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20.急な知らせ
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私とロナード様は、特に実感が湧かない新婚生活を送っていた。
その生活は、中々に楽しいものだった。領地の人々との関係も良好であるし、このままゆっくりとした日々を送れるだろう。
「……」
「そんな……」
そう思っていた時に、知らせは届いた。
それは、驚くべき知らせだ。ロナード様の言葉を聞いてもまだ受け入れらない。
「レオルード様が、亡くなった……?」
「ああ、手紙にはそのように書いてある」
「い、一体どうして?」
「死因は、現在調査中であるらしい。だが、状況的に考えて病気などの可能性が高いようだな……」
当然のことながら、ロナード様の声色は暗い。
二人は、仲の良い兄弟であったと聞いている。そんな兄が亡くなって、ロナード様も平静でいられるはずはない。
「……驚くべきことだ。まさか、兄上が亡くなるなんてな……」
「え、ええ……」
「だが、悲しんでいる場合ではないな。それは、後でもできることだ。今は俺がやるべきことをやらなければならない」
ロナード様は、手紙を置いてからゆっくりと立ち上がった。
彼は、私の目を真っ直ぐに見てくる。その視線は力強い。いつも穏やかな彼としては、とても珍しい表情である。
「兄上が亡くなったということが、どういうことかあなたは理解しているか?」
「……その質問の意図がわかりません。問題は多々あるように思いますが」
「確かに質問が悪かったな。兄上が亡くなった今、俺はどのような立場に立たされると思う?」
「……レオルード様が亡くなった以上、この国で王位を継承できるのはただ一人。ロナード様だけです」
「ああ、その通りだ。面倒ではあるが、兄上が亡くなった以上、俺も役目を果たさなければならないだろう」
レオルード様はまだ結婚すらしておらず、子供はいない。つまり、今王位を継げるのはロナード様だけである。
しかし、それはとても難しい問題だ。嫌われ者の王弟殿下、そんな彼が無事に王位を継げるかは微妙な所であるだろう。
「とりあえず、王都に戻らなければならない。どうか、あなたにも付いてきてもらいたい。あなたは、俺の妻だからな」
「……はい」
ロナード様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
彼が王位を継ぐということは、私は王妃となるということだ。
悪評ばかりの王は、色々と苦労することも多いだろう。私は妻として、それをしっかりと支えていかなければならない。
険しい道になるだろう。だが、覚悟を決めるしかない。私は彼の妻なのだから。
「さて、まずは領地の皆への挨拶から始めるか……」
「そうですね……」
この穏やかな地での生活がずっと続いて欲しいと私は思っていた。
しかし、事態は動いてしまった。ロナード様が王族である以上、これは仕方ないことなのだ。
その生活は、中々に楽しいものだった。領地の人々との関係も良好であるし、このままゆっくりとした日々を送れるだろう。
「……」
「そんな……」
そう思っていた時に、知らせは届いた。
それは、驚くべき知らせだ。ロナード様の言葉を聞いてもまだ受け入れらない。
「レオルード様が、亡くなった……?」
「ああ、手紙にはそのように書いてある」
「い、一体どうして?」
「死因は、現在調査中であるらしい。だが、状況的に考えて病気などの可能性が高いようだな……」
当然のことながら、ロナード様の声色は暗い。
二人は、仲の良い兄弟であったと聞いている。そんな兄が亡くなって、ロナード様も平静でいられるはずはない。
「……驚くべきことだ。まさか、兄上が亡くなるなんてな……」
「え、ええ……」
「だが、悲しんでいる場合ではないな。それは、後でもできることだ。今は俺がやるべきことをやらなければならない」
ロナード様は、手紙を置いてからゆっくりと立ち上がった。
彼は、私の目を真っ直ぐに見てくる。その視線は力強い。いつも穏やかな彼としては、とても珍しい表情である。
「兄上が亡くなったということが、どういうことかあなたは理解しているか?」
「……その質問の意図がわかりません。問題は多々あるように思いますが」
「確かに質問が悪かったな。兄上が亡くなった今、俺はどのような立場に立たされると思う?」
「……レオルード様が亡くなった以上、この国で王位を継承できるのはただ一人。ロナード様だけです」
「ああ、その通りだ。面倒ではあるが、兄上が亡くなった以上、俺も役目を果たさなければならないだろう」
レオルード様はまだ結婚すらしておらず、子供はいない。つまり、今王位を継げるのはロナード様だけである。
しかし、それはとても難しい問題だ。嫌われ者の王弟殿下、そんな彼が無事に王位を継げるかは微妙な所であるだろう。
「とりあえず、王都に戻らなければならない。どうか、あなたにも付いてきてもらいたい。あなたは、俺の妻だからな」
「……はい」
ロナード様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
彼が王位を継ぐということは、私は王妃となるということだ。
悪評ばかりの王は、色々と苦労することも多いだろう。私は妻として、それをしっかりと支えていかなければならない。
険しい道になるだろう。だが、覚悟を決めるしかない。私は彼の妻なのだから。
「さて、まずは領地の皆への挨拶から始めるか……」
「そうですね……」
この穏やかな地での生活がずっと続いて欲しいと私は思っていた。
しかし、事態は動いてしまった。ロナード様が王族である以上、これは仕方ないことなのだ。
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