61 / 100
61.王都にて③
しおりを挟む
私とリルフは、騎士団の副団長であるウェルデインに連れられて、玉座の間まで来ていた。
話には聞いていたが、玉座の間というのはなんだか荘厳な雰囲気である。いるだけで押し潰されそうな奇妙な感覚に私は少し尻込みしていた。
だが、隣で不安そうにしているリルフを見ていると、そんな気持ちはすぐに切り替わっていく。私がしっかりとしないといけない。そういう気分になってくるのだ。
「あっ……」
そんなことを考えていると、足音が聞こえてきた。いよいよ、国王様が現れるようだ。
「リルフ? いい? 跪くんだよ?」
「うん。大丈夫、ちゃんと覚えているよ」
「そっか、それなら良かった」
私は、リルフに声をかけておいた。安心させるのと確認するべきことがあったからだ。
国王様の前では、跪かなければならない。それが作法であるそうなのだ。
私は、作法にそこまで詳しい訳ではない。だが、リルフは私以上にそういうことをわかっていなかった。事前に言っておいたが、それを覚えているかどうかは確認しておきたかったのである。
賢いリルフは、私の言ったことをきちんと覚えているようだ。それなら、作法については特に心配する必要はないだろう。
「あっ……」
「リルフ……」
「うん……」
そんなことを考えている内に、私達の前に一人の男性が現れた。華々しい服を纏った初老の男性は、玉座に腰を下ろして、私達を見下ろしてくる。
私とリルフは、ゆっくりと膝をついた。まず間違いなく、目の前に現れた男性が国王様である。
「楽にしてくれていい」
「は、はい……」
国王様の言葉に、私達はゆっくりと立ち上がった。この合図があるまでは、跪かなければならないというのは、なんとも難儀なものである。
「二人とも、よくぞ来てくれた。わしは、この国の王……バルディード・オーファニスだ」
「あ、えっと……私は、フェリナです」
「ボクはリルフ……です」
「そんなに固くならなくてもよい。といっても、無理ではあるか」
とても緊張している私達に対して、国王様は笑みを浮かべた。その笑みは、穏やかで温かみがある笑顔だ。
その表情に、私もリルフも困惑する。国王様の笑顔には、裏があるとはまったく思えなかったからだ。
副団長であるウェルデインの笑みには、何か裏があるように思えた。それなのに、国王様がそんな笑顔なので、なんだか少しおかしいように感じる。
もっとも、それは私達の感覚でしかない。二人とも実は裏がない可能性も、裏がある可能性もない訳ではないだろう。
結局、私達はまだ国王様達を心から信頼することはできそうにない。まだまだ警戒しておく必要があるだろう。
話には聞いていたが、玉座の間というのはなんだか荘厳な雰囲気である。いるだけで押し潰されそうな奇妙な感覚に私は少し尻込みしていた。
だが、隣で不安そうにしているリルフを見ていると、そんな気持ちはすぐに切り替わっていく。私がしっかりとしないといけない。そういう気分になってくるのだ。
「あっ……」
そんなことを考えていると、足音が聞こえてきた。いよいよ、国王様が現れるようだ。
「リルフ? いい? 跪くんだよ?」
「うん。大丈夫、ちゃんと覚えているよ」
「そっか、それなら良かった」
私は、リルフに声をかけておいた。安心させるのと確認するべきことがあったからだ。
国王様の前では、跪かなければならない。それが作法であるそうなのだ。
私は、作法にそこまで詳しい訳ではない。だが、リルフは私以上にそういうことをわかっていなかった。事前に言っておいたが、それを覚えているかどうかは確認しておきたかったのである。
賢いリルフは、私の言ったことをきちんと覚えているようだ。それなら、作法については特に心配する必要はないだろう。
「あっ……」
「リルフ……」
「うん……」
そんなことを考えている内に、私達の前に一人の男性が現れた。華々しい服を纏った初老の男性は、玉座に腰を下ろして、私達を見下ろしてくる。
私とリルフは、ゆっくりと膝をついた。まず間違いなく、目の前に現れた男性が国王様である。
「楽にしてくれていい」
「は、はい……」
国王様の言葉に、私達はゆっくりと立ち上がった。この合図があるまでは、跪かなければならないというのは、なんとも難儀なものである。
「二人とも、よくぞ来てくれた。わしは、この国の王……バルディード・オーファニスだ」
「あ、えっと……私は、フェリナです」
「ボクはリルフ……です」
「そんなに固くならなくてもよい。といっても、無理ではあるか」
とても緊張している私達に対して、国王様は笑みを浮かべた。その笑みは、穏やかで温かみがある笑顔だ。
その表情に、私もリルフも困惑する。国王様の笑顔には、裏があるとはまったく思えなかったからだ。
副団長であるウェルデインの笑みには、何か裏があるように思えた。それなのに、国王様がそんな笑顔なので、なんだか少しおかしいように感じる。
もっとも、それは私達の感覚でしかない。二人とも実は裏がない可能性も、裏がある可能性もない訳ではないだろう。
結局、私達はまだ国王様達を心から信頼することはできそうにない。まだまだ警戒しておく必要があるだろう。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
【完結】没落令嬢、異世界で紅茶店を開くことにいたしました〜香りと静寂と癒しの一杯をあなたに〜
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
夜会で父が失脚し、家は没落。屋敷の裏階段で滑り落ち、気づけば異世界――。
王国貴族だったアナスタシアが転移先で授かったのは、“極上調合”という紅茶とハーブのスキルだった。
戦う気はございませんの。復讐もざまぁも、疲れますわ。
彼女が選んだのは、湖畔の古びた小屋で静かにお茶を淹れること。
奇跡の一杯は病を癒やし、呪いを祓い、魔力を整える力を持つが、
彼女は誰にも媚びず、ただ静けさの中で湯気を楽しむのみ。
「お代は結構ですわ。……代わりに花と静寂を置いていってくださる?」
騎士も王女も英雄も訪れるが、彼女は気まぐれに一杯を淹れるだけ。
これは、香草と紅茶に囲まれた元令嬢の、優雅で自由な異世界スローライフ。
没落貴族と拾われ娘の成り上がり生活
アイアイ式パイルドライバー
ファンタジー
名家の生まれなうえに将来を有望視され、若くして領主となったカイエン・ガリエンド。彼は飢饉の際に王侯貴族よりも民衆を優先したために田舎の開拓村へ左遷されてしまう。
妻は彼の元を去り、一族からは勘当も同然の扱いを受け、王からは見捨てられ、生きる希望を失ったカイエンはある日、浅黒い肌の赤ん坊を拾った。
貴族の彼は赤子など育てた事などなく、しかも左遷された彼に乳母を雇う余裕もない。
しかし、心優しい村人たちの協力で何とか子育てと領主仕事をこなす事にカイエンは成功し、おまけにカイエンは開拓村にて子育てを手伝ってくれた村娘のリーリルと結婚までしてしまう。
小さな開拓村で幸せな生活を手に入れたカイエンであるが、この幸せはカイエンに迫る困難と成り上がりの始まりに過ぎなかった。
侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
婚約破棄され森に捨てられました。探さないで下さい。
拓海のり
ファンタジー
属性魔法が使えず、役に立たない『自然魔法』だとバカにされていたステラは、婚約者の王太子から婚約破棄された。そして身に覚えのない罪で断罪され、修道院に行く途中で襲われる。他サイトにも投稿しています。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
ダンジョンに捨てられた私 奇跡的に不老不死になれたので村を捨てます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
私の名前はファム
前世は日本人、とても幸せな最期を迎えてこの世界に転生した
記憶を持っていた私はいいように使われて5歳を迎えた
村の代表だった私を拾ったおじさんはダンジョンが枯渇していることに気が付く
ダンジョンには栄養、マナが必要。人もそのマナを持っていた
そう、おじさんは私を栄養としてダンジョンに捨てた
私は捨てられたので村をすてる
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる