不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

木山楽斗

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33.おかしな様子

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 私は再び、ナルネア嬢とその取り巻きに囲まれることになった。
 囲まれている場所は、以前と同じ校舎裏だ。彼女達にとって、ここが人を追い詰める最適な場所ということなのだろう。

「さて、まずはあなたが何をしたのかを確認しておきましょうか? マグナード様と親密にしていたことは自覚していますよね?」
「……」
「黙っていても、話は進みませんよ? 沈黙は肯定と受け取ります」

 ナルネア嬢は、以前と比べてかなり熱くなっていた。
 あくまで取り巻きに任せて、自分はその様子を楽しむ。前の彼女は、そんな感じだったはずである。
 やはり、煽った効果が出ているのだろうか。興奮したナルネア嬢は、私にぐいぐいと詰め寄ってきている。

「マグナード様は、あなたみたいな女が親しくしていい方ではないのです。あの方に相応しいのは、私のような高貴な人間……あなたのようなカスが、色目を使うなんて許されることではないのですよ!」
「ナ、ナルネア様……?」
「ど、どうされたのですか?」

 ナルネア嬢は、凡そ高貴な人間とは思えないような言葉を発していた。
 それに対して、彼女の取り巻きが少し引いている。いつもこういう現場に同行している彼女達が動揺する程に、ナルネア嬢は興奮しているらしい。

 しかしよく見てみると、ナルネア嬢の様子はおかしいような気がする。
 彼女は、確かに怒っている。しかしなんだか、焦燥感というか、私への怒りというよりも焦りからこの行動をしているように思えるのだ。

 ナルネア嬢は、何かに恐怖しているようだった。
 それを彼女自身が自覚しているかどうかはわからないのだが、とにかくナルネア嬢には覇気がない。

「はあ、はあ……」
「ナルネア様、少し落ち着いてください」
「大丈夫ですか? 体調が優れないのではありませんか?」
「う、うるさい!」
「ひっ!」

 様子がおかしいナルネア嬢のことを、取り巻き達は心配していた。
 しかし、それを彼女は突っぱねる。味方に激昂するなんて、ひどい話だ。いい気味だとも思うが、ほんの少しだけ取り巻き達に同情してしまう。

「……みっともないですよ、ナルネア嬢」
「……え?」

 そして、ナルネア嬢も取り巻き達も、この場の異様な雰囲気によって、周囲の様子にまったく気が回っていなかった。
 だから、校舎の方からマグナード様がやって来ていることには気付けなかったようだ。
 マグナード様は、冷徹にその目を細めてナルネア嬢のことを見ている。今の彼には、容赦も情けもないだろう。いつもとはまったく違うその目が、それを表している。
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