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本編
3.攻略対象の婚約者
私が前世の記憶を自覚したのは、物心がついてすぐだった。そして、自分がアルフィアで、この世界がゲームの世界と同じだと気づいたのもその時である。
だが、それに確信が持てたのは、つい最近のことだ。それまでは、まだここがゲームの世界であると断言できる自信を持っていなかったのである。
しかし、あることから、私は自分の推測を確信へと変えた。その要因とは、アルフィア・セントルグの婚約者である。
「アルフィアさん、どうも、こんにちは」
「はい、こんにちは、バルクド様」
今私の目の前にいるのは、バルクド・エルキディス様。この国の第四王子であり、私の婚約者である人物だ。
この人物の名前も顔も、私には見覚えがあった。『Magical stories』の登場人物と同じだったのである。
私は、今まで自分以外にゲームの登場人物を見たことはなかった。そのため、確信が持てなかったのだ。
しかし、バルクド様の存在に寄り、それは確信に変わった。流石に、二人もゲームの登場人物がいて、その立場も同じであるのだから、ここが『Magical stories』の世界であることを疑う余地はないだろう。
「前々から話が出ていたとはいえ、いよいよ決まりましたね。僕とあなたは、これで晴れて婚約者ということですね」
「ええ、そのようですね……」
私が十歳の春、バルグド様との婚約が決まった。彼との婚約は、前々から話が出ていた。その時点で確信は持っていたため、改めて彼と会っても、私は特に感慨深さというものは覚えていない。
「あの……もしかして、嫌でしたか?」
「え? いえ、そんなことはありません」
そんな私の態度に、バルクド様は違和感を覚えたようだ。確かに、見ようによっては、そう思われるかもしれない。私は、あまり明るくはないからだ。
だが、こういう時にどういう反応をするべきなのか、私はよくわかっていない。喜ぶのが正解なのだろうか。
「ただ……なんというか、あまり実感が湧いてこないのです。婚約や結婚というものは、いずれ訪れるとは思っていたものの、現実味がないというか……」
「なるほど、確かに、そう思うのは無理もないかもしれませんね。何しろ、親同士が決めた婚約ですから、僕達はあまり関わっていない訳ですし……」
私が咄嗟に考えた言い訳に、バルクド様は納得してくれた。恐らく、これで誤魔化せただろう。とりあえず、これで一安心だ。
咄嗟に考えたといっても、言っていることは割と私の本当の気持ちである。正直言って、婚約と急に言われてもあまり実感はない。なんというか、現実味がないのである。
それは、私が日本という国で生きていたことも関係しているだろう。私が生きていた時代の日本では、親同士が婚約を決めるというものは一般的ではなかった。だから、猶更実感が湧かないのかもしれない。
「といっても、これは僕達の義務のようなものですから、受け入れるしかないのだと思いますけど……」
「そうですね……そうだと思います」
バルクド様の言っている通り、この世界での婚約は貴族や王族にとっての義務のようなものである。実感がなくても、それは受け入れなければならないのだろう。
ただ、私からしてみれば、この婚約はあまり受け入れたい現実ではなかった。
彼との婚約は、ゲームの中でも成立している。ただ、彼のルートではその婚約は破棄されて、アルフィアは追放される。
私がプレイしたルートであるため、この婚約は中々怖い。あのルートのようになるのではないか。その恐怖が、ずっとついてくるからだ。もちろん、そうなるつもりは微塵もないのだが。
だが、それに確信が持てたのは、つい最近のことだ。それまでは、まだここがゲームの世界であると断言できる自信を持っていなかったのである。
しかし、あることから、私は自分の推測を確信へと変えた。その要因とは、アルフィア・セントルグの婚約者である。
「アルフィアさん、どうも、こんにちは」
「はい、こんにちは、バルクド様」
今私の目の前にいるのは、バルクド・エルキディス様。この国の第四王子であり、私の婚約者である人物だ。
この人物の名前も顔も、私には見覚えがあった。『Magical stories』の登場人物と同じだったのである。
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しかし、バルクド様の存在に寄り、それは確信に変わった。流石に、二人もゲームの登場人物がいて、その立場も同じであるのだから、ここが『Magical stories』の世界であることを疑う余地はないだろう。
「前々から話が出ていたとはいえ、いよいよ決まりましたね。僕とあなたは、これで晴れて婚約者ということですね」
「ええ、そのようですね……」
私が十歳の春、バルグド様との婚約が決まった。彼との婚約は、前々から話が出ていた。その時点で確信は持っていたため、改めて彼と会っても、私は特に感慨深さというものは覚えていない。
「あの……もしかして、嫌でしたか?」
「え? いえ、そんなことはありません」
そんな私の態度に、バルクド様は違和感を覚えたようだ。確かに、見ようによっては、そう思われるかもしれない。私は、あまり明るくはないからだ。
だが、こういう時にどういう反応をするべきなのか、私はよくわかっていない。喜ぶのが正解なのだろうか。
「ただ……なんというか、あまり実感が湧いてこないのです。婚約や結婚というものは、いずれ訪れるとは思っていたものの、現実味がないというか……」
「なるほど、確かに、そう思うのは無理もないかもしれませんね。何しろ、親同士が決めた婚約ですから、僕達はあまり関わっていない訳ですし……」
私が咄嗟に考えた言い訳に、バルクド様は納得してくれた。恐らく、これで誤魔化せただろう。とりあえず、これで一安心だ。
咄嗟に考えたといっても、言っていることは割と私の本当の気持ちである。正直言って、婚約と急に言われてもあまり実感はない。なんというか、現実味がないのである。
それは、私が日本という国で生きていたことも関係しているだろう。私が生きていた時代の日本では、親同士が婚約を決めるというものは一般的ではなかった。だから、猶更実感が湧かないのかもしれない。
「といっても、これは僕達の義務のようなものですから、受け入れるしかないのだと思いますけど……」
「そうですね……そうだと思います」
バルクド様の言っている通り、この世界での婚約は貴族や王族にとっての義務のようなものである。実感がなくても、それは受け入れなければならないのだろう。
ただ、私からしてみれば、この婚約はあまり受け入れたい現実ではなかった。
彼との婚約は、ゲームの中でも成立している。ただ、彼のルートではその婚約は破棄されて、アルフィアは追放される。
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