を失っていた彩音に対して男子生徒は問いかける。
その男子生徒は……上田翔太。
言葉を失っていた彩音はやがて手に握られたものに視線を落とし
「なんであんたが戦えて……」
「…………」
「何それ……何、その武器は」
混乱のまま問いかける彩音に翔太は自らの握る刀を見つめ、彩音に視線を戻すと
「これは……ちょっと事情があってな。とある人から渡されたんだ」
「な、渡されたって何……!? 日本は武器を持てないはずじゃ……」
と反射的に投げかけるとそれは遮られる。
「違う違う。お前と同じ……とある神から授けられたんだよ」
「な……?」
その名はエリア。
彩音達守護者に守護者としての使命を与え力を与えた存在から翔太もこの刀を渡されたと話し
「まあ、とある面倒事に巻き込まれて、たまたま俺がいたから解決の為に渡されたって感じだけどな」
「は……? 何それ」
「異変を解決した後も回収されないまま何でか俺が持ってるってだけの話だ。お前ら程偉大な力でもなければ大層な使命も受けてないけどな」
つまり、彼は守護者ではない。
彩音が唖然とする中、翔太はどこかへと歩き出し戦いの最中ポケットから落としたものを拾うとポケットに入れた。
それから、これ以上魔物が出ることもなく日常に戻るもののこれはある真実への始まりだった。
平穏なとある日、落ちたものを拾う翔太に対して青空はそれを見て問いかける。
「ブレスレット?」
拾い上げ、席に戻ると聞こえた声に気づきしまいかけてたブレスレットを机の上に置いた。
それは透明な石と緑の人工石で作られたブレスレットで青空が物珍しそうな視線を向けていたことに口を開く。
「言っとくが俺の趣味ってわけじゃねえぞ。ただ、これはちょっと特別なもんで、一種のお守り的な感じで持ち歩いてるだけだ」
青空が疑問符を浮かべ翔太はブレスレットへ視線を落とす。そこにどこからともなく沙織も現れて
「ん、何々? 何そのブレスレット」
「鈴木……一体どこから湧いてくるんだよ」
と呆れたように息を吐きながら語り始め
「小さい頃に仲のいいやつがいてな」
それはもう何年も前の話。
町の外れで出会い、会う度に遊んでいたのだという。
車も滅多に通らない、まるで森の中のような場所の為木に登ったり地面に絵を描いたり殆ど外で遊んでいたという。
「まあ、そいつがその町の外れに住んでて俺は町に住んでたんだが……子供の頃の話だからつい冒険したくて森の中に入ってったんだ。そこで会ってな」
「…………」
「そいつの両親はいつも出張で空けるもんだから、遊び相手も話し相手もいないと退屈そうにしてたんだ」
よく彼女の元へ行っては話して遊んでいたものの、ある時翔太は遠い場所へ引っ越す事になる。
別れを惜しんだ果てに何か残せるものはないかと考えた結果がこのブレスレットだと言う。
「俺はこの緑の。そしてあいつにはこれの色違い、水色のブレスレットを渡したんだ。友達の証としてな」
「何それ、めちゃくちゃいい話~!」
と感激しながら沙織が声を上げ、青空も同意のように頷いている。
「だから肌身離さず持ち歩いてるのか?」
「まあ、結局あの後会えなかったし、俺もこんな所に来ちまったからもう会えないとは思ってるけど……もしかしたらいつか会えるんじゃないかとも思えてな」
「本当に仲が良かったんだな」
「あぁ。あいつはいつもビクビクしてて、俺が連れ出さなきゃどこにも行けないようなやつだった。探検とか言って森の中を歩き回ったり」
懐かしむような語り口調に青空が穏やかな気持ちになっていると沙織もまるで楽しそうに話していく。
「それさ、本当にどこかでまた会えたらそれこそ運命って言うかロマンチックだよね~」
「なんか、そう言われると小っ恥ずかしくなってくるな……」
「いやいや、そういう思い出のものがあるって凄くいいことだと思うな!」
そう話す沙織に翔太は微かに笑う。
だが続けて話していた沙織の言葉にその笑みは消えた。
「そう言えば、彩音も同じようなブレスレット持ってたんだよねぇ~」
「……え?」
笑みが消え、目を丸くしながら声を上げる。
「いつだったか手に付けてるのが見えた事があるんだよね。彩音の事だから聞いたら茶化してると思われて怒られそうだから聞いてはないんだけど」
「まあ、女子ならブレスレットくらい普通につけるだろうな」
「私も意外だと思ったよ。彩音ってそういう高価なオシャレには拘りがないみたいな事をいってたから。意外にもパワーストーンとか好きなのかな」
「…………」
伊藤が微笑ましく笑いながら鈴木と会話するように女子ならアクセサリーのひとつくらいつけるだろう。
しかしそう思いながら翔太の中には今もまだ、微かに色違いのブレスレットを渡したあの少女との再会を望んでいた。
そして、つい思い浮かべてしまう。
もし、彩音がかつて遊んだ子だったとしたら……と。
彩音とは同じ学校に通う範囲内に住んでいたことは確かだから可能性はゼロではない。
しかし会話のように女子がアクセサリーやブレスレットを身につけるなんてどこにでもある話で、少し条件が合うからってそんな可能性はそうそうない。
(また会える、なんて夢見すぎてるだけなんだ)
やがて時が経ち、掃除当番をしていた翔太は同じ場を掃除していた沙織に問いかけた。
「入学式の時からあいつと顔見知りみたいだったが……どうやって知り合ったんだ」
「ん? 私が外国を旅してた時にね」
返答に表情を変えると背を向け掃除を進める沙織に再度投げかけ
「旅……? 旅行……じゃないよな。あいつの事はどれだけ知ってるんだ?」
「……さあ。変わり者って事くらいしか」
沙織があてもなく旅をしていた時、突如魔物に襲われた時ある人達に助けられた。
そして彼らはある人物を探してこの地に来たという。
「それが彩音だったんだよね」
「ある人達……ってまさかユニコネのことか?」
「なんだ、ユニコネを知ってるんだ。まあ、日本じゃゲームとしても有名だし、知名度もあるけどゲームじゃないユニコネを知ってるなんて」
かつて彩音はユニコネという組織に所属しており、ユニコネの主な活動指針は『世界を襲う脅威や異変から世界を守ること』。
その土地の者だけで対処出来ない程強大な支配者……それこそ邪神や悪魔といった存在に対して対抗出来るよう創られた組織であり、各地の名のある実力者が異なる戦法や文化を知り協力する事で一人では不可能な相手に対抗し守ることを目的としている。
そして、組織と彩音にはとある蟠りがあり、飛び出した彩音を探していた所沙織と彼らは出会いそれが沙織と彩音の出会いの始まりだったという。
「そもそも日本人の、しかも子供が魔物の蔓延る世界を旅してるだけで相当の変わり者だよ。まあ、流れでいざこざに巻き込まれちゃったけど……」
「…………」
「本当に、珍しいなーくらいしか思わなかったからあんまり知らないし聞こうとも思わなかったかな。けど……ユニコネのメンバーとすぐ揉めてたよ」
「揉めてた……?」
放課後場所は変わりファミレス。
飲み物を前に向かい合うように座ると翔太は沙織の言葉に顔を上げた。
「初日の時、明らかに嫌われてたよね? でも上田くん自身は彩音の事を嫌いな訳じゃない……それには何か理由でもあるのかな?」
「それは……」
言い淀む翔太の様子を伺い、意味深な表情を浮かべると
「話しづらい、って感じ? でも彩音の事を気にしてるって事は何か理由があるんじゃないかと思ったんだよ」
都外から来たにも関わらず、偏差値もさほど有名校でないここに集まったのは予想外だと思っているのではないか、と問いかけると黙り込んでいた翔太は息を吐き口を開いた。
「……あいつが俺を嫌う理由について心当たりはあるし納得も出来る内容だ。そして……だからこそお前らとつるんでる事に驚いた」
「…………」
「けど、さっきの話を聞くにお前も魔物と戦う力を持ってる。そして異変を解決する利便性と流れで一緒に行動してたって取れたが」
「大体合ってると思うよ」
ストローで飲み物を飲む沙織はコップを置き、再び口を開く翔太の言葉に耳を傾けた。
そして翔太は俯きながらある話を打ち明けていった。
「……俺達の住んでた地域に少し変わった風習があってな。俺はもう一つ『エメラルド』って言う名前を持つんだ」
「え?」
日本人でありながら、その土地では生まれて幼い頃は日本人特有の名をつける前に外人の様な名をつける風習があるというのだ。
理由は悪しき存在から目を反らせさせる為日本人と認識させない意図があるとかで、上田翔太と名付けられる前は『エメラルド』と名付けられていたと明かした。
「そして、まあ子供の数も少ないから地元に学校なんてねえんだ。小学校は離れた町にしかなくて、地元や付近の学生は一時的に引っ越すか下宿することになる」
そして、多くは小学校に通うに当たり周囲に合わせて今名乗るような日本人の名を名乗るようになるのだという。
翔太は他の子より早く家族と共に小学校のある土地に引っ越したのだが、とあのブレスレットを出し
「これの色違い……水色のブレスレットを渡した子は俺の住んでた町から少し離れた外れに家があった。つまり、同じように引っ越すかなんかして離れた町の学校に通ったはずなんだ」
「!」
「あいつとは小学校からの同級生で……。もし、鈴木の言う通りあいつがブレスレットを持っていて、それがこれと同じ種類で水色なら……」
話を理解し、呑み込んだ沙織はふいに翔太の表情が険しくなった事に気づいた。
そして翔太はテーブルの上に置いた手をぐっと握り込むと
「ただ、もしそうだとしたら……」
「何、どうかしたの?」
「だけど、もしあいつがそうだとしたらとんでもない事になる」
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