26 / 33
26
しおりを挟む
私は、ゆっくりと目を覚ました。
どれくらい眠っていたのだろうか。窓から入って来る日の光から考えると、そこまで長い時間は眠っていないはずである。
「あれ?」
その流れで窓の外を見てみると、よくわからない光景が目に入ってきた。
国王様が複数の女性と話しているのだ。獅子の獣人の女性に囲まれている国王様は、先程とそこまで変わらない表情をしている。だが、その関係性がよくわからない。
見た所、女性達は国王様と同じくらいの年齢だ。この国の貴族の夫人達なのだろうか。
しかし、夫人がこんなに集まって国王様と話すというのもおかしな話である。一体、なんの集会なのだろうか。
「うーん……」
別にそこまで気にする必要がないとかもしれないが、私は何故か妙に引っかかっていた。
あの親しそうに話す獣人達と国王様の関係が、とても気になるのだ。
「えっと……誰か、いますか?」
「……いる」
とりあえず、私は使用人の部屋に繋がる戸を叩いて、呼びかけてみた。
すると、聞いたことがある女性の声が返ってきた。これは、リルビィさんの声だ。どうやら、彼女が待機してくれているらしい。
確か、彼女は護衛だったはずである。何故、ここにいるのだろうか。
「とりあえず、入ってください」
「わかった」
私が許可すると、使用人の待機部屋からリルビィさんがやって来た。
彼女の服は、以前とは違いメイド服である。どうやら、彼女はメイドも兼ねているようだ。
「えっと、リルビィさんが私についてくれているのですか?」
「メイド兼護衛」
「なるほど、両方とも兼ねているのですね」
リルビィさんは、私の護衛も兼ねているらしい。
一人で両方をこなせる彼女は、かなり優秀な人材であるようだ。
二つとも兼ねているなら、とても頼りになる。いざという時、すぐに守ってもらえるのだから、とても心強い。
「基本的には、私がついている」
「そうなのですね。それなら、これからよろしくお願いします」
「任せて……」
リルビィさんがついてくれていることは、個人的にも嬉しいことだった。
彼女は、メーリアの考えを変えてくれた一人だ。そんな人だから、私は彼女に対していい印象を持っている。そんな彼女だから、とても嬉しいのだ。
「えっと、私、喋るの苦手……あまり、丁寧な口調が、できない」
「そうなのですか?」
「兎、声帯なかった。獣人になっても、喋るのが苦手」
「そういうことだったのですね……」
そこで、リルビィさんはその特徴的な喋り方の説明をしてきた。
彼女は途切れ途切れに喋っていたが、それには動物の時の性質が関係していたらしい。
別にそこまで気にしていなかったが、そういう事情があるなら猶更仕方ないことである。
「別に、大丈夫ですよ。気にしないでください」
「ありがとう……」
私の言葉に、リルビィさんは笑顔を見せてくれた。
その笑顔も、とても可愛らしいものである。
どうやら、私は獣人の笑顔に結構弱いようだ。元々動物は嫌いではなかったため、そのように思えるのだろうか。
どれくらい眠っていたのだろうか。窓から入って来る日の光から考えると、そこまで長い時間は眠っていないはずである。
「あれ?」
その流れで窓の外を見てみると、よくわからない光景が目に入ってきた。
国王様が複数の女性と話しているのだ。獅子の獣人の女性に囲まれている国王様は、先程とそこまで変わらない表情をしている。だが、その関係性がよくわからない。
見た所、女性達は国王様と同じくらいの年齢だ。この国の貴族の夫人達なのだろうか。
しかし、夫人がこんなに集まって国王様と話すというのもおかしな話である。一体、なんの集会なのだろうか。
「うーん……」
別にそこまで気にする必要がないとかもしれないが、私は何故か妙に引っかかっていた。
あの親しそうに話す獣人達と国王様の関係が、とても気になるのだ。
「えっと……誰か、いますか?」
「……いる」
とりあえず、私は使用人の部屋に繋がる戸を叩いて、呼びかけてみた。
すると、聞いたことがある女性の声が返ってきた。これは、リルビィさんの声だ。どうやら、彼女が待機してくれているらしい。
確か、彼女は護衛だったはずである。何故、ここにいるのだろうか。
「とりあえず、入ってください」
「わかった」
私が許可すると、使用人の待機部屋からリルビィさんがやって来た。
彼女の服は、以前とは違いメイド服である。どうやら、彼女はメイドも兼ねているようだ。
「えっと、リルビィさんが私についてくれているのですか?」
「メイド兼護衛」
「なるほど、両方とも兼ねているのですね」
リルビィさんは、私の護衛も兼ねているらしい。
一人で両方をこなせる彼女は、かなり優秀な人材であるようだ。
二つとも兼ねているなら、とても頼りになる。いざという時、すぐに守ってもらえるのだから、とても心強い。
「基本的には、私がついている」
「そうなのですね。それなら、これからよろしくお願いします」
「任せて……」
リルビィさんがついてくれていることは、個人的にも嬉しいことだった。
彼女は、メーリアの考えを変えてくれた一人だ。そんな人だから、私は彼女に対していい印象を持っている。そんな彼女だから、とても嬉しいのだ。
「えっと、私、喋るの苦手……あまり、丁寧な口調が、できない」
「そうなのですか?」
「兎、声帯なかった。獣人になっても、喋るのが苦手」
「そういうことだったのですね……」
そこで、リルビィさんはその特徴的な喋り方の説明をしてきた。
彼女は途切れ途切れに喋っていたが、それには動物の時の性質が関係していたらしい。
別にそこまで気にしていなかったが、そういう事情があるなら猶更仕方ないことである。
「別に、大丈夫ですよ。気にしないでください」
「ありがとう……」
私の言葉に、リルビィさんは笑顔を見せてくれた。
その笑顔も、とても可愛らしいものである。
どうやら、私は獣人の笑顔に結構弱いようだ。元々動物は嫌いではなかったため、そのように思えるのだろうか。
7
あなたにおすすめの小説
『魔力ゼロの欠陥品』と蔑まれた伯爵令嬢、卒業パーティーで婚約破棄された瞬間に古代魔法が覚醒する ~虐げられ続けた三年間、倍返しでは足りない~
スカッと文庫
恋愛
「貴様のような無能、我が国の王妃には相応しくない。婚約を破棄し、学園から追放する!」
王立魔道学園の卒業パーティー。きらびやかなシャンデリアの下、王太子エドワードの声が冷酷に響いた。彼の隣には、愛くるしい表情で私を嵌めた男爵令嬢、ミナが勝ち誇ったように寄り添っている。
伯爵令嬢のリリアーヌは、入学以来三年間、「魔力ゼロの欠陥品」として学園中の嘲笑を浴び続けてきた。
婚約者であるエドワードからは一度も顧みられず、同級生からはゴミのように扱われ、ミナの自作自演による「いじめ」の濡れ衣まで着せられ……。
それでも、父との「力を隠せ」という約束を守るため、泥を啜るような屈辱に耐え抜いてきた。
――だが、国からも学園からも捨てられた今、もうその約束を守る必要はない。
「さようなら、皆様。……私が消えた後、この国がどうなろうと知ったことではありませんわ」
リリアーヌが身につけていた「魔力封印の首飾り」を自ら引き千切った瞬間、会場は漆黒の魔力に包まれた。
彼女は無能などではない。失われた「古代魔法」をその身に宿す、真の魔道の主だったのだ。
絶望する王太子たちを余目に、隣国の伝説の魔術師アルベルトに拾われたリリアーヌ。
彼女の、残酷で、甘美な復讐劇が今、幕を開ける――。
【完結】魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――
ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。
魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。
ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。
誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。
『無能な聖女』と婚約破棄された私、実は伝説の竜を唯一従える『真の守護者』でした。~今さら国に戻れと言われても、もう遅いです~
スカッと文庫
ファンタジー
「魔力値たったの5だと? 貴様のような偽聖女、この国には不要だ!」
聖女として国を支えてきたエルナは、第一王子カイルから非情な婚約破棄を言い渡される。隣には、魔力値を偽装して聖女の座を奪った男爵令嬢の姿が。
実家からも見捨てられ、生きては戻れぬ『死の森』へ追放されたエルナ。しかし、絶望の中で彼女が目覚めさせたのは、人間には測定不能な【神聖魔力】だった。
森の奥で封印されていた伝説の銀竜を解き放ち、隣国の冷徹皇帝にその才能を見出された時、エルナを捨てた王国は滅びの危機に直面する――。
「今さら謝っても、私の結界はもうあなたたちのために張ることはありません」
捨てられた聖女が真の幸せを掴む、逆転劇がいま幕を開ける!
救国の代償で白髪になった聖女、一度のミスを理由に「無能の戦犯」として追放される ~隣国の覇王に拾われ、愛され、奇跡の力を見せつける~
スカッと文庫
ファンタジー
聖女アリシアは、百年に一度の大氾濫から国を守るため、禁忌の魔力全解放を行い、単身で数万の魔物を殲滅した。その代償として、彼女の美しい金髪は真っ白な「白雪色」に染まり、魔力は一時的に枯渇してしまう。
しかし、その功績はすべて現場にいなかった「偽聖女セシリア」に奪われ、アリシアは「結界を一部損壊させた戦犯」「魔力を失った役立たず」として、婚約者の王太子ギルバートから国外追放を言い渡される。
「失敗したゴミに、この国の空気は吸わせない」
泥の中に捨てられたアリシア。しかし、彼女を拾ったのは、敵対国として恐れられていた帝国の「武徳皇帝」ラグナールだった。彼はアリシアの白髪が「高純度の神聖魔力による変質」であることを瞬時に見抜き、彼女を帝国の宝として迎える。
数ヶ月後。アリシアが帝国の守護聖女として輝きを取り戻した頃、王国では「一度きりの奇跡」だったセシリアの魔力が尽き、本当の滅亡が始まっていた。
「今さら結界が解けたと泣きつかれても、もう私の魔力は一滴も残っていません」
追放された地味なメイドは和菓子職人の記憶に目覚める 〜王子たちの胃袋を『あんこ』で掴んだら、王宮で極甘に溺愛されています〜
あとりえむ
恋愛
「起きなさい、この穀潰し!」
冷たい紅茶を浴びせられ、無実の罪で男爵家を追放された地味なメイド、ミア。
泥濘の中で力尽きようとしたその時、彼女の脳裏に鮮やかな記憶が蘇る。
それは、炊きたての小豆の香りと、丁寧にあんこを練り上げる職人としての誇り……
行き倒れたミアを救ったのは、冷徹と恐れられる第一王子ミハエルだった。
バターと生クリームの重いお菓子に胃を痛めていた王族たちの前に、ミアは前世の知恵を絞った未知のスイーツ『おはぎ』を差し出す。
「なんだ、この食感は……深く、そして優しい。ミア、お前は私の最高のパートナーだ」
小豆の魔法に魅了されたミハエルだけでなく、武闘派の第二王子やわがままな王女まで、気づけばミアを取り合う溺愛合戦が勃発!
一方で、有能なミアを失い、裏金のカラクリを解ける者がいなくなった男爵家は、自業自得の崩壊へと突き進んでいく。
泣いて謝っても、もう遅い。
彼らを待っていたのは、処刑よりも皮肉な「全土小豆畑の刑」だった……
これは、一粒の小豆から始まる、甘くて爽快な逆転シンデレラストーリー。
あなたの心も、あんこのように「まあるく」癒やしてみせます。
追放された地味令嬢、実は王国唯一の“魔力翻訳者”でした 〜役立たずと言われましたが、もう契約は終了です〜
あめとおと
恋愛
王太子から「魔法が何も起こらない役立たず」と断罪され、婚約破棄された伯爵令嬢リリア。
追放された彼女の能力は――
魔法の“意味”を読み解き、術式そのものを理解する力《魔力翻訳》。
辺境の魔導研究所でその才能を見出された彼女は、
三百年解読不能だった古代魔法を次々と再生させていく。
一方、彼女を失った王都では魔法事故が連鎖。
国家結界すら崩壊寸前に――。
「戻ってきてほしい」
そう告げられても、もう遅い。
私を必要としてくれる場所は、
すでに別にあるのだから。
これは、役立たずと呼ばれた令嬢が
本当の居場所と理解者を見つける物語。
【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました
あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。
そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。
平民出身のヒロインの「善意」、
王太子の「優しさ」、
そしてそれらが生み出す無数の歪み。
感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。
やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。
それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。
なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。
これは、
「断罪される側」が最後まで正しかった物語。
そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。
雑草と呼ばれた令嬢は、氷の公爵の庭を咲かせる
もちもちほっぺ
恋愛
亡き母の形見の庭を守ることだけが、フェリシアの居場所だった。
継母に食卓での給仕を命じられ、義妹に母の形見の花を踏みにじられても、父は「仲良くしなさい」と言うだけだった。
植物魔法は「雑草いじり」と蔑まれ、フェリシアはルミナリス家の娘ではなく、使用人以下として生きてきた。
転機は突然訪れる。
「氷の魔王」と恐れられるギルバート・ウィンストン公爵との縁談。嵐の中、馬車も出してもらえず送り出されたフェリシアが辿り着いたのは、十年間何も育たなくなった荒廃した庭だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる