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12.無駄なこと
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「お父様、これがどういうことか、説明していただけますか?」
「それは……」
私が質問を投げかけると、お父様は焦った声色で言葉を発した。
ただ、それは続いていかない。それなりに聡明であるはずのお父様は、動揺から言葉を詰まらせているようだ。
そんな彼から、私は視線を離さない。お父様は、私と目を合わせようとしてくれないが。
「ティセリア……これは、違うの?」
「イルーネ、今はあなたの言葉を聞き入れるつもりはないの」
「駄目、私の話を聞いて」
「それを聞いて、どうにかなるとは思えないわ」
私に対して、親友だったイルーネが声をかけてきた。
彼女が何を言おうとしているのか、それはわからない。ただ私は、聞きたくなかった。それを聞くとまた気分が悪くなってくるだろうから。
私は、ただでさえお父様に良い感情を持っていない。そのお父様を擁護する言葉を親友であった彼女から聞くのは、流石に堪える。
「でも、私の言葉を聞いてもらいたいの。そうしたらわかってもらえると思うから」
「わかってもらえる? 私はイルーネに、お父様に関する色々なことを伝えてきたつもりだけれど……」
「うん。聞いてきた。でも……」
「あなたはお父様と関係を持っていた。そんな状況で、どんな気持ちで私の言葉を聞いていたのかしら?」
「それは……」
私の言葉に、イルーネはゆっくりと目をそらした。彼女の中でも、色々と思う所があったということなのだろうか。
しかしながら、まったく持って理解できない。私からお母様に散々ひどい扱いをしたと知らされていたはずのイルーネが、どうしてお父様と関係を持つのだろうか。
それは私にとっては、裏切りに等しいことだった。彼女はお父様と愛を囁きながら、私の相談に乗っていたということだ。その時のことを考えると、腸が煮え返ってくる。
「ティセリア、彼女を責めないでくれ」
「お父様……」
「全ての責任は私にある。もちろん、お前からの言葉も受け止めよう」
「……」
お父様の言葉の節々からは、イルーネに対する愛情というものが読み取れた。
それは捉えようによっては良いことといえるのかもしれない。だが、私からしてみれば怒りを助長させるだけのものだ。
私の前で、二人の関係を強く認識させるものを出さないで欲しい。それが私の正直な気持ちである。
「今回の件は、厳正に対処させていただきます」
「……そうか」
「それは……」
私の言葉に、二人の表情は大きく変わった。
私はゆっくりとため息をつく。今日という日が、この二人との決別である。それを私は、胸に刻み込むのだった。
「それは……」
私が質問を投げかけると、お父様は焦った声色で言葉を発した。
ただ、それは続いていかない。それなりに聡明であるはずのお父様は、動揺から言葉を詰まらせているようだ。
そんな彼から、私は視線を離さない。お父様は、私と目を合わせようとしてくれないが。
「ティセリア……これは、違うの?」
「イルーネ、今はあなたの言葉を聞き入れるつもりはないの」
「駄目、私の話を聞いて」
「それを聞いて、どうにかなるとは思えないわ」
私に対して、親友だったイルーネが声をかけてきた。
彼女が何を言おうとしているのか、それはわからない。ただ私は、聞きたくなかった。それを聞くとまた気分が悪くなってくるだろうから。
私は、ただでさえお父様に良い感情を持っていない。そのお父様を擁護する言葉を親友であった彼女から聞くのは、流石に堪える。
「でも、私の言葉を聞いてもらいたいの。そうしたらわかってもらえると思うから」
「わかってもらえる? 私はイルーネに、お父様に関する色々なことを伝えてきたつもりだけれど……」
「うん。聞いてきた。でも……」
「あなたはお父様と関係を持っていた。そんな状況で、どんな気持ちで私の言葉を聞いていたのかしら?」
「それは……」
私の言葉に、イルーネはゆっくりと目をそらした。彼女の中でも、色々と思う所があったということなのだろうか。
しかしながら、まったく持って理解できない。私からお母様に散々ひどい扱いをしたと知らされていたはずのイルーネが、どうしてお父様と関係を持つのだろうか。
それは私にとっては、裏切りに等しいことだった。彼女はお父様と愛を囁きながら、私の相談に乗っていたということだ。その時のことを考えると、腸が煮え返ってくる。
「ティセリア、彼女を責めないでくれ」
「お父様……」
「全ての責任は私にある。もちろん、お前からの言葉も受け止めよう」
「……」
お父様の言葉の節々からは、イルーネに対する愛情というものが読み取れた。
それは捉えようによっては良いことといえるのかもしれない。だが、私からしてみれば怒りを助長させるだけのものだ。
私の前で、二人の関係を強く認識させるものを出さないで欲しい。それが私の正直な気持ちである。
「今回の件は、厳正に対処させていただきます」
「……そうか」
「それは……」
私の言葉に、二人の表情は大きく変わった。
私はゆっくりとため息をつく。今日という日が、この二人との決別である。それを私は、胸に刻み込むのだった。
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