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23.脅しの言葉は
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「王家の弱みを握ったなどと思って、いい気になっていたお前の姿というものは実に不愉快なものだった」
ラメリオ殿下は、ゆっくりとした口調で言葉を発していた。その口調からは、彼の怒りというものが読み取れる。
それだけのことを、ディアルス様はやったといえるだろう。彼は王家というものを侮っていた。言いくるめられると、高を括っていたのだろう。
それがラメリオ殿下の逆鱗に触れたのだ。彼は誇り高き王族である。侮辱にも近しいディアルス様には、激しい怒りを覚えたとしてもおかしくはない。
「僕が穏便にことを済ませようとしていることを、理解していないのですか?」
「穏便に済ます、か。別にこちらにそのようなことをする必要などはない。やれるものならやってみろ」
「そ、それは……」
ラメリオ殿下の言葉に、ディアルス様は明らかに怯んでいた。それは、自分の状況をよく理解しているからだろう。
彼が本当にリヴェンド殿下の情報を流せるかというと、それは微妙な所である。それは確かに王家に打撃を与えられるが、ディアルス様も確実に破滅することだからだ。
ただ、彼の一番の誤りはここで動揺してしまったことだろう。今の今まではまだ体裁が保てていた訳ではあるが、それで全てが崩れ去ってしまったのである。
「できないというなら、もうここから去れ。ああ、当然手紙は返してもらうぞ? それはアフェリア嬢のものだ。そもそもそれを届けに来てくれたのだろう?」
「……ちっ!」
ディアルス様は、ラメリオ殿下に向かって手紙を突き出した。敵わないということを悟ったのだろう。彼は悔しそうに、その表情を歪めている。
それを見て、私は少しだけ安心することができた。彼に連れ出されていたら、色々と厄介なことになっていたかもしれない。それが避けられたのは幸いだ。
「……アフェリア嬢、言っておきますが、僕は諦めませんよ」
「ディアルス様、それは……」
「僕はあなたを、エゼルス伯爵家を手にしてみせる……あなたもそれを受け入れてください」
最後に私にそう声をかけてから、ディアルス様は踵を返した。
わかっていたことではあるが、彼はこれで諦めてくれるような人ではないようだ。
しかし孤立している今とは違って、平時なら家族の助けというものもある。今日のようなまずい状況にはならないだろう。
「聞く必要などはないぞ?」
「あ、はい……」
そこで私に、ラメリオ殿下が声をかけてくれた。
その言葉に、私はゆっくりと頷く。何はともあれ、この場は乗り切れたといえるだろう。ラメリオ殿下には、お礼を言わなければならない。
ラメリオ殿下は、ゆっくりとした口調で言葉を発していた。その口調からは、彼の怒りというものが読み取れる。
それだけのことを、ディアルス様はやったといえるだろう。彼は王家というものを侮っていた。言いくるめられると、高を括っていたのだろう。
それがラメリオ殿下の逆鱗に触れたのだ。彼は誇り高き王族である。侮辱にも近しいディアルス様には、激しい怒りを覚えたとしてもおかしくはない。
「僕が穏便にことを済ませようとしていることを、理解していないのですか?」
「穏便に済ます、か。別にこちらにそのようなことをする必要などはない。やれるものならやってみろ」
「そ、それは……」
ラメリオ殿下の言葉に、ディアルス様は明らかに怯んでいた。それは、自分の状況をよく理解しているからだろう。
彼が本当にリヴェンド殿下の情報を流せるかというと、それは微妙な所である。それは確かに王家に打撃を与えられるが、ディアルス様も確実に破滅することだからだ。
ただ、彼の一番の誤りはここで動揺してしまったことだろう。今の今まではまだ体裁が保てていた訳ではあるが、それで全てが崩れ去ってしまったのである。
「できないというなら、もうここから去れ。ああ、当然手紙は返してもらうぞ? それはアフェリア嬢のものだ。そもそもそれを届けに来てくれたのだろう?」
「……ちっ!」
ディアルス様は、ラメリオ殿下に向かって手紙を突き出した。敵わないということを悟ったのだろう。彼は悔しそうに、その表情を歪めている。
それを見て、私は少しだけ安心することができた。彼に連れ出されていたら、色々と厄介なことになっていたかもしれない。それが避けられたのは幸いだ。
「……アフェリア嬢、言っておきますが、僕は諦めませんよ」
「ディアルス様、それは……」
「僕はあなたを、エゼルス伯爵家を手にしてみせる……あなたもそれを受け入れてください」
最後に私にそう声をかけてから、ディアルス様は踵を返した。
わかっていたことではあるが、彼はこれで諦めてくれるような人ではないようだ。
しかし孤立している今とは違って、平時なら家族の助けというものもある。今日のようなまずい状況にはならないだろう。
「聞く必要などはないぞ?」
「あ、はい……」
そこで私に、ラメリオ殿下が声をかけてくれた。
その言葉に、私はゆっくりと頷く。何はともあれ、この場は乗り切れたといえるだろう。ラメリオ殿下には、お礼を言わなければならない。
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