一年後に離婚すると言われてから三年が経ちましたが、まだその気配はありません。

木山楽斗

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13.弟のような存在

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「悲鳴が聞こえてきた所にランパーがいた時は肝が冷えました」
「まあ、ゲルトさんの立場からすればそうですよね……」

 自室に戻った私は、ランパーとその祖父であるゲルトさんに来てもらっていた。
 ラナーシャの方は、マグナス様が話を聞いてくれている。彼女のケアに関しては、兄である彼に任せるべきだろう。
 私はランパーから話を聞くことにする。もっとも、彼の方は何か特別な事情を抱えている訳でもないので、ケアする必要はないかもしれないが。

「爺さん、まさか俺が女の子にひどいことをするとでも思っていたのかよ?」
「いや、そういう訳ではないが……誤ったとしても怪我なんかさせたりしたら、大変なことになるだろう」
「いやまあ、それはそうだが……」

 ゲルトさんにとって、ランパーはたった一人の孫である。
 そんな彼が、特別な立場にあると思っている女性に何かをしてしまった。そう考えた時のゲルトさんの心境は、計り知れないものだっただろう。

「ランパーは、ラナーシャとこれまで話したことがあったの?」
「え? ああ、それはもちろん。同僚ですからね」
「どんな印象だったのかしら?」
「印象? 真面目なメイドとか、そんな感じですかね……」

 私の質問に、ランパーはすらすらと答えてくれた。
 やはり彼は、ラナーシャの内面に関して特に気付いていないらしい。ランパーは結構鈍感であるし、ラナーシャも自らの内面を隠そうとしているため、悟られなかったということだろう。

「特に仲が良かったり悪かったりはしなかったの?」
「ええ、そうです。まあ、本当に同僚というだけですね。他に関係性は特にありません」
「なるほど……」
「アラティア様……一体どうしてそんなことを聞くんです?」
「いえ、これは単純に個人的な興味よ。ほら、あなたも年頃だし」
「え? そういう感じなんですか?」

 ランパーとは、幼少期の頃からの関係だ。メルテナさんが姉であるならば、彼は弟といった所だろうか。
 それはきっと、ランパーも理解している。故にこういう風に言っておけば、まず疑われはしないだろう。
 事情は後日説明する訳だし、余計な心配をかける必要はない。今日は何もなかったということにして、ゆっくり休んでもらうことにしよう。

「まあとにかく何もなくて良かったわ。ゲルトさんやメルテナさんについては心配していないけれど、あなたは少々粗暴な所があるから心配だったのよ」
「粗暴って、お言葉ですが、俺はこれでも紳士を心掛けていますよ」
「もちろん私はわかっているわよ? でもあなたは勘違いされやすいから」
「いや、その……」

 私の言葉に、ランパーは頬をかいていた。
 彼の心根は、きっとラナーシャも理解しているだろう。故に二人の間に何か溝ができることもないはずだ。
 そんなことを考えながら、私は一日を終えるのだった。
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