本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?

木山楽斗

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13.容赦ない言葉

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「イネリア、言っておくがお前にこのラメルトン伯爵家を明け渡すつもりはない」
「なっ……!」

 私の隣で、イネリアはその目を丸めていた。
 お父様の部屋に呼び出されて、私達は今後に関する話をすることになった。お母様も、この場にはいる。つまりこれは、ラメルトン伯爵家の家族会議だ。
 その場において、お父様はイネリアのことを容赦なく切り捨てた。特に前置きもなく、彼女が最も気にしていたはずの事柄に、結論を出したのである。

「お父様、それはどういうつもりですか?」
「……理解できないような言葉を発したつもりはないのだがな。イネリア、お前はこのラメルトン伯爵家を手に入れたいと思っているようだが、現当主である私はそれを許さない」
「な、何をっ……お父様が次期当主として認めたロンベルト様が、この私を選んだのですよ?」
「それがなんだというのだ」

 お父様は、ゆっくりとため息をついた。
 その首を横に振って、イネリアが何も理解していないということを彼女に突きつける。

「形式としては、確かにロンベルトを次期ラメルトン伯爵家の当主として迎え入れるというものにはなる。しかしそれは、この国で娘に爵位を継がせることができない故の措置だ。私はあくまでも、お前達のどちらがラメルトン伯爵家を継ぐに相応しいかで判断している。ロンベルトのことはただディレイル伯爵家との婚約が利益になると考えただけだ。奴のことを買っているという訳ではない」

 お父様は、淡々と事実を告げていた。
 その言葉に、イネリアの表情はどんどんと歪んでいく。
 彼女は今の今まで、自分がラメルトン伯爵家を手に入れられると思っていた。それが呆気なく崩れ去って、彼女はかなり動揺しているようだ。

「ふ、ふざけないでください。そんなことがありますか! そ、それでは私は、私はお姉様よりも劣っているから、婿を迎える立場にはしないというのですか?」
「その通りだ」

 イネリアの縋りつくような言葉に対しても、お父様は手心を加えるつもりはないようだった。
 先に生まれたというだけで、私がラメルトン伯爵家を背負う。イネリアはそういった年功序列というものに苦言を呈していた。
 しかし、ことここにおいてそれは関係がないことだったのだ。そのことにイネリアは、ひどく動揺しているようだった。

 自尊心の高いこの妹にとって、その根底が揺らぐ事実というものはかなり効いているようだ。先程までの威勢の良さというものが、すっかり鳴りを潜めている。
 ただそれでも、心は折れていないようだった。彼女はその両の目で、お父様のことを見据えている。
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