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私とレイグスは、宿屋で同じ部屋に泊ることになった。
少し浮かれている彼には悪いが、今はそういうことを考えるべき時ではないだろう。
これから真面目なことをするために、王都に向かっている。そういう時に、そんな気分で良い訳がないだろう。
「あれ?」
「うん? どうかしたのか?」
そんなことを考えながら部屋に向かっている最中、私は少し気になる人物を見つけた。
その人物を、私が知っているという訳ではない。ただ、その人物に似ている人を私は知っているのだ。
「部下だった魔術師の一人と似ている人がいたんだ」
「似ている人?」
「うん、他人の空似という可能性もあるけど、もしかして、家族の方なのかな?」
「家族か……まあ、そういうこともあるんじゃないか?」
「そうだね」
レイグスの言う通り、部下だった人の家族と会うことは、別に気にするべきではない。旅行か何かで来ているのだろう。
そう思おうとしたが、なんだか嫌な予感がしていた。旅行といっても、この先にあるのは私達の故郷やそれと同じ規模の町ばかりだ。そんな場所に、旅行に行くのだろうか。
別に、観光地があるという訳でもない。わざわざ、王都からそちらに旅行に行くというのだろうか。
宿屋が埋まっているという状況も、私の疑念を加速させていた。
この宿屋が埋まるということは、そういう旅行をしている人が多いということである。
一組や二組ならまだしも、そちらの方向に団体が行くことは考えにくい。
「レイグス、少し待って……」
「うん?」
「やっぱり……」
私は、目に入る人をゆっくりと観察していた。
すると、ある共通点が見えてくる。皆、私の部下だった人に顔が似ているのだ。
「他人の空似ではない……ここにいるのは、私の部下だった人の家族? つまり、その人達が王都から逃げている……」
「アルメア? どうした?」
「それじゃあ、まるで……」
状況を整理していくと、私の頭の中に嫌な考えが浮かんできた。
その考えが、正しいかどうかはわからない。だが、とてもしっくりと来てしまう。
「レイグス、ありがとう。とりあえず、部屋に入ろうか。話は、部屋の中でするから……」
「……何かあったということか。まったく、ただでさえまずい状況なのに、まだ悪くなるのかよ……」
「それは、わからないけど……」
レイグスは、私の様子を見て、少し嫌そうにした。
確かに、私の考えが事実なら、とても嫌なことである。
だから、できれば、この考えは間違っていて欲しい。私の思い過ごしで、後で笑い話になる。そうなってくれることを祈って、私はレイグスとともに部屋に入るのだった。
少し浮かれている彼には悪いが、今はそういうことを考えるべき時ではないだろう。
これから真面目なことをするために、王都に向かっている。そういう時に、そんな気分で良い訳がないだろう。
「あれ?」
「うん? どうかしたのか?」
そんなことを考えながら部屋に向かっている最中、私は少し気になる人物を見つけた。
その人物を、私が知っているという訳ではない。ただ、その人物に似ている人を私は知っているのだ。
「部下だった魔術師の一人と似ている人がいたんだ」
「似ている人?」
「うん、他人の空似という可能性もあるけど、もしかして、家族の方なのかな?」
「家族か……まあ、そういうこともあるんじゃないか?」
「そうだね」
レイグスの言う通り、部下だった人の家族と会うことは、別に気にするべきではない。旅行か何かで来ているのだろう。
そう思おうとしたが、なんだか嫌な予感がしていた。旅行といっても、この先にあるのは私達の故郷やそれと同じ規模の町ばかりだ。そんな場所に、旅行に行くのだろうか。
別に、観光地があるという訳でもない。わざわざ、王都からそちらに旅行に行くというのだろうか。
宿屋が埋まっているという状況も、私の疑念を加速させていた。
この宿屋が埋まるということは、そういう旅行をしている人が多いということである。
一組や二組ならまだしも、そちらの方向に団体が行くことは考えにくい。
「レイグス、少し待って……」
「うん?」
「やっぱり……」
私は、目に入る人をゆっくりと観察していた。
すると、ある共通点が見えてくる。皆、私の部下だった人に顔が似ているのだ。
「他人の空似ではない……ここにいるのは、私の部下だった人の家族? つまり、その人達が王都から逃げている……」
「アルメア? どうした?」
「それじゃあ、まるで……」
状況を整理していくと、私の頭の中に嫌な考えが浮かんできた。
その考えが、正しいかどうかはわからない。だが、とてもしっくりと来てしまう。
「レイグス、ありがとう。とりあえず、部屋に入ろうか。話は、部屋の中でするから……」
「……何かあったということか。まったく、ただでさえまずい状況なのに、まだ悪くなるのかよ……」
「それは、わからないけど……」
レイグスは、私の様子を見て、少し嫌そうにした。
確かに、私の考えが事実なら、とても嫌なことである。
だから、できれば、この考えは間違っていて欲しい。私の思い過ごしで、後で笑い話になる。そうなってくれることを祈って、私はレイグスとともに部屋に入るのだった。
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