聖女の代わりがいくらでもいるなら、私がやめても構いませんよね?

木山楽斗

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 私とレイグスは、ヘルゼン様と兵士達と一緒に王都に向かっていた。
 話し合いの結果、護衛が一人同行することになったのだ。
 本来なら、私とレイグスが下りれば良かったのかもしれない。だが、私達に同行するように言ってきたのは、ヘルゼン様なのである。

「本当に良かったのですか? 護衛が一人だけで……」
「ええ、問題ありませんよ。あなたの元部下が暴走しそうであるなら、説得するためにあなたは必要です。そもそも、聖女より強力な護衛はいません。あなたを置いて、同行させたい人などいませんよ」
「そうですか……」

 ヘルゼン様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 確かに、王族である彼一人だけでは、部下達を説得できないかもしれない。私がいた方が話は通しやすいだろう。

「それなら、俺はいいのですか? 別に、護衛よりも強力ではないと思いますし、役に立たないかもしれませんよ?」

 そこで、レイグスが口を挟んだ。
 私に関しては、今の論で納得できる。だが、彼に関してはどうして同行させたのだろうか。それは、私も気になる所だ。

「……あなたの存在が、アルメアさんにとって大切だと思ったからです」
「え?」
「なっ……!」
「今回の要は、私よりもアルメアさんです。そのアルメアさんが同行させているあなたは、兵士達よりも重要な存在でしょう。彼女の支えを失わせることが、今は得策だと思えませんからね」

 ヘルゼン様は、レイグスが私の支えになると思っているらしい。
 それは、恐らく正解である。ここまで一人旅なら、私は不安に押しつぶされていただろう。彼がいたから、私はここまで元気にやって来られたのだ。
 そんな彼を置いて行けば、私は参ってしまうかもしれない。それを、この第二王子は見抜いていたのである。

「流石ですね……ヘルゼン様」
「いえ、それ程でもありません。このようなことは、誰でもわかることです……最も、わからないような人が、あなたの上には立っていたのですか?」
「あ、えっと……」

 称賛の言葉に、彼は少し気まずそうな顔になった。
 別に、私はビクトンのことを思っていた訳ではない。しかし、先程の話を聞いた彼は、私が比較して称賛していると捉えてしまったのだろう。

「彼が、そこまで駄目な人間だったとは、私も思っていませんでした。本当に、あなたには申し訳ないことをしてしまいましたね」
「いえ、ヘルゼン様が悪い訳ではありませんから……」

 ヘルゼン様は、私に対して謝ってきた。
 顔が同じであるため、それはまるでビクトンが謝ってきているかのようだ。
 だが、彼ならば絶対に謝ったりしないだろう。双子なのに、二人はかなり正反対であるようだ。
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