怠惰な聖女の代わりに業務を担っていた私は、たまの気まぐれで働いた聖女の失敗を押し付けられて追放されました。

木山楽斗

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 私はリルガー様とともに、レパイア王国の王城内にいた。
 カーテナ様と話しをつけてから、私達は王族を探している。しかし、王城中を探しても、王族はいない。どうやら、既にこの王城からは逃げたようである。

「どこにもいませんね……」
「そのようですね……一体、どこに逃げたのやら」

 もぬけの殻となった玉座の間で、私とリルガー様はそんな会話をしていた。
 思えば、この玉座に座る王にはひどい目に合わされたものである。
 私のことを信頼せず、国外追放まで言い渡されて、なんともひどい王様だ。
 もちろん、あちら側にも色々と事情はあったのかもしれない。だが、ろくに調べずに国外追放など、いくらなんでもひどいだろう。

 さらに、国王はカーテナ様や国民を見捨てて逃げ出した。
 それも、ひどい話だ。王族ならば、その責務を果たすべきである。

「さて、兄上、聞こえていますか?」
『ええ、聞こえていますよ』
「王族は、王城から逃げ出しているようです。どうしますか?」
『その件ですが、既に手は打ってあります。レパイア王国の貴族達に協力してもらい、王国に包囲網を敷きました』
「包囲網ですか?」
『ええ、包囲網です』

 そこで、リルガー様はラルーグ様へ通信を入れた。
 どうやら、あの第一王子は既に手を打っていたようである。こういう時の根回しの早さは、流石だ。

『王族達がどこに逃げているかはわかりませんが、レパイア王国内から出ることはできません。後は、王国内をじっくりと探しましょう』
「といっても、時間はかけられませんよね?」
『ええ、ですから、あなた方には手がかりを探してもらいたいのです。王城の内部に何か手がかりは残っていませんか?』
「わかりました。探してみます」

 ラルーグ様に言われる前から、当然私達は手がかりを探していた。
 この王城内に、何か彼らの行き先を示すものがあるかもしれない。それが見つかれれば、王族をすぐに見つけられる。そのために、ここを探索することは必要なことなのだ。

「さて、何かありますかね……」
「ええ……」

 私とリルガー様は、辺りを見回した。
 当然のことではあるが、目に見えた所に手がかりなどはない。あるなら恐らく、隠された場所にあるはずだ。

「リルガー様、どこか怪しいと思う場所などありますか?」
「そうですね……単純に、あの玉座の裏とかに、何かが隠されているとかじゃないですか?」
「確かに、何かありそうな気はしますね。少し動かしてみましょう」
「ええ……え?」
「あれ?」

 リルガー様に言われたので、私は魔法で玉座を動かした。
 すると、そこには驚くべきものがあった。下へと続く階段である。

「まさか、本当にあるものなのですね……」
「ええ、僕も驚いています」

 目の前にあるのは、明らかに隠し通路である。
 王族達がここから脱出した可能性は高いだろう。例え脱出していなかったとしても、ここを探索してみる価値はありそうだ。

「行きましょうか」
「ええ」

 私とリルガー様は、階段を進んで行く。
 果たして、この先に王族はいるのだろうか。
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