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第44話 抗議の首謀者
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私は、ロクス様とラカニアとともに、サレース様と対峙していた。
そこで、私はサレース様の様子が少しおかしいことに気づいたのである。
「べ、別に何もありません……」
私の質問に数秒沈黙した後、サレース様はそのように言ってきた。
その時点で、ここにいる全員が理解している。サレース様には、何かがあったのだと。
どうやら、ここでサレース様と話し合う必要はないようだ。サレース様がこうなっている原因を叩いた方が、絶対にいいだろう。
そのためには、サレース様から事情を聞かなければならない。それができるのは、この場でサレース様が最も慕っている人物だけだろう。
「サレース様……何かあったのなら、僕達に話してもらえませんか?」
「ロクス様……それは……」
私が合図をする前に、ロクス様は言葉を放ってくれた。
ロクス様も、サレース様から事情を聞き出せるのは自分しかいないと理解していたのだろう。
本当に、ロクス様は頼りになる。こういう時に、無駄な時間を短縮できるのは、とてもありがたいことだ。
「あなたの様子は、明らかにおかしい。ここにいながら、ここに心がないような、そんな印象を受けます。何か、事情でもあるのではありませんか?」
「じ、事情など……」
「それを教えて頂けたら、僕達も力を貸すことができます。あなたに何かあったなら、僕達が助けると約束しましょう」
ロクス様は、真剣な表情でそう言い放った。
よく考えてみれば、ロクス様はサレース様とそれなりに長い付き合いであるはずだ。だから、ロクス様はここまで親身になろうとしているのだろう。単純に、一人の友人として力を貸そうとしているのだ。
「じ、実は……今回の抗議は、私が主導したものではないのです」
ロクス様の思いが通じたのか、サレース様はゆっくりと口を開いた。
どうやら、今回の抗議はサレース様が主導したものではないらしい。
その言葉により、私達は理解できた。自分が主導したものではないから、サレース様は弱々しかったのだと。
「それなら、一体誰が?」
「父が抗議すると言ったのです。どうやら、父はヴァンデイン家の一員が聖女の地位にあることが気に入らないらしく、邪魔しようとしているようなのです」
「なるほど、そういうことでしたか……」
サレース様から語られたのは、そのようなことだった。
サレース様の父、アルガンデ家の現当主は、ヴァンデイン家の人間である私が、聖女の地位に就いていることが気に入らないようだ。
恐らく、同じ公爵家の人間が高い地位に就いていることで、力関係が崩れることを危惧しているのだろう。その思考については、理解できない訳ではない。だが、やることが少々小さすぎる。
何より、その抗議を自らの手で行わず、娘に任せているというのも気に入らない。この様子からして、サレース様は抗議する気などなかったはずだ。そんな娘に、無理やり抗議させるというやり方は、単純に人間として不快である。
「サレース様、お父様は今日はどちらに?」
「え? 家にいますけど……」
「それなら、案内してください。色々と言いたいことがありますので」
サレース様の話を聞いて、私達のやることは決まった。
直接、サレース様の父親と話をするのだ。
そこで、私はサレース様の様子が少しおかしいことに気づいたのである。
「べ、別に何もありません……」
私の質問に数秒沈黙した後、サレース様はそのように言ってきた。
その時点で、ここにいる全員が理解している。サレース様には、何かがあったのだと。
どうやら、ここでサレース様と話し合う必要はないようだ。サレース様がこうなっている原因を叩いた方が、絶対にいいだろう。
そのためには、サレース様から事情を聞かなければならない。それができるのは、この場でサレース様が最も慕っている人物だけだろう。
「サレース様……何かあったのなら、僕達に話してもらえませんか?」
「ロクス様……それは……」
私が合図をする前に、ロクス様は言葉を放ってくれた。
ロクス様も、サレース様から事情を聞き出せるのは自分しかいないと理解していたのだろう。
本当に、ロクス様は頼りになる。こういう時に、無駄な時間を短縮できるのは、とてもありがたいことだ。
「あなたの様子は、明らかにおかしい。ここにいながら、ここに心がないような、そんな印象を受けます。何か、事情でもあるのではありませんか?」
「じ、事情など……」
「それを教えて頂けたら、僕達も力を貸すことができます。あなたに何かあったなら、僕達が助けると約束しましょう」
ロクス様は、真剣な表情でそう言い放った。
よく考えてみれば、ロクス様はサレース様とそれなりに長い付き合いであるはずだ。だから、ロクス様はここまで親身になろうとしているのだろう。単純に、一人の友人として力を貸そうとしているのだ。
「じ、実は……今回の抗議は、私が主導したものではないのです」
ロクス様の思いが通じたのか、サレース様はゆっくりと口を開いた。
どうやら、今回の抗議はサレース様が主導したものではないらしい。
その言葉により、私達は理解できた。自分が主導したものではないから、サレース様は弱々しかったのだと。
「それなら、一体誰が?」
「父が抗議すると言ったのです。どうやら、父はヴァンデイン家の一員が聖女の地位にあることが気に入らないらしく、邪魔しようとしているようなのです」
「なるほど、そういうことでしたか……」
サレース様から語られたのは、そのようなことだった。
サレース様の父、アルガンデ家の現当主は、ヴァンデイン家の人間である私が、聖女の地位に就いていることが気に入らないようだ。
恐らく、同じ公爵家の人間が高い地位に就いていることで、力関係が崩れることを危惧しているのだろう。その思考については、理解できない訳ではない。だが、やることが少々小さすぎる。
何より、その抗議を自らの手で行わず、娘に任せているというのも気に入らない。この様子からして、サレース様は抗議する気などなかったはずだ。そんな娘に、無理やり抗議させるというやり方は、単純に人間として不快である。
「サレース様、お父様は今日はどちらに?」
「え? 家にいますけど……」
「それなら、案内してください。色々と言いたいことがありますので」
サレース様の話を聞いて、私達のやることは決まった。
直接、サレース様の父親と話をするのだ。
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